題名 | 公立校での作文入試 94 |
名前 | 森川林 |
時刻 | 2005-11-28 15:46:49 |
公立中高一貫校の入試や、公立高校の推薦入試などで、作文のウェイトが高まっています。これは、成績とは別の尺度で受験生を評価しようとすると、どうしても文章を書かせるような問題が中心にならざるを得ないからです。 しかし、その試験の内容は、どこに評価の基準があるのかはっきりしません。実は、これはやむを得ないことなのです。作文の試験で明確な評価の基準を出して、その採点結果を公表しようものなら、混乱することは目に見えているからです。作文の評価で客観的に公開できるものは、誤字と字数ぐらいです。それ以外の、構成・題材・表現・主題などは、採点者による個人差があまりに大きいために、客観的な評価というものは、よほど上手下手がはっきりしているもの以外はあり得ないからです。 ですから、逆に言えば、作文試験で大事なことは、まず誤字をなくして、字数をいっぱいまで埋めるということになります。 作文試験をする学校によっては、短時間に大人でも書き上げることが難しいような長い字数の作文課題を課すところがあります。これは、作文の内容よりも、まず字数で大部分の足切りを行っているのだと思います。短時間で長い字数を書く力は、確かに作文の実力と高い相関がありますが、字数だけでほとんどの採点をしてしまうというのではやはり問題があるでしょう。 ところで、800字程度の文章で1〜2ヶ所誤字のある生徒が、誤字の全くない作文を書けるようになるには、1年ぐらいかかります。誤字というと、簡単に直せることのように思われがちですが、実は、表面に表れた誤字は、その下にあるその人の膨大な誤字の蓄積の反映なのです。しかも、誤字の多くは、本人にとって自覚されていないという問題があります。誤字は、実際に書いて間違えたものを一つずつ覚えていくような勉強の仕方で直すしかありません。 さて、誤字がなく、字数もいっぱいまで埋められる人は、どこに注意をして作文を書いていったらいいのでしょうか。 人間の評価には、不思議な特徴があります。それは、全体的によく書けている文章よりも、どこかに光っている場所がある文章の方に高い評価を与えがちだというものです。反対に、どこかに誤表記があると、それだけで全体の評価は実力よりもずっと下がります。つまり、全体に90点の文章を書くよりも、全体が80点で一ヶ所100点のところがある文章の方が評価は高くなることが多いのです。特に印象に残る1ヶ所は、結びの部分です。上手な作文は、途中が上手であるよりも、結びが上手であるという特徴を持っています。 結びを上手に書くコツは、小学生の場合は一般化した形で感想を書くことです。中学生以上の場合は、自作名言を入れて意見を書くことです。いずれも考える力が必要なのですぐにはできないかもしれませんが、これから作文試験を受ける人は、いつもこのことを心がけていきましょう。 |