言葉の森新聞2020年3月2週号 通算第1602号
文責 中根克明(森川林)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇創造性を育てる作文・読解・国語◇◆◇◆◇
                              
    毎週担当の先生から電話の指導がある続けやすい通信講座
    自宅で無料体験学習を受けられます
    お申し込みはこちらからどうぞ
    https://www.mori7.com/

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■■3月20日(金)は、休み宿題

 3月20日(金)は、休み宿題です。
 先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日9時~19時50分、土曜9時~11時)
 電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
 課題の説明の動画「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/


■■休校対策のオンラインスクールは、少人数クラスで楽しく盛り上がる
 コロナウイルスによる学校休校への対策としてスタートしたオンラインスクール(9時~16時)は、今日、3月3日が初日でした。

 教材は用意していましたが、オンラインの一斉授業形式は初めての試みなので、予測のつかないところがありました。

 しかし、参加した生徒の多くが真面目で積極性のある子が多かったせいもあり、どのクラスも順調に勉強が進みました。
 私(森川林)は、本日は、新小6年生の国語、算数、英語を見ましたが、どの子もしっかり勉強していました。

 初日から、ちょうど5、6人になったクラスが多かったので、今後のオンラインスクールは個別指導を行う少人数クラスとして運営していきたいと思います。

 集団指導形式でも、個別指導形式でもなく、個別指導を行う少人数クラスというのが、言葉の森のオンライン指導の特徴です。

 どうして、少人数クラスが大事かというと、その中で子供たちどうしの交流があるからです。 交流があるので、読書紹介をし合ったり質問や感想を言い合ったりすることによるコミュニケーション力が育つのです。

 休校対策のオンラインスクールは、言葉の森の生徒以外のどなたも参加できます。
 参加される方は、参加フォームからお申し込みください。


■■小論文の前段階となる中学生の作文の勉強
■新中学生の勉強の仕方

 中学生は、中高一貫校に進む生徒と、高校受験の必要な中学に進む生徒とがいます。
 中高一貫校に進んだ生徒は、そのまま学校に任せておけばいいと考えるわけにはいきません。中学受験までの勉強の反動で、1年生のときに遊んでしまうと、あとから取り戻すのが大変です。勉強は、学生の本分ですから、受験の前でも後でも、常に同じように生活の優先事項として取り組んでいく必要があります。
 高校受験の必要な中学に進んだ生徒は、中学1年生のころは、まだ受験が差し迫った課題になっていないためにのんびり過ごしてしまうことがあります。家庭で、勉強の方針を立てて計画的に取り組んでいく必要があります。
 中学生は、まだ自分で勉強の計画を立てることはできません。計画を立てて何かを成し遂げるという経験が少ないからです。特に、受験に向けての勉強計画のような大がかりなことは、本人の力だけではできません。しかし、勉強の計画の立て方は、学校では教えてくれません。塾も、スケジュールに沿った勉強を教えてはくれますが、本人が自分で計画を立てて勉強する方法は教えてくれません。中学生の勉強の計画は、家庭で試行錯誤しながら少しずつ作っていくものです。
 そのために、学年が変わる前の春休みの間に、勉強法の本をまとめて読んでおきます。新しい物事に取り組むときは、本の情報を参考にするのがいちばんです。できるだけ多くの勉強法の本を読み、その中で、自分がいちばん参考にできると思った本を1冊決めて、その1冊を勉強法の座右の書として勉強を進めていきます。自分のペースで勉強していると、いつの間にか自己流のやり方で無駄の多い勉強をしていることが多くなるので、ときどきその本を見て軌道修正するようにします。

 中学生の時期は、小学生のときよりも、高校生のときよりも時間の余裕がありません。部活があったり、定期テストがあったり、宿題があったりと、毎日時間に追われる生活をしています。しかし、勉強の基本はシンプルです。
 国語力については、読書に力を入れるとともに、難しい文章として高校入試の問題集の問題文を読む練習を続けていきます。時間が忙しくなると、読書は後回しになりがちですが、中学生のころに読書をしない生活にしてしまうと、その後の高校生、大学生でも読書のある生活になかなか戻りません。読書は、勉強と同じぐらいの重要度で毎日取り組んでいきましょう。中学生になると、国語の教科の中に、文法や古文が出てきます。これらは本当の国語力というよりも、単なる国語の知識です。文法や古文は、漢字の書き取りと同じように繰り返し覚えるという形で勉強していきましょう。
 英語の勉強の基本は、教科書を何度も音読して、丸ごと暗唱できるぐらいにしておくことです。教科書の1ページを20回ぐらい声を出して読むと、文章を見ないでも言えるようになります。そのようにして全ページを暗唱していきます。暗唱ができたら、もとの文章を見ないでも書けるところまで覚えていきましょう。これは、口で言うほど簡単なことではありません。気長な忍耐力の必要な勉強です。英語の成績は、真面目さに比例していると言われます。試験前に集中して勉強するのではなく、毎日の勉強の目標を決めてこつこつと取り組んでいくことが大切です。
 数学の勉強の基本は、自分にとっては少し難しいぐらいの問題が載っている問題集を繰り返し解くことです。できなかったところは、解法を見て自分で理解します。解法を見ても理解できないときは、両親や先生に聞きます。お父さんやお母さんは、突然中学生に数学の問題を聞かれても答えることはできませんが、解法を見て理解することなら子供よりもよくできるはずです。身近な両親に聞いて、それでもわからないときは先生に聞くというようにしていくと能率がよくなります。
 数学の勉強は、易しくできる問題を何題解いても力がつきません。問題集を繰り返し解くときも、一度できた問題は決して解かないようにします。そのかわり、できなかった問題は、日を置いて、2回でも、3回でも、4回でも、できるようになるまで繰り返し解きます。できない問題だけを繰り返し解くという勉強は、精神的にかなり苦しいものですが、こういう勉強の仕方でなければ力はつきません。
 このように、繰り返しできなかった問題を解くという勉強をするために、問題集はしっかりと1冊に製本してあるものを選びます。塾でもらうプリントや通信教材で次々と送られる小冊子の形のものは、ばらばらになりやすいので繰り返し解くという勉強には向きません。
 中学生の勉強で最も差がつく教科は数学です。だから、高校入試でも、数学の成績が合否を左右します。数学が苦手だと、高校に入ってからの進路の幅が狭まります。数学の成績は、頭のよさにも遺伝にも関係ありません。ただしい勉強の仕方を知っているかどうかです。しかし、覚えるる知識の量が多く、その知識が土台になって次の知識に結びつくという形になっているので、苦手な人はなかなか成績が上がらないように見えるのです。

 高校入試で、作文試験を行うところが増えています。点数の差をつけるために、課題はかなり難しいものが多いようです。しかし、言葉の森の通常の作文の勉強をしていれば、どのような課題でも書き方はすぐにわかります。
 合格圏内に入る作文を書くためには、思考力と語彙力をつけておくことが大切です。思考力と語彙力は、読書によって身につきますから、学校の勉強とは別に多読と難読を進めておく必要があります。 

■中学生の作文学習は小論文の前段階です

 作文力、読解力のうち、意見文を書く力と論説文を読みとる力は、中学生以降に本格的にのびる分野です。小学生の間に既に意見文を書いたり読んだりする段階にまで進んでいる生徒もいますが、全体的にみて、構成の形式を身につけたり文章を要約をしたりすることが精一杯で、内容のある意見文を書ける生徒は限られています。これは、表現力、読解力に、まだ、本人の内面的な成長がともなっていないためです。

 小学6年生までに学習する生活文中心の作文と物語文中心の読書は、作文力、読解力の半分にすぎず、もう半分は、中学生以降の意見文、論説文の練習によって完成します。

 しかし、実際には、中学、高校では、作文、読書の学習はほとんどなく、あるとしても、その多くは、小学校の延長のようなかたちでおこなわれています。また、中学生の時期は、作文の学習がいちばん続けにくい時期でもあります。その理由は、(1)中学生の時期が、無邪気に出来事を書くわけにもいかず、かといって、自由に意見文を書くほどには語彙が充分ではないという過渡的な時期にあたること、(2)宿題や定期テストなど、外から拘束される勉強の時間が比較的多くなり、自主的な勉強の時間がとりにくくなること、(3)中学校自体も、作文や読書の指導をほとんどしなくなるので、学習の意義やきっかけを見つけにくくなること、などという事情があるからです。

 現在の受験体制のなかで行なわれる勉強は、人生にとって価値のある分野というよりも、点数の差がつきやすい分野に重点が置かれがちです。基礎的な知識を身につけるという点で、点数で測られるような勉強も大切ですが、生涯にわたって役立つのは、考える力、読書する力、発表する力など、点数の差のつけにくい、したがって現在の受験体制の中では、重点の置かれにくい分野です。

 しかし、最近では、大学入試でも小論文や面接が重視されてくるなど、単なる知識の量よりも、それらの知識を活用する力を評価するようになってきました。中学生での作文、読書の学習は、小学生の学習の延長としてではなく、高校生以降の小論文学習や論説文読書の先取りであるという前向きの姿勢をもって取り組んでいくことが大切です。

 中学生が、作文、読書の学習を継続していけるように、当教室では、学習の時間に弾力性をもたせています。具体的には、(1)曜日や時間の変更や振替は、いつでもできるようにしています。(2)テスト期間中の欠席は、その前後にふりかえることができるようにしています。(3)ホームページの動画によるヒントなどを充実させ、先生の説明を受けられないときでも作文を書けるようにしています。

 3月から4月にかけては、決まった時間に授業を受けることがむずかしいことも多いと思いますので、出席できるときに出席するというかたちにして、新しい生活のペースを早く作っていってくださるようお願いします。

■中学生では、作文はどういう勉強をするか

・作文の字数は、600~1200字です。
・高校生になったときの小論文の基礎となる意見文の書き方を練習します。
・中学生の意見文と高校生の小論文の差は、主に長文の難しさの差です。中学の3年間で勉強する意見文の書き方がひととおりできれば、その書き方で大学入試の小論文に対応できます。
・パソコンで書ける生徒は、できるだけパソコンで書き、自動採点ソフト森リンの点数などを勉強の目標にしていきましょう。
・パソコンで書いている人で、高校入試に作文試験がある場合は、試験の3ヶ月前から手書きに戻しておきましょう。

●中学生からの受講料は変わりません。


■■子供には、もともとよくなる力がある
 人間は、もともと生まれつきよい方向に進みたくなるという性質を持っています。
 だから、子育てに失敗したと思うようなことがあっても心配は要りません。
 本人がいつか自分で目覚めて、自分の力でよい方向に軌道修正していくようになります。

 そう考えれば、子供の成長は安心して見ていることができます。
 どんな子供で、その姿の向こう側に、立派に成長した社会人の姿を見ることができるのです。

 しかし、だからといって、不要な回り道をする必要はありません。
 子供が苦労しなくてもいいように、ある程度の土台を作ってあげるのは親の役割です。

 保護者の方から、ときどき「親の言うことを聞かないんです」という相談を受けることがあります。
 小学生は、言うことを聞くのが普通です。そうでないのは、小学校の最初の時期に、そういう習慣がついてしまったからです。

 小学校の最初の時期は、小学校時代全体を通しての土台が作られる時期です。
 この時期に、読書の習慣、家庭学習の習慣、親子の対話の習慣、主体的な遊びと勉強の習慣がつくと、あとは黙っていても、子供は年齢に応じた理想的な成長をしていきます。
 何事も、最初のうちに始めれば、それが当然のように抵抗なく進んでいくのです。

 しかし、この時期に、ゲームのし過ぎ、読書はしたりしなかったり、学校の宿題があるときだけの勉強、親子の対話よりもテレビ優先、などの生活を始めてしまうと、あとで軌道修正するのは非常に困難になります。
 その困難さは、ほとんど不可能と言ってもいぐらいです。

 しかし、だからといって、もう手おくれだというのではありません。
 それは、最初に書いたように、人間には自分自身で良い方向に復元する力があるからです。

 しかし、もちろん、それまでの遠回りは、本当はしなくてもよかったものかもしれません。
 だから、小学校の初めの時期に、読書、勉強、遊びのよい習慣をつけておくことはとても大事なことなのです。

 ところで、逆に、この時期に親の言うことを聞かせすぎると、また別の問題が出てきます。
 それは、主体性の育たない子になる可能性があるということです。
 親から見ると、無駄なことをしているように見えても、子供が自分から進んでやる習慣をつけておかないと、学年が上がってからも親がかりの生活から抜け出せなくなります。

 もし子供が素直でよい子で、よく親の言うことを聞き、何かあるとすぐに親に相談するという場合は要注意です。
 子供はある程度、親の言うことを聞かずに、自分の考えでやって失敗するぐらいでないと、将来自主性のある人間にならないからです。

 そして、こういう子供に応じて判断ができ、子供に応じてやり方を変えるという対応ができるのは、やはり親しかいません。
 どんな立派な教育者よりも、親がいちばんよく子供の成長の鍵を握っているのです。

 言葉の森のオンライン講座の取り組みは、この親子の対話を家庭の文化としていくことを目指したものです。
 親と子が、作文の勉強を中心にして、毎週対話をする習慣が作れれば、そういう家庭で育った子は、自分が親になったときも同じように家庭での対話の文化を作っていきます。
 そういう家庭生活が、子供の学力と人間力のいちばん確かな土台になるのです。

 子供たちは、社会全体の宝です。
 よりよい社会を作ることは、よりよい子供たちの教育をすることから始まります。
 それは、教育の専門家の仕事ではなく、この社会に暮らす大人全員の仕事です。
 その教育の基本は、子供たちがよりよく成長していくことを妨げないようにすることなのです。

                                  <<え2010/117み>>







----------------------------------------------------

■MagMagからのメールマガジンの登録と削除は下記のページで
(▼ダイジェスト版 マガジンID:0000000226)
https://tinyurl.com/ybkrlw5b
(▼完全版 マガジンID:0000132951)
https://tinyurl.com/yakxr3w3
■これまでの言葉の森新聞は下記のページで
https://www.mori7.com/mori/
■ホームページ
https://www.mori7.com/
■メール
mori@mori7.com
【事務局用】 ユーザー: パス: