言葉の森新聞2008年3月1週号 通算第1021号
文責 中根克明(森川林)

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■■【重要】3.1週は進級試験
 3.1週に、作文進級テストを行います。
 提出が遅れた場合は進級できません。(3月8日消印まで)
 課題フォルダの字数・構成・題材・表現・主題の●印が全部できていることが合格の条件になります。(表現の項目などで「たとえ」と「ダジャレ」など二つ以上の項目が指定されている場合はどちらかができていればその項目は◎です)。キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いていってください。中学生以上の時間制限については、今回は採点の基準にしませんが、できるだけ時間内に書き上げる力をつけていきましょう。
 手書きで作文を書く人は、項目ができたところにシールをはっておいてください。
 パソコンで作文を書く人は、キーワードを入れておいてください。
 小学生の場合は、提出する前に、おうちの方が字数と項目シールをチェックしてあげてくださるとよいと思います。
 小学2年生までの生徒は、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。1月以降に受講を開始した生徒も、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。ただし、いずれの場合も、賞状は出ますので、できるだけ字数と項目ができるように書いていってください。


■■3.4週に作文検定模試を予定
 3月4週に、日本語作文小論文研究会による作文検定模試を予定しています。
 自宅で書いていただく形になるため、時間制限などができませんので、正式の作文検定ではなく模擬試験という扱いになります。しかし、この模擬試験によって、自分の作文の実力がつかめると思います。
 なお、通学教室の生徒の場合は、時間制限のもとで行いますので、正式の作文検定となります。合格した場合は作文検定の級が認定されます。
 通信の生徒でも、港南台(横浜市)の通学教室に来られる方は、正式の作文検定として受検できます。
 なお、作文検定も作文検定模試も今回は費用はかかりません。
 日程などは後日お知らせします。


■■内輪の父母の広場を開設
 父母と講師が自由に意見交換ができるように、内輪の父母の広場を開設しました。このページは、登録した父母と講師だけが閲覧できますので、生徒や一般の方は入れません。登録にはメールアドレスが必要です(携帯のメールアドレスも可)
http://www.mori7.com/hubo/
 早速、その中の記事から(笑)。

「オプションの読書サービス」
 学年に応じて読書のレベルが上がっていく子は、国語の力も上がっていきます。
 しかし、多くの子は、小学校低中学年のころはよく読んでいても、高学年、中学生、高校生となるにつれて読書から遠ざかっていきます。
 本人も親も読書の必要性を感じているのですが、具体的に読むきっかけがつかめないまま、日々の宿題やテストに追われて読書が後回しになっているというのが実態です。
 そこで、言葉の森の指導のオプションとして、おすすめの図書を毎月配本するということを考えました。
 今はアマゾンなどで本の在庫状況がわかりますので、絶版の本などは別の本に差し替えるなどコントロールすることができます。
 また、いったん購入した本でも、古本に出したり、生徒どうしで貸し借りをしたりする仕組みを作れば、有効に活用することができます。
 更に、本の紹介や感想などを書くコーナーを設ければ、充実した読書指導ができそうです。
 新学期に向けての仕事が一段落したら、早急に取り組んでいきたいと思っています。


■■海外からの手書き作文はファクスで可
 海外からの作文送付について、やりやすい方法を検討してきましたが、手書きの作文の場合は、言葉の森でファクスを受信するという形が最も保護者の負担にならないようだの結論になりました。
 その結果、作文の送信方法は、次の3通りになります。いずれも無料です。
(1)作文の丘からパソコン入力の作文を送る
(2)ファクスで手書きの作文を送る(ファクス045-832-1466)……ただし海外の生徒のみ
(3)作文の丘からPDF化した作文を送る


■■森リンが生まれた背景
 作文検定で使われている文章自動採点ソフト森リンは、日本独自の技術として作られました。
 当時、アメリカでは既に小論文の自動採点ソフトe-raterが開発されていました。日本における自動採点ソフトも、基本のアルゴリズムは、このe-raterに沿ったものでした。私は、そこに一抹の不安を感じたのです。
 かつて、日本では一太郎という優れたワープロソフトがありました。しかし、機能的には劣っていたマイクロソフトのワードに駆逐されてしまいました。その間の事情は、私自身がワープロ専用機からパソコンのワープロソフトに移行し始めた時期だったのでよく覚えています。
 一太郎の方が日本語にずっとなじんでいて、ワードは英語のワープロソフトをそのまま日本語に翻訳したような不自然さがありました。しかし、ワードには、同じマイクロソフト社のエクセルやアクセス(データベースソフト)に連携できるという長所がありました。私は、仕事の関係でどうしてもデータベースソフトを中心にする必要があったため、当時少数派だったワードを使うことを選択しました。その後の展開は、やはり他のアプリケーションと連動させられるマイクロソフトのワードが主流になる形で進みました。
 同じことは、ロータス123とエクセルの関係にも、ネットスケープとインターネットエクスプローラの関係にもあてはまります。
 この、自社製品で世界のすべてをカバーしようとするのは、マイクロソフト社の風土というよりも、アメリカの風土とも言えるものです。自社製品、つまり自分の価値観を世界に当てはめたいという勢力と、自分の価値観を自分の世界にとどめておきたいという勢力が対峙した場合、勝利するのは常に世界に広がろうとする側です。
 私は、文章自動採点ソフトという分野にも、同様のことが起こる可能性があると考えたのです。日本語は、今世界化の波とディジタル化の波に翻弄されています。日本語の文字コードだけでも、既にShift_JIS、EUC-JP、UTF-8などといくつもに分かれています。そして、そのほとんどが日本人の限られた参加の中で、主にアメリカの発案で進められているのです。
 日本人が、知的に優れた民族でありながら、コンピュータに関する分野ではどんどん後れを取っているのは、文字コードが分立しているためというのが一つの大きな理由です。日本人がコンピュータの学習を始める場合、日本語の文字コードによるトラブルに必ず遭遇します。このため、コンピュータの学習の底辺が広がらないのです。
 日本語に関することは、やはり日本語を母語とする人の手によって、日本の伝統を尊重しつつ改革されていかなければならないと思います。
 森リンが、日本独自の技術として作られた背景には、このような事情があったのです。


■■「大きな耳、小さな口、優しい目」(よう/まえ先生)
<<えa/1205み>>

 「違うよー、アンパンマンは青い帽子だよー」
……、突然アンパンマンの話で失礼します(笑)。我が家の娘(1歳3ヶ月になりました)は今、アンパンマンのマグネット絵本に夢中です。このマグネット絵本というのは、絵本にマグネットがついた小道具(という表現でいいのかな?)が付いていて、絵本の筋に合わせて小道具を選び、貼りつけてその場面を完成させて遊ぶ、言わば「遊び絵本」です。いくつかシリーズがあるようですが、うちにあるのは「いろいろおてんき」。アンパンマンやバイキンマンが、晴れた日に帽子をかぶったり、雨の日にかさをさしたり……、たとえば、「アンパンマンは青い帽子、メロンパンナちゃんは赤、バイキンマンは黒の帽子だよ」と書いてあるので、いくつかあるマグネットの中から、それぞれの帽子のマグネットを選んで、各キャラクターに貼りつけるような遊びです。大人からしてみればなんとも他愛ない遊びなのですが、アンパンマンが大好きな娘はもう夢中!!!
「パンパンパーン(アンパンマン、と言っているらしい)」
とつぶやきながら、飽きずにずっと絵本を広げて遊んでいます。

 そこで冒頭の言葉です。一緒に遊んでいると、ついつい口も手も出したくなる私。大好きなアンパンマンにマグネットを貼ったり取ったりしたいだけなのでしょう、娘はなんともとんちんかんな絵本を完成していきます。アンパンマンの頭の上に洗濯籠をのっけてみたり(これは晴れた日にみんなでお洗濯をする場面で使うらしい)、バイキンマンの背中から虹を出してみたり(これも晴れた日の場面で使うらしい)……。そこで、ついつい、
「ほらー、アンパンマンは青い帽子って書いてあるよ、はい、これだよ」
などと言いながら、正解のマグネットを手渡したりしてしまって……。一方、娘は「我関せず」と言わんばかりに、手渡した帽子を無造作に雨の日のページに貼り付けたりします。
「あーあ、ほら、雨の日にはぬれちゃううから、傘をさすんだよー」
また、ついつい傘のマグネットを手渡そうとしてしまって、
「ウルサイナー、ママハダマッテヨー」
と言いたそうな娘の顔に気付きました。……あ、もしかして、やっちゃった?

 先日、こんな言葉に出会いました。
「大きな耳、小さな口、優しい目」
高畠導宏さんの言葉です。高畠さんは、ロッテオリオンズ、ヤクルト、ダイエーホークス、中日ドラゴンズ、オリックスブルーウェーブ、千葉ロッテマリーンズで打撃コーチとして落合現中日監督、イチロー選手、田口選手などを育てた名打撃コーチ。彼が選手を育てる時に心がけていた言葉だそうです。単純に「いい言葉だなあ」と思いました。人を育てるためには、まずその人の個性(言いたいこと)にじっくり耳を傾け、自分の考えをただ押し付けるようなやり方はダメだということでしょう。「人を育てる」……、子育てにも通じるいい言葉だと思ってメモまでしておいたのに……、失敗です(^^;)。アンパンマンが洗濯籠を頭にのせていたって、バイキンマンから虹が生えていたって、別にいいんですよね。娘の目に、それがすてきに映るのだから、それで楽しいのだから、
「違うよー」
なんて口を出すのはナンセンスなのです。もちろん、子育てをしていく過程で、「よく晴れた日には日射病になっちゃうからお帽子をかぶろうねー」とか、「雨の日には傘をさしたり長靴をはいたりするんだよ」と教えるために、この絵本を使う日もやがてやって来るのかもしれません。でも、今はまだ時期尚早。楽しく、自由に、大らかに。自分流で遊んでいればいいのですよね。やがて、「大きな耳」で「オシエテヨー」のサインを聞き取れたら、その時に教えてあげればいいのでしょう。

 なんでもないようなことなのですが、まさに「言うは易し行うは難し」なのですね。これから、みなさんとお話する時にも、「大きな耳、小さな口、優しい目」を忘れずにいたいと改めて思いました。こらこら、誰だ、電話だから目は見えないなーなんて言っている子は! 先生がニコニコしてお話しているところを想像してねー。

<<えa/1205み>>


■■山野草のように(おみかん/おみ先生)
<<えa/1424み>>

 秩父で「座禅草」という山野草が咲き始めたというニュースを見ました。
 花は水芭蕉に似ていて、白い花の部分が紫茶褐色をしています。その中に、黄色く丸い花序がのぞいているのですが、その形が僧侶の座禅する姿に似ているところから座禅草と名付けられたそうです。背丈が低くかわいらしい花です。

 また、山野草の仲間には「雪割り草」という花があります。聞いたことがあるかもしれませんね。冬に降り積もった雪を割って、春の訪れをやさしく告げてくれる花です。他にも、「福寿草」や「節分草」など、野に咲く春を告げる花はたくさんあります。
 
 山野草が咲いたというニュースを見ると、もう春が来るとうきうきしてくると同時に、冬の寒さによく耐えて根をはっていたなといつも感心するのです。庭に咲く花なら、寒さ対策をしてあげられるのに、山や野原ではそういうわけにはいきません。でも、人が手などかけなくても、冷たい土の中で何か月もだまって春を待ち続け、雨や雪や霜にも決して負けない力強さを持っているのですね。そして、いざ花を咲かせるときには、大げさではなくかれんな花を静かに咲かせるのです。そんな控えめな態度にも心ひかれます。

<<えa/2496み>>

 宮沢賢次の「雨ニモマケズ」の詩に、

 雨ニモマケズ
 風ニモマケズ
 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
 丈夫ナカラダヲモチ
 欲ハナク
 決シテイカラズ
 イツモシヅカニワラッテイル……

 とありますね。「座禅草」を見ていたらこの詩を思い出しました。

<<えa/2183み>>

 何事が自分の身に起きようと、動じないでじっと我慢し逆境に耐えることって難しいことだと思いませんか。でも、つらいこと苦しいことがあっても、ひとつひとつ乗り越えていく練習をしていけばきっと強い精神力は身についていくと思います。そして、周りの人をあたたかくしてあげられるような優しさをいつも心にもっていられたらいうことありませんよね。
 私も、日々精進して、野に咲く花のようになりたいです……。

<<えa/1424み>>


■■ルーツ&シューツ(かいす/きあ先生)
 暦のうえでは春なのに、毎日寒いですね。この冬は「暖冬」という予想だったはずなのに! ここ数年は天気や桜の開花時期を予想するのが難しくなっているそうです。地球に何か起こっているのでしょうか・・・

 近所のラーメン屋さんにおもしろい貼り紙があります。
 「地球の笑い声が聞こえるよ。ここにあなたの愛を入れてね」

 えっ? 何のこと? と、貼り紙の下を見ると段ボール箱にたくさんの割りばしが入っています。
使用済みの割りばしを集めて、製紙会社に持っていくと再生紙に生まれ変わります。リサイクルです。
このお店では、他にもラーメンをゆでた後のお湯や、食器を洗った後の水を一度浄化してから流す。スープを全部飲みほした人に50円のサービス券プレゼントなど、たくさんの地球にやさしいアイディアがたくさん!

 地球のために自分は何ができるかという大きなテーマを、身の回りのできることから考えていこうという「ルーツ&シューツ」という活動が広まっています。この活動は、英国の動物行動学者ジェーン・グードル博士がすすめているもので、ROOTS(ルーツ)=希望の根っこが世界に広がり、SHOOTS(シューツ)=新芽となって困難の壁をつきやぶるようにと名づけられた運動です。自分のできることを考え、仲間を集め、活動し、目標を達成したらみんなで喜ぶ。だれからも表彰されたりしないけれど、何か(だれか)の役に立っているという、うれしさがあります。

 さっそく私も始めました。「マイおはし」です。外食するときに割りばしを使わないように、自分専用のおはしを持ち歩くようにしました。最初はみんなの前で出すのが恥ずかしかったのですが、近頃はジャーン! とバッグから取り出して見せたりします。興味を示してくれる人もいて、私のまわりでは「マイおはし」の輪が少しずつ広まっているんですよ。ラーメン屋さんの段ボールに愛を入れることはできなくなりましたが(笑)私のささやかな「ルーツ&シューツ」の第一歩です。

 みなさんも地球のために何ができるか、考えてみませんか? 地球の笑い声が聞こえるかもしれませんよ。
<<え2007/43jみ>>


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