言葉の森新聞2005年7月1週号 通算第893号
文責 中根克明(森川林)

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■■7月1日(金)から新学期
 7月1日(金)から新学期が始まります。7月からの教材の説明は、教材に同封してあります。
 教材は6月28日ごろまでに届いているはずですが、万一まだ届いていないという場合はご連絡ください。
 教材の説明は、「学習の手引」にも載っています。
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■■通信生の住所シール・項目シールの使い方
 通信の生徒には、7.1週の山のたよりに住所シール・項目シールが同封されています。
 住所シールには、先生の住所が印刷されています。封筒用紙に貼ってお使いください。
 項目シールには、週ごとに項目シール又はバーコードシールが印刷されています。作文・感想文の週は、作文用紙に項目シールを貼り、清書の週は、項目シールは貼らずに、作文用紙の左上にバーコードシールを貼ってください。


■■賞状は7.2週に送ります
 6.1週の作文進級試験の賞状は、7.2週にお送りします。

■■オープンソース長文プロジェクト(森川林/なね先生)
 現在、森リンを改良中です。この改良が一段落したら取り組みたいことがあります。それは、オープンソース長文プロジェクトです。
 私たちの周りには、現代文の規範となるような文章が少ないと思っています。規範となるためには、単に表現が巧みであるだけではなく、その内容に感動があることが大切です。しかし、そのような表現と感動を兼ね備えた文章は、あまり多くありません。それは、特に、子供たちの読む文章について言えます。
 一方、文章以外のメディア、例えば漫画やテレビやゲームでは、内容の面白さに関して言えば優れた作品が数多くあります。極端に言えば、現代の子供たちは、漫画やテレビやゲームから世界の見方や自分の生き方を学んでいるのです。しかし、映像から学んだ思想は、影響力こそ強いものの、強固な根を形成しないと私は考えています。文章から学んだ思想は、一つの土台となり得るという点で、映像の持つ思想とは異なる役割を持っています。
 文章の影響力が、他のメディアに比べて見劣りするのは、文章の普及形態が主に書物という形でなされているところに一つの原因があります。本を開くという動作は、テレビのスイッチをつけたり、漫画を開いたりすることよりも、より大きな精神的エネルギーを必要とするからです。
 そこで考えたのが長文プロジェクトです。長文というと、長い文章という意味にも考えられますが、長所の「長」と同じで、「優れた文章」という意味で考えていきたいと思います。世界中から、それぞれの年代で読むのにふさわしい、優れた内容と優れた表現を兼ね備えた1600字前後の文章を集めるというのがオープンソース長文プロジェクトです。
 しかし、この長文をただウェブに掲載しているだけでは、映像メディアに匹敵する魅力を持つことはできません。そこで、この長文を教育システムの中に取り入れることを考えています。教育の面白さは、本質的にゲームの面白さと同じものです。しかし、ゲームのワンサイクルが短いのに比べて、教育のワンサイクルはかなり長いという特徴を持っています。特に、初期の段階では、ゲームがすぐにそれなりの結果を得られるのに対して、教育では結果の見えない単調なアプローチが延々と続きます。例えば掛け算の九九などは、テストという形で人為的な評価が得られなければ、子供たちにとっては退屈以外の何ものでもありません。勉強が面白いと感じるようになる年齢は、たぶん高校生や大学生になってからでしょう。このサイクルを短くするとともに、ここに長文を組み込んでいくというのが現在考えている展望です。


■■自主性を育てる(むつき/やま先生)
 今日は朝から雨が降っています。そろそろ梅雨入りでしょうか。長雨の季節は気分も憂鬱になりがちですが、近所の子どもたちは元気いっぱい!レインコートや傘に長靴姿で公園ではしゃいでいます。今日から雨が降るという天気予報を聞きつけて、昨日のうちに公園の砂場に大きなダムと川を作ったのだそうです。雨でくずれてしまった部分もあるけれど、自作のダムに水がたまったようすを見てとても満足げです。先生も少しのぞきに行ってみましたが、木で補強したりして工夫された見事なものでした。少し大きなお兄ちゃんお姉ちゃんが案を出し合い、小さな子も協力して作り上げた大作です!みんなの誇らしげな顔と、無邪気な笑顔にこちらまで幸せな気分になりました。
<<え2004/391み>>
 さて電話で何人かの生徒さんにはお話しましたが、先生は先日幼児教育の大学の先生と交わりをもつ機会がありました。そこで、親としてまた一人の人間として、とてもためになるお話を聞きましたのでみなさんにも紹介したいと思います。
<<え2004/396み>>
 「将来どんなお子さんに育ってほしいですか?」この質問に対して、様々な答えが思い浮かぶことと思います。親であれば子育ての理想、子どもへの期待、いろいろな感情が渦巻きますよね。ですがどの親御さんにも共通する思いの一つとして「思いやりのある子になってほしい」というのがあるそうです。人の気持ちを汲み取る事のできる優しい人、そんな風に育ってほしいと願うのは当然です。では、思いやりの心を育てるためにはどうしたらいいのでしょうか。よく言われているのは、子ども自身にも思いやりをもって接してあげること、そして想像力をやしなうこと、この二つです。親や周りの人から受けた優しさを子どもは分け与えようとします。また相手が今どういう状況におかれていて、どういう気持ちでいるのかを想像することができなければ、思いやりの心もわいてこないのです。
 ところが最近の研究では、もう一つ重要な要素があることが分かったそうです。それは「自主性」です。「自主性」のある子は「思いやり」がある。一見なんのつながりもなさそうに見えます。ですが、自分自身で考えて、すすんで物事を行うことができる子こそが思いやりの心ももてるのだそうです。小さい頃から「あれをしなさい、これをしなさい」とおしつけられ、言うことを聞くばかりで育ってき子どもは、自分から楽しいことややってみたいことを探そうという意欲が湧かなくなってしまい受動的になります。それはイコール人とのコミュニケーションにおいても受動的であり、相手を思いやろうという心の働きが失われていってしまうそうです。
<<え2004/400み>>
 では自主性を育てるには具体的にどうすればいいのでしょう。それは「小さな幸せ」をいっぱい心にためていくことなのだそうです。大人でもそうですが、自分だけにしか分からない幸せというのがありますよね。朝食の時に濃い目のコーヒーを飲む事だったり、ベッドメーキングが完璧にできた瞬間だったり、ためていたお店のポイントシールを一気にカードに貼ることだったり(笑)この他人には分からない満足感というものが、自己肯定感につながり、次への希望や意欲にもつながっていくわけです。子どもの遊びや生活の中でも何でそんなくだらないことに固執するんだろうと思うことはよくあります。「他にするべきことはいっぱいあるのに」「くらい遊びをしないでのびのび遊びなさい」と小言の一つでも言いたいところですが、実はこの「小さな幸せを」味わっている瞬間かもしれません。その幸せの瞬間をこわされて「こっちをしなさい」と押し付けられると、心の充実も得られず、自分から行動を起こさなくなってきます。些細な満足感を認められてこそ「私はこれでいいんだ」という安心感がめばえ、大きな力になるのです。
 難解なパズルのように、人間の心の動きというのは深いところでつながっているんですね。見えやすいものにばかりとらわれず、ぐっとこらえて長い目で見守っていくことの大切さを考えさせられました。
<<えa/1000み>>


■■たった5分間で自分を変える方法(スピカ/かも先生)
 ちょっと前に、ベストセラーになった本で『キッパリ!』というのがありました。イラストレーターの上大岡トメさんの本で『たった5分間で自分を変える方法』とサブタイトルがついています。片方の手を腰にあて、もう片方の手はぎゅっとこぶしを握ってまっすぐ上へ突き出し、「キッパリ」した表情の、トメさん本人と思われるイラストが表紙です。書店で平積みになっているのを「見たことある」と思った人も入るでしょう。帯には「だまされたと思ってやってみてください、このポーズ!!」とあります。
 私は、「ああ、よくあるよね、こういうの。売れてるんだ。確かに表紙は目を引くけどねぇ。」などと、わかった風なことを思い、書店で手に取ることさえなかったのですが、先週、友人からうっかり借りてしまって(なんだそれは。)読まざるを得なくなってしまったので、ちょっと目を通してみたのです。
 そうしたら、これがなかなかバカにしたものでもなくて(という書き方がバカにしていますが^^;)、「これ、いいかも!」の、簡単なアイデアが結構あるのです。トメさんの文章も、軽いですが、とてもうまくて、本としての組み立てがすばらしいものでした。
 自分を変える、というほど大げさなものではないかもしれませんが、もし今、いやなことがあったり、イライラすることが多かったりしたら、これをすると、ちょっとした「いい気分」を味わえそうだよ、というくらいのことはありそうです。
 以下、私がやってみて気に入ったものを少し紹介します。

 「身の回り」編

○光るものを磨く。
 何となく気分がモヤモヤ、すっきりしないときには、目に付いた物を磨いてみましょう。自分が水を飲むグラス、洗面台の鏡、部屋の窓。それでは範囲が広すぎて、ハードルが高い場合と感じるには、テレビの画面やケイタイの画面、ゲーム機の画面や女の子なら携帯用のミラーなど小さいものがいいかな。男の子なら、スポーツ関係の道具などはどうでしょう。この章では、イチロー選手が「磨いたグローブで練習した時は、汚いグローブで練習したときよりも頭や体に残る」と言っていた話が紹介されています。
 目に見える変化は、やはりわかりやすいので、気持ちが明るくなる気がします。やっているうちに、結構気分が晴れました。私はね^^;

 「頭の中から」編

○ダジャレ、なぞなぞを考える。
 ありましたよ、こういうのが。(笑) 学年によりますが課題の中にもあります(ありました)よね。本文にはまず「コドモとオヤジはダジャレが好き」とあります。確かにそのとおり。「くだらない」で片付けないで「くだらないこと」をかんがえて、頭の体操を、と紹介されています。
 みなさんの中には、毎週おどろくほどいいダジャレを書いてきてくれる人たちがいます。本当に頭の中がやわらかいのだろうなあ。そういえば、言葉の森のダジャレ名人、メグ先生も、「コツはとにかくダジャレを考え続けること」と、おっしゃっていました。本当に、頭の体操になりそうです。

「気持ちから」編

○一日10回「ありがとう」を言う。
 これは、タイトルを見ただけでも、ちょっと気分がよくなりませんか? 今、当たり前のように毎日を送っているけれど、それは、考えてみたらいろいろな人のおかげ。6月は、お父さん、お母さんの作文を書いてくれた人がたくさんいました。その中には共通して、感謝の言葉が自然に出てきていて、読んでいて、私も温かい気持ちにさせられました。本文にも「言えば言うほど心が温まる呪文」とあります。そのとおりですね。

 紹介しきれませんが、まだほかにも「いいな」と思ったもの、ありました。興味を持った方は、そろそろ図書館にもあるかと思いますので、ご一読を。


■■雨を楽しむ(うるっち/かん先生)
 「キャー、冷たい。水が入ってきたよー。」
靴の中にジュワーっと水がしみこんできました。めったに味あわない水に包まれた足の感触がなんともいえません。
「やったー! ママも入った!!」
自分たちと同じように水溜りに飛び込んだ私を見て、子どもたちの顔に満足そうな笑みが浮かびました。

 ついに梅雨の季節に入りましたね。私は毎日の梅雨空に気分がさえません。というのも、三人の子どもたちを保育園へ連れて行くのが一苦労だからなのです。出勤を控えた私の都合など全くもってお構いなし。雨を楽しみながら歩くのでなかなか園にたどり着くことができません。水溜りに飛び込んだり、口を開けて空を見上げ雨粒を飲み込んだり。多きな雨だれが落ちてくる店の軒下で、雨だれの数を大声で数えたり。持っている傘は閉じたり開いたりの繰り返しで傘としての役目を全く果たさず、髪も濡れてしまうのです。まるで泉のように次から次へわきあがる好奇心にまかせて行動している、そんな子どもたちの周りには、大人の私たちが刻んでいる時間とは全く別な時間が流れているかのようです。次の予定を気にすることなく、ただ今という瞬間だけを考えて生きている彼らを羨ましくも思います。
 自分自身の幼い頃を振り返ってみても、やはり同じように、濡れることも気にせずに雨と戯れていました。きっとみなさんも同じ経験があることでしょう。いつしか時間に追われるようになり、雨を楽しむゆとりなど持ち合わせることが難しくなってきます。それが大人になるということでもあるのかもしれませんが、雨音の奏でる音楽や乾いた地面に雨が降りはじめたときの独特の香りを楽しむ感性は失いたくありません。そして、そうした感性こそが単調に流れていく毎日を素敵に彩ってくれるものなのだと思います。

 今年の梅雨は自然の恵みである雨を味わってみようと思います。
「帰りは水溜りに入ってもいいから、朝だけはやらないでね。帰りはママも飛び込むよ!」
 <<えa/1768み>>           <<えa/1769み>>


■■雨に関することわざ・四字熟語(クマのプーさん/さと先生)
 今月は、雨に関係のあるのことわざ・四字熟語を紹介します。

<<えa/440み>>雨降って地固まる 
 (一度ごたごたのあったあとに、かえってよくまとまる)

<<えa/438み>>雨晴れて笠を忘れる
(雨がやんでしまえば笠のことなど忘れてしまう。困難な状況で受けた恩も、平時になればすぐに忘れてしまうものだ)

<<えa/439み>>雨が降れば傘をさす
 (松下電器産業の創立者で「経営の神様」といわれた松下幸之助の言葉。雨が降ってくれば傘をさすのは当たり前のことだが、そのような当たり前のことを手落ちなく着実にやるのが成功する秘訣だ)

<<えa/1013み>>晴耕雨読(せいこううどく)
 (晴れた日には外に出て田畑を耕し、雨の日には家の中で読書をするというように、思いのままのんびりと生活するということ)

<<えa/1014み>>晴好雨奇(セイコウウキ)
 (山水の景色が、晴れの日に素晴しいだけでなく、雨の日にも珍しい味わいを呈すること。晴れても雨でも景観が良いこと)

 雨といえば、東南アジアのスコールはすごいそうですね。名古屋万博にあるスコールを体験できるパビリオンの様子をテレビでやっていました。サッカー日本代表がワールドカップ(W杯)ドイツ大会出場をきめたバンコクも、スコールがきたら・・と心配されていましたが、こなくて本当によかったです。


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