言葉の森新聞2018年5月2週号 通算第1514号
文責 中根克明(森川林)

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■■寺子屋オンラインの発表学習クラスで、生徒の希望に応じた分科会学習を計画中――学年別保護者会もGoogle+コミュニティで


 先日の保護者懇談会で、発表学習クラスの運営についていろいろな要望がありました。
 そのひとつは、同学年の作文構想図の交流をもっと時間をかけて行いたいというものです。
 しかし一方、異なる学年、特に上の学年の人の発表を聞くのがとても参考になるという声もありました。
 もうひとつは、親どうしが話し合う場もあるといいという意見でした。

 小学5年生以降は、作文の課題が難しくなるので、子供にとっても親にとっても本格的な勉強が始まるような感じになります。
 しかし、異なる学年の子供たちが集まって発表したり感想を述べあったりする場も独自の意味があると思います。

 そこで、今考えているのは次のようなことです。
 第一に、学年混在の全体の発表のあと、それぞれの生徒が自分の興味や関心に応じて別の分科会場で話を続け、終了時間になる前にまたメイン会場に戻ってくるというやり方です。

 例えば、その分科会としては、同学年の作文構想図の話し合いをする分科会、読んでいる本を紹介する分科会、暗唱の練習をする分科会、静かに実習をする分科会など、自由に決めて友達を誘い、そこで子供たちが自分の手で会議を運営するのです。

 最初の全体の発表に1人5分かかるとして約30分、各人の希望による分科会で15分という時間配分です。
 そして、メイン会場に戻り、全体の会合が終了したあとにも、また引き続き自分たちで分科会に戻って話を続けることができるというふうにしたいと考えています。

 第二は、保護者の交流の場所を、Google+コミュニティの「寺子屋オンライン受付所」の中に、学年別のカテゴリーとして作り、そこで同学年の子供を持つ保護者が自由に意見交換をするという形を考えました。
 これはもちろん、ほかの学年のところに行って書き込みをすることもできます。

 ということで、早速、「寺子屋オンライン受付所」に学年別のカテゴリーを作りました。
 ご意見ご要望またご質問などがある方は、Google+コミュニティに書き込んでくださるといいと思います。
●寺子屋オンライン受付所
 https://tinyurl.com/y72h7azq

 また、今後できるだけ勉強終了後のミニ懇談会も行うようにしたいので、保護者の懇談会と子供の分科会が重なってもいいように、それぞれの家庭では、パソコンやスマホの端末を2台用意されるといいと思います。
 ただし、その場合、複数の端末が近くにあるとお互いのスピーカーの音をマイクが拾ってしまうことがあるので、ヘッドセットを用意するか、別の部屋で行うようにしてください。

 オンラインの少人数クラスは、たぶん日本初の新しい試みなので(笑)、今後も多くの方の要望を取り入れながら運営を工夫していきたいと思います。

 オンライン少人数クラスでの勉強がこれまでの勉強と異なる点は、自分がよりよい発表をすることが勉強だというところです。
 これまでの勉強は、ただ聞くだけという形が多かったので、子供たちはTV番組を見るような姿勢で授業を受けていました。
 人の話を聞くよりも、自分が話した方が力がつくのは、取り組み方の熱意が違うからです。


■■答えを探す勉強より問題を作る勉強の方が難しい、そして力がつく
 算数や数学の問題で正解を答えるというのは、解法のパターンさえ理解すれば誰でもできます。

 しかし、その問題を自分で作るとなると、ただ数字を入れ替えるだけでもかなり難しい勉強になります。
 というの、は問題集に載っているような問題の多くは、すっきりした答えが出るように作られているのに対して、自分で作る問題はその答えがすっきりするようなところまでなかなか行かないからです。

 国語の問題の場合も同じです。
 大学入試センター試験で高得点を取るのは、問題文を緻密に読み取る練習をすれば誰でもできるようになります。
 しかし、そういう緻密な読み取りを必要とする選択問題を作るのは、問題を解くことの何倍も難しいのです。

 考える力のある生徒は、この問題を作る勉強の方に関心を示します。
 それは、問題を解くことが、狭い決められた道を歩くような作業であるのに対して、問題を作ることは、自分の持っている力を総動員できるからです。

 問題に答える勉強であっても、穴埋め問題や選択問題より、記述式の問題の方が記入の自由度が高まります。
 そして、実力のある生徒ほど、記述問題の方を好みます。

 ところが、採点する側にとっては、選択問題や穴埋め問題は機械的な作業で採点できるのに対して、記述問題や作文小論文問題は採点に非常に手間がかかります。

 しかし、子供たちの真の学力向上を考えた場合、たとえ採点の手間がかかっても、子供たちが自分で考える形の勉強をすることが大事です。
 これからの少子化は、むしろこういう充実した勉強をするために有利な条件になると思います。

 言葉の森で行っている作文の勉強は、答えのない勉強です。
 新しく始めたオンライン発表学習も、答えのない勉強です。

 答えのない勉強は、ある意味で手を抜くこともできます。それが、かつてのゆとり教育のマイナス面として指摘されたことです。
 しかし、今言葉の森で行っている発表学習クラスの多くは、毎回かなりレベルの高い発表をしています。
 このレベルの高い発表学習を普遍化することが、これからの日本の教育の課題になると思います。


■■低学年で作文が上手に書ける子の指導
 小学2年生の生徒のお母さんから、質問がありました。
 その子は、とてもよくかける子で、字数も表現もほぼ完璧です。
 作文の評価ということで言えば、申し分ないものを書いています。

 そこで、お母さんは、この作文の勉強をただ自分の今の実力で書くだけではなく、もっと先に進めるためにはどうしたらよいかということを質問されたのです。

 小学校1、2年生で作文が上手に描ける子のお母さん方は、同じような疑問を持っていると思います。
 あるいは、作文はもう上手に書けるので、特に何もしなくていいと考えるお母さんも多いと思います。

 国語や算数は英語であれば、勉強の仕方次第でいくらでも学年より先の学年に進めることができます。
 それは、その勉強がその子の精神的年齢の成長に関わらない知的なものだからです。

 ところが、作文は知的な面があるとともに、精神年齢的な面がかなりあります。
 小学2年生のころに書く作文は、読んでいる本の文章がそのまま頭に入っているので、その表現を生かして作文として書けるという面があります。
 ですから、達者な子は、大人が書く文章と似た文体で書くようなこともあるのです。

 しかし、その時期は小学2年生までで、小学3年生になると今度は自分の言葉を作って書くようになります。
 小学2年生までは、ほとんどの子が長い作文を書きたがりますが、小学3年生になるとそういう子供たちが逆に長く書くよりもほかのことに関心を持つようになります。

 その関心を持つ先は何かと言うと、盛り上がりのある内容を書くということと、ほかの人に読んでもらい楽しく思わせるような面白い話を書くという方向です。
 小学2年生までの作文は、自分の書きたいことをただ書くだけですが、小学3年生からは人に読んでもらうことを意識して書くという面が出てくるのです。

 そこで、言葉の森では、小学3年生から表現の工夫と、題材や感想の工夫という指導を始めます。
 しかし、小学2年生でまだ他人の目にあまり関心がない時期に、そのような表現や内容の工夫という指導をしても空回りする面があるのです。

 算数や英語で、小学校低学年のうちに小学校高学年や中学生の勉強をすることは、やり方によってはいくらでもできます。
 しかし、小学校低学年で、小学校高学年の課題の作文を書くことはできません。

 例えば、小学6年生では、一般化の主題という項目でその事柄が自分にとってだけでなく人間にとってあるいは社会にとってどういう意味があるのかということを書く練習をします。
 そういう感想は、小学校低学年では書きようがありません。

 小学6年生でさえ、そういう発想が自然にできる子は50パーセント程度だと言われています。
 それは、学力の問題ではなく、精神年齢の成長度の問題です。

 ですから、小学校低学年でどんなに上手に書けているように見えても、そのまま小学校高学年の課題の作文が書けるかというと、そういうことはありません。
 年齢による差は勉強の仕方でが埋められないというのが作文の特徴なのです。


■■低学年で作文が上手に書ける子の指導(2)
 では、小学校低学年でよく書ける子の作文指導はどうしたらよいか、という話です。

 小学1、2年生のころの作文は、物事の中心を決めて詳しく書く練習をしていきます。
 これが、第一に重要なことです。
 よく遠足の作文などを書くと、家を出発してから、また家に帰るときまでの話を延々と書く子がいます。
 それは、物事を文章として記述する練習としては意味があるので、特に直す必要はありません。
 しかし、よりよい文章力をつけるためには、その中のある一つの事柄について詳しく書くという練習をしていくといいのです。

 第二は、作文を書くための土台となる読書に力を入れていくことです。
 言葉の森の作文を目指す方向は、上手な文章を書いて小説家になるような方向ではなく、考える作文を書き高校生、大学生、社会人になっても使える文章を書くという方向です。

 だから、読書についても、物語文的な本と並行してその子の興味のある範囲で説明的な文章の書かれている本を読んでいくといいのです。

 第三は、やはり作文を書くための土台となる経験に力を入れていくことです。
 読書の好きな子の中に、読書ですべてを理解したつもりになり、知識と理屈だけで物事の理解が終わってしまう子がいます。
 学校のテストに関しては、それで十分すぎるほど十分なのですが、実際に何かを作り出すという創造力という点から見ると、知識と理屈だけの理解では役に立たないことが多いのです。

 では、創造力のために何が必要かと言うと、それは実際に手足を動かし、自分の目で見たり耳で聞いたりして、現実と関わるような経験をすることなのです。
 それは、実験や観察や調査という言葉で表せるものと似ています。
 実際にやってみることによって、それが予想どおりうまくいったり、予想に反してうまくいかなかったりするという経験をすることがその子の創造力の源になっていきます。

 ですから、小学1年生で勉強がよくできる子、作文が上手に書ける子は、読書のジャンルを広げていくことと、経験の幅を広げていくことが大事で、これらによって年齢が上がったときの準備をするということになるのです。

 そして、第四に、作文は、単に先の学年の準備をするだけのものではありません。
 その時代に、その子が生きた証となるものが作文です。

 小学1年生のころに書いた作文は。その子が1年生の時でなければ書けなかったたものですから、それを書いて残しておくことがその子の一つの記念になります。
 上手に書けるから先に進むと考えるよりも、上手に書ける今の時期をそのこと自体を一つの目的として残しておくという方向で子供の作文を見ていくといいのです。


■■やり続ける力でいつの間にか山頂に着く
 ウサギとカメの話ですが、日本人はこの倦(う)まず弛(たゆ)まず努力するという姿勢を文化的に身につけているようです。
「転石苔を生ぜず」という言葉は、日本と欧米では正反対の意味でとらえられています。

 ところが、今の社会は、情報も豊富でさまざまなツールやソフトも豊富なので、子供たちがつい目移りして次から次へといろいろなことに手をつけるという状態になってきました。
 勉強の基本は1冊の参考書を5回読むことですが、多くの子は、それよりも5冊の参考書を1回だけ読むことを好みます。
 時には、読みかけのものを更に何冊も読むということもあります。

 子供がまだ親の言うことを聞く小学校低学年のころから、この1冊を5回という勉強の姿勢を習慣にしておくと、あとでその姿勢が必ず役に立ってきます。

 情報機器が発達した便利な世の中では、時間をかけずに済ませることのできるものが増えてきました。
 しかし、だからこそ何に時間をかけるかということが大事になってきます。
 子供の勉強も、能率よく全部やろうとするのではなく、大事なものに絞って時間をかけていく方が結局は本当の実力がつくのです。

 世の中には、画期的ないい方法というものは滅多にあるものではありません。
 勉強でも、仕事でも、長く続けることがいちばんいい方法です。
 そして、その時間をかけたものが、その人の個性になっていくのです。


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