言葉の森新聞2012年11月1週号 通算第1246号
文責 中根克明(森川林)

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■■11月3日(土)は休み宿題
 11月3日(月)は、休み宿題です。先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前9時-午後7時50分。電話0120-22-3987)
 電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
 課題の説明の動画「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/
 授業と予習の掲示板「ジュンベリーの丘」 http://www.mori7.com/okajg/


■■中学入試、高校入試の受験志望理由書の書き方(過去の記事の再掲)
 志望理由書の書き方ということで、書店にはいろいろな本が出ています。書く内容は、それらを参考にしていただくことにして、ここでは、それらの本にはあまり書いていないことを説明したいと思います。

 第一は、子供任せにしないことです。志望理由書は本人が書くという建前になっていますが、小6や中3の子供に任せて、いいものが書けるはずはありません。と書くと言いすぎですが、ここはやはり親が全面的に協力して内容を煮詰めていくことです。
 第二は、明るい内容、面接で話題にしてほしい内容に絞ることです。明るさというのは、志望理由書以外に、作文の試験の場合も重要です。文章がうまければよいというのではなく、自分の好ましい人柄がにじみ出るように書いていくことが大事です。
 第三は、勉強の話を中心にしていくことです。学校は勉強をするところです。それなのに、部活や友達や趣味の希望をたっぷり書いてしまう人がいます。学校で青春を楽しみたいという気持ちはわかりますが(笑)、勉強をしにいくのだという原点を大事にしておかなければなりません。その学校に入ったら、どんな勉強を何のためにどういうふうにやっていきたいかということを書いていくことです。
 第四は、書くスタイルです。よく直接鉛筆で書いて、手書きの原稿を推敲している人がいますが、それでは十分な推敲はできません。まず最初に、自分が普通に書くぐらいの字の大きさで、読み手にとって見にくくない程度の文字で2、3行手書きで書いてみます。そして、1行の平均的な字数を数えます。そのあと、その字数と行数に合わせてパソコンで下書きを書いていきます。パソコン上で推敲を十分に行ってから、最後は手書きで清書をするようにします。
 第五は、書いたものは、必ず書いた本人以外の他人に見てもらうということです。本人がアピールしたいと思っていることと、相手に実際にアピールすることとは違います。どういう内容がアピールするかというと、ひとつは挑戦したことがわかる話、もうひとつは継続したことがわかる話で、これらに客観的な裏づけのあるデータを入れて書きます。客観的なデータとは数字や固有名詞のことで、例えば、「○年間、○○の委員長を務め、○○という工夫をして、○○パーセントの成果を上げた」というような書き方です。

 志望理由という言葉から、自分の希望を中心に書いてしまいがちですが、未来の話はだれも同じようなものになりがちです。自分らしい過去の実績を盛り込みながら書いていくことが大事なのです。


■■受験に勝つために、そして、受験後にも(過去の記事の再掲)
 例年、「受験生は、夏休み前までに過去問を」と、もう何十年も言い続けているのに、あいかわらず秋から過去問に取り組むという人がかなりいます。
 受験勉強は、情報戦です。旧日本軍と同じように、情報戦で戦略的に既に大きく後れをとっているのに、個々の戦闘でだけがんばるという勉強の仕方をする人が多いのです。
 夏休み中に、自分流の勉強をした人と、ただ漫然と塾や予備校の夏期講習に通った人とでは、大きな差が出ます。夏休み中に自分流の勉強をするために、夏休み前の過去問分析が欠かせないのです。
 夏休み前までの模試はあてになりませんが、夏休み後に行われる模試は、ほぼ正確に実力を反映します。
 受験を左右するのは、偏差値ではなく総合点です。まだ過去問に取り組んでいない人は、過去問を、答えを書き込みながらでもいいので、全教科解いてみて、どの教科でどのぐらい得点するかという作戦を考えていきましょう。
 塾や予備校でも、過去問は仕上げにやると言っているところが多いようですが、それは、生徒が早い時期に過去問に取り組むと対応しきれなくなるという教える側の都合によるものです。
 受験に全責任を負っているのは、本人と保護者だけです。他人に頼らずに自分の判断で勉強に取り組んでいきましょう。

 国語の成績を上げるコツは、ある意味で簡単です。一つは問題文を読む練習をすることです。もう一つは、選択問題の解き方のコツを学ぶことです。選択問題の解き方は、1、2時間もあればすぐに理解できます。
http://www.mori7.com/index.php?e=769
 さて、人生で大事なのは、受験に勝つことでありません。受験が終わったあと、どういう勉強をして、どういう人間になるかということです。
 受験に合格することを目的にしてしまうと、合格したあとに勉強が途絶えてしまいます。
 合格することが目的なのではなく、合格後、又はたとえ第一志望に合格しなかったとしてもその後、社会に出て立派な社会人になり、世の中に貢献していくことが本当の目的なのだと今から話しておくといいと思います。


■■受験直前の作文小論文(過去の記事の再掲)
 今回は、受験直前の取り組みの説明です。
 まず、作文小論文の試験では、どういう課題が出るかわかりません。ここがいちばん不安なところです。この不安をなくすには、次のように考えることが大切です。「運がよければ、いい課題が出るだろう(笑)」。
 書きやすい課題が出れば自分の普段の心がけがよかったからだと考えます。しかし、書きにくい課題が出たときは、「こんなに書きにくいのだから、ほかの人もみんな苦労しているだろう。だから自分は自分のベストを尽くせばいいのだ。ラッキー」と思えばいいのです。
 さて、直前までの勉強の中心は、これまでに書いた自分の文章です。どんな参考書よりも自分の書いた文章がいちばんの財産です。書いたものを何度も読み直し、自分なりによく書けているところに赤ペンで線を引いていきます。それを試験の直前まで続けていってください。よく書けているところとは、切れ味のいい表現、感動のあるエピソード、味のある会話などのあるところです。
 試験の当日には、自分の書いた文章のファイルと1冊の本を持って出かけます。本は、空いている時間などに読みましょう。小説よりもノンフィクションの方がいいでしょうが、自分の好きなものでかまいません。これは、面接のときも同じです。何気なく手に持っていった本が、作文試験や面接のときに意外と使えることがあります。
 試験の会場でも、時間があれば、これまで自分が書いた文章のいいところだけを読んでおきましょう。
 試験が始まったら、課題を見て、これまでに書いた文章の使えそうなところを簡単にメモします。作文に、その使えそうなところが三つも入れば大成功です。もちろん、使えそうなところが何もなくても大丈夫です。これまでに書いたものが頭に入っているので、書いている間に自然に続きが出てきます。
 書いたあとは、もちろん読み返し。1、2文字の訂正なら消しゴムで、それ以上の長い訂正は消しゴムを使うと汚くなるのでなるべく訂正をしないように工夫していきましょう。原則として消しゴムは使わないつもりで書いていきます。これは普段の練習のときも同じです。
 試験までにまだ時間があり、もう少し書く練習をしたいという場合は、自分がこれまでに書いたものと同じテーマで同じ内容を時間内に書く練習をしていってください。新しい課題に取り組む必要はありません。書く時間が取れないときは、頭の中で構成を考えるだけでも練習になります。
 それでは、試験まで、これまでに書いたものを何度も読み返してがんばってください。


■■生活の中で力をつける国語(つづき)

 海外で自分の子供に日本語を学習をさせている人の例で、日本語の漫画やアニメやドラマを見せたという学習法が紹介されていました。机に向かって真面目に国語の勉強的なことをするよりも、こういう漫画やアニメやドラマを楽しむ方が、ずっと生活の中に溶け込んだ国語力になるのです。
 ほかにも、生活の中で国語の力をつける例として、普段の家族の会話を少し長い文で話すようにする、勉強よりも読書の時間を優先させる、ときどき少し難しいテーマで家族でお喋りをする、漢字の書き取りのような書く勉強よりもルビつきの本を読むような読む勉強を中心にする、国語教室のようなところに行くよりも家庭生活を充実させる、などが考えられます。
 国語の勉強は、勉強的な形で難しいことを短時間するよりも、生活の中で楽にできることをふんだんにやっておくことが大事です。その基礎の上に、少しずつ難しい文章を読む練習に切り換えていくのです。


■■国語力と読書力(facebook記事より)

 読書の量だけ多くても、国語の成績は上がらないという人がいます。
 しかし、ここに重要な勘違いがあります。
 確かに、読書の量を増やしても、国語の成績にはあまり大きな影響はありません。(短期的に言えばほとんど影響ありません)
 その理由は、(1)子供たちが読む本は、入試問題を解くのに必要とされる読解力よりも易しいのが普通で、(2)また、読書が読解力に反映するまでには、思っている以上に時間がかかるからです。
 しかし、大事なことは、読書は国語の成績を上げるためにするものかということです。
 その子の人生という大きな視野で見た場合、国語の成績を上げることと、読書によって何かを得ることと、どちらが豊かな実りをもたらすでしょうか。
 国語の成績とは、人為的に作られた重箱のようなものです。
 読書とは、自然に広がる大きな海や山のようなものです。
 だから、国語の成績を上げるコツは、すぐに教えることができるのです。
 しかし、そんな重箱の隅をつつくテクニックに習熟するよりも、広い海や山で遊んだ方が楽しいから、本好きな子は読書をするのです。
 国語の成績を上げることと読書をすることは、十分に両立します。
 それは、自分の好きな面白い本を読みながら、その一方でもっと難しい文章を繰り返し音読したり暗唱したりすることによってです。
 その結果は、作文に現れてきます。
 国語の成績は、目的ではなく結果です。
 国語の得意な子は、国語の勉強などをとりたててしていない子です。
 読書をしても国語の成績は上がらないという言葉を真に受けて(笑)、読書をやめてしまうことのないようにね。
 ということで、facebookグループ「読書の好きな子になる庭」。
http://www.facebook.com/groups/118437524908264/


■■家庭学習の進め方、家庭での対話の仕方(facebook記事より)
 家庭学習で大事なことは、形の残らないものができるということです。
 学校や塾でやる勉強は、どうしても問題を解いて答え合わせをするような形の残るものが中心になります。しかし、本当に身につくのは、音読、読書、CD聴取、対話など形の残らないものです。
 形の残る勉強は、いつでもできますが、形の残らない勉強は、習慣がつくまでは決まった時間にやらないとなかなかできません。その方法は、朝ご飯前にするか、アラームをセットしておくかです。(このアラームのセットが意外と効果的)
 家庭学習の基本は、先取りよりも定着120%を目指すことです。勉強は、むしろ後取りぐらいでいいのです。(ただし、漢字の読みは先取り、英語の聴取は小4からの先取りで)授業で習ったことをしっかり定着させていれば、受験前の集中学習ですぐに受験に対応した学力がつきます。
 先取りでも、後取りでも、基本になるのは、できないところがなくなるまでやることです。(これが120%という意味です)しかし、プリントや問題集を次々にこなす学習では、できるところもできないところも同じように繰り返します。今の子供たちの勉強の多忙さは、ここから来ています。
 できるところは、もうやらずに、できないところだけ繰り返すという工夫ができるのが家庭学習です。そのためには、問題集は1冊に絞り、それを何度もやり直すことです。(参考書も1冊、CDも1枚。すべてシンプルに)
 これからの勉強の中心は、家庭での学習になります。しかし、今の家庭学習は、学校や塾でやっている勉強と同じことを家庭でやるようなものになっています。だから、親も多忙になり、子供も多忙になり、多忙なわりに実力もなかなかつかないのです。(T_T)

 次は、家庭での対話の仕方です。
 ただのお喋りでも楽しいのですが、中身のある対話をするためには、それなりの準備が必要です。その準備のひとつは、子供が毎日長文の音読をしていて、その音読の話題をもとに話をすることです。すると、対話の話題そのものが高度になってきます。
 親の心構えとしては、子供と同じ水準で話すこと、親自身の体験をもとに話すことです。知識の量では、親の方が子供よりも圧倒的に多いので、知識を披露するような話では、子供は聞き役になってしまいます。親が自分の体験をもとに話せば、子供は聞き役から自分も話し役になろうとします。
 対話はディベートではありません。相手の意見と違うところを論じ合うのではなく、似た例を出し合うのが対話です。時に意見の違うところがあっても、その違いは保留にして、一致点だけを生かしていけばいいのです。
 対話の意義は、次のようなものです。
1、理解力、思考力が育つ
2、表現語彙が増える(作文と似ています)
3、似た例を聞くことで人生が豊かになる(読書と似ています)
4、家庭での対話の文化が育つ(対話で育った子が親になれば、もっと対話はしやすくなるでしょう)
5、音読の目標ができる(これはおまけ(笑))


■■記憶力、理解力、創造力(facebook記事より)

 学力には、記憶力と理解力と創造力とがあります。
 記憶力とは、外にある情報を自分の中に取り込む力です。
 理解力とは、内部化された知識を抽象的な概念で統合する力です。
 創造力とは、その知識や概念を組み合わせて新しい概念を作り出す力です。
 記憶力が横に広がるお皿のような平面の広さだとすると、理解力はその上に積み重なるトンガリコーンの高さです。(あまりいいたとえじゃないか)
 すると、創造力は、お皿の下に生えてくるトンガリコーンの深さです。(更に変なたとえになった)
 人間には、ある知識を知るだけでは飽き足らず、知識と知識の間にある関係を知りたいという気持ちがあります。
 だから、子供はすぐ、「どうして」と聞くのです。
 この「どうして」が、子供が新しい概念を獲得するチャンスです。
 家族の対話の中で、子供が、「どうして」と聞いたら、お父さんやお母さんがそれを一緒に考えてあげるのです。
 たとえ答えの出ないことであっても、考えること自体が考える力を育てます。
 間違っても、「そんなこと考えている暇があったら、宿題でもやりなさい」などと言わないこと(笑)。
 考える子供を育てるためには、親も一緒に考えることが好きになる必要があるのです。
 ところで、今の勉強には、この理解の仕方そのものを記憶させることで成績を上げるという方法もあります。
 この方法は受験勉強には役立ちますが、本当の考える力をつけることには役立ちません。
 なぜかというと、理解の仕方を記憶させるためには、その問題がパターン化されている必要があるからです。
 社会で遭遇する問題の多くは、過去問のない新しい問題ですから、解法を記憶するという発想では対応できないのです。


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