先頭ページ 前ページ 次ページ 最終ページ
自分をもつことの大切さ
アジサイの広場
ペー吉うき中3
 最近耳にする国際化という言葉は、辞書に載っていない。つまり、「国際化
」という言葉の意味を辞書で確認することはできない。確認する手段がないと
いうことは、「国際化」はあちこちで流行語のように使われていながら、実際
の意味を把握している人間は少ないということだ。最近、こういった人間、つ
まり意味を理解していないのにさも理解しているように情報を横へ流すだけの
人間が増えているように思える。私たちは、もっと自分の言葉、自分の意見と
いうものを大切にしてくべきだ。
 
 私の友人に、上で述べたような人物がいる。悪人ではないのだが、他者に付
和雷同し、わかっていないのに肯いてしまうような人だ。中学三年生というの
はとても周囲の環境に影響されやすい時期で、社会の風潮を顕著に表している
と言われる。私が私の友人と、やや一般的でない話題で盛り上がっていると、
隣でその友人が笑っている。今の話題がわかったのか、そうか君もソッチの人
かと思い話題を振ると、うまく受け答えできていない。そこで、ああ、合わせ
ていただけだったのだとわかる。また、別の友人は、社会情勢をよく知ってお
り時事に疎い私によく教えてくれる。しかし、彼が伝えてくえるのはニュース
の受け売りのみであるそうだ。時に彼自身の意見のように立派なことを言って
も、実はテレビでゲストが喋っていたことだったりするらしい。言葉を意見を
作り上げるというのは大変なことだが、だからといって情報の記録媒体だけに
なってしまってはいけないと思う。
 
 ピカソは、20世紀に活躍した個性的な画家だ。彼の絵画はとても斬新なタッ
チで、それまでの「常識的な絵」と比べると、緑茶に砂糖をいれるような、か
なりピントのずれたものだった。だが、その独創的な画風には、現代の我々が
ともすれば忘れそうになる、社会に妥協をしない頑固さがある。自分の力を、
個性を示す姿勢は特に芸術家に見ることができる。彼らは創造者であり、その
目的は揉み手をすることにはないからだ。
 
 確かに、個性というのは社会のあちこちにひっかかる角ばったものだ。「智
に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の
世は住みにくい」とは夏目漱石「草枕」の中の言葉だ。誰かを傷付けないよう
に、個性の角をとって丸くなっていく。確かに、そうしなければ社会に適応す
ることなどできはしないが、だからといって必要以上に萎縮してはいけない。
多少は丸くなりながら、譲るべきでない場所では譲らない、言うべき場所では
言ってみせるという勇気。自分を示す、その勇気が、今私たちに必要である。
国際化という言葉は、辞書に載っていない。自分が表現したい内容があるのな
ら、そんな曖昧な言葉に頼らず、自分の言葉を紡げばいいのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ホームページ