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科学の社会的関わり方
イチゴ の広場
あやの あしわ 高3
 これまでの科学は、その学問を司る科学者の探求心や知識欲に支えられて発
展を続けてきた。今世紀の「悪魔」とも言える、原水爆などはその申し子では
無いだろうか。アインシュタインをはじめとする当時の科学者らは彼らの内な
る欲望から、社会的要求や政治的圧力も有ったにしろ、その恐ろしきものを生
み出した。後に彼らが、このことについて、大変後悔をした様子をうかがえる
が、本当に彼ら自身がその時何を作り出そうとしているのかという確固たる自
覚を持っていたならば、あの悲劇を起こす以前に何か手の打ちようがあったの
ではないか。
 
 このような結果に終わってしまったのも、本を正せば科学者らが彼らの「真
実を知りたい。」、「未知の世界に触れてみたい。」と言う単なる個人的欲望
に従順になってしまったからではないか。つまりは「専門バカ」(言葉が悪いが
)なのではないか。
 
 近年イギリスのある研究所が、世界初の「体細胞クローン羊、ドリー」を誕
生させることに成功し、世界中に衝撃を与えた。日本でも'98年に国内初の「
体細胞クローン牛」を作り出すことに成功し、現在では既に57頭ものクローン
牛が誕生し、そのうちの37頭が生存しているそうだ。
 
 これらのような体細胞クローン技術が世界中で注目を集めている理由は、こ
の方法を用いて動物の身体を医薬品や移植臓器の生産プラントとして活用し、
いわば遺伝子組み替え動物工場を現実化させようとする策略のためである。
 
 しかし、このままでは動物の「尊厳」とはどうなるのだろうか。また、この
技術を人にも応用しようとしている科学者さえいる。
 
 今、人間のみならず生命全般の倫理が問われているなか、欧米では生命倫理
学の議論が注目されている。
 
 1988年から続けられている全DNAの情報を読みとる為の、ヒトゲノム解析計画
が2003年までには完了する見込みである。DNAを全て解読し終えれば、癌、老
化、遺伝病などの診断や治療に新たな路が開かれ、人体の機能の解明に更なる
貴重な情報がもたらされるだろう。
 
 だが、科学者らはこれらのような最終的な結果の見通しを付けることが非常
に困難な研究において、そのステップをただ一段昇るごとにも、社会的、倫理
的視点から自分の置かれた立場を常に客観的に見つめ、慎重にその研究の継続
を判断しなければならない。
 
 人間は結果から事の良し悪しを判断しがちだが、結果が出てしまった時には
既に遅い事もあるのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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