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我々の問題意識 アジサイ の広場
広行 いてわ

 現代の日本社会はこのもう一つの体験の中にあるとおり実に多くの差別問題を抱えていると言える。女性、同和、障害者、外国人、その他諸々の差別。も
ちろん日本政府はこれら諸問題を解決しようと既存の「法」の見直しや新しい「法」の樹立などを行っている。だがしかし「法」の整備のみでこれら諸問題を 解決できるのだろうか?これらの問題はそれだけで解決できるほど容易ではなく、日本社会の底辺から湧き上がってくる問題であり、深く切実である。ここで は私の今までの経験で特に感じた事のある障害者、外国人問題について述べたい。  

 以前日本で冬季オリンピックが開催された時の事である。オリンピック選手団が会場に入場行進してくる際のユニフォームをパラリンピック出場者、すな
わち障害者には同じ物の着用は認めないとする大会関係者の発言があった。今日の日本でこれだけバリアフリーが声高く叫ばれている中で彼のこの発言に憤 りを感じ、はたしてバリアフリーの意味を知っているのだろうかと訝しかった。バリアフリーとはBarrier-Free(障害の除去)と言う意で、日常生活における 妨げを取り除くだけでなく、精神面すなわち障害者に対して寛容になり分け隔てることなく接するということである。だから社会人はバリアフリーを謳うだ けでなく本当の意味を理解し実行に移して行かなければならない。彼の発言でどれだけ多くの障害者が傷ついたかを考えなければならない。もう一つの例と しては、日本にいる外国人、特にアジア諸国の人々に対する態度である。例えば雇用の面ではアジア人であるゆえに仕事を与えなかったり、あるいは与えら れたとしても日本人と同じ仕事、仕事量をこなしているのにもかかわらず、給料が平等でなかったり、生活面では○○人だから麻薬を売ってそうだとか、罪 を犯してそうだとか様々な悪態を彼らに対してついているのである。そうした考えは我々現代人の妄想であり重要なのは人種を見る事でなく、パーソナリテ ィをいかにして見極めるかである。私は仕事の関係上外国人と多く接する機会があるが、そのような罪を犯すような人は皆無だし皆それぞれすばらしいパー ソナリティを持ち合わせている。  

 さて、冒頭に述べた問題や例に挙げた問題を解決するには何をするべきなのか?それはまず我々個人が問題意識を持つという事である。政府が用意した「法
」だけに頼らず、我々個人は昔からあるそのような思想がどのように変遷し現在に至ったかを考え、伝統ある文化を守りつつ思想の改革、問題意識の提起を しなければならない。例えば障害者の問題で述べればなぜ障害者と呼ばれるのか。また、なぜ五体満足であれば幸せだと社会では考えられているのかなどま ず問題意識を持ち、それから自分のできる範囲内で彼らに出来る事を実行し、また障害者は自分のアイデンティティーをしっかりと確立させ、現代社会の一 員だと自覚することである。そうすることにより相互理解を深められ、これからの社会作りを一緒に考えていく事ができよう。  

 確かに思想、文化、を切り離し考える事は非常に困難であるし、ある意味矛盾しているかもしれない。なぜなら人類は思想、文化、歴史を常に同時に持ち
そして前進して来たからである。しかしそれらを個別に考え急進的に物事を発展させて行く場合も必要であろう。これら諸問題はそのまま放置できる問題で はなく、我々が問題提起し考えて行く事は現代の日本にとって急務である。  

 
                                                 
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