3月の声を聞くと、のどかな春になったという実感がありますね。
言葉の森も今学期最終の月になりました。
4月からの新学期に向けて、いままでの課題の総仕上げということで頑張っていきましょう。
ところで、3月は卒業にシーズンですね。
卒業はこれまで過ごした学舎と級友、先生とのお別れの時ですが、一方、新しい目標に向かっての出発の時でもありますね。
3月は、卒業ばかりではなく、新しい学年に進む準備の季節、それぞれが大きく変わる節目になりそうです。
私は、ことに、卒業という言葉とともに思い浮かぶのは、「少年よ 大志を抱け」(ウイリアム・スミス・クラーク博士)という言葉です。
みなさんも、きっと一度は聞いたことがある言葉だと思います。
私が札幌で育ったということもありますが、クラーク博士のことは、折りにふれて耳にしたものです。北大にある胸像、羊ヶ丘展望台にある銅像、親しみを持って眺めたものです。
どうして、ことに卒業シーズンになると思い出されるのかといいますと、卒業式の祝辞で、来賓の方が(小、中一貫校でしたから、だいたい同じ方がいらしていました。高校へも大先輩として同じ方が来賓でした)話していた場面が思い出されるのです。来賓のどなたかが、必ずといっていいほど、この言葉を贈る言葉の中に入れていました。
他に、よく、博士がこの言葉を言ったときの情景も聞かされていて、普段は「クラークさん」と親しみをもって呼んでしまうことが多かったのです。
博士が当時の札幌農学校を離れるときの名言ですが、うかつにも、始めの「少年よ大志を抱け」の言葉だけを知っているだけで、あとの言葉をあまり聞いたことがありませんでした。父からは全文を聞いていたようにも思いますが、そのときはあまり気にも留めていませんでした。
ところが、2年ぐらい前、新聞の記事で、博士の真意はその後の言葉にあるということを知り、はっとしました。「少年よ大志を抱け」だけで、なんとなく全部を知っていたように思っていたことを反省しました。ここに、その全文を書いてみます。自分を律する厳しい精神かとも思いますが、心に留めておきたい言葉ではないでしょうか。
「少年よ大志を抱け。お金のためでなく、自己顕示のためでなく、名誉という空しいもののためでなく、本来、人間があるべき姿のために大志を抱け」
Boys be ambitious, not for money, not for selfish aggrandizement, not for that evanescent
thing men call fame. But be ambitious for attainment of all that men ought to be.
こういう文であることを知ると、より「大志を抱け」という意味が深くなりそうです。
希望を持って新しい出発をするとき、その時を大事にしたいと思います。
3月に希望をあたため、4月の出発にそなえてみましょう。
クラーク博士 1848年・アメリカ、マサチューセッツ州生まれ。
州立農学校の開校と同時に校長。
1876年(明治9年)、日本政府の招聘(招へい)に応じて来日。
札幌農学校の創設と共に校長・八ヶ月の滞在。
|
|
枝 6 / 節 14 / ID 5822 作者コード:oda
|