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発明、改良、天才 アジサイ の広場
拓馬 ねき 中3

 わずか30年あまりの間に、欧米に追いつき追い越した日本の驚異的なキャッチアップの背景には、最新技術を受け入れ、消化するだけの素地=潜在能力が
、既に日本にあったということである。それは、鉄砲が伝来して来た時に、既に高度な金属加工技術が備わっていたことを見ても明らかである。  

 大切なことは、時代的発展段階を織り込んで考えてみることである。現代では世界の最先端をいくアメリカも、一九世紀には技術後進国でヨーロッパの進
んだ技術文明を模倣していた。日本人が「もの真似上手」と言われることに、過度のコンプレックスを抱く必要はまったくないのである。  

 抱かないためには、方法として、まず、「もの真似」ということを知る必要がある。一般に、「他人をコピーすること」=「もの真似」になりがちだが、
実はもの真似は、まったく同じものというわけではない。もの真似は、その真似るもののもつ特徴ないし構造を良く理解することから始まる。それらをつか んだ上で、それらを自分のものとする。これがもの真似だ。これは、記事を書くことに似ている。記事を書くためには、what/where/who/why/when/howから なる、「5W1H」といった、事柄の詳しきを知らせるためのものを調べなければいけない。つまり、事柄の特徴をつかみ、内容を良く理解する。どこかでき いたフレーズだろう。そう、もの真似と記事を書くことは、非常に似ているのだ。  

 「記事を書く仕事」をしている人を見て、「楽そうな仕事だな」と思う人は、ほとんどいないだろう。事実私も、学校で「~~新聞」を書くときに、記事を
書くことはこれほどまでに難しいのか、と思い知らされたものだ。同じように、「もの真似」もまた、難儀なことなのだ。「ものをよく見る」ということは 、思っている以上に難しい。なにせ、注意を張り巡らすために、かなりの精神力を消費するのだから。しかし、なんと日本という国には、それ+αがあった のだ。  

 そのαはなにか。それは、「応用」である。「応用」といっても、「これやっといてくれ。」「応用っ(おうよっ)!!」といった、ど根性マンガになにか
しら出てくる返事のことではない(えっ、無理があるって?ドンマイ!)。結論から言えば、もともとあったものの特徴や構造を残しつつ、それに更に改良を加 え、使いやすいものにしてくことである。例えば、今目の前に、ひとつの糸電話があったとしよう。それを「模倣」してつくることはたやすい。見ながらやれ ば、小学生でも作れる。しかし、そこで、「では、この糸電話の聞こえる声を大きくするにはどうしたらいいのだろう?」と考えたとき、全く糸電話の構造が 分かっていなければ、そんなことができようはずもない。「音の正体は波で、その波が糸によって伝わっている。そしてその波が紙コップの底にぶつかり、 それが反響することで、糸電話は、音を伝えることができている。ということは、波を伝えやすくするために、紙コップの底をできるだけ薄くし、そして、 糸をピンッと張れば、音を大きくできるだろう(私の憶測なので、多少の間違いがある可能性がある。あしからず)。」ここまで分からなければ、「糸電話」さ えも理解していないことになる。無論、日本がもの真似した欧米諸国の最新技術は、糸電話よりもずっと複雑である。これを考えれば、日本の「もの真似」が 、果たして世界に対しての恥さらしだろうか。  

 確かに、「発明」は、ポンポンできるものではない。特に、今なお語り継がれる発明王エジソンは、かつてない天才だと、私自身思う。しかし、その「発明」
に、さらに改良を加え、より良いものにできる人もまた、私は「天才」だと思う。なぜなら、その発明を理解し、さらに改良できる点を見つけられる、という のは、決して並ではない。  

 ここでひとつ意見が出るだろう。「創造(発明)がなければ、進歩(改良)はありえないじゃあないか」と。それはそうだが、しかし、進歩がなければ、人は生
きる意味を見失う。そう、創造の先に、進歩はなければならないのである。  

 そして、もの真似をすることは、人に経験を与える。「これをこうすることによってこうで…」ということを、改良の段階で、知らず知らず学ぶ。そしてそ
れは、新たなる発明にも非常に大切な知恵となる。だから、「もの真似」に過度のコンプレックスを覚えず、むしろ誇りに思い、たくさんの経験をする。そし て、自分独自を求められた時に、その経験の積み重ねの中にある、「自分」の「幹」を見つけるべきである。それは、人の生きるべき道であり、そして、私は、 そんな経験をたくさんしていく人生をおくりたいと願っている。  

 
                                         
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