言葉の森新聞2015年9月2週号 通算第1385号
文責 中根克明(森川林)

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■■9月21日(月)22日(火)23日(水)は休み宿題
 9月21日(月)、22日(火)、23日(水)は、休み宿題です。先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日9時~19時50分)
 電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
 課題の説明の動画「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/
 オープン教育の掲示板「森の予習室」にも、学年別の予習のヒントが載っています。


■■言葉の森のスマホアプリ(無料)作成中
 言葉の森のスマホアプリを現在作成中で、9月中に公開する予定です。(無料)
 このアプリをスマホに入れておくと、言葉の森の勉強をする際の重要なページにすぐに行くことができます。また、新しい情報も、一足先にこのスマホアプリで配信します。
 次回の言葉の森新聞でダウンロード先をお知らせしますのでしばらくお待ちください。


■■寺子屋オンエアの体験学習に、機材と教材を無償貸与、3ヶ月後プレゼント
 9月から寺子屋オンエア(以下寺オン)のシステムを、先生との話をこれまでよりもじっくりできるように改良しました。
 勉強の中心は国語ですが、多くの生徒は算数数学、英語、読書を一緒にやっています。対象学年は、小1~中3です。勉強の内容は自分で決められます。
 勉強時間は、1時間以内で自分で自由に決められます。先生と話をする時間帯は、平日16:30~21:00の範囲で希望に合わせて決められます。
 寺オンに使うウェブカメラや国語問題集などの機材・教材は無償貸与ですので、ネットにつながるパソコンだけあればすぐに始められます。
 寺オンを3ヶ月以上継続した場合は、無償貸与の機材・教材はそのままプレゼントします。
 無料体験学習は、週1回から5回の範囲で1ヶ月間受講できます。体験学習後の継続は自由です。
 なぜ、このような大サービスをするかというと、能率のよい自主的な勉強方法を多くの人に身につけてもらいたいと思っているからです。
 これまでの参加者からは、「勉強の仕方がわかるようになった」「勉強の習慣がついた」「自分で勉強するようになった」などの声をいただいています。
 現在の空き時間は、下記の「教室一覧」ページで見られます。詳しい資料をご希望の方は、言葉の森事務局までご連絡ください。

http://www.mori7.com/teraon/aki.php


■■子育ての原則は、ルールを守ること、やらせすぎないこと1
 子供が一生懸命勉強していると、お母さんは喜ぶと思います。「そんなに勉強しないで、もっと遊んだり休んだりしなさい」という人はあまりいません。
 しかし、本当は、子供が一生懸命に勉強しすぎていたら、特に小学生の場合は、ほどほどに抑えておくことが大事なのです。
 食事の場合は、おいしいからと言って食べ過ぎれば、あとでお腹をこわします。勉強も、そして遊びもそうなのです。
 子供の話から、ペットの話に変わりますが、ペットの子犬を訓練するとき、大事な原則が二つあります。それは、決して例外を作らないこと、やらせすぎないことです。
 子犬の場合は、正直ですから、ルールに例外を作ると、そのルールはすぐ守らなくなります。
 例えば、「吠えてはダメ」というルールを決めたら、どんな場合でもそのルールを守るようにします。たとえ、泥棒が入ってきたときでもそうです。一度決めたルールに例外を作ると、それはもうルールではなくなってしまうからです。
 これは、ほんの一度か二度の例外でそうなります。そして、一度ルール作りが失敗すると、それはもう直すことができなくなるのです。
 ときどき、「子供が言うことを聞かない」と相談されるお母さんがいます。それは、小さいころに、何度か例外を作ってしまったので、子供が親のいうことは聞かなくてもいいと学習してしまったからです。
 では、どうしても例外を作らなければならないときはどうするかというと、「なぜ、今日は例外なのか」ということを、ひとこと理屈で説明しておけばいいのです。「今日は、○○だから、このへんまでこうしようね」と線引きの基準を変えるのです。
 例えば、読書を毎日すると決めているのに、何かの行事などがあって遅くなりできなくなった場合は、「今日は遅いから、読書は5ページだけにしようね」という言い方で基準を変えます。5ページなど、読んでも読まなくてもほとんど変わらないぐらいの分量です。しかし、大事なのは、理屈できちんと、ルールに例外はないというメッセージを伝えておくことなのです。
 この言葉で理屈を説明する方法は、子犬と違って人間の子供だからこそできるルールの守り方です。(つづく)


■■寺子屋オンエアによる家庭学習1――自立心を育てるためには
 今の学習塾などでやっている勉強は、無駄の多い勉強です。それはなぜかというと、プリントが多すぎるのです。
 プリントが多ければ、結局子供は1回しかやりません。すると、できる問題をやっている時間がほとんどで、それに時間をとられるから、できない問題も通り一遍にしかできません。
 だから、できない問題が確実にできるようになるところまで行かないのです。
 この勉強法で成績を上げるためには、勉強時間を長くしなければなりません。
 しかし、長時間の勉強で、親は満足するかもしれませんが、その分子供にとって、本当に大切な読書や趣味や遊びの時間が圧迫されてしまうのです。
 読書や趣味や遊びの時間の不足は、長い目で見ると、子供の創造性や個性や意欲を失わせる要因になります。
 将来社会に出て大切になるのは、学生時代の表面的な成績ではなく、向上心や創造性や人生に対する幸福感など主に勉強以外のものです。
 大人は、そういう長期的な目で子供の勉強を考えていく必要があります。
 受験勉強は、受験期の最後の1年間に集中してやればいいのであって、それまでは自分のペースでのんびり勉強していればいいのです。
 しかし、その最後の1年間の集中も、塾に行ったり予備校に行ったりする集中勉強ではなく、自分で計画を立てて自力で行う集中勉強です。
 そういう自主的な勉強ができるようになるためにも、普段から自分の計画で、家庭での勉強をしていく必要があるのです。
 家庭での自学自習は、塾や予備校などのお任せ学習と比べて、最初のうちは無駄も多く、誘惑も多く、成果も思ったようには出ず、不安になることもあると思います。
 しかし、その一見遠回りに見える学習の仕方が、子供の自立心を育てていきます。
 今の塾での勉強は、ほとんど末期症状に近くなっています。よく、学習塾で成績保証をうたっているところがあります。「いついつまでにこの成績に上がらなければ、月謝は返金します」という保証です。
 それは、簡単なのです。正しい方法で長時間勉強させれば、誰でも成績は必ず上がるからです。(ただし、国語以外)
 しかし、問題は、その勉強を一律の教材で有無を言わせずやらせることです。できる問題もできない問題も一様にやらせるので、結局、長時間勉強しなければ力がつかない仕組みになってしまうのです。
 成績の悪い子というのは、自分で計画を立てて勉強することができません。だから、強制的に勉強させれば、必ず成績は上がります。
 しかし、そういう他人依存型の勉強をしていると、勉強以外のことも他人依存型になります。言われたことはきちんとするが、言われないことはやらないというのでは、その他大勢の一人になってしまいます。
 自分らしい人生を送るためには、言われなくてもやる、言われたことでも意に反すればやらない、しかし、人間的なコミュニケーションはしっかりとれるという、自主性と人間関係力を備えた力をつけておく必要があるのです。(つづく)


■■「地方消滅 創生戦略篇」(増田寛也・冨山和彦著 中公新書)を読み、寺子屋オンエアとの関連を考える
 「地方消滅 創生戦略篇」に書かれている内容は、2人の著者の実体験に裏打ちされた具体的な現状分析や提案です。
 読後感は、かつて読んだ、湯川秀樹と梅棹忠夫の対談「人間にとって科学とはなにか」と同じような、知的な相互交流の魅力です。対談によって、ひとりで考えるよりもはるかに多くのことが広く深く語られたという印象でした。
 この本には、次のようなことが書かれていました。
・地方には、若者を引きつけられるような生産性の高い仕事がない。
・都会は今後高齢化が進行すれば、介護がパンクする。
・都会の高齢者が動けなくなる前に地方に移住して、地方で新しい生活ができる仕組みを作るべきだ。
 この議論の対極にあるのが、増田悦佐(えつすけ)さんの「高度成長は世界都市東京から」だと思います。
 増田悦佐さんは、次のような考えを述べています。
・都会への集中が、高い人口密度の中で新しいサービス産業を生み出す。
・地方からの人口流出は、技術革新のニーズを生み地方の労働生産性を高める。
・官僚や政治家が制度を作るのではなく、大衆の自由な創意に任せるべきだ。
 いずれにしても、今後、趨勢的に進む少子化、高齢化の中で、都会と地方のあり方が解決すべき大きな問題として問われる時代になっているのです。
 しかも、時間的な余裕はあまりありません。
 都会と地方の問題を考える際に考慮に入れなければならない重要な要素は、第一に今後の技術革新、第二に世界のマネー経済の行き詰まり、第三に人間の意識の変化あるいは進化、です。
 この中でも特に、技術革新は、予測できないブレークスルーを生み出す可能性があります。
 その技術革新の方向は、未来へのビジョンによって大きく方向づけられます。
 問題は、現在の目で見るだけでは解決できません。問題は、未来に向けた行動によって解決されるものだからです。
 その解決が新しい問題を生み、それが再び行動によって解決され、その解決が更に新しい問題を生み、という形で、行動が問題を解決し続けていきます。
 行動に必要なのは、未来に対するビジョンです。今後、私たちがどういう日本(世界はそのあとで考えるとして)を作っていくかということが大事なのです。
 日本の未来を考えるとき、まずいちばんの前提になるのが、真に価値あるものは創造だという考えです。
 話は大きくなりますが、植物は地球環境の中で重要な役割を果たしています。しかし、植物自体に価値があるのではなく、最初にあった光合成の発明に価値があったというのが、「創造=価値」の考え方です。現在の植物は、その最初の創造的発明のコピーにすぎません。
 人間の生産活動でも同様です。目の前にある工場群は、確かに工業製品という富を生産しています。しかし、価値があったのは、その生産物を作るための最初のいくつもの発明だったのです。
 日本の製造業の技術は、新興国にコピーされて広がっています。そして、新興国で低コストで生産された工業製品がそれらの国の発展を生み出し、日本の製造業の相対的な凋落を生み出し、そして全体的には世界の豊かさを生み出しています。
 だとすれば、日本の役割は、コピーされるものを守ることではなく、新たに、コピーされ得るものを創造することです。
 創造は、人間が本来持っている性質です。動植物に生まれながらの繁殖力があるように、人間には生まれながらの向上心と創造性があります。それを引き出すのが、創造をよしとする文化と、創造をよしとする教育です。
 日本が発展してきたのは、進んだ欧米先進国の科学技術を見て、それをコピーして満足するのではなく、独自に自国でもその技術を創造しようとしたからです。
 今、日本の産業でふるわない分野があるとすれば、それは楽なコピーにとどまっているからです。
 今後、日本は、先に進んでいた国からコピーするものがなくなる時代に突入していきます。
 工業製品に限らず、社会制度にしても、多数決民主主義や三権分立などの制度は、欧米のコピーでした。これらの文化も、今後は単なる正確なコピーにとどまらず、新たに日本的に創造する時代に来ているのです。
 この創造を価値とする未来の日本を展望した上で、過疎化する地方と、高齢化する都会と、その背景にある少子化の進行という問題の対策を考えていく必要があります。
 私が考えるのは、子供たちの創造的な教育を目的とした、インターネットの活用による、都会と地方の連携です。
 地方の過疎化を考える場合、いちばんの問題となっているものは、地方で生産性の高い産業を生み出せていないということです。
 農業も、観光も、トータルな生産額は大きくても、個々の生産者にとっては低い生産性で、つまり低い時給で経営されています。医療や介護や福祉が、今後生産性の高い産業になると考える人もいますが、それらは後ろ向きの産業です。
 生産性の高い未来の産業として、子供たちの教育産業を地方で作り出し、インターネットによって地方性を克服するという方向が考えられます。
 その際の教育は、受験教育ではありません。受験教育は、受ける個人にとっては意味あるものですが、日本の社会全体にとっては(全体の学力を向上させるという効果はあったとしても)、何も新しいものを生み出していません。
 創造教育によって、将来新しい価値を創造するような子供たち、つまり受験秀才の量産ではなく、ノーベル賞級の天才の量産を目指していくことが、日本がこれから世界のリーダーとして指し示す先進国のモデルなのです。
 ノーベル賞級の天才を生み出すためには、創造の幅広い裾野が必要です。その裾野は、例えば、工場のカイゼン運動などで出されるような身近なところから始まる創造です。
 誰もが創造に関心を持ち、身の回りの問題を創造によって解決し、その創造を周囲が評価するという文化があれば、その文化の中で突出した創造が生まれてきます。
 身近な創造が社会を変えた例として私が思いつくのは、水車の発明です。水車によって、水流を動力として利用するだけでなく、川の水を低いところから高いところに移すという仕組みができました。これがその地域の農業の発展に果たした役割は、かなり大きなものだったと思います。
 しかし、その発明者が誰だったかは誰も知りません。このような無数の無名の発明が、人間の社会を発展させてきました。
 こういう創造を教育の第一の目的とし、その創造教育を社会の主要な産業として育てていくことが、これからの先進国の発展する方向です。
 言葉の森が今行っている寺子屋オンエアは、以上のような文脈で考えている新しい教育の提案です。
 そこで目指しているものは、子供たちのトータルな学力の教育、勉強以外の人間性や文化性の教育、表現・発表・創造の教育です。そして、その教育を支えるための、女性と高齢者の知的資産、経験的資産、文化的資産の活用です。
 これらをインターネットの利用によって、都会と地方の連携の中で展開していく仕組みを作れば、この新しい教育は、日本の国内にとどまらず、海外の日本人の子供たちにも広げていくことができます。
 日本の未来を切り開くものは創造です。これからの教育は、その創造を第一の目的としていく必要があります。
 その教育の中心になる場は家庭学習で、家庭学習はインターネットによって高度化していくことができます。その高度化する仕組みが寺子屋オンエアです。
 寺子屋オンエアを支える人材は、豊富な知的資産を生活の中で充分には生かしていない女性と高齢者です。
 そして、このインターネットを利用した、人間的なつながりのあるインタラクティブな教育が、地方の生産性を高め、都会と地方の問題を同時に解決するひとつの展望ともなっていくのです。


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