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今日の都市生活に
イチゴの広場
太一あうけ中1
 今日の都市生活に欠かせない行列という社会現象がある。行列という形式そ
のものは、カラハリ砂漠の狩猟採集民サン人が狩りなどで遠出するときにもく
まれ、西洋では戦争の捕虜を行列させたことが古代の歴史書にも見える。しか
し、ものを手に入れたりサービスを受けたりする順番を待つ行列は、近代の工
業化社会に特有のものだろう。さらに言えば、行列は、用件を一つ一つ片づけ
ると言う近代的事務処理の発想に根ざしている。工業化の遅れたギリシャなど
では、相談事を持ってくる人を、先客にかまわず次々と自室に入れ、用件を聞
いて処理しやすいものから順番に答えていくというやり方をとられるようだが
、このような事務処理の習慣を持つ社会には行列はなかなかなじまないようだ
 
 僕は少し前、横浜の親戚の家に遊びに行ったとき、とあるデパートにいった
。そしてふつうに中に入っていくと、そこには、かなり長そうな行列が続いて
いた。「これ僕も欲しいなー」とは思ったが、やっぱり延々と続いている行列
に並ぶのはかなり抵抗があった。せっかくの時間もただ立っているだけで終わ
ってしまう。時間がもったいない!と思い、あきらめた。するとすぐに、母が
「これ欲しくない?」と聞いてきたが、ぼくは、「こんなに並んでるんだから
…。」と言い返した。すると、母が「じゃあお母さんが並んでるから」といっ
たので、ぼくもそういえば今日は何もすることがない、と言うことを思い出し
たので、僕も並んだ。そしていつの間にか、後ろにいたおじいさんといろいろ
話すようになっていた。そのおじいさんははやりもののおもちゃに詳しくて、
いろいろ話をしてくれた。話によると、確か、ファービーが出たときも、発売
日に、店が開く3時間くらい前に行って、並んでいたらしい。それでももうお
じいさんがきたときはけっこう並んでいたらしい。僕はこんなマニアなおじい
さんがいるんだなーと感心しながらも、ちょっとあきれた。そして2時間並ん
でいる中で、おじいさんがトイレに行ったりするときは僕たちが、場所をとっ
ておいてあげたし、逆に僕たちが用事があってちょっと抜けるときは、おじい
さんが場所を確保していてくれた。2時間の中で、こんな輪ができるなんて思
っていなかった。
 
 『待てば海路の日よりあり』と言うように2時間並んでやっとものを手にし
たときは、ふつうに買ったときより喜びが大きい。それに並ぶのが苦痛で時間
との戦いで時間の無駄だと思っていたが、今回、初めて並んでみて、並ぶのも
そんなに苦痛ではないこともわかった。今回はこんなこともわかってまさに『
一石二鳥』だ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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