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言葉の森新聞2003年5月2週号 枝 0 / 節 1.001 / ID 印刷設定:左余白12 右余白8 上下余白8
  ■1.受験(その3)
 
言葉の森新聞 2003年5月2週号 通算第795号
文責 中根克明(森川林)
枝 1 / 節 1.002 / ID
1.受験(その3) 枝 4 / 節 1.003 / ID 4593
 4.2週からの続きです。どんどん間延びしていくので、何を言いたかったのか忘れそう。(^^ゞ
 忘れないようにφ(。。) メモメモ。
 言いたいことは三つあります。
 第一は、小学校時代は目先の点数にこだわるよりも実力をつけることに重点を置くということです。本当の勉強は高校生や大学生になってから始まるという位置付けをしておくことが大事です。
 第二は、しかし、今の日本の社会では、公立中学に進むことは大学入試で大きなハンディを背負うことになるということです。
 第三は、更にしかし、出身大学の肩書きがものを言う時代は急速に過去のものになるだろうということです。

 まず第一の「小学校時代は実力重視、高校生からは本当の勉強」ということについてです。
 うちの子の話ばかりで恐縮ですが、上の子は小中学校時代に習い事や塾には行かなかったので、暇がたっぷりありました。その暇のほとんどすべてをインターネットに注ぎ込んでいたようです(笑)。下の子は、小4からバスケットボールを始めたので暇はなくなってしまいましたが、習い事は、中3の途中から友達に誘われて学校の近くの塾に行くようになるまで何もしていなかったので、勉強の方はかなり縁遠い状態でした。
 勉強でしていたものは、長文音読と短文暗唱と読書と対話と市販の算数の問題集で、全部自宅でできるものでした。
 その子供たちが、小学校低中学年のころ近所の友達と遊んでいると、よくこういう話題が出ていました。「おれ、もう掛け算知ってるよ」「わたしなんか、3年生の漢字習ってるのよ」「ぼくだって、英語知ってるぞ。アイアムアペン」。無邪気な自慢話ですが、私たちが子供のころの自慢話とかなり分野が違っていました。私たちが小学校のときは、「うちのお父さん、戦車に乗ってたんだぞ」「おれんちなんか、飛行機操縦してたんだぞ」「うちなんか、B29に乗ってたんだぞ(うそだろ)」という話題が中心だったものです。
 勉強の自慢話が中心になると、うちの子供たちはついていけませんでした。何かの拍子に、うちの上の子が、「この中でいちばん頭いいの○○な(同級生)。次は□□で(下級生)、次がおれで、次がじゅんのすけだな(下の子の名前)」と言っているのを聞いたときは笑ってしまいました。子供なりに、成績の順位づけがあったのです。
 親はともすれば、小学校時代の成績がそのまま中学生時代につながり、中学生時代の成績が高校生・大学生へとつながるように考えがちですが、そのようなことはありません。小学校時代にがんばった人は小学校時代の成績が上がりますが、どれだけそこで勉強を先取りしても、中学生・高校生時代にがんばらなければ、中学生・高校生になってからがんばり出した人に簡単に抜かされてしまいます。このことは、社会に出てからは更にはっきりしています。社会で活躍している人は、学歴で活躍しているのではありません。社会に出てからの努力によって活躍するようになったのです。ただし、大学入試に努力できるような人は、努力ということの面白さを知っているので社会に出てからも努力しやすいということはあります。しかし、いったんいい大学に入ったら、あとは遊んで暮らせるというようなことは今の日本の社会ではありません。
 こう考えると、親が子供に身につけさせるものは、表面的な成績ではなく、自分の好きなことにがんばることのできる力や、他人に対する思いやりや、日常生活のしつけのようなものではないかと思います(うちは、しつけの中でも特に整理整頓がかなりだめでしたが)。そういう実力さえあれば、本人が本気になったときにいつでもがんばることができるものです。
 ところが、この「がんばる力」ほど育て方のわからないものはありません。成績の上げ方はいろいろな人が知っていますが、がんばる力を育てる方法を知っている人はいません。私は、次のような仮説を立てています。それは、勉強や仕事や人生が面白いものだと感じている子は、勉強や仕事や人生でがんばれるということです。私は、小学校時代の子供たちには読書以外あまり勉強をさせませんでしたが、「勉強というのは実はすごく面白いものなんだよ」ということを折に触れて言っていました。その成果が出るかどうかわかりませんが、少なくとも、子供たちが大学生になったときに、「さあ、苦しい勉強が終わった。今から4年間遊ぶぞう」というようなことは言わないと思います。言っていたりして。
(つづく)
枝 6 / 節 1.004 / ID 4594
作者コード:
枝 9 / 節 2 / ID 4594
 
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