言葉の森新聞2016年2月2週号 通算第1406号
文責 中根克明(森川林)

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■■2月11日(木)は休み宿題です(再掲)
 2月11日(木)は休み宿題です。先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前9時-午後7時50分。電話0120-22-3987)
 電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」や課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
 課題の説明の動画「授業の渚」http://www.mori7.com/nagisa/
 オープン教育の掲示板「森の予習室」にも、学年別の予習のヒントが載っています。


■■21世紀に求められる教育と仕事と森林プロジェクト 2
(1.4週の記事の続きです。)
 これまでの社会では、会社勤めは正解でした。会社が成長する形で、日本が成長してきたからです。しかし、これからの時代は、日本の成長が鈍化する中で、会社の成長も停滞してきます。そして、その中でもなお成長を続ける会社は、機械化を進め、雇用を減らしていけるような会社です。
 これからの子供たちが暮らす社会は、正解のない社会です。だからこそ、そこで必要になるのがクリエーション能力と決断力なのです。
 では、これまで正解のある人生を送ってきた大人が、正解のない社会での生き方を子供に伝えることができるかと言えば、それは難しいと思います。
 そこで生まれているのが、女性を中心としたミニ起業志向ではないかと思います。
 たぶん、多くの人は、これからの社会は自分の力で仕事をしていかなければならない社会になると直観的に感じています。それがたとえ小さな試みであっても、自分自身がそういう経験を少しでもしていれば、子供が同じような決断をするときに助けになることができるのです。
 政府は、昨年全国300か所に創業塾を開き、全国で13000人の創業希望者を募りました。
 日本の国自体が、これからは独立起業精神を持った人が続々と現れるのでなければ発展しなくなっているのです。
 言葉の森は、現在、森林プロジェクトという、誰もが作文指導を行える仕組みを作っています。このプロジェクトに、今後は寺子屋オンエアの指導を組み合わせ、そこに、作文検定や暗唱検定やプレゼン作文発表や幼児親子作文などの企画を取り入れていきたいと思っています。
 誰もが小さな独立の仕事を始めることによって、日本の社会が活性化していきます。
 世の中には、少子化だから需要が減るのは仕方ないと考える人もいますが、人口の多さが生み出す需要は、結局「物」の需要でしかありません。
 これからの時代に必要なのは、「物」の需要ではなく「事」の需要です。そして、「事」の需要は、人口に比例するのではなく、その国民の文化度や向上心に比例します。
 そういう新しい社会を切り開く大きな可能性を持っている国が日本なのです。


■■オンエア特別講座モニター募集中
 言葉の森では、2月から、寺子屋オンエアシステム(googleハングアウトとskypeを利用した対話型の学習システム)で、オンエア特別講座を行います。
 これは、言葉の森の生徒であればどなたでも参加できます。ただし、事前に、googleハングアウトとskypeの利用できるパソコンが必要になります。(現在市販されているパソコンであれば、簡単な登録だけで利用できるものがほとんどです。)
 今回は、初回の講座として試験的に行いますので、受講者はモニターとして募集します。したがって、全2回の参加費用は無料です。また、モニター謝礼として、お子様に1000円の図書カードをお送りします。
 講座終了後、保護者の方に、ハングアウトの会合で感想を述べていただくか、又は簡単なレポートを提出していただくことをお願いします。
 実施する講座は下記のとおりです。
 参加を希望される方は、言葉の森事務局までご連絡ください。(電話 045-830-1177 ファクス 045-832-1466)
 googleハングアウトやskypeをまだ利用したことがない方でも、当日までに設定していただければ参加できます。設定の仕方についての資料は別途お送りします。ご希望の方には事前に接続テストを行います。


◆表はウェブでごらんください。
https://www.mori7.com/mori/mori_web.php?ki=20160202#23766
・時間はいずれも30分となっていますが、そのときの話の様子で15分ほど時間が延長する場合があります。
・参加者には、別途それぞれの講座資料をお送りします。


■■アプリのインストールありがとうございました
 言葉の森のスマホアプリは、約70名の方にインストールしていただきました。アプリの内容は今後増やしていく予定です。「アプリ連絡」から感想を送っていただいた方に粗品をお送りしていますので、感想をお忘れなくお願いします。
 


■■日本語が学力の中心――帰国子女の日本語教育と暗唱学習
 海外で暮らす日本人のいちばんの悩みは、子供の日本語教育だと思います。
 多くの家庭は、両親と話すときは日本語を話すとか、できるだけ日本語のyoutubeなどの番組を見るとか、日本語の本を読むとかの工夫をしているようです。
 近くに日本語学校がないようなところほど、家庭での取り組みは意識的で、それがかえって好結果を生んでいるようです。
 親は普通に日本語の読み書きができるので、言葉というものは自然に身につくものだと思いがちですが、子供時代の言語習得は環境に左右されています。
 特に、小学校1年生から3年生の時期は、言語脳が決定される時期で、その時期に日本で暮らしている子は日本語脳になり、海外で暮らしている子はその現地の言語脳になると言われています。
 この小学1年生から3年生の時期に、現地の言葉とは異なる言語脳を形成することができるかどうかということはまだ研究も実践も行われてていませんが、私は、日本語の音読暗唱教育がその鍵を握っているのではないかと思います。
 語学を意識的に学べるのは、小学校4年生から6年生にかけてで、この時期の言語習得は、既に言語脳が決定されているために、より小さい時期の言語習得よりも苦労はありますが、その代わり読み書きも含めた使える言語力が身につくようです。
 日本では、以前中学1年生からの英語教育が行われていましたが、中学1年生になるとその言語の感覚を身につけることが難しくなるので、その点で英語の小学校高学年からの導入は合理的な政策だと言えます。
 しかし、幼児期や小学校1~3年生の英語教育は、これに対して、弊害の方が圧倒的に多いので、この時期の違いを明確にした英語教育を行うことが必要です。
 日本語脳とその他の言語脳の違いは、端的に言えば、虫の声や波の音などの自然音を左脳で言葉として聞けるか、右脳で雑音として処理してしまうかの違いです。
 この違いが、将来どのように影響するかという研究はまだ進んでいませんが、私は、自然との共感のしやすさというところに差が出てくるのではないかと思います。
 例えば、枕草子に、「春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる……」という文がありますが、このように自然の情景をそれだけで取り上げて文学にするという伝統は日本にしかないようです。
 この自然への共感は、動植物や人間への共感にも及んでいます。
 日本人が、一般に、争いの嫌いな穏やかな民族であるのは、他人との共感度が高いからです。他人を自分とは無関係な物のような他人として見ずに、自分と同じ感情を持った人間として見てしまうのです。
 日本では、例えばペットの犬を断尾又は断耳する習慣がなかったのは、動物や植物や昆虫などに対してもその共感が働いていたからです。
 この共感力は、更に学問に対しても発揮されます。
 日本以外の国では、物事は対立の中から発展すると考えられています。対立と競争と勝敗を経て、より優れたものが生まれるというのが、諸外国のものの考え方の基本です。
 日本では、この反対に、調和の中でものごとが発展すると考えられています。異なる二つのものが遭遇した場合、互いに相手の長所を認め合い、自分の中にその足りないもの作り出すことが創造の基本になっているのです。
 日本が多くの外来文化を自国の文化の中に取り入れることができたのは、この共感と調和の考え方が日本文化の土台になっていたからです。ここから、日本人が科学技術の世界でも優れた業績を残している秘密が明らかになると思います。
 日本人は、科学や技術の対象となる物理的実体に対しても、人間に対するのと同じような共感力を持って接するようなのです。
 オリンピックで使用された世界一の砲丸の球は、日本の町工場で作られていましたが、その作る技術の基本は、音や手触りのような共感の感覚にありました。
 日本の霊長類研究が世界に先駆けて進んだのは、対象となるサルに名前をつけて呼ぶという発想があったからです。欧米では、サルは単なる物としての対象で、名前をつけて呼ぶということは考えられなかったのです。
 この共感力は、勉強に対しても発揮されていると思います。
 言語というものは、一人の人間の中で比較することはできないので、そういう研究はまだ進んでいませんが、日本人の学力が高いのは、日本語の力による面がかなりあると思われます。
 この意味で、海外で暮らす日本の子供たち、特に小学1年生から3年生にかけての子供たちの日本語教育は、きわめて重要だと思います。
 言語の習得の基本となる場は、地域と家庭であって、学校ではありません。現地という地域で日本語が使えないのであれば、その分を家庭で補っていく必要があります。
 そのひとつの方法が、日本語の毎日の音読暗唱学習になると思います。
 今、言葉の森では、幼長から高3にかけての暗唱長文集を全面的に作りなおしています。
 また、暗唱チェックの方法も、電話だけでなくskypeやgoogleハングアウトを使って確実に行っていきたいと思っています。その理由は、電話ではつい元の文章を見て言ってしまうということもあると思うからです。
 更に、暗唱の文章の分量も、900字だけでなく、その5倍の4500字を目標にしていこうと考えています。900字の暗唱は約2分でできますから、4500字の暗唱にかかる時間は約10分です。これは、決して難しいことではなく、むしろ慣れてくれば楽しい勉強になるはずです。


■■中学生の作文が高校生以降の小論文の基本――そのために読む力をつける
 言葉の森の中学生の作文指導は、文章を読んで意見文を書く形が中心です。題名だけの課題もたまにありますが、ほとんどは文章を読んで書く課題です。読む対象となる文章は、高校入試の説明文のレベルなので、しっかり読んでいれば自然に語彙力が身につきます。
 中学生の3年間で学ぶ構成が高校生以降の小論文の基本で、この書き方ができるようになれば、どういう課題が出ても対応できます。
 第一は、一つの意見について複数の理由を述べるという構成です。
 第二は、複数の意見を述べて総合化するという構成です。
 第三は、一つの意見について複数の方法を述べるという構成です。
 この中でも最もわかりにくいのが、複数の意見を述べてそれを総合化してまとめるという書き方です。複数の意見を述べるというのは、誰でもすぐにできます。問題は、その複数の異なる意見をどうまとめるかということです。
 考えずにまとめると、Aの意見もわかる、Bの意見もわかる、だから両方をうまく使い分けて……というようなただの折衷案になってしまいます。
 複数の意見を折衷案でまとめずに、より高い次元のCの意見としてまとめるというのが総合化の主題です。
 こういう考えは、もちろん大人にも難しいものですから、うまく考えつくときと、どうしても考えつかないときがあります。また、あるとき考えついた意見が、あとから自分の成長とともにもっといい意見に変わるということもあります。
 当然、人によって答えは違いますし、その答えもひとつではありません。
 こういう考え方をすることで、抽象的に物事を考える力がついてくるのです。(つづく)


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