言葉の森新聞2006年12月3週号 通算第963号
文責 中根克明(森川林)

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■■12月23日(土)は休み宿題
 12月23日(土)は、休み宿題です。先生からの電話はありません。その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前9時〜午後7時50分。電話0120-22-3987)

■■郵便の遅れが増えています
 郵便の集配が一部の地域で遅れているようです。
 年末になると、更に遅れることが予想されますので、次の週までに作文が返却されないこともあると思います。ご了承ください。

 言葉の森では、数年前まで、作文は翌々週返却ということで指導していました。その形でも指導には支障はありませんでしたが、翌週に返却されていた方が生徒もうれしいだろうということで、ある時期から翌週返却にしました。
 しかし、この11月からメール便が、これまでよりも1日遅れて配達されるようになりました。いずれ、郵便局もこれまでよりも1日遅れて配達されるようになると思われます。そうすると、わずか1日の違いですが、翌週返却は物理的に不可能になります。
 言葉の森では、ファクス返却は行っていません。それは、鉛筆の字が薄くて読めなかったり、裏面を送信したり、間違ってほかの宛先に送信したり、途中のページが飛んだりというトラブルがきわめて多いからです。
 現在、言葉の森で、翌週返却のできるメディアは、インターネットの「作文の丘」になります。小学校低中学年の人にとってはパソコン入力はまだ難しいと思いますが、小学校高学年以上の人はだんだんとパソコンで作文を書くようにしていかれるとよいと思います。


■■作文小論文入試のコツ(その2)
 作文のコツの第三は、難語を自然に書くことです。
 「でも、公園にゴミ箱があると、ゴミを減らすという気持ちがなくなる」という文と、「しかし、公園にゴミ箱が設置してあると、ゴミを減らすという自覚が生まれにくくなる」という文では、どちらが知的に感じるかというと、やはり「設置」や「自覚」などの難しい言葉を使ってある文の方です。中学生で、これらの言葉を読めない人はまずいません。しかし、文章の中に自然に使える人は少ないのです。なぜ読めるのに使えないかというと、こういう言葉の入った文章を読む量が不足しているからです。
 文章に使う言葉には、自分がふだん読んでいる文章の質が自ずから出てきます。中学生や高校生の文章で、話し言葉とあまり変わらない文章を書いている場合は、その人がふだんあまり本を読んでいないことを示しています。
 未消化の難語を使うのはかえってマイナスですが、少し背伸びをした文章語を使うのは、いい文章を書くためのコツです。

 第四は、光る表現を入れることです。
 文章の結びの5行は、文章全体の印象を左右する部分です。ここに光る表現があると、全体の印象がよくなります。書くことが好きな生徒は、自然にこういうことを知っているのでしょう。結びに一工夫してまとめてある文章をときどき見ますが、例外なく上手な文章です。
 光る表現となる要素は二つあります。一つは、「○○はAでなくBである」のような形で、逆説的な真理を述べていることです。もう一つは、結びの意見を書き出しのキーワードと結びつけてまとめていることです。いずれも、考える力がないとなかなか書けません。

 第五は、感動のある体験実例を書くことです。
 意見は、だれが書いてもほとんど差がありません。人間が考えることにそれほど大きな差はないからです。差があるのは、前に書いた表現の部分とこの実例の部分です。
 体験実例に、「友達がこんなことをした」と他人の体験を書いても、印象は強くなりません。また、自分の体験であっても、平凡な体験では印象に残る実例にはなりません。自分の体験であって、しかも、挑戦、感動、個性、共感などの感じられる実例がよい実例です。
 文章を読むのは人間ですから、体験実例の印象がよければ、それによって文章全体の印象が上がるのです。例えば、「私は、三年間ひとりで公園のゴミ拾いをしていたが」などという体験がさらりと書いてあれば、読み手はそれだけで文章以前に書いている人間に好印象を持つのです。
 しかし、もちろんウソを書いてはいけません。本当のことを書くというのは、文章を書く上での当然の前提だからです。たまに、文章指導と称して、うまく見せるためにウソでも何でも書けという人もいるようですが、こういう発想をすると、目に見える小さな利益のために、目に見えない大きな利益を失うことになります。
 いい文章を書くためには、日常生活で挑戦や感動や個性や共感のあるいい行動をすることです。
(つづく)

 次回の予定は、第六に知性を感じさせる社会実例を書くこと、第七に構成がわかるように書くこと、です。


■■気球(バルーン)に乗って(にこたん/しおり先生)
<<え2006/91jみ>><<え2006/91jみ>><<え2006/91jみ>>
 ゴオーゴオー!薄暗い初冬の朝、あたりをゆるがすようなバーナーの音とともに、あたたかなオレンジの火柱があがります。それまで、グラウンドにぺたんと広げられていた大きな大きなじゅうたんが、ゆっくりとふくらんでいきます。おや・・・だんだんとその正体が分かってきました。ふっくらふくらんだ丸い形は、想像していたものよりもはるかに大きく、迫力があります。あ、気球だ!!!

 先生は、佐賀県で行われるバルーンフェスティバルを見学してきました。大空を優雅に飛ぶ気球。テレビなど画面を通して見たことはあったのですが、自分の目で間近に見るのは初めてでした。あまりの美しさにうっとりしてしまいました。飛ぶ姿もいいのですが、見所はやはり飛び立つ瞬間かもしれません。ふわりと地上から浮き上がった瞬間、観客からは大きな拍手がわき上がりました。ゆっくりゆっくり、みんなの夢を乗せて離陸する姿はロマンチックでした。見つめる人の胸にも大空への夢が大きく広がります。いつかは、あの気球に乗ってみたいなあ。

 空気の力ってなんと偉大なのでしょう。それを発見し、形にした人間の力や想像力も本当に素晴らしいですね。初めて空を飛びたいと思った人たちが夢をかなえるまでに、いくつの苦労を乗り越えてきたのでしょう。古代に思いをはせるいいきっかけになりました。気球の歴史や仕組み、空気の力など、もっと調べてみたい好奇心がむくむく・・・

 ペンネーム「キングドラゴン」くんのおじいちゃんは、なんとお年を召してから、空を飛ぶハンググライダーに挑戦なさったそうです。不屈のチャレンジ精神がかっこいいですね。11月の課題に「木に登ったこと」があるのですが、現代において木登りという経験はそう簡単にはできにくい状況にあるようです。あるニュースでは公園からシーソーが撤去されているとか。「危ない」「けがをする」という安全性を重視するあまりに、私たちは危険を予想し回避する知恵や、難しいことに挑戦する勇気を忘れかけてはいないでしょうか。体験の重要性が叫ばれる現代ですが、なかなか思うように環境を整えることは難しいようです。そこで、ぜひ、おうちの方にお願いです。子ども時代に体験してきた武勇伝を語りついであげてくださいね。懐かしい目の奥に秘められたやんちゃ時代の面影は、子ども達の好奇心をくすぐること請け合いです。「お父さん、ぼくよりいたずらっこだったんだね。」「お母さんが木登りできるなんて意外!」と目を丸くして尊敬されるかもしれません。

 もちろん、安全は大切です。しかし、日常を飛び出して何かを変えたいと思うとき、人はくぐりぬけなければならないハードルがあると思います。気球も一歩まちがえば大きな事故につながりかねません。しかし「少年よ大志を抱け」。冒険を愛する心に触れると、本当の命の重さを感じることができると思います。一つ、また一つ、八十をこえる気球が空一面に飛び立つ様子は、人生さながらでした。みなさんの夢もきっと大空に舞い立つ日が来ます。おうちの人と夢を語り合ってみてくださいね。作文のキーワード「もし○○だったら」と想像力を鍛える練習にももってこいですよ。

<<え2005/166jみ>>


■■まちがったっていい、人間なのだから(モネ/いとゆ先生)
 先日夜のニュース番組で、元神戸商科大学の英語教授の末延みね生(すえのぶみねお)先生の「エラーオロジー(まちがい学)」についての話を聞きました。

 末延先生は、小学校5年生のころから英語教師になるという夢を持っていましたが、中学校のテストで全ての答えにピリオド(.)をつけ忘れて0点になってしまいました。
 「しゃべるのにピリオドはいらん。」と文句を言ったところ、先生に
「ピリオドはとても大事。末延くんはトイレの後にお尻ふかへんの?」とみんなの前で言われ、一気にやる気をなくしたそうです。
 このことがきっかけとなり、晴れて教師になってからは、「まちがたっていいじゃないか。」というエラーオロジーの考えを元に授業をするようになりました。
 文法や発音のまちがいを気にするあまり、英語を人前で全くしゃべろうとしなかった生徒たちも、先生の教えのおかげで堂々と英語のスピーチができるようになったそうです。

 「人は、話を聞くときに、まちがいを探そうとして聞いているのではなく、正しく聞いてあげようという温かい気持ちをもって聞いているので、わかりあえるのだ。」という話を聞いて、私は作文にも通じることだなと思いました。
 みなさんの書いた作文が手元にもどってくるとき、赤ペンで漢字や言葉づかいや文法のまちがいを直してあることがあると思います。それを見て、「あぁ、やっちゃった〜!」と落ちこむ必要など全くありません。「そうだったのか〜、今度から気をつけよう。」と思ってもらうだけでいいのです。赤ペンで直すことができるまちがいなど、あまり重要なまちがいではないからです。
 むしろ、「書きたいことがたくさんあって、きっと夢中になって書いたのだろうな〜。」と、温かい気持ちになり、まちがいはあまり気にならないこともあります。

 たしかに、正しく美しい日本語で書かれた文章は、読んでいて気持ちがいいものです。みなさんにもぜひそういう文章が書けるようになってほしいと思い、書いてくれた作文に心を鬼にして直しを入れています。でも、それと同時に、心の中の「読み手に伝えたい何か」をいっしょうけんめいに文章にしようとする気持ちも大事です。
 だから、どうか細かいことを気にせずのびのびと、自分の書きたいことを作文用紙にうめていってください。そして、赤ペンの直しを見て、がんばって書いた勲章(くんしょう)のように思ってもらえればいいなと思います。
「まちがい、大歓迎!」
                   <<え2005/89pみ>>


■■お家の中での過ごし方(しろ/しろ先生)
 みなさん、こんにちは。だいぶ寒くが厳しくなってきましたね。雪でも降ればまた違うのでしょうが、寒さとともに外に出るのも何となく億劫になってきますね。そこで、今日はお家の中での過ごすことの多いこの時期、どのようなことを心がけたらよいのか書いてみたいと思います。

 一.家族と一緒に過ごす
 学校から帰ってきたら、お母さんに「今日どうだった? 」と聞かれる前に、自分から「お母さん、今日学校でね……」とお話しましょう。お母さんはきっと喜んで聞いてくれますよ。お母さんが夕飯の支度を始めたら、出来る範囲のお手伝いをしましょう。「へぇ、ダシってこうやってとるんだ〜。」なんて、新しい発見がたくさんあって面白いですよ。残業続きのお父さんには、お手紙を書いておくといいですね。内容は何でもいいです。「お父さん、おかえりなさい。明日もがんばってね。」というお手紙は、きっとお父さんの宝物になるでしょう。
 二.整理整頓をする
 年末はどこの家庭も大掃除をしますが、ちょっと早くても大丈夫。机の上がごちゃごちゃしている場合は、まずそこから片付けましょう。半年前に返ってきた四十点の答案は、今復習するか、処分するか、決断してください(笑)。消しゴムのかすや、鼻をかんだティッシュなどはゴミ箱へ。教科書や参考書などは探しやすいようにそろえておきましょう。言葉の森から届いた教材は一箇所にまとめてファイルしておくといいですね。自分の机が終わったら、次は洋服。毎朝学校へ着て行く洋服がすぐにだせるよう、タンスの中も整理しておきましょう。
 三.読書をする
 学校や地域の図書館からたくさん借りてきましょう。ここでちょっとした借り方のコツがあります。読書がもともと大好きな人はいいのですが、苦手だな〜という人は、是非、薄い本をたくさん借りてください。同じ百ページ読むのでも、一冊の本を百ページ読むより、二十ページの本を五冊読むほうが達成感があります。たいてい、五冊いっきに読めば、よし、また何か借りようという気になります。外で遊ぼう、という友達からの誘惑が少ない今の時期に「本好き」になってしまいましょう。
 四.お風呂にゆっくり入る
 温かい湯船につかって、一日の疲れをとりましょう。いい香りの入浴剤なども売っていますから、湯船の中に入れてもいいですね。湯船につかって目を閉じて、その日の出来事を振り返りましょう。ただし、寝てはいけません。本当に危険です。お父さん、お母さんと一緒に入る場合は、背中を流してあげるといいですね。お風呂から出たらストレッチをしたり、足のマッサージをしてリラックスしましょう。
 五.よく食べ、よく寝る
 寒くなると、風邪も流行ってきます。肉、野菜、穀類、果物、栄養のあるものをしっかり食べ、夜は決まった時間に寝ましょう。外食することもあるでしょうが、みなさんはきっと食事を家でとることが多いはずです。作ってくれたお母さんに感謝しながら、ゆっくりよく噛んで美味しく頂きましょう。ただし食べて寝てばかりでは体重は増加するばかりです。腹八分目を心がけてくださいね^^。

 どうですか? どれも簡単なことですが、大切なことばかりです。この五つの中で、自分は何が出来ているかな、何が出来ていないかな、と考えてみましょう。出来ていないことは、この機会に挑戦してくださいね。
      <<え2004/526み>>


■■ルビはどうしてルビ?(スズラン/おだ先生) 
 今学期の課題も順調に進み、長文音読や読解マラソンにも慣れてきたことでしょう。
 ところで、今学期の長文は「ルビ」付きになりましたね。私はいままで、この「ルビ」という言葉を何気なく使っていましたが、「ルビ」はどうして「ルビ」というのかなと思ってしまいました。そんなことを考えているうちに、語源を知らない言葉や、由来を知らない記号(印)が沢山あることに気が付き、知りたい思いにかられました。そんなときは、本屋さんをウロウロしてみるのが私の解決方法です。(こういう時間が楽しいのです)さっそく、ある本屋さんで、とても分かり易い本を見つけました。 その中から、知らなかったのは私だけかもしれないと思いながら、いくつかの言葉を選んでみましたが、参考になりそうでしょうか。
  <<え5773み>>
「ルビ」
 漢字などに付けるふりがなのことですね。宝石のルビーに由来するものだそうです。これは、昔、活版印刷の時代、欧米では活字の大きさをダイヤモンドやエメラルドなどの宝石の名前で表現していました。日本でふりがなに使われた七号活字が、イギリスでルビーとよばれる5・5ポイント活字とほぼ大きさが同じだったことから、ふりがなのことを「ルビ」と呼ぶようになり、現在に至っているのだそうです。「ルビ」がキラキラとかがやいて見えてきませんか。

「〒」(郵便マーク)
 〒マークが制定されたのは、1887年(明治20年)で、当時、郵便制度を管轄していた逓信省の「逓」の字にちなみ、最初は「テイ」に合わせて「丁」としたが、万国共通で使われていた郵便料金不足の「T」マークに似ているので、カタカナの「テ」に変更し、現在のマークになったそうです。

「〆」
 手紙の封をしたところに書きますね。文字? 記号? 漢字として載せている漢和辞典もあり、記号の一種にしている国語辞典もあり、扱いはいろいろのようです。「〆」を「しめ」と読むのは、「占」や「ト」が崩れたもので、日本製の国字だそうです。〆切、〆縄、一本〆などの熟語もありますね。

「々」(おどり字)
 「人々」「堂々」などと、直前の字を繰り返して読むときに使いますね。「踊り字」「重ね字」「送り字」ということもあります。「踊る」という字の意味は、「重なり加わる」「二重になる」という意味があり、字が重なる場合に使うものとして「踊り字」というようになったそうです。「々」は漢字にだけに使われるものです。パソコンでは「おなじ」とか「どう」で打つと変換されますね。

 記号のような、字のようないくつかを書いてみましたが、それなりに意味があったことがわかると、使うときには愛着がわいてくるようです。
今回参考にしたのは、「日本語日めくり、一日一語」(中公新書)という本です。「なるほどねぇ」「そういうことね」などなど、納得しながらとてもおもしろく読みました。なんといっても、日本語は奥が深くておもしろい!


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