言葉の森新聞2017年7月3週号 通算第1475号
文責 中根克明(森川林)

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■■7月17日(月)は休み宿題

 7月17日(月)は、祝日のため休み宿題です。先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日9時~19時50分)
 電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
 課題の説明の動画「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/
 オープン教育の掲示板「森の予習室」にも、学年別の予習のヒントが載っています。


■■【再掲】読書感想文の書き方は言葉の森のホームページで
 夏休みの読書感想文の宿題については、言葉の森のホームページの「読書感想文」のカテゴリーをごらんください。ここを見れば、全学年の感想文の書き方がわかります。読書感想文指導をこのような形で行ったのは、言葉の森が最初です。
http://www.mori7.com/beb_category.php?id=28
 また、普段の作文の勉強の中で感想文の練習をしている人は、これまでに書いた感想文の中でよく書けたものをふくらませていってもよいと思います。
 なお、言葉の森では夏休みの宿題の指導はしませんので、感想文の宿題は各自で取り組んでいくようにしてください。感想文コンクールの入賞を目指すなどの理由でどうしても感想文を見てほしいという場合は、申し訳ありませんが有料になりますのでご了承ください。(添削料5,400円)
 


■■夏休みの合宿の勉強の企画
 言葉の森では、この夏に自然寺子屋合宿を行います。
 せっかくの合宿ですから、その中で行う勉強は普段できないことをやっていきたいと思っています。
 また、同じやるのであれば言葉の森独自の勉強をしたいと思っています。
 読書感想文の指導をするということも考えましたが、子供たちにとってはあまり面白く感じられないでしょう。
 何年か前、言葉の森で読書感想文の指導を夏休みに行ったところ、次々に学校代表に選ばれる子が出てかえって困惑したことがあります。
 そこで、読書感想文は普段の勉強の中で実力をつければ良いということにして、もっと別のユニークな勉強をしたいと思いました。

 第一は、漢字の読みです。
 書きは、これから次第に重要ではなくなります。

 しかし、読みができていないと、ふりがながふってある本しか読めなくなります。
 子供たちは自分の興味に応じて大人の読むような本を読みたいと思うようになるはずですから、小学生の間に小学6年生はもちろん中学3年生までの漢字、つまり常用漢字約2000字を全部読めるようにしていくことが目標です。
 教材には、言葉の森の漢字集を使います。

 第二は、長い作文を書く練習です。
 手書きの作文やパソコン入力の作文では、1200字書くのに1時間から1時間半かかります。
 それではとても長い作文は書けません。
 そこで構想図を書いたあと、音声入力をする形で1万字の作文を書くことを目標にします。
 1万字の作文であれば、夏休みの自由研究としても使えると思います。
 朝は漢字の勉強、夜は長い作文の勉強、そして日中は自然の中でたっぷり遊ぶというような夏合宿にしていきたいと思っています。


■■入選する作文と合格する作文の違い
 作文がとてもよく書ける子のに、なかなか新聞に入選しないという子がいます。
 逆に、作文は字の間違いがあったり表記ミスがあったりして、必ずしもうまくはないのに面白い作文を書いて入選するという子がいます。
 入選する作文と合格する作文は、性質が違うのです。
 そして、もちろん両方できる子もいます。

 では、その違いとは何でしょう。
 まず、合格する作文からです。
 合格する作文というのは、項目がしっかり入れられている作文のことです。
 面白いかどうかはほとんど関係がありません。
 内容に個性や感動があれば、印象点はよくなりますが、それは合格の決定的な要素ではありません。
 構成がしっかりしていて、語彙が豊富で、論旨が一貫していて、実例の幅の広がりがあり、そして時間内に必要な字数まで書く力があれば、それが合格する作文を書く力です。

 森リンの評価は、この合格する作文を基準にしていますから、語彙の多様性、思考の深さ、知識の豊富さなどを総合して評価しています。
 作文検定の評価も、合格する作文が基準です。
 評価の対象は、字数、時間、構成、題材、表現、主題、表記の各項目なのです。

 これに対して入選する作文は、誤字や表記ミスがあればもちろんマイナスにはなります。 しかし、そういう表記の評価よりももっと重要なのは、内容の面白さに対する評価です。

 内容の面白さとは、個性があること、挑戦があること、感動があること、共感があることです。
 この個性・挑戦・感動・共感の評価を、言葉の森では内容点の評価として行なっています。

 ですから、項目で全部◎がつくということも、作文の勉強の一つの目標になりますが、それと同時に内容でよい作文を書くこということも、もう一つの目標になります。
 そして、入選を目指して新聞に投稿するのは、もちろんこの内容のよい作文の方です。
 決して項目や字数がきちんと書けている作文ということではありません。

 では、この内容のよい作文を書くにはどうしたらよいでしょうか。

 実は、内容のよさの基本は偶然なのです。
 だから、誰でも年に何回かは傑作を書く機会があるのです。
 項目の合格は努力次第でできますが、内容のよさは、偶然に本人がいい内容の出来事に遭遇していなければできません。

 しかし、小さな出来事であっても、表現の力でよりよい内容に書き上げることはできます。
 その力とは、自分の経験や考えを感動を持って書く力のことです。

 人間の感動は、持って生まれたものだけではありません。
 その人がそれまでに読んだ文章の表現や映像の表現に沿って感動したり共感したりする面があります。
 子供時代に感動や共感のある本を読みその表現が身についていれば、自分の経験を文章に書くときにも、自然に感動や共感のある表現をすることができます
 内容の面白さを表現する力は、それまでに読んだ本の面白さを感じた度合いに比例しているのです。

 ときどき、勉強のよくできる子の中に、真面目な、誰からも薦められる名作と言われるような本を、薬を飲むように毎日十数ページずつ読んでいる子がいます。
 タイトルに、「○年生で読む名作の本」などと書いてあるような本です。

 そういう本は、もちろんそれなりにいい話が載っていますが、子供が熱中して止まらなくなるような読み方をする本ではありません。
 そのような本の読み方では、本を読んで感動するという経験はなかなかできません。
 読み始めたら途中で止められずに一気に読みたくなるような本を読むことが、読書の感動を育てる道です。

 本を読んで感動した子は、感動や共感を表現する書き方を自然に身につけます。
 だから、作文を書くときも、内容のよさは偶然に左右されるのが基本とはいっても、読む人に感動や共感を与えるような書き方で書くことができるようになるのです。

 読書には二つの面が必要です。
 第一は、難しい説明的な文章を繰り返し読むことです。
 第二は、面白い楽しい本をたくさん読むことです。

 学力はあるのに、入選するような作文がなかなか書けないという人は、これから感動のできる熱中して読める本をたくさん読んでいくことをお勧めしたいと思います。

 もうひとつ付け加えると、文章表現は、その子の全人間的なところから出てきますから、読書以外の環境、家庭や学校や地域の文化環境も大切です。
 家庭で、ものごとの明るい面、前向きな面を見る雰囲気があれば、それは文章にも自然に反映してきます。
 こういう文化環境は、すぐにはできませんから、長い目で育てていく必要があります。


■■本好きな子がさらに本好きになる読書紹介
 思考発表クラブでは、授業の初めに読書紹介をしています。
 最初は、勉強に入る前のウォーミングアップのつもりではじめました。
 しかし、みんなが次々と自分の読んでる本を紹介するので、それだけでかなり時間を取るようになりました。
 これがなかなか面白いのです。
 本好きな子が多く、その子たちがそれぞれ自分の読んでいる本を紹介します。

 すると、それを聞いていた子が、その本に関心を持ち自分でも読んでみたくなります。
 よく、「先週、○○君が読んでいた本を、私も図書館で借りて読みました」などという話が出てきます。
 そういう良い循環が生まれています。

 子供は、親や先生の奨めた本よりも、友達の読んでいる本に関心を持ちます。
 特に、中学年、高学年はそうです。

 読書好きな子は、どの学校にもいます。
 しかし、学校生活の中で本好きな子供どうしが、読んだ本を紹介するというような機会はまずありません。
 本の好きな子供たちにとって、思考発表クラブは、読書の幅を広げるよい刺激になっているようです。


■■参考書や問題集や辞書を選ぶとき
 保護者懇談会で保護者の方から、メモを取るのに使いやすい筆記用具があるでしょうかという質問を受けました。
 速記者などは0.9mmの太い芯のシャーペンを使っているので、そういう軟らかい軽い筆記具がいいとは思うのですが、私の答えは、「自分の好みのものならどれでもいいです」でした。

 同じように、よく参考書や問題集や辞書で、どういうものがいいでしょうかと聞かれることがあります。
 これに対しては、いろいろな考えがあると思いますが、私の場合は、「手触りや見た感じで自分の気に入ったものがいちばんよい」という単純なものです。

 その理由は第一に、出版されて何度か改訂されているものは、その価値が大体同じだからです。
 第二に、参考書や問題集や辞書の目的は、日常的に繰り返し使うことだからです。

 だから、持ち運びしやすい、軽い、薄い、手頃な大きさ、見た目がいいなどということが大事になってくるのです。
 つまり、デザインが自分の好みに合っているということが最も重要な基準なのです。

 これは、車選び、スマホ選び、衣服選びなどと同じです。
 大事なことは、使いたくなるものを使うということです。

 話は少しはずれますが、これに関連して、高価な食器などを購入した場合、それを大事にしまっておくのはもったいないと思います。
 普段いつでも目に触れるように、日常の中で使うことがその価値を生かすことになります。
 豊かな生活とは、たくさん持っていることではなく、少しのものをたくさん使うことなのです。

※しかし、消しゴムだけは見た目ではなく機能性で選ぶ方がいいです(笑)。
 見た目のかわいい消しゴムで、全然消せないものが多いからです。
 それから、もうひとつ、問題集選びは解答ができるだけ詳しいものがを基準にするといいと思います。















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