元の記事:オープン長文サンプル(その2) (1018字)
いと()
2013/11/21 14:54:01 6323 12 漢字の成り立ちとは面白いものです。まず、樹木の形から「木」という字ができました。それが並んで生えているから「林」、もっとたくさんあるのが「森」(言葉の森の森です)。見た目にすぐに意味が伝わり、また数字の足し算・かけ算のようでもあり、とても分かりやすいですね。
このように、いくつかの文字を集めた「足し算」で一つ漢字になっているものを、みなさんもいくつか思い出せるでしょう。たとえば「口たす口たす口」で「品」。さらに「木」と「各」をつけ足すと、「品格」という熟語になります。こうしてばらばらに覚えると、熟語や書き方を覚えるのもはかどります。
こんなかんじで、どんどん漢字クイズを考えてみましょう。「言たす言たす川たす売」ならば「訓」と「読」で「訓読」。「羊たす月たす魚たす日」で「鮮明」。「木たす田たす心たす心たす目」だと「思想」……だいぶコツが分かってきたでしょうか。
では、「木たす立たす子たす見」はどうでしょう。そう、「親子」ですね。つまり「親」とは「木に立って子どもを見る」と覚えられるのです。高いところから子どもの様子をよく見て、必要な時に助けてあげるのが親のつとめ……という心構えとしても語られることもあります。
しかし、納得できる立派な説ではありますが、漢字辞典で調べると実は「親」という字が、「木」と「立」と「見」からできたものではないことが分かります。
この字の左側は「立たす木」の組み合わさったものではなく、これだけで「シン」と読み、右側の「見」との組み合わせによって「近づいて見る」という意味を成しています。つまり元々は「子どもを生み育てる大人」ではなく、ただ単に「ちかい、ちかしい」という意味だったのです。
その後、「人同士の距離が近い」ことから「したしい」、子どもにとって「ちかく、したしい」存在ということで、やっと「おや」という意味が生まれました。つまり「親」とは、決して木の上から高見の見物をしているのではなく、むしろ子どもにもっとも「ちかい」人なのです。
ぜひみなさんも、お父さんお母さんをもっと近くに感じて、大いに頼ってみてください。まずは家族の距離をさらに近く知覚するために、みんなで料理を作ってみるのはどうでしょう。
「ママ、パパ、今日は親子で親子丼を作ろうよ。」
「おや、こんなにたくさん玉子を買ってきて。おやおや、こまったなあ。」
「マァマァ、パパッと料理してしまえばいいじゃないの。」
(1011字)