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題名 読書のすすめ(その2) 120
名前 森川林
時刻 2006-05-02 10:36:11
 前回、面白い本の魅力のようなことを書きました。しかし、それはあくまでも入口の面白さです。その子の心の中にいつまでも残るのは、面白いか面白くないかという基準とは別の、感動を与えてくれる本です。
 小学校中学年の子に、「宇宙人のいる教室」(さとうまきこ著・フォア文庫)をすすめると、大体どの子も一挙に読んでしまいます。この本には、それだけ読む人をひきつける力があります。また、高学年で読む力のある子は、「モモ」や「はてしない物語」(ミヒャエル・エンデ・岩波書店)に熱中します。
 こういう本はどこで選べばいいのでしょうか。一つは、フォア文庫、講談社青い鳥文庫、岩波少年文庫、偕成社文庫などのシリーズ化された本の中から選ぶことです。これらの本は、これまで人気のあった本を再編集して作られているので、当たりはずれがありません。ただし、出版社によっては、いい本をシリーズ化したというよりも、売れそうな本をシリーズ化したと感じられるものもあります。売れていても内容のない本はあります。
 内容のあるなしの基準を、私は書かれている文章の質で判断しています。会話が多く、説明が少ない本は、題材の面白さで読み手をひきつけている本ですから、読んだあとあとに残るものがあまりありません。また、同じ説明でも子供向けに簡略化したものでなく、本気で書かれているものを選ぶべきです。
 以下は、私の個人的な感想ですので、実際の本は自分で手にとって確かめてください。
 フォア文庫はいい本を出していますが、漢字に一部しかルビがふられていないために、低中学年の子には読みにくく感じるものもあるようです。シリーズの選択は良心的で信頼できます。
 講談社青い鳥文庫は、すべての漢字にルビがふられています。これは出版社の見識だと思います。
 ルビは、戦後の民主化で否定的にとらえられてきました。難しい漢字にルビを使って読ませるよりも、易しい表現でルビなしでだれにも読める文章を書くことが民主化だと考えられたためです。しかし、そのために日本人の語彙力や読書力がなかり低下しました。今後は、このようにルビをつけて難しい漢字をそのまま読ませる形が主流になってくると思われます。
 講談社青い鳥文庫は、良書というよりも売れている本を基準にしたシリーズのようなので、中身は実際に読んで確かめる必要があります。
 同じ講談社から出ている火の鳥伝記文庫も、シリーズとしてのボリュームはありますが、中身は著者によって玉石混交です。有名な人の伝記でも、書いた著者の力量によって薄っぺらなものになってしまうことがあります。逆にあまり有名でない人の伝記でも、著者によってはかなり深く書き込んでいるものがあります。これらも実際に親が読んで確かめる必要があります。
 偕成者文庫は、昔からの定評のある本をシリーズ化したもののようです。どれも良書ですが、体裁が古くさいので、子供がすすんで手に取ってみたくなるような本ではありません。親が与えて初めて読むようになる本です。
 ちくま少年図書館という百冊のシリーズは、中学生高校生向けに編集された説明文の名著です。しかし、書店にはほとんど置いてありません。読むとしたら、図書館を利用しなければなりません。
 高校生や大学生になると、岩波文庫の古典を読む機会が出てきますが、実は岩波文庫はあまり読みやすくありません。例えば福沢諭吉の自伝などでも、岩波文庫は正しく旧かなづかいで書かれているために読むのに苦労します。同じ本でも角川文庫の場合は現代語に訳されて書かれているので楽に読めます。しかし、現代語訳は程度が低いと見なされたためか、角川文庫の方は既に絶版になっています。手に入れるとすれば、アマゾン(インターネットの書店)で古本を注文する形になります。
 今、書店に出ている本は、どれも物語が中心です。物語の方がよく売れるからです。フォア文庫で「生きものばんざい」(吉川順平著)といういい本がありましたが、説明的な文章のためにあまり売れなかったので今は品切れになっています。
 いい本にめぐり合うためには、図書館を利用するのがいちばんです。そして、感銘を受けた本は手元に置いておきたくなりますから、アマゾンなどを利用して中古の本を購入し読み直すという読み方をしていくのがいいと思います。

 以下は雑談です。
 日本の文学界や思想界は、理科の苦手な文科系の人たちに占められているために、理科関係の良書がきわめて少ないという特徴があります。これは既に丸山真男氏が「日本の思想」(岩波新書)の中で指摘していることですが、自然科学と正面から切り結ぶことができるようなパワーのある文章家がきわめて少ないのです。数学や理科が苦手だから文系に進むという進路選択が改まらないかぎり自然科学の良書が少ないという状況は変わりそうもありません。
 これは、高校生や大学生や読む本でも同じです。大学入試に、自然科学系の文章としてよく出題される著者がいますが、文章が難解で一読して頭に入りません。理科の分野を深く分かりやすく書ける人の層がきわめて限られているのです。
 大人の本でも事情は似ています。現代の哲学書などでも欧米の場合は自然科学のバックボーンがあって書かれているものが多いのですが、日本の哲学書は自然科学の基礎知識がなくて書かれているというのがむしろ普通です。高校の授業で行われる理系と文系の分離がずっと尾を引いているのです。
 これは、理科や数学の勉強の仕方が間違っているからです。今学校で行われている理科や数学は、試験で差をつけるために行われています。これはもちろん、多かれ少なかれほかの科目でも同じです。しかし、理科や数学は、特に試験で差をつけやすいので、更に差をつけるための勉強に拍車がかかっているのです。差をつけるための勉強ですから、わからない子はますますわからなくなっていきます。そこで、文系と理系に早めに分けた勉強が行われるようになります。この状況を改善するためには、理科や数学の勉強をもっと魅力のあるものにし、高校を卒業するまで理科と数学は必修とすることが必要になると思います。
 私は高校時代は純真だったので、受験する科目に関係なくどの教科も真面目に勉強しました。しかし、物理の先生とだけは相性が悪く、物理の時間は読書をしていました。(笑)今考えるともったいない時間の過ごし方をしたと思っています。
 
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