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言葉の森新聞2017年8月3週号 通算第1479号 枝 0 / 節 1 / ID 印刷設定:左余白12 右余白8 上下余白8
  ■1.言葉の森の新しい教育
 
言葉の森新聞 2017年8月3週号 通算第1479号

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森新聞
枝 1 / 節 2 / ID
1.言葉の森の新しい教育 枝 4 / 節 3 / ID 26417
 言葉の森は35年前、作文の専科の教室をしてスタートしました。
 言葉の森という名前で始める前は、大学4年生を対象にした文章教室を開いていたので、そのころから数えると40年前からのスタートです。
 なぜ作文専科の教室にしたかというと、どこでも行われている勉強を教えるような教育ではなく、もっと子供の可能性を育てるような教育をして、世の中をより明るくしたいと思ったからです

 当時、作文指導を専門にする教室はどこにもなかったので、ひとりで試行錯誤をしながら作文指導のスタイルを作っていきました。
 なぜ作文指導の教室がなかったかというと、作文教育に対するニーズ自体がなかったからです。
 初めは小1と小6の生徒2人でスタートしましたが、次第に生徒が増え、やがて、地元の横浜市の通学教室で150名ほどの人数になりました。
 しかし、作文そのものに対するニーズはきわめて薄かったので、このままでは広く日本に作文教室を広げることはできないと思っていました。
 ところが、引っ越しや学校の部活などのために通えなくなった生徒を通信で見ているうちに、通信のインターネット利用が次第に進んできました。

 言葉の森のインターネット利用は、1996年というかなり早い時期からでしたから、最初のうちはインターネットに接続する人自体がほとんどいませんでした。
 ところが、2000年ごろから急にインターネットが広がるようになり、それにつれて通信の生徒も急に増えてきました。
 通信指導の講師も、インターネットで募集しましたが、当時インターネットを利用できる人は大学の理系の学部でネットを活用し始めたような人でしたから、応募してくる人はどの人もかなり優秀で先進的な人ばかりでした。

 通信の生徒が増え、作文指導の方法が次第に安定してくるにつれて、最初に自分が考えていた世の中を明るくしたいという方向をもっとを確実なものにしたいと思うようになってきました。
 そのためにどうしたらいいかと考えているうちに、2011年3月11日、東日本大震災が起こりました。
 この大地震とそれに伴う原発の事故によって、当時心ある人はすべて日本を守るためにどうしたらいいかということを真剣に考えたと思います。
 私も、この大震災をきっかけに、日本を守り発展させるという目標を自分の仕事の大きな目的として更にはっきりと自覚しました。
 そして、日本社会への貢献と作文教育をどう結びつけるということを考えて、現在の日本の教育の問題点とそれと対比する形での新しい教育のビジョンを考えたのです。
枝 6 / 節 4 / ID 26496
作者コード:
 
枝 61 / 節 5 / ID 26490
 そのビジョンは、次の四点です。
 第一は、受験のための重箱の隅をつつくような表面的な知識詰め込み型の勉強から、真に子供の実力を育てる、よりシンプルで本質的な勉強へという方向です。
 第二は、学校や塾や予備校で先生から教わる、一斉授業型の受け身の勉強ではなく、家庭での親子の対話を中心にした子供の実態にあった自学自習型の勉強へという方向です。
 第三は、点数で評価される答えの決まっている知識再現を中心とした勉強ではなく、点数化できない勇気や思いやりや自然への共感や文化の尊重などを中心とした文化の教育へという方向です。
 第四は、他人との競争に勝つことを目標にした勝ち負けを動機とした勉強から、自分で何かを創造しその創造をもとに独立した生き方を目指す創造を喜びとする勉強という方向です。

 この「受験から実力へ」「学校から家庭へ」「点数から文化へ」「競争から創造へ」という四つの新しい教育の方向を考える前に、私は以前、人間の生きる目的を次のように考えたことがありました。
 それは、幸福に生きること、向上して生きること、創造して生きること、貢献して生きることです。

 一般に、向上、創造、貢献という目的は、自分以外の他のものを目指しているので、目的として理解しやすいと思います。
 しかし、世の中には、何かの事情で寝たきりになっているような、向上や創造や貢献の可能性の低い人も当然います。
 そのような人であっても、現在を幸福に生きようとすることは、その人の生きる目的になります。だから、人間の生きる目的は、幸福、向上、創造、貢献だと考えたのです。

 この人間の生きる目的と、教育の新しい方向を考えたあと、その新しい教育を具体的にどのように展開していくかを考えました。

 第一に、実力をつける教育については、基本となるものは自学自習です。
 今は、書店でも、インターネットでも、優れた教材が低コストで手に入るようになっています。
 学校や塾で一律に与えられた教材で、一斉授業を受け、わかっていることもわからないこともみんなと同じテストで評価されるような勉強ではなく、自分にあった教材で自分のわかっていないところだけを重点的に繰り返し勉強した方がずっと能率よく実力は身につきます。
 しかし、問題は、そういう自学自習のスタイルの勉強は、本人が勉強の自覚をした中高生の年齢にならないとなかなかできないことです。
 そこで、家庭での自学自習を、オンラインで先生がチェックし、その学習内容を保護者と共有する仕組みを考えました。
 そして、同学年の生徒どうしの交流なども行えれば、勉強の動機づけは更にはっきりしてきます。
 このオンラインを利用した自学自習という方法は、まだこれから改良の余地がありますが、今後の実力をつける教育の中心にしていきたいと思っています。

 第二に、家庭を中心にした教育として、読書、作文、暗唱などに力を入れていくことです。
 学校や塾で一斉に行う勉強では、読書や作文や暗唱は取り組みにくい面があります。それは、一斉学習とするには、個人差が大きいということと、評価の基準がないのでテストなどで目標を作ることがしにくいからです。
 このため、学校や塾では、答えが一律に決まる知識再現的な勉強を一斉授業で行い、その知識の定着度をテストで評価するという形の勉強になりがちです。
 しかし、小中学生の学習で大事なことは、読む力をつけること、考える力をつけること、書く力をつけることで、そういう読書力、思考力、表現力の土台さえあれば、知識や理解の勉強は、必要になれば短期間で身につきます。何も早くから、先取りの勉強をしておく必要はないのです。

 実際に、小学校低学年から学校の成績を上げることを中心に勉強している生徒で、読書が後回しになっている生徒は、小学生の低中学年のときは成績はいいのですが、高学年になるにつれて次第に平凡な成績になっていく傾向があります。
 逆に、読書が日常生活の中にしっかり組み込まれて、自分の関心のある分野の読書を自分のペースで続けている生徒は、いざ成績を上げる勉強が必要になったというときに、短期間でトップグループに追いつくようになるのです。

 だから、小学生の学力の中心は読書で、その読書は家庭という生活の中で日常的に行っていく必要があります。わざわざ学校や塾に行って読書をするというような勉強の仕方ではないのです。
 学校や塾は、知識や理解を効率よく整理するための場で、それには今の学校や塾の授業のように長時間かける必要はありません。
 これが、家庭を中心にした教育という意味です。
 家庭を中心にした教育の、もうひとつの利点は、親子の対話ができるということです。子供は、身近な大人との対話の中で語彙力や思考力や感受性を育てていきます。家庭は、そういう双方向の対話がふんだんにできる場なのです。

 第三に、文化の教育というのは、点数として評価されない分野に力を入れていく教育のことです。例えば、勇気を持って生きるとか、思いやりのある生き方をするとか、日本の文化を大切にするとかいうようなことは、点数化されるものではありません。
 しかし、こういう点数化されない分野こそ、子供が成長して社会人になったときに大事になってきます。
 文化の教育は、点数化にはなじみませんから、学校や塾のような外部の機関によって行う性格のものではなく、家庭の中や地域での友達との交流の中で、生活や遊びを通して身につけていくものです。
 この文化の教育を、言葉の森では、保護者も参加する合宿教室のような形で、自然との触れ合い、友達との触れ合い、合宿生活による更に深い交流を通して応援していきたいと思っています。

 第四に、競争に勝つことを目的にした勝ち負けの教育ではなく、自分らしい創造を大切にする教育です。
 この狭い日本の中で、受験に向けた競争でで他人よりよい点数を取るということは、大きな目で見れば意味のないことです。
 それよりも、日本の子供全体が向上していくことが大事であって、他の生徒よりよい点数を取ることを目的にするような勉強をするべきではないのです。
 だから、間違えやすい問題を、他人よりうまく解くというようなことを勉強の重点にするのではなく、自分の個性を生かした新しいものを作り出す、あるいは試行錯誤を通して多様な経験をするという教育を中心にしていくべきです。
 そういう創造的な勉強が、将来子供たちが社会に出たときに、自分の力で新しい文化や新しい仕事を作り出す土台になっていきます。
 この創造教育は、豊富な読書、考える作文、自由な経験の時間によって育っていくものです。

 以上の具体的な勉強法をバランスよく運営していくために、言葉の森では、新しい教育として四つの柱を考えています。

 第一は、作文教育を中心とした思考力と創造力を育てる教育です。
 これを言葉の森の独自の教材と指導法をもとに、オンラインを利用して誰でも参加しやすい形で幅広く行っていくことを目標にします。
 またオンラインの活用というところで、子供たちどうしの交流が勉強の動機となるような思考発表クラブや各種のオンライン講座を広げていきたいと思っています。
 確かに、子供たちの勉強には、他人に教わるような面ももちろん必要です。
 しかし、それとともに子供たちどうしが発表し合い、互いに刺激を与え合いながら勉強していく面も大切です。
 そのため、作文検定、暗唱検定、プレゼン作文発表会、など、今後多様なオンライン教育を開発していきたいと思っています。

 第二は、オンラインの講座やオンラインの発表クラブのような勉強を日常的に支える自学自習の場作りです。
 勉強の実力は、毎日の平凡な積み重ねによって育ちます。
 ところが、毎日の平凡な積み重ねの学習というものは、家庭で親がうまく軌道に乗せなければなかなか定着させることはできません。
 そこで、家庭での自学自習を支える仕組みとして、オンラインによる自習チェックを中心とした自学自習クラスを広げていきたいと思ってます。

 第三は、自然の中での合宿教室を利用した自然と人間との触れ合いを重視した教育です。
 オンラインの教育であってもインターネット上で音声や画像のやりとりを行えば、互いのコミュニケーションはかなり深く取ることができます。
 しかし、人間どうしの関わりは、最終的には実際に接触してみないことには本当のところは伝わらないように思います。
 自然の中で寝泊まりを一緒にしながら遊んだり学んだりするということが人間の成長には欠かせません。
 そこで、日常的には能率のよいオンライン教育を行いながらも、年に何回かは合宿によるより密度の濃い交流を行うという組み合わせ方を考えています。

 さて、第四に、以上のオンライン講座による作文教室、思考発表クラブ、自学自習クラス、合宿教室などを支える人材として考えているものが、森林プロジェクトによる作文講師資格講座です。
 この作文講師資格講座を受講して言葉の森の教育の理念や指導法に共鳴した方が、作文の指導のオンライン講座や、思考発表クラブや、自学自習クラスをを担当し、更には、暗唱検定や作文検定の検定委員を分担し、プレゼン作文発表会の運営や合宿教室の企画に参加するという形を考えています。
 また、森林プロジェクトで作文講師資格講座を取った方が、それぞれの個性や特技を活かして新たなオンライン講座を作り出すというときには、そのための手助けもしていきたいと思っています。

 これからの教育は、旧来の英数国理社の五教科に限定された教育ではなくなります。
 もちろん、基本となるものは従来の教科に代表されるような基礎的な知識や技能です。
 しかし、今後は、その上に更に多様な個性の教育を育てていくことが、日本の社会を文化的、経済的に発展させる土台となります。

 そのためには、教育の内容も今よりももっと多様なものにし、子供たちの興味や関心や個性を生かすものにしていく必要があります。
  言葉の森は、この新しい教育をこれから日本中に広げることによって、日本をよりよい国にすることに貢献していきたいと思っています。
枝 6 / 節 6 / ID 26497
作者コード:
枝 9 / 節 7 / ID 26497
 
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