言葉の森新聞2014年8月1週号 通算第1332号
文責 中根克明(森川林)

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■■【重要】8月11日(月)-16日(土)は休み宿題
 予定表に書いてあるとおり、8月11日(月)-16日(土)は休み宿題になります。
 先生からの電話はありませんが、自宅でその週の課題を書いて作文を提出してください。ほかの日に教室に来るか教室に電話をして、その週の説明を聞いてから書くこともできます。
 休み宿題のときに、電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
 「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/index.php
 「ヒントの池」 http://www.mori7.net/mine/ike.php


■■振替授業について
 振替授業の受付時間は下記の通りです。
 (月~金)9時-19時50分 (土)9時-11時50分
 振替授業は予約制ではありません。作文が書けるときに直接教室にお電話ください。なお、夏休み中は、混みあうことがあるため、20分くらいお待ちいただく場合があります。
 8月11日(月)-16日(土)は、教室が夏休みのため、振替授業もありません。第5週目もお休みです。


■■夏休み中は返却講評が遅れることがあります
 夏休み中は、教室が休みになる週と担当の先生が休みをとる週があるため、作文の返却や講評が一時的に遅れる場合があります。ご了承ください。

■■小学校低学年の音読長文に、難しすぎるものがあるのはなぜか(つづき)
(前号の文章から)
 ほとんどわからない文章でも、最後まで読み切ると、必ずその人なりに理解できたという核のようなものができます。その核がたとえ小さくても、自分なりにわかったところがある、ということが大事なのです。
(つづく)
 低学年の子の文章力についても同じことが言えます。
 多読で易しく面白い本を楽しく読んでいくということが、まず基本です。
 しかし、その一方で、難しい文章を繰り返し音読して、意味の理解できないところがあっても、その全体像に慣れるということも大事なのです。ただし、低学年は長時間の勉強をするべきではありませんから、読むのに時間がかかる場合は、1ページ全部読むのではなく、番号で3番までとか、行数で10行までとか、句点の数で3つまでとか、あらかじめ制限を決めておいてもいいです。大事なことは、難しい理解できない言葉があっても、それを気にせずに、最終的にすらすら読めるようになるまで繰り返し読むということです。
 湯川秀樹は、幼児年長か小1のころに、四書五経の素読をさせられました。これは、その時期の子供にとっては、難しいどころが、全文意味不明の呪文のようなものだったと思います。しかし、この素読の目的は、書いてあることを理解することではなく、ただ繰り返し読んですらすら読めるようになることでした。しかし、書かれているのは日本語ですから、どんなに難しい文章であっても、すらすら読めるようになると、その文章に流れている雰囲気が頭の中に浮かび上がります。こういう読み方が、子供の考える力のもとになっていったのです。

 考える力は、易しい本の多読では身につきません。難しい文章の復読によって身につくものなのです。
 では、今回の課題集の長文が具体的にどのくらい難しいかというと、それは、次のようなものです。
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 スカートやズボンを買うときは、まずウエストのサイズを確かめます。では、地球のウエスト、つまり円周はどうやって測るのでしょう。
 現代の科学者たちは、メジャーの代わりに人工衛星を使います。北極と南極を通る二つの衛星で、地球を外がわから測るのです。そのようにして算出された数値は、約四万八千キロメートル。大変なウエストサイズです。
 しかし、今からおよそ二千二百年前、すでに地球を測った人がいたのです。エラトステネスは、ギリシャの数学者で天文学者(てんもんがくしゃ)でもありました。彼の時代には人工衛星などないので、地球が丸いことさえ知らない人がたくさんいました。もちろん、地球を測ることのできるほど長い巻尺もありません。エラトステネスが使ったのは、一本の棒きれでした。
 エジプトのシエネという都市にいたときのことです。エラトステネスは、一年でいちばん昼間の長い夏至の正午に、太陽が真上に来ることに気づきました。太陽の光が影を作らずに井戸の底まで届いていたからです。しかし、そこから北に八百五十キロメートルほど行(い)ったところにあるアレクサンドリアでは、同じ夏至の日の正午に影が見えたのです。そこで、エラトステネスはあることを思いつきます。
 彼はまず、アレクサンドリアにまっすぐな棒を立てました。正午にその棒が作る影を観察するためです。影の角度を測ったところ、垂直方向に対して七・二度でした。エラトステネスは地球が丸いことと円周の全体が三百六十度であることを知っていました。三百六十を七・二で割ると五十ですから、棒の角度七・二度は円周の五十分の一になります。ということは、シエネとアレクサンドリアの間の距離も、地球の円周の五十分の一と等しいはずです。そこで二つの町の距離を五十倍し、地球の円周は、約四万キロメートルから四万六千キロメートルだという結論に達したのです。それは、驚くほど正確な数値でした。
「エラトステネスさん、棒で測るなんて、いつ思いついたんですか。」
「ぼうっとしているときにね。」 
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 この長文の中の「三百六十を七・二で割ると五十ですから、棒の角度七・二度は円周の五十分の一になります。ということは、シエネとアレクサンドリアの間の距離も、地球の円周の五十分の一と等しいはずです。」などというところは、大人でも図を書いてみないとよくわかりません。
 低学年の子供が、この文章を読んで自力で内容を理解できることはまずありません。しかし、子供は、この文章を繰り返し読んで、次のように思うのです。「昔の人で、地球の長さを測りたかったという人がいたんだ」「その方法として、棒の影の長さを測るということを思いついたんだ」「大きくて測れないようなものでも、小さいもので測ることができる方法があるらしい」「しかも、それが数字で表せるぐらいに正確な方法らしい」。こういう理解が、その子供にとっての理解なのです。
 しかし、もちろんここで、お父さんかお母さんが登場して、図を書いて具体的に説明してあげれば、子供はやはりその説明を正確には理解できないかもしれませんが、大人の世界にはこういう不思議な学問的な方法があるらしいということを理解します。こういう学問の世界に触れることが、考える力のもとになっていくのです。
 今の教育は、理解を前提にしているので、子供の理解度に応じて、甘く柔らかく煮込んだようなものしか与えていません。そのひとつの例が、その学年で習っていない漢字を使わないというような国語の教科書です。
 人間は、将来たったひとりで世界に立ち向かっていかなければならないのですから、習っていようが、まだ習っていまいが関係なしに、まず世の中にあるものの全体にぶつかってみるという経験をしていくことが大事です。だから、難しい文章は、極端に言えばわからなくてもいいのです。しかし、できれば、お父さんやお母さんが、その難しい文章をおもしろおかしくわかりやすく説明してくれればなおいいのです。その際、大事なことは子供に理解させることではなく、お父さんやお母さんが、そのわかりにくい文章を説明しようとしてくれているという姿勢です。
 言葉の森の長文は、このような意味で、ときどきかなり難しい文章が入っていることがあるのです。


■■寺子屋オンエアのすすめ

 寺子屋オンエアとは、自宅で行う家庭学習をネットで共有する仕組みです。
 取り組む家庭学習の内容は自由ですが、どんな勉強をどんな方法でしたらよいのかというアドバイスを言葉の森の先生が行います。
 小中学生の勉強の基本は家庭での自学自習です。しかし、自習の仕方がわからないので、手軽な通信教材に頼ってしまう人が多いのです。
 通信教材では、でき太くんの算数クラブのように、子供たちが自分で取り組みながら力をつけられるような工夫がしてあるものもあります。しかし、それ以外の多くの教材は、子供がひとりでもできるように、ただやりやすさだけを前面に出したものになっています。だから、簡単なうちは続けられますが、それで力がつくわけではないので、学年が上がって難しい問題が出てくるようになると続けられなくなってくるのです。
 課題が易しいうちは、易しい通信教材で勉強できますが、それでは実力がつかないので、課題が難しくなってくると、多くの生徒は塾に行くようになります。
 ところが、塾で先生に教わるような勉強は、実は能率が悪いのです。人に教わる勉強は、わかることもわからないことも、みんな同じようなペースで教わります。教わっているときは勉強をしているような気がしますが、勉強の中身が本当に定着するのは、自宅でじっくり自分なりに考えるときです。人に教わる勉強は、自分で考える時間が少なくなるという点で能率の悪い勉強なのです。
 しかし、小中学生のころの勉強は、受験勉強も含めて、難しいとは言っても基本的には誰でもできる勉強なので、たとえ能率が悪くても長い時間をかけていれば、成績は上がります。塾に行って成績が上がる面があるのは、結局長い時間勉強をするようになるからです。
 この小学生時代の長時間の勉強は、二つの点で問題があります。一つは、長時間勉強することによって、本を読んだり自分なりに考えたり遊んだりする時間がなくなってしまうことです。もう一つは、教わる勉強に慣れてしまうために、高校生になっても自分で勉強する方法がわからず予備校に頼るような勉強になってしまうことです。
 勉強は、普段は自学自習で実力をつけておき、受験期には、志望校の過去問を分析し模試で自分の位置を見ながら受験用の勉強をする、という形で自主的に取り組むのがいいのです。
 ところが、小中学生のころは、勉強に対する自覚がないのが普通なので、家庭での自学自習は、だらだらしたものになりがちです。子供が小学高低学年のうちは、まだ親の言うことを聞きますが、学年が上がってくると、だんだん親が言ってもそのとおりにはやらなくなります。
 しかし、それは当然で、逆に小学校高学年になっても、親の言うとおりに素直に勉強する子は、反発するだけの自立心がないことも多いのです。小中学生のころに自立心のない子は、高校生になって自分の力で勉強をするときに、がんばりがききません。逆に、小中学生のころに親のいうことを聞かず、好き勝手にやっていた子は、高校生になっていざ勉強をすると決めると猛烈にがんばりだします。
 こういう点でも、勉強はできるだけ本人が自主的に取り組むような形で進めていくのがいいのです。
 寺子屋オンエアでは、子供たちが、「今日はこれをやります」という形でネット上で先生に報告し、そのやると決めたことを自宅でやっていきます。ネットでつながっているので、ひとりで勉強をしているのではないという実感があります。
 月曜日から金曜日の毎日午後5時から午後7時まで自由にアクセスできます(第5週目は除く)。ですから、1ヶ月の間、毎日参加するとすれば、20日間勉強ができます。それだけやっていれば、寺子屋オンエアのない土日でも、同じペースで自然に家庭学習ができるようになるので、毎日家庭での自学自習ができるようになります。小中学生の勉強は、この毎日欠かさずということが大事なのです。
 先生が勉強を教えるわけではありませんが、監督し、必要に応じてアドバイスする先生がいるので、料金がかかります(1ヶ月1人2,160円)。
 寺子屋オンエアに必要なものは、google+のアカウントとウェブカメラです。最初のうちは、操作がわかりにくいので、電話で対応しながら接続の仕方などのアドバイスをしていきます。
 将来は、この寺子屋オンエアを広げて、いくつかの家庭が協力して家庭学習をシェアする家庭塾のようなものができるとよいと思っています。そうすれば、特に誰かを先生として頼むのでなければ料金はかからないようにすることもできます。
 また、先生として頼む人についても、学校や塾で教えることに慣れているプロの先生ではなく、自宅で子供たちを勉強させることに慣れている人が適役です。その点で、地域の人格者のような人が先生役になって、複数の家庭が協力して寺子屋オンエアを運営するというようなやり方ができれば理想的です。そうすれば、文字どおりネット上の寺子屋のような教室になると思います。


■■再び、バノの大冒険

 6月27日の朝、「そういえば、オカメインコのバノと、文鳥のサク、両方ともまだ表に出していなかったなあ」と思いました。
 これから暑くなると、窓を開けることが多くなるので、うっかりバノたちを部屋の中に放しているときに窓を開けたら、表に出ていってしまうかもしれません。
 ペットで飼われている鳥は、いつも室内にいるために遠近感がなくなるらしく、外に出すと帰れなくなってしまうようです。
 そこで、まだあまり飛べないうちに、ときどき表に出して距離感をつかませておけば、いざというときにすぐに帰れるようになるだろうと考えました。こういう発想が問題あるらしいけど……(笑)
 ちょうど、スズメのえさやりの時間になったので、バノとサクを肩に乗せたまま表に出ました。すると、肩の上で、バノがぐっとジャンプしようとする重みが感じられました。
 やはり鳥だって、朝の明るい空のもとでは、思いきり飛んでみたくなるのでしょう。ってのんきなことを言っている場合ではありません。
 バノは、そのまま力強くジャンプすると、空高く舞い上がり、ぐるりと大きく弧を描き、しばらく上空を飛んでいましたが、やがて「ピー、ピー」とうれしそうに鳴きながら、駅のほうへと飛んでいきました。
 「さようならあ! バノー」なんて言っている場合ではありません。仕方ないから、飛んでいった方を探しに行ってみましたが、小さい鳥のことですから、どこにも見つかりません。そのかわり、根性の悪そうなカラスが、朝の街のあちこちにたむろしていました。
「おい、オカメインコ、見なかったか」
「アホー」
 朝、出勤してきたみんなに事情を話すと、ここでも露骨に、「ばかねえ」という雰囲気。
 しかし、そこで、ネットの掲示板やツイッターに投稿したらというグッドアイデアが出て、早速あちこちの迷子鳥の掲示板やツイッターに投稿してきました。
 それから5日後の7月2日、突然、知らない人からメールが来て、「お宅のバノちゃんではありませんか」という情報。迷子鳥の掲示板に、「7月2日、能見台でオカメインコを保護。金沢警察署に預けられています」という記事が載っていたのです。
 港南台から能見台までというと、直線距離で約5キロ。いつも室内で放しているので飛ぶことに慣れているから、風に乗れば飛べない距離ではありません。
 早速、金沢警察署に電話をして、7月11日に面会に行くことになりました。
 台風一過の暑い夏の日でした。
 名犬ゆめも一緒に連れて、金沢警察署へ。窓口は、会計課の落とし物係です。
 カゴの中のオカメインコに面会すると、やはり、あのバノでした。
 でも、警察の人にとっては、鳥なんてみんな同じに見えるでしょうから、「本当にそう?」というような感じです。
 そこで、カゴから出して、「バノちゃん」と手に止まらせると、また元気よく飛び立ち、警察署の中を飛び回りはじめました。みんな、飛んでいるバノと、飛ばしたこっちを注目。
 窓の高いところに止まったバノをやっと手に止まらせ、再びカゴに入れると、近くにいた赤ちゃんをだっこした人が、
「わあ、かわいい。見せてくれますか」
とカゴに近づいて、赤ちゃんと一緒にバノをずっと見ていました。
 警察署の人に、お礼のお菓子を持ってきていたのですが、「これは、仕事だからいいんです」と受け取りません。日本の警察は清廉です。
 それから、バノを車に入れて、ゆめと一緒に港南台まで約20分、教室に帰ってきました。
 帰ってから、それまでひとりでいた文鳥のサクと一緒にすると、サクは大喜び。早速、バノの背中に乗って遊んでいました。
「バノちゃん、もう飛んでっちゃだめだからね」
というか、飛ばしたおまえが悪いんだろ、という声がどこかから聞こえてきそうな夏の午後でした。


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