言葉の森新聞2017年4月2週号 通算第1462号
文責 中根克明(森川林)
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■■小学生の学年別作文学習のポイント
■幼児の親子作文は親子の対話の中で書く作文
幼稚園年長のころの学力は、勉強でつくのではなく生活の中でつきます。
ドリルを解くような勉強よりも、親子の対話、お手伝い、読み聞かせ、新しい経験、好きな遊びなどをたっぷりさせていくといいのです。
親子作文は、そういう生活を盛り込んだ作文の勉強です。
そのときどきの季節の話題をもとにいろいろな経験をして、それを親子で話し、お母さんやお父さんが短い作文にまとめます。
その作文に、子供が絵をかいたり、その作文を読んだりします。
また、そのとき写真などを貼ってあげたり、家族のほかの人がコメントを書いてあげたりすれば、作文を通して家族の対話が深まります。
こういう生活の中での知的なやりとりが、子供の将来の最も確実な学力の土台となります。
■勉強の基礎は小1から始める親子作文
小学1年生のころは、まだ文字を書くのにも苦労をする時期です。
まして、ひとまとまりの文章を書くというのは、多くの子にとってまだ難しいでしょう。
しかし、文章を書くことを穴埋めドリルのような形で教えると、かえって作文を負担に感じるようになることも多いのです。
親子作文は、そのときどきの季節の話題をもとに親子でいろいろな経験をし、その経験をもとに親子で対話をしながら作文を書くという練習です。
勉強をしているという意識がなくても、自然に考える力が育ち、正しい書き方が身についていきます。
そして、この時期の勉強の仕方が、その後の小学校時代の勉強の土台となります。
親子で作文を書く場合のポイントは、思考発表クラブで毎週説明し、個別相談も受け付けています。
■小2の電話指導作文は親子の対話の中で書く作文
小2のころは、書くこと読むことが最も好きになる時期です。
このころの子供は、自分が文章を書けることがうれしくてたまらないので、できるかぎり長く書こうとします。
また、作文と同じように読書も好きになるので、いろいろな文章を読もうとします。
だから、この時期には無理に上手に書かせたり難しい本を読ませたりせずに、書く力読む力をのびのびと育てていくといいのです。
そのためには、小学校高学年や中高生までの長い見通しを持ったカリキュラムで、重点を絞った余裕のある勉強をしていく必要があります。
小2までは、そのときどきの季節の話題や自分の体験した出来事を自由に書く作文課題ですから、家族の触れ合いや対話がいちばん盛んになる時期です。
そういう家庭での生活の中で子供の本当の学力が育っていきます。
■小3は作文力と読書力が最も伸びる時期
小3は、作文力と読書力が最も伸びる時期です。
小2までは、頭に浮かんだことをそのまま書いていた子が、小3になると、読み手を意識して自分らしく書こうとするようになります。
それだけ、書き方を工夫して書く力がついてきたのです。だから、作文の字数は、小2のころよりも少なくなることがあります。
読書についても、自分の好きな本が次第にはっきりしてきます。
作文力と読書力が伸びる時期だからこそ、その子の個性を認めつつ、何をどう書きどういう本を読むといいかという方向を示してあげる必要があります。
それが、その後の作文と読書に対する自信と真の実力につながっていきます。
■小4は小学生らしい作文が最も上手に書ける時期
小4は、小学生らしい作文が最も上手に書ける時期です。
このあと、小5からは、受験作文にも対応した、考える作文を書く練習をします。小4は、その手前の、身近な経験を表現豊かに書く練習をする時期です。
小4までは、自分のしたことや考えたことを自由に書けるので、このころの作文は小学校時代のその子らしい宝物のような作文になることが多いのです。
この時期に、作文と読書に力を入れることによって、高学年になってからの書く力、読む力の土台ができます。
作文も読書も楽にできるようになったからもう十分だと考えるのではなく、その作文や読書に更に時間をかけ、高学年になってからのより高度な読解力、表現力の土台を作っていくことが大切です。
■小5は入試にも対応した考える作文のスタートとなる時期
小5は、入試にも対応した考える作文のスタートとなる時期です。
この時期には、作文だけでなく算数や理科などの教科にも考える要素が多くなり、国語の文章にも思考力を必要とする言葉が増えてきます。
作文も、勉強も、楽しいと同時に苦しくもなる時期ですが、それを乗り越えるのは、小5から育ち始める勉強に対する向上心です。
小5からの考える作文で、子供たちの思考力は急速に成長していきますが、それとともに個人差もまた大きくなります。
書く力の差が大きくなる時期だからこそ、それぞれの子供の実力に対応した個別指導が大切になってきます。
■小6の作文は、中高生の小論文の土台
小6の作文は、その後の中高生の小論文の土台となる書き方を練習します。
だから、言葉の森では、高3の受験生も、社会人も、作文の勉強をスタートするときは、小6の課題から始めるのです。
小6のころは、書く力とともに読む力もまた大きく成長する時期で、ものごとの抽象的な本質を読み取る力が育つのもこの時期です。
小6の作文の書き方をしっかり身につければ、それは将来もずっと生きて使える文章力になります。
だからこそ、小6の作文を小学生の作文の仕上げと考えるのではなく、中学生高校生の作文小論文の土台と考えるカリキュラムで勉強していくことが大切になるのです。
■■答えのない勉強の方が楽しく、より高度になる
人間は、誰でも自分らしく生きたいと思っています。
しかし、今の教育環境では、与えられた正しい答えを早く見つけることに価値があるような教育がなされています。
そして、正しい答えを早く見つけて褒められれば、それはそれで嬉しいので、次第にその価値観に自分を合わせるようになってきます。
しかし、小中学生の義務教育でやる勉強は、基本的に、やれば誰でもできるようになるものなので、よくできる子ほどそういう勉強に飽きてしまうことがあるのです。
ところが、入試問題になるとまた話は別です。
入試問題は、本来だれでもできる基本の学習をしているはずの小中学生に、訓練をしなければ時間内に解けないパズルのような難問を出します。
そういう難問を解く練習をして、それが短時間でできるようになれば、それもある程度の達成感はありますが、そこには本当の勉強の喜びのようなものはありません。
だから、いちばんいい勉強は、誰でもできる教科書レベルの知識をもとにして、答えのない自分らしさを出せる勉強をすることです。
その一つが、作文です。
そして、もう一つが、現在オンラインで行っている思考発表クラブの勉強です。
アクティブ・ラーニングとも呼ばれる発表する勉強は、基礎学力がないままに行えば、かつてのゆとり教育のように、ただお喋りをして時間を費やすだけの勉強になってしまいます。
だから、基礎学力を自学自習で確実に身につけながら、6、7名の少人数で密度の濃い発表学習をしていく必要があります。
言葉の森では、現在、新小1から新小6の生徒を対象にした思考発表クラブを行っています。
ここで、子供たちが毎週行う発表は、いずれもかなりレベルの高いものです。
それは、多くの生徒が、自分から進んで自主的に時間をかけて発表する内容を準備してくるからです。
子供たちの様子を見ていると、人に言われてやっているのではなく、自分から楽しんでやっている様子がよくわかります。
そして、こういう発表する勉強で、これまでの正しい答えを見つけるだけの勉強よりも何倍も頭を使っているのです。
ただ、発表する勉強は、ウェブにアップロードするという作業が必要です。
アップロードは、慣れれば簡単なものですが、子供の手ではなかなかできません。どうしても保護者の協力が必要になります。
このアップロードして発表するという過程がなく、ただ受け身で授業を聞くだけになると勉強の魅力は薄れます。
以前、中学生のオンライン講座では、この発表をする生徒が限られていたので、ただ授業を聞くだけの勉強になってしまった面がありました。
だから、今回は、新小1から新小6までの生徒が対象で、毎回何でもいいから一つは発表できるものをアップロードするというルールにしています。
発表するのは、勉強以外に、家庭で行った実験や経験も含みますから、あまり負担を感じる必要はありません。
多くの人が、この思考発表クラブの体験学習をしてみるといいと思います。
なお、思考発表クラブは、言葉の森の生徒以外の方も参加できます。
現在の学年別の時間割は次のとおりですが、希望者が集まれば他の曜日時間も開設します。
・幼長 月曜日17:00~17:45
・小1 火曜日18:00~18:45
・小2 水曜日18:00~18:45(ほぼ満員)
・小3 木曜日18:00~18:45(満員)
・小4 火曜日19:00~19:45
・小5 水曜日19:00~19:45
・小6 月曜日18:00~18:45
親子作文・電話指導作文、思考発表クラブ、自主学習クラスの案内はこちらをごらんください。
https://www.mori7.com/nireina/
■コメントより
・小学3年生ぐらいまでの子供たちは、今、思考発表クラブでのびのびと勉強に取り組んでいます。
しかし、学年がだんだん上がるにつれて、義務としての勉強に追われて、次第に自分のしたい勉強ができなくなるようなのです。
私が小学生のころは、勉強に追われるということはまずありませんでした。
中学生でも、テスト前に少し集中して勉強するだけで、普段は勉強が忙しいということはまずありませんでした。
勉強するようになったのは、高校生からで、ほかの同級生たちもみんな同じようなものでした。
そして、そういう勉強スタイルで何も問題がありませんでした。
小中学生のころは、決まりきった勉強などに追われずに、もっと自分のしたいことに熱中できるような社会になってほしいと思います。
・思考発表クラブの子供たちが、それぞれ自分なりに工夫した勉強を発表しているのを見ると、小さいころ、うちの子にこういう勉強をさせたかったなあと思います(笑)。孫かなあ。
■■勉強の目的は、勉強ができるようになることではなく、その勉強を使って何かができること
勉強は、それ自体が目的なのではなく、何かができるようになるための手段です。
手段を身につけるためには、その手段に習熟することが大切です。
習熟するためには、ひとつのことに絞って繰り返すやり方が最も効率がいいのです。
漢字の勉強などは特にそうです。
教科書でも、問題集でもいいのですが、1冊の教材に絞って、それだけを徹底して繰り返せば漢字は覚えやすくなります。
教育漢字は約1000字、常用漢字は約2000字で、いずれも考えようによってはわずかな字数です。
1冊の教材で繰り返し勉強していれば、どの漢字がどのページのどの辺にあるかということまで頭に入ります。
そうすれば、しっかり定着します。
ところが、今は教材があまりにも豊富なので、次々といろいろな漢字教材に取り組むような勉強の仕方になりがちです。
すると、結局、種類が多くなればなるほど、定着させることが難しくなるのです。
算数・数学の問題集も同じです。
特に小学校低中学年の問題集は、問題集に直接、式や答えを書き込むスタイルになっています。
答えが簡単なので自然にそういうスタイルになってしまうのですが、そうすると、子供は自然に、問題集に答えを書き込む癖がついてしまいます。
すると、その問題集は1回しか使えません。
その1冊をやり終えると、新たに同じ問題集を購入するのはもったいないと思うでしょうから、自然に別の問題集をやるようになります。
すると、1冊を徹底して自分の身につけるという勉強でなくなるので、時間をかけるばかりで、苦手な問題はいつまでも苦手な問題として残ってしまうのです。
1冊を徹底して繰り返すという勉強法は、教材が豊富な時代だからこそ、意識して取り組む必要があるのです。
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