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先進国の後を
アジサイの広場
たきあし高3
 途上国の経済と先進国の経済の重要な差は、途上国は所詮先進国の敷いたレ
ールの上を走っているだけだということだ。そのため今日では急速な発展を見
せている途上国からは独創的な知識が生まれてこないのだ。現在の日本は途上
国が今日行っているセッションを全て終え、先進国として暗中模索する段階に
来てはいるものの、なかなかうまくはかどらないでいる。特に教育の現場にお
いてそのことは顕著に見られ、知識の吸収を第一にして、独創性は全く評価さ
れないというのが現状だ。そして独創性の芽を次から次へと摘み取っているの
だ。
 
 今日の教育の現場ではようやく独創性を認めるような動きが見えてきたもの
の、未だ公の機関や受験の場では知識だけを問うような体制が見られる。身近
な例としては、私達の定期試験などは「一夜漬け」という言葉があるようにただ
の暗記問題に終始している。私達人間が成すべきことは、コンピュータがする
ような単純な理論展開ではなく、オリジナリティに富んだ物を創造することだ
。国際社会の中で有数の先進国として君臨する日本でも、オリジナリティが無
いようならば以前に逆戻りだ。
 
 与えられたことをやるだけのことが勉強ではない。考えの根拠となるような
基礎知識は確かに必要だが、その上では自分の思うように理論を展開していっ
て然るべきだ。身近な所では、やはり試験をもっと独創性を評価するようにす
べきだといえよう。昨年度に定年退職をしてしまった私の恩師は、定期試験に
「発明問題」なるものを出していた。文字通り「発明」するこの問題はすこぶる難
しく、しかし非常に面白いものだった。そして、解答は無いので丸がつくもの
もいなかった。
 
 教師側も独創性を評価する人間が少ないのも問題だ。若い世代はまだよいも
のの、中年世代になると、まだ途上国だった頃の日本の精神を持っているため
、融通が利かない。生徒の学習の仕方が少しでもマニュアルから外れると対処
ができなくなってしまうのだ。長野の小学校では、農家から牛を借りてきて、
それで全ての勉強に使っているそうだ。表向きには、餌の量え「計算」したり、
牛の生活を「観察」したり、農家の人と「会話」したりということだが、自分で勉
強していくことがほとんどだそうだ。成績如何ではないこの教育方針は見習う
べきだろう。
 
 確かに人の能力を測るのに最も便利な方法は点数による序列化だ。例外なく
データとして処理できるし、実際に能力の効率はそれに比例している。しかし
先進国としての日本で必要とされていることは作業効率ではなく、いかに独創
性のある考え方ができるかということだ。亀のように一歩一歩地道に歩んで行
く時代は終わった。今はウサギのようなそのスピードを生かして、いろいろな
所へ行くことのほうが大切だ。
 
 今日では学生がやる「一夜漬け」では処理できない問題を抱えているのが現状
なのだ。