言葉の森新聞2006年3月3週号 通算第927号
文責 中根克明(森川林)

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■■3月21日(火)は休み宿題

 3月21日(火)は休み宿題です。
 先生からの電話はありません。その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前8時半〜午後7時50分。電話0120-22-3987)


■■国語の新しい勉強法(その2)
 さて、今考えている国語の新しい勉強法は、名づけて「読解マラソン」です。何か、アルクでもやっていそうな名前ですが。(笑)
 国語力のある子は、よく本を読んでいます。しかし、国語力のない子に、今から本を読んで国語力をつけようというのは、話があまりにも悠長です。国語力は生活の中から出てくるものなので、今まで本を読まない生活をしていた子が本を読むような生活になるのは、遅起きの子が早起きに変身するのと同じぐらい不可能です。
 この、遅寝遅起きを早寝早起きに自分の意志で変えることのできる人はまずいません。たいてい、学校や職場が遠くなったのでやむを得ず早起きになったという程度です。それぐらい、生活パターンというものは変えるのが難しいのです。
 私自身、自分がもっと早起きになりたいと思い、あるとき思い切って新聞配達をすることにしました。仕事ですから、寒くても雨が降っても決まった時間に起きなければなりません。さすがに冬の朝3時に起きて自転車で新聞販売店まで行くのは苦痛でした。途中、自販機で熱い缶コーヒーを買って飲むと、ちょっと元気が出ました。そのときに見上げた冬の空に月と星がこうこうと光っていました。私はそのとき、国旗によく月や星がデザインされている理由がよくわかりました。あの月や星は、人間の決意の象徴なのだと思います。
 さて、最初は苦痛だった新聞配達もやがて慣れてくると全く平気になり、ほぼ半年で早起きの習慣ができました。その後、今でも早起きです。今日は夜中の12時半ごろ起きました。(笑)
 脱線を元に戻して。(^^ゞ 生活習慣を変えるのは、これぐらい難しいという話です。つまり、これまで本を読まなかった子が何かのきっかけで本をよく読むようになるというケースは、きわめて稀なのです。よほど強力なきっかけか、3ヶ月から6ヶ月にわたる継続的な働きかけがなければ、本を読まなかった子が本を読むようにはなりません。私の実感として、何かが身につくのはやはり半年ぐらいの期間が必要だと思います。
 読解マラソンには、市販の国語問題集を用意します。普通の本でもいいのですが、よく売れている本は、物語文のジャンルが多く、中には面白いことは面白いが密度が薄いというものもあります。そういう本は、短い会話と短い文で話が展開していくことが多いので、文章の質としてはマンガと同じです。同様の理由で、学習マンガも、文章の質としては物足りないものが多いと思います。
 国語問題集であれば、物語文と説明文が比較的バランスよく配置されています。そして、これは私の経験からですが、問題集は読み物としても意外と面白いのです。
 勉強で大事なのは反復ですから、問題集をまず毎日何ページ以上と決めて読んでいきます。そして、最後まで読み終えたら、また最初から読み始めます。目標は1冊の問題集を4〜5回繰り返して読むことです。こう書くと簡単そうですが、これはなかなか実行できません。人間は、同じことには飽きるようにできているからです。特に小さい子供は同じことを繰り返すということにはすぐ飽きます。それでマラソンと言うのです。
 昔、ランニングマシーンというものがありました(今でもあるかも)。雨の日でも室内で走れるので便利なようですが、周りの景色が変わるわけではないので、すぐに飽きてしまいます。勉強も同じです。周りの景色が変化したり、友達も一緒に走ったりしていることがわかれば、続けにくいものも何とか続けられるようになります。
 周りの景色に相当するものが、この場合はやはり国語の成績です。読解マラソンを始める前に、その問題集のあるページを時間内に解きます。そして、その問題集を何回か繰り返して読むたびに、別のページの問題も解きます。何人もで取り組むので、自然に平均正解率というものができますから、自分がどれだけ読む力が進歩しているかわかります。このときに大事なのは、最初から無理していい成績を取らないということです。(笑)今、言葉の森でも、速読の問題をやっていますが、最初に無理して高得点を取った子は、グラフがなかなか上向きになりません。普通に読んでいれば、自然にグラフは右肩上がりになるものです。
 単調な勉強であっても、それが実際に成果と結び付いているということがわかれば、やる気が出てきます。そして、もっと大事なことは、読書には、もともと人をひきつける力がありますから、この問題集読書は、実は途中から楽しい勉強になる可能性があるということです。
 これも、私のうちの子供の話ですが、子供のころは、勉強らしい勉強はほとんどしませんでしたが、読書だけはよくしました。我が家ではゲームの時間は1日15分と決めていましたが、休みの日で雨が降っていて遊びに行けないときなどは、子供はゲームをしたがります。そういうときは、「よし、それじゃあ、読書を50ページしたらゲームをしていいよ」とか「読書を50ページしたら、どこかに遊びに行こう」などとよく言っていました。
 子供は、勉強をするというのは嫌いですが、読書というのは半分遊びのようなものですから、気軽にします。そして、読書は力がついてくればくるほど、好きになってくるものです。問題集読書は、最初は難しく感じるかもしれませんが、途中からはエッセイ集でも読むような気軽な感覚で読めるようになってくると思います。しかも、読むたびに、次のテストで点数が上がるだろうという見込みがあるので、更にやる気が出てきます。
 そして、このように問題集読書である程度力のついた生徒は、いつまでも勉強と読書の中間にあるような問題集読書に留まらせずに、積極的に本を読むような働きかけをしていきます。やはり1冊通して読む本の方が感動は深いからです。
 以上が、新しい国語勉強法の概略です。
 実は、この勉強法は、将来の作文検定と長文教材の関係として考えていたものです。つまり、教材をしっかり読んで力がつけば、それに応じて作文の力も自然につくという勉強の仕方です。作文検定は、まだこれから普及するものなので、とりあえず、言葉の森で読解プラス作文という形の勉強法に取り組んでいきたいと思っています。


■■チョコの本(あかね/つね先生)
今年のバレンタイン、皆さんは、誰かにチョコをあげましたか?

昨年は、映画『チャーリーとチョコレート工場』(原作「チョコレート工場の秘密」「ガラスのエレベーター」)がブームになりましたが、私にとって「チョコレート」といえば、子供のころに夢中になって読んだ「チョコレート戦争」(作:大石真)です。

今でも、「エクレア」と聞くと、この本に出てくる「金泉堂」というケーキ屋さんが浮かんできます。
今は、ケーキ屋さんで「エクレア」を見ることは、ほとんどなくなりました。
コンビニなどに行くと、まだデザートの陳列棚に「エクレア」が売っていますが、そういうものとは一線を画する舌がとろけるような洋菓子が、この金泉堂の「エクレール」なんですっ!(あくまでも想像ですが(^^;)
その子どもたちの憧れのケーキ屋さんのショーウインドウが何者かに割られ、子どもたちが疑いをかけられたことから、子ども(消費者)とお店の間で思わぬ戦争が始まるのですが・・・。

今の子どもは、どんなに超有名店の高級なケーキを食べても、さほど驚かないと思います。
ケーキが日常にありふれてしまっているからなのだと思います。感動が少なくなったという
点では、ちょっとかわいそうな気もします。

実をいうと、この本は、秋に息子が入院している時に、プレゼントしました。
病院には、テレビもパソコンもありませんので、必然的に毎日すごい量の本を読みます。
そこで、必ず本屋さんで数冊の本を購入してからお見舞いに行っていました。
あまり長すぎず、テンポよく軽く読めて、気分が明るくなるような本をと考えたら、「これだ!」と思いついたのです。

案の上、息子もとても上機嫌で、「本ありがとう。すごく面白かったよ」と言ってくれました。
入院中を通じて、いちばん気に入った本のようです。

子どもが入院したのは辛かったけど、それ以降も、すっかり読書好きになってくれたようで、思わぬところで、よい効果もあったと思います。「今の子はゲームばかりで・・・」と言いますが、やはり、良書との出会いがあれば、本好きな子どもに育つのだなぁと実感。
それに、私が小学生の頃ワクワクしながら読んだ思い出の本を気に入ってくれたことが、何よりも嬉しかったです。ふだんは子どものことをほったらかしで面倒見の悪い母親ですが、「本当は大切に思っているんだよ」という私の気持ちも、少しわかってくれたかな?と思います。

バレンタインは終わってしまったけれど、皆さんもぜひ読んでみてください!


■■言葉の力……だそうです(けいこ/なら先生)
<<え6709み>> 先月に続き、朝日新聞からの題材です。朝日を購読のご家庭では、目に留めて熟読なさったところもあるかもしれませんが、ネットで検索してみたところ、他紙ではほとんど採り上げられていなかったようです。(これもまた、興味のあることですが。)記事は朝日新聞東京版2006年2月9日です。一部抜粋しますね。

<<え3024み>> 「ゆとり」から「言葉の力」へ。約10年ぶりに全面改訂される学習指導要領にすべての教育内容に必要な基本的な考え方として、「言葉の力」を据えることがわかった。……「言葉の力」は、確かな学力をつけるための基盤という位置づけ。学力低下を招いたと指摘を受けた現行指導要領の柱だった「ゆとり教育」は事実上転換されることになる。(中略)原案では「言葉は、確かな学力を形成するための基盤。他者を理解し、自分を表現し、社会と対話するための手段で、知的活動や感性・情緒の基盤になる。」と説明している。

<<えa/1602み>> ふむふむ、なるほど。「言葉の力」を重視することが、どうして「ゆとり教育」からの転換になるのかはよくわかりませんが、これは朝日新聞執筆者の私見なので、とりあえずおいておきましょう。(私は、こういうツッコミをするのが大好きです。ちょっと意地悪です。)
 正直言って、「今更何を?」というのが最初の感想です。こういうことはそもそもの大前提ではないのか? その証拠に「基盤」という言葉が何度も登場します。その基盤がしっかりしていて、その次にいろいろな方向性を選択するという段階があるはずです。こういう方針にしたことは間違っていないというよりも、むしろ当然のことで、今更敢えてこういうことをスローガンとして提示するというのは、文科省(および国の)「ごめんなさい」宣言に等しいと思うのは、意地悪すぎる見方でしょうか。
 こういう私自身も、昔から「言葉の力は大切だ!」と信念を持っていたわけではありません。言葉の森と関わり、実際にたくさんの作文を目にするようになってから、そうなのだと思えるようになったのですから、自慢気にしていてはいけませんネ。ですから、「作文教室、どうかしら?」と思って検討・入会なさった保護者の方、そして、毎週がんばって作品を仕上げてくれる生徒たちには、本当に頭が下がります。

<<えa/1577み>> 実際に、生徒の作品を見ていると、取り組みが進むにつれて、「他者を理解し、自分を表現し、社会と対話する」ことを実践できてくる、それがよくわかります。作文は、どちらかといえば華やかさは少なく、地道で効果の見えにくい勉強ではあります。しかし、だからこそ、目に見えるような変化が実感できたときには、「たまたま」ではなく本物の力が本人の中に宿っています。こういう取り組みが学校でできれば、言うことはありません。しかし、どうでしょう。「ゆとり教育」と同じでかけ声だけで終わったり、教える側の裁量に任せすぎたりして、公教育としての成果としては合格点は出せない……そして、また10年後に新たなスローガンを出すということにならないことを期待したいものです。
 
<<え4103み>> さて、言葉の森の学習の進め方には、音読や短文暗唱、要約などが盛り込んでありますが、笑ってしまったのは、朝日新聞の以下のコメント「各教科にどう反映させていくかについては、古典の音読・暗記や要約力の促進(国語)……」の部分。言葉の森の真似か? それとも、少し前に大ブームとなった「声に出して……」シリーズを参考にしたのか?(笑) またまた意地悪な見方をしてしまいました。
 いずれにしても、言葉の森で学んでいる生徒たちは、指導要領が変わろうが変わるまいが、本当の力を育むべく日々取り組んでいるのですから、心配はいらないでしょう! 

★付記★
 この記事を書き終えて、たまたまつけていたテレビから流れてきた、朝日新聞のCM……
 言葉は感情的で、残酷で、ときに無力だ。
 それでも私たちは信じている、言葉のチカラを。
 ジャーナリスト宣言 朝日新聞
そういうことでしたか。いえ、私は、別に宣伝しているわけではないのです。これが、朝日新聞が新指導要領案に大きく紙面を割いた理由かぁ。納得。


■■ともだちのうた(たんぽぽ/たま先生)
《友達》

<<え3542み>> 最近、私はちょっと落ち込んでいました。さまざまなトラブルや失敗が続き、「あー、なんでこうなんだろう…」と本当に暗〜い気持ちになってしまいました(珍しく)。いつもなら本を読んだり、好きなドラマを見たり、買い物をしたり、おいしいものを食べたりすれば大抵のことは「まぁいいか」と思えるのです。でも今回は何をしてもなかなか気持ちがすっきりしなかったのです。

 そんな日が何日か続いた頃、偶然にも学生時代の友達がメールをくれました。お互い忙しくてなかなか会う時間が取れないのですが、卒業してからもずっと変わらず付き合っている友達です。彼女のメールからは、生き生きとした毎日がうかがえました。頑張っている様子を知り安心した反面、輝いている彼女を少しうらやましく思いました。そして自分の近況を報告しました。(愚痴といってもいいかもしれません。)(^_^;)

 彼女は忙しい中、すぐに返信をくれました。ウジウジ悩んでいる私に返してくれた言葉は「そのままでいいんだよ」。
 それまで頭の上にあった真っ黒な雲が、まるでどこかに吸い込まれていくような気がしました。もちろんその前後にも文はありましたが、この短い一言が、私の心にストンと落ちたような気がします。「あぁ、友達ってありがたいなあ…」。心から思えた瞬間でした。

 この出来事と時期を同じくして、娘が幼稚園で習ってきた歌を歌ってくれました。その歌詞がとてもよかったので、みなさんにもご紹介しますね。


 友達は大事やで ほんまにほんまに大事やで

 絶対なくしたらあかんのやで 友達は大事やで


 おまえが泣きたいときは お前の涙を拾ってくれる

 心の中が 心の中が 明るくなってくる


 お前が苦しいときは お前の苦しみ背負ってくれる

 心の中が 心の中が こんなに軽くなる


 お前が嬉しいときは お前の喜び感じてくれる

 心の中が 心の中が 喜びであふれる           

<<え2449み>>


(娘によると、題名は「ともだちのうた」です。なにしろ幼稚園児のことなので、題名も歌詞も若干の間違いはあるかもしれませんが。)

 もうすぐ新しい学年を迎えるみなさんは、進級、進学、転居などで周りの環境ががらりと変わることでしょう。今まで仲良くしていた人はもちろん、これから出会う人が一生の友達となるかもしれません。みなさんが素敵な友達に恵まれますように。

                              


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