言葉の森新聞2016年7月1週号 通算第1425号
文責 中根克明(森川林)

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■■7月1日(金)から新学期
 7月1日から新学期が始まります。教材の説明は、課題フォルダの表紙の裏側に書いてあります。また、勉強の仕方の説明は、「学習の手引」に載っています。
 http://www.mori7.com/mori/gate.php


■■夏休み中の電話を帰省先や旅行先に変更することができます
 夏休み中、帰省されたり旅行をされたりする場合、電話先を変更することができます。
 変更の連絡は、授業の直前でも可能です。ご遠慮なくご連絡ください。


■■【重要】7月からの暗唱長文は末尾に検定用のものを掲載
 7月からの課題フォルダには、従来どおり、1週に暗唱できる長文が載っていますが、それとともに、課題フォルダの末尾に、全学年共通で5級の暗唱長文も載っています。
http://www.mori7.com/mine/as2.php
(暗唱検定は、skypeで随時行えるようにしています。)

(1)これからは、課題フォルダの末尾の暗唱検定5級の長文で暗唱をすることをおすすめします。
(2)しかし、従来どおり1週の長文で暗唱してもかまいません。
(3)先生はどちらの暗唱もチェックしますが、これまでのように厳密な評価はせず、暗唱をがんばっていることを確認して励ますことを中心にします。
(4)先生が暗唱チェックする時間は2分以内です。それ以上時間のかかる暗唱チェック(900字を超える暗唱チェック)については家庭で行うようにしてください。

 なお、暗唱検定用の長文は、読み方のわかりにくいところがあると思います。
 上記暗唱長文のページで、youtubeの音声が聞けるようになっていますのでご利用ください。


■■【重要】模擬試験の結果をどう見るか(6月学力テストを受けた方へ)
 言葉の森の小1~中3の生徒の希望者に、6月に全国模擬試験を受けてもらいました。
 低中学年の生徒で、初めてこういう試験を受けたという人も多いと思いますので、この模擬試験というものの点数の見方を説明しておきたいと思います。

 ちょうど、先日、小学校低学年の生徒の保護者から相談がありました。国語の成績があまりよくなかった、自宅でやればできるので時間が不足していたらしい、とのことでした。


 そのテストの内容を見ているわけではないので、正確なことはわかりません。しかし、二つのことが言えると思います。

 第一は、それほど心配することはないということです。小学校低学年で求められる国語力は、高学年からの国語力とほとんど関係がありません。だから、点数は気にせずに、ただテストの内容とその子のでき具合を把握していればいいのです。

 同じ「試験」という名前でも、検定試験のようなものは、百点満点中の百点が本来取るべき点数です。しかし、模擬試験や入学試験のような差をつけることを目的とした試験では、百点満点中の六十点が平均点になるように作られています。
 だから、人並みの六十点よりやや上ぐらいの点数であれば、それ以上の上位を目指す必要はありません。上位を目指すのは受験のときだけでいいのです。

 しかし、第二に、その点数が低かった原因が時間不足である場合、読書の量と質の不足が背景にあることがあります。

 模擬試験や入学試験は、もともと短い制限時間で正解を競わせて差をつけるように作られています。だから、普通にやれば時間不足になることが多いのです。

 しかし、読むスピードがある子は、時間内に解き終わります。そういう子は、多読と難読の両方ができています。ここで言う「難読」とは造語で、「難しい文章や本を読むこと」という意味です。
 読むスピードがない子は、いつも時間不足になります。その場合、多読か難読のどちらかが、又は両方が不足していることが多いのです。

 勉強の成績は、算数にしても、理科、社会にしても、比較的すぐに上がります。しかし、読書の量と質は、長年の蓄積によるものなので、なかなか変わりません。
 だから、小学校低学年のころは、勉強よりも読書に力を入れている方が、あとから学力が伸びることが多いのです。


 普段、学校の試験で百点近い成績を取ることを普通と考えている低中学年の生徒の場合、模擬試験の点数の悪さにショックを受けることがあります。
 そのとき、お母さんはくれぐれも同じレベルでショックを受けないようにしてください(笑)。そして、おおらかに、これはそういうテストだから点数はそれで十分、普段の実力があるのだから大丈夫、と言ってあげるようにしてください。

 そして、その点数の低さの原因が時間不足であった場合、子供に、「もっと本を読まないと駄目だ」というようなことを言わないようにしてください。それは、子供の問題ではなく親のこれからの問題であるからです。
 模擬試験で状況を把握したあと、その対策を親がゆっくり考えていけばいいのです。


■■【重要】夏寺参加予定者に「しおり」をお送りしました
 連絡が遅くなりましたが、夏寺参加予定者に、別途「しおり」をお送りしました。
 また、詳細を、言葉の森のホームページにも掲載しています。
http://www.mori7.com/stg/
 なお、まだ若干名空きがありますので、これから参加を希望される方は言葉の森までお問い合わせください。


■■夏休みの読書感想文
 小学校4年生までは、読書感想文を書かせることに教育的意義はほとんどありません。
 言葉の森では、小学校5年生以降に本格的に感想文の勉強をするための準備として、小学校3年生から感想文の指導をしています。しかし、それは、あくまでも小5の勉強につなげるための準備であって、小学校3,4年生で上手な感想文を書かせることを第一の目的にしているのではありません。
 言葉の森では、小学校1、2年生でも、感想文の課題を選択することができるようになっていますが、よほどのことがないかぎり低学年の子が感想文を書くことはおすすめしません。
 とは言っても、やはり宿題の感想文を書かざるを得ない人もいると思います。
 以下の説明は、すべて言葉の森のオリジナルです。学校や塾や他の通信教育の関係者の方も、自由に使っていただいて結構です。


書き方の手順「まず本選び」
 まず本選びですが、子供が「この本、おもしろいから書きたい」と言うような本が必ずしも書きやすい本であるとは限りません。子供が自分なりに似た話を見つけることができたり、想像をふくらませたりできるような本が書きやすい本です。この本選びは、大人がアドバイスをした方がいいようです。少なくとも、子供には「似た話や想像した話が書けるような本が、感想文の本としては書きやすいよ」と言ってあげるといいと思います。
 書きたいテーマが決まっているときは、インターネットの書店を利用して関連する図書を数冊用意すると話題が広がって書きやすくなります。


書き方の手順「次に字数配分」
 感想文の宿題は、原稿用紙3枚程度(400字詰めで1200字)の分量で指定されることが多いようです。これだけの分量を1日で書くというのは大変です。無理のない字数配分は、1日1枚(400字)です。感想文の宿題をするために、4日間の予定を立てて、1日目に400字以上、2日目も400字以上、3日目も400字以上と書いていって、4日目に全体を通して要らないところを削り、清書するという予定を立てれば無理なく書くことができます。

書き方の手順「1日目の400字」
 本のはじめの方から一ヶ所、似た話や想像した話の書けそうな場所を選び、そこを引用し、自分の似た話を書き、最後に「たぶん」「きっと」「もしかしたら」などという言葉を利用しながら、自分の感想を書きます。
 本の引用(1)→似た話(1)(もし…だったらと想像してもよい)(たとえも入れる)→感想(1)(たぶん、きっと、もしかしたらなどと考えてみる)


書き方の手順「2日目の400字」
 2日目も同じです。本の中ほどから一ヶ所、似た話の書けそうな場所を選び、そこを引用し、似た話を書き、感想を書いていきます。
 本の引用(2)→似た話(2)→感想(2)


書き方の手順「3日目の400字」
 3日目も同じように、本の終わりのほうから一ヶ所選んで書いていきますが、最後の感想のところがちょっと違います。1日目、2日目は、引用した小さな箇所の感想でしたが、3日目は本全体についての感想を書いていきます。
 小学5・6年生の生徒の場合、この感想は、「○○は(人間にとって)……である」というような一般化した大きな感想を書いてまとめます。この感想の部分は、お母さんやお父さんと話し合いをして、子供自身の考えを深めていくといいと思います。そして、「私はこれから」などという言葉を使い、この本から得たことを自分のこれからの生き方にどうつなげていくかを考えてまとめます。中学生の場合は、結びの5行に「光る表現」を入れていくとよいでしょう。
 本の引用(3)→似た話(3)→大きな感想(○○は人間にとって……。私はこれから)


書き方の手順「4日目の清書」
 4日目は清書です。お母さんやお父さんが全体を通して読んであげると、要らないところが見つかると思います(書いた人自身には、要らない部分というものはなかなかわかりません。これは大人でも同じです)。この要らない部分を削ります。次に、書き出しの部分に本の引用として情景描写の部分を入れられれば、書き出しの工夫ができます。これは無理のない範囲でやっていくといいでしょう。

書き方の手順「できたらほめる」
 書いている途中でも、書き終えたあとでも、親や先生が「これは、おもしろいね」「それは、いいね」と、子供の書いた内容のいいところやおもしろいところをどんどん認めてあげることが大切です。多少おかしいところや変なところがあっても、子供が書いた内容をできるだけ尊重してあげてください。これと反対に「これは、こうした方がいいんじゃない?」「そこは、ちょっとおかしいんじゃない?」などという否定的なアドバイスをすると、勉強でいちばん大事な子供の意欲をそぐことになります。大事なことは、いい作品を仕上げることではなく、手順にそってできるだけ自力で書く力をつけることです。

教室では宿題の感想文の個別指導はしません
 感想文の指導には、生徒ひとりずつ異なるアドバイスが要求されます。更に作品として完成させるためには、書いている途中にも頻繁にアドバイスをする必要が出てきます。このような対応は、普段の勉強の中ではできませんので、夏休みの宿題のための感想文指導は、教室では行ないません。
 宿題として感想文を提出しなければならないという事情のある方は、教室で練習した長文の感想文で似た話のよく書けたものをベースにして、ご家庭で書き直していかれるといいと思います。
 また、どうしても書いた作品を見てアドバイスをしてほしいという場合は、担当の先生ではなく、言葉の森の事務局に直接ご相談ください。


■■人工知能に負けない学力を育てる(つづき)
 そして、その子がこだわる分野を、ほどほどに抑えずに納得行くまで進ませることも必要になります。バランスよく生きるよりも、あることに熱中して生きる方が尊重できるという気持ちを持たせるようにするのです。
 また、世の中はそんなに甘いものではないとか、自分の分をわきまえろとか、みんながやっているのと同じ安全な道を進めとかいう価値観を植え付けずに、がんばれば誰でもできる、人のやっていないことをやれ、雨だれ岩をもうがつ、という価値観を子供のころから育てていくのです。
====前号まで====
 そういう生き方の根本があって初めて、知識としての勉強もバランスよく取り組むということが必要になります。
 これまでは、知識だけが重視され、生き方が不問に付される環境に子供たちは置かれていました。それは、これまでの時代が、より豊かな社会を目指すという社会全体の共通の価値観に沿って動いていたからです。

 しかし、これからは違います。社会全体の共通の価値観は、これまでのような形ではありません。唯一あるとすれば、それは創造を大切にするという価値観です。
 これからは、創造する人間を育てるという大きな目標を念頭に置きながら、子供たちの教育を考えていく必要があるのです。



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