言葉の森新聞2008年12月1週号 通算第1057号
文責 中根克明(森川林)

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■■【重要】12.1週は進級テスト
 12.1週に、作文進級テストを行います。
 提出が遅れた場合は進級できません。(12月7日ポスト投函まで)
 課題フォルダの字数・構成・題材・表現・主題の●印が全部できていることが合格の条件になります。(表現の項目などで「たとえ」と「ダジャレ」など二つ以上の項目が指定されている場合はどちらかができていればその項目は◎です)。キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いていってください。中学生以上の時間制限については、今回は採点の基準にしませんが、できるだけ時間内に書き上げる力をつけていきましょう。
 手書きで作文を書く人は、項目ができたところにシールをはっておいてください。
 パソコンで作文を書く人は、キーワードを入れておいてください。
 小学生の場合は、提出する前に、おうちの方が字数と項目シールをチェックしてあげてくださるとよいと思います。
 小学2年生までの生徒は、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。10月以降に受講を開始した生徒も、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。ただし、いずれの場合も、賞状は出ますので、できるだけ字数と項目ができるように書いていってください。


■■【重要】12.1週の作文はファクスでも受付
 12.1週に限り、ファクスによる提出も受け付けます。ファクスでの提出期限も12月7日です。ただし、ファクスで提出をする人は、事前にメールアドレスを登録しておいてください。

1、ファクスが正常に送信できているかどうかは、24時間以内にメールと検索の坂で連絡をします。正しく送信できたかどうかを必ずご確認ください。

2、連絡用のメールアドレスは、検索の坂の「ペンネーム 変更」というところで登録できます。既にメールアドレスが入っている場合は、そのアドレスが登録されています。

3、ファクスで送られた作文は、作文の丘にPDFでアップロードされます。本人への返却はありません。
4、ファクスで送られた12.1週の作文に限り赤ペンの添削はありません。(通常は、ファクスで送られた作文にも赤ペンの添削があります)


■■【重要】10月からの提出回数も進級条件に
 進級テストの締め切りまでに、1ヶ月に1回分以上提出がないと進級できません。
(10月分で1回以上、11月分で1回以上ということです。10月中に11月分を書いたり、11月や12月に入ってから10月分を書いたりすることはかまいません)
 振替の授業は、平日9:00―19:50土曜9:00―11:50で受け付けています。


■■マインドマップ風構成図の意義と方法
 マインドマップというのは、創案者であるトニー・ブザン氏の商標です。
 ここで説明するのは、マインドマップの手法ではありません。私(森川林)が、マインドマップが日本に紹介される前から、独自に行っていた発想法です。ただ、枝分かれをする外見がマインドマップに似ているので、マインドマップ風の構成図という名前で説明しています。
 これから、中学生以上の生徒のみなさんは、このマインドマップ風構成図を書いてから作文を書くという形で勉強していく予定です。

 まず、意義を簡単に説明します。
 脳の中には、たくさんの情報があります。このたくさんの情報を、人間は短期記憶を使って考えています。
 短期記憶というのは、7つぐらいのものを覚えておく記憶です。例えば、初めて聞く電話番号は、その場でしか復唱することができません。そういう記憶が短期記憶です。記憶には、このほかにいろいろな種類がありますが、今はあまり関係ないので説明しません。
 短期記憶は短い時間しか覚えていられませんが、いくつかの記憶単位を一つのまとまりにすると覚えやすくなります。これをチャンク化と言います。例えば、√5を2.2360679と覚えるのではなく、「フジサンロクニオームナク」と覚えるようなやり方です。一つ一つの数字を覚えるのではなく、数字のグループをひとまとまりの意味をもったものとして覚える覚え方です。
 さて、人間は、7つぐらいの短期記憶という狭い筒を通して脳の中の多数の情報を見る、という形でものを考えます。だから、筒が見ているところは思考の材料になりますが、筒が通り過ぎたところやまだ見ていないところは、思考の材料になりません。短期記憶の枠からこぼれてしまうのです。
 そこで、作文を書くときに、少し文を書くと少し考える、また少し文を書くと少し考える、という書き方をするようになります。つまり、書きながら考える、又は考えながら書くという書き方をしてしまうのです。
 このために、文章を書くのは、とても時間のかかる作業になります。また、書きながら考えるので、構成がうまくまとまらない場合も出てきます。言わば、書き上げてみないと、どういう作文になるかわからないというという書き方です。
 ところが、マインドマップ風構成図は、とりあえず頭の中にある情報をすべて紙の上に並べることができます。これは、ブレーンストーミングやKJ法などの考え方と似ています。
 書き上げた材料を眺めると、それは自分の脳の中にある材料を眺めていることと同じです。全体を眺めているうちに、無駄のない構成ができてくるのです。
 したがって、マインドマップ風構成図を活用した新しい作文の書き方は、次のようになります。
 マインドマップ風構成図は思考する作業だけを分担します。作文は表現する作業だけを分担します。作文を書きながら立ち止まって考えるような書き方は、もうしません。このように思考と表現を分離することで、能率をアップすることができるのがマインドマップ風構成図の特徴です。
 更に、これは能率を上げるだけではなく、新しい「知」を創造するということにも結びついていきます。
 以上が、マインドマップ風構成図の意義です。

 次は、具体的なマインドマップ風構成図の書き方の説明です。
 まず、準備するものは、紙と鉛筆です。普通は、作文用紙の裏か表を使い、筆記用具はシャーペンなどでいいでしょう。あるいは、5ミリ方眼罫のA4ルーズリーフを使い、カラーペンで書くということでもよいと思います。カラーペンを使うと、話題が変わったところで色分けができるので、あとで読みやすいからです。
 書き方は、最初にまず、目的を明確にします。作文ですから、目的というよりも、課題と考えておくとよいと思います。
 次に、その目的に応じた方法や条件を明確にしていきます。これも作文ですから、方法というよりも、項目と考えるとよいでしょう。
 そこで、マインドマップ風構成図の最初の書き方はこうなります。
┏━━━━━━━━━━
┃1、課題
┃(1)……について
┃2、項目
┃(1)名言を入れる
┃(2)体験をもりこむ
┃……
┗━━━━━━━━━━
 このような書き方です。人に見せるためのものではないので、自分なりにポイントがわかるように書いてあればそれで十分です。
 課題と項目がはっきりしたら、その下にマインドマップ風構成図を書きます。
 書き方で大事なことは三つあります。
 第一は、思いついたことを次々と書くということです。取捨選択する必要はありません。思いついたことを書く場合、単語よりも短文の方が見やすいと思います。しかし、ひと目では読めないような長い文にはしないというのがコツです。
 第二は、考えの流れがわかるように、短文どうしを矢印や線でつなげながら書いていくということです。
 第三に、カラーペンを使っている場合は、話題の変わるところで色分けをしておくとあとで見やすくなります。
 書き方を例示すると、こういう形です。
┏━━━━━━━━━━
┃1、課題
┃(1)……について
┃2、項目
┃(1)名言を入れる
┃(2)体験をもりこむ
┃――――――――――
┃……。→……。
┃     ↓
┃……。←……。
┃ ↓   ↓
┃……。 ……。
┃……
┗━━━━━━━━━━
 このような構成図を全部書き終えたら、全体を眺めてみます。眺めているうちに、どういう順序で書くかが決まってきます。
 そして、いったん書き始めたら、もう途中で立ち止まって考えないようにします。もし、書いている途中で考えそうになったら、マインドマップ風構成図に戻ってまた書き続ける、という書き方になります。マインドマップ風構成図を書いている段階で、考えることはもうすっかり終わっているということです。
 時間配分は、こんな感じです。
 1200字の作文を書く場合、これまでは速い人で60分ぐらいかかっていました。普通は90分から120分かかると思います。
 マインドマップ風構成図を書く時間は、5分から10分です。そして、構成図をもとにした作文は、20分から30分です。つまり、これまでの2倍から3倍のスピードで書けるということです。しかも、これまでの作文よりも構成がわかりやすく密度の濃い文章になることが多いでしょう。
 マインドマップ風構成図のあとに、音声入力で文章を書くようにすると、スピードはもっと速くなります。音声入力では、ICレコーダを使って、音声を1文ずつ録音していきます。1文ずつの録音なので、間違えた場合もその1文だけ訂正すればそれですみます。この書き方だと、マインドマップ風構成図が5分から10分、音声入力が5分ぐらいで書けます。つまり、これまでの作文の書き方の5倍から10倍速く書けるようになるということです。
 この音声入力の仕方は、また別の機会に説明します。

【マインドマップ風構成図の例】


■■東京タワー(もんぴぃ/おのぴ先生)
 「東京タワーオカンとボクと時々オトン」でおなじみの東京タワーは東京のシンボルであり、また観光名所でもあります。展望フロアーもありますがその主な役目はラジオやテレビの電波を発信する集約電波塔です。1958年に建設されて以来、長い間私たちに様々な情報を届けてくれています。しかし時代の流れとともに高層ビルがたちならぶようになったせいでしょうか、電波障害等の問題ができてきてそれを解決する必要がでてきました。そして墨田区の方に新しい電波塔がたつことになり、7月に建設がはじまっています。それが東京スカイツリーで、2011年に完成するそうです。東京タワーの高さは330メートルでパリのエッフェル塔より少し高いのですが、東京スカイツリーは610メートルとさらに高くなります。超高層ビルといわれる横浜のランドマークでさえ、約300メートルですから、その倍の高さを下から見上げるとするとどのようになるのか想像がつきませんね。
 電波塔としての役目を終えると東京タワーの役割は観光名所だけとなります。高さでは、東京スカイツリーに負けてしまいますから、そんな中で名所として生き残るのはたいへんだと思います。かのエッフェル塔も以前電波塔の役目を終えて解体が決まったことがありました。しかし軍の無線の送信に使用することが決まりかろうじで解体を逃れ、今では国防上の重要な建物として残っているのだそうです。
 人はより高いもの・より速いものなど、よりよいものを常に求めますから、4年生の長文にあったランプように、時代の流れと共に衰退してしまうものが必ずでてきます。まさか東京タワーが同じような状況になるとは思いませんでしたが、どんなものでも必ず時代遅れになる可能性があるということなのではないかと思います。そうなると、今までの栄光にすがっていては生き残れません。東京タワーがこれからどういう方向で観光名所として生き残っていくのかたいへん興味深いことですが、私たちも常に何かを吸収してかわろうとする前向きな心を持つように心がけたいものです。


■■知恵のある言葉(うさぎ/きら先生)
 言葉の森の課題集の中に次のような文章があります。ユーカリの山10.2週の長文で、出典は「天声人語の七年」です。
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 「情報」「知識」「知恵」という三つのことばにかぎカッコをつけたのには意味がある。人の話を聞く時、その内容を、この三つに分類しながら聞くと、なかなか面白いからだ。・・・・・・
 うまく情報を伝えてくれる人が好ましい。また知識についても同じことが言える。三番目の知恵が、最も興味深い分野である。・・・・・・
 世の中には、情報には疎いかもしれないが、豊かな人生の知恵を持った人がいる。そうかと思うと、情報にはやたら詳しいのに、まったく知恵のことばを吐かない人がいる。そして、人間として魅力があるのは、もちろん知恵のある人である。
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 毎年、この週がめぐってくるたび新鮮に感動する文章です。私も、知恵のある言葉を持ちたいものだと憧れます。そこで自らを省みるわけですが、私の口から出てくる言葉は、どれも誰かから教わり伝え聞いたもの(情報)ばかりで、「人生経験に照らした上での知恵」にたどり着いていないことに気づかされます。意気消沈するのですが、こればかりは焦ってどうにかなるものでもないし、我武者羅につかまえにく類のものでもないですね。毎日、真面目に生きていくよりありません。

 知恵のある言葉といえば、世の中の金言名言があるでしょう。偉人たちの遺した言葉は、普遍性と示唆に富むすばらしいものばかりです。しかし、どことなく高い、別のところにあるように感じるのは、時代や国が違ったりするせいでしょうか。やはり胸にとびこんでくるのは、日本のふつうの人々の語った言葉です。

 たとえば、おばあちゃんたちの言葉。お母さんをずっとながいあいだやってきた人たちの言葉です。「佐賀のがばいばあちゃん」は本や映画やドラマでたくさんの人に感動を与えました。感動の中心はなんといっても、ばあちゃんの言葉のひとつひとつです。
「人に気付かれないのが本当の優しさ、本当の親切。」
「時計が左に回ったら、壊れたと思って捨てられる。
 人間も昔を振り返らず、前へ前へと進め! 」
暮らしの中で語られた言葉だからこそ、ちょくせつ腹の中にしみてくる感じがします。 がばいばあちゃんは、全国どこにも、だれのおばあちゃんにもいるはずです。そんなおばあちゃんたちの話を、直接聞く体験を持ちたいですね。

 どんな素晴らしい言葉でも、本で読むだけなら、それは「情報」や「知識」にとどまってしまいます。しかし、いっしょに何かをしながら聞くのならば、それは経験をともなう「知恵」になっていきます。こう思いあたった時、自分なりに懸命に育ててきたわが子たちに、「知恵」の種をちゃんと与えてきたかしらと不安になりました。子どものためにと勉強や受験で手助けすればするほど、知恵の伝授からは遠ざかっているように思います。本や教材任せにしないで、親から子へ話してきかせる勉強をさせなくてはいけません。
 そうして、知恵の言葉がたくさん行き交うような世の中にしたいものです。


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