言葉の森新聞2004年8月4週号 通算第852号
文責 中根克明(森川林)

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■■8月30日(月)・31日(火)は休み
 8月30日・31日は第5週でお休みです。先生からの電話はありません。

■■9.1週に進級試験を予定
 9.1週に、作文進級テストを行います。課題フォルダの字数・構成・題材・表現・主題の●印が全部できていることが合格の条件になります。(表現の項目などで「たとえ」と「ダジャレ」など二つ以上の項目が指定されている場合はどちらかができていればその項目は◎です)。キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いていってください。中学生以上の時間制限については、今回は採点の基準にしませんが、できるだけ時間内に書き上げる力をつけていきましょう。
 手書きで作文を書く人は、項目ができたところにシールをはっておいてください。
 パソコンで作文を書く人は、キーワードを入れておいてください。
 小学生の場合は、提出する前に、おうちの方が字数と項目シールをチェックしてあげてくださるとよいと思います。
 小学2年生までの生徒は、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。7月以降に受講を開始した生徒も、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。ただし、いずれの場合も、賞状は出ますので、できるだけ字数と項目ができるように書いていってください。


■■8.4週は清書
 毎月第4週は清書です。担当の先生の説明を参考にして、返却された作文の中から自分でいちばんよいと思うものを選び、作文用紙に清書してください。(一度清書したものは、清書しないように注意してください。また、ほかの人の作文を写して清書にすることのないようにしてください)
 清書は、次の月の4週の「山のたより」に掲載されます。
 清書の意義は、次のとおりです。
(1)これまでに書いた作品をよりよいものに仕上げること(小学生の場合は字数を増やす、表現を更に工夫するなど、中学生以上の場合は字数を短くまとめるなど)
(2)他の生徒の清書を読む機会を持つこと(自分の清書を他の生徒に読んでもらう機会を持つこと)
(3)新聞社に投稿する機会を作ること
 このほかに、(4)パソコンで入力する練習をする、(5)他の生徒の前月の清書に対して感想を書く、などに取り組むこともできます。

 清書の生徒コードの欄には、項目シールの中にあるバーコードシールを貼ってください。(手書きでは書かないようにしてください)
 他の生徒の前月の清書に対して感想を書く場合も、清書と同じようにバーコードを貼ってください。
 絵を作文用紙の裏に描く場合は、表に作文を書かないでください。つまり用紙は1枚の裏表を同時に使わないようにしてください。作文用紙に絵だけをかいた場合も左上にバーコードシールを貼ってください。
 新しく教室に入ったばかりの人は、返却されている作文がない場合もあります。また、返却されている作文の中に清書するものがない場合もあります。そのときは、自由な題名で作文を書いて送ってください。
 清書は、2〜5人のグループ(広場のグループ)ごとにプリントして、翌月の4週に、「山のたより」と一緒にお渡しします。この清書は、インターネットの山のたよりでも見ることができます。
 用紙の空いているところには、絵などを書いて楽しい清書にしてください。色はプリントには出ません。
 感想文を清書する場合は、最初の「三文抜き書き」や「要約」はカットするか、簡単な説明に変えておく方が作品としてまとまりがよくなります。
 中学生以上の人が清書を新聞社に送る際の字数の目安は、500字程度です。長すぎる場合は、新聞社の方でカットされて掲載されることがあります。字数を縮めるときは、いろいろなところを少しずつ縮めるのではなく、段落単位でまとめて削るようにしていきましょう。第一段落の要約と第三段落の社会実例は削除し、名言や書き出しの結びなどの表現の工夫も削除し、第二段落の体験実例と第四段落の意見だけでまとめるようにするといいと思います。
 清書は、ホームページから送ることもできます。作文をホームページから送るときと同じように送ってください。

 よく書けた清書は、自分で新聞などに投稿してください。二重投稿になる可能性があるので、教室の方からの投稿はしません。(港南台の通学生徒の場合は、教室から投稿します)
 手書きで清書を書いている人は、その清書をコピーして、原本を投稿用に、コピーを提出用にしてください。
 パソコンで清書を送信している人は、その清書をワードなどにコピーして投稿用にしてください。
 新聞社に投稿する際は、作文用紙の欄外又は別紙に次の事項を記載してください。
(1)本名とふりがな(ペンネームで書いている場合は本名に訂正しておいてください)
(2)学年
(3)自宅の住所
(4)自宅の電話番号
(5)学校名とふりがな
(6)学校所在地(町村名までで可)
●朝日小学生新聞の住所
104−8433 東京都中央区築地3−5−4 朝日小学生新聞 「ぼくとわたしの作品」係 御中
●毎日小学生新聞の住所
100−8051 東京都千代田区一ツ橋1−1 毎日小学生新聞 さくひん係 御中


■■五味太郎さんの本(しまりす/きらら先生)
 本当に暑いですね。もう夏休みの真っ最中、というような気になってきます。そういえば、梅雨明けもまだなんですね。こんなに暑くていいのかしら・・・。
 さて、みなさんは五味太郎さんの本を読んだことがありますか。たぶん、一冊か二冊は必ず知っていると思います。わたしは、五味さんの本が大好きです。今日は、その中の一冊を紹介しましょう。
 「さる・るるる」という本です。ちいさな絵本です。おさるさんが、歩いてくるページで始まります。そこに一言、「さる・くる」。次は、おさるさんがりんごの木をみています。ここにも一言、「さる・みる」。こうして、おさるさんがやったことがいつも一言で言い表されていきます。「さる・ける」「さる・とる」というふうに。「くる」「みる」「ける」「とる」は、みんな動作をあらわす言葉ですね。こういう言葉を、動詞といいます。そして、動詞はみんな、最後がウ段の音で終わるという特徴をもっています。(「書く」「飛ぶ」「笑う」・・・どれもみんな、言い終わった後の口が「ウ」の形になっているでしょう? )
 この本のストーリーは、すべて「さる・(動詞)」という文で進んでいきます。しかも、ただ動詞というだけでなく、さるの「る」にあわせて、みんな「○○る」という動詞なのです。そして、なんといっても、その話のおもしろいこと! 五味さんは言葉あそびの天才だと思うのですが、ただの言葉あそびで終わるのでなく、ストーリーがものすごくおもしろいことが、彼の本の魅力なのではないでしょうか。わっはっはという笑いではなく、くすくすっと笑ってしまう要素がいっぱいつまっているのが、五味太郎の世界なんです。
 今紹介した本には、「さる・るるる one more」という続編や、「ばく・くくく」という第二弾もあります。読んだことのない人は、ひまつぶしにぜひ読んでみてくださいね。
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■■言葉の森トリビア(ふじのみや/ふじ先生)
 みなさんは言葉の森のことをどれぐらい知っていますか? 先生の声と長文と、インターネットで送る人は「作文の丘」のページぐらいかな。
言葉の森は日々進化をしている教室です。私がここで作文の勉強のお手伝いをし始めたころと比べると、ずいぶん違っていることもあります。私も、みなさんに教えながら教えられる日々でもあるのです。そこで今月は、
<<えa/444み>>言葉の森トリビアをお届けしましょう。知ってトクをするかどうかはわかりません(笑)

<<え5053み>> 言葉の森の先生たち、おうちはどこ?
日本中に家があります。アメリカ在住の先生もいます。一番多いのは、関東地区、その次が近畿。四国や中国地方の先生も。私の現在の家から、もっとも近いところにお住まいの先生は、歩いて20分ぐらいです。
<<え5053み>> 先生がたって、どんな人なのですか?
それが……私はだれにも直接会ったことがないのです。びっくりしますか? でも、インターネットを通じてよくお話をします。この間も、作文の中に英語が使われていて、意味の解釈に迷ったので、さっそく他の先生がたに質問をしました。すると、あっという間に的を得た答えが帰ってきました。先生同士の質問・回答はオープンな形で行われるので、直接自分が聞きたいことではなくても、参考になる情報がたくさんあります。
 言葉の森で作文を教えるかたわら、文学の研究をしたりイラストレーターであったり、プログラムの技術で活躍されていたり、ユニークな才能をお持ちの先生が多いです。 でも、みなさん堅苦しい雰囲気ではありません。流行りの本や映画が話題になると盛り上がります。私はもっぱら、失敗談を語ることが多いです。車をぶつけたとか、子どもをしかって落ち込んだとか……。
<<え5053み>> 電話中の失敗談はありますか?
 電話中は居留守が大原則なのですが、以前、しつこくブザーが鳴りました。(悪いけど、出られないわ)と、無視していると今度はドアをトントン。それでも無視していると、やっと静かになりました。
 次の日、その訪問客は急用で訪れた子どもの学校の担任の先生であることがわかり、とても申し訳ない思いをしました。「電気がついているので在宅かと思いまして」と言われ、思わず「……入浴中でして」とモゴモゴ。本当のことを言えばよかったかな。

みなさんも遠慮しないでトリビアもどんどん作文の中に書いてみましょう。【自分だけがしたこと】、または【体験実例】として。自分が楽しいと思えば、きっと読む人にも伝わりますよ!
<<え2004/629jみ>>


■■継続は力なり(けいこ/なら先生)
<<えa/238み>> この時期、夏休みの宿題の読書感想文や、いろいろな作文コンクール出品など、作文を書く機会が多いですね。そもそも、作文教室に入会している皆さんですから、コンクールに興味を持っている人も多いことでしょう。私は学生時代に、自発的にコンクールに出品した記憶はありません。ですから、友人が入賞したりすると「すごいなぁ。いつも上手に書いているものなぁ。才能があるんだな。」と、単純にうらやましがっていました。
<<え2004/455み>> さて、今回は、私が担当しているKさんを紹介します。現在5年生の彼女は、この6月、ある作文コンクールで大賞を受賞しました。テーマは『私のゆめ』です。言葉の森で書いた作文に、少し加筆をして応募したそうです。大賞受賞の報せを聞いて、私は本当にうれしくなりました。もちろん、大賞そのものもうれしかったのですが、Kさんは一時期、なかなか作文をうまく書けなくて、とても悩んでいたからです。その彼女が!
 彼女は、あるとき、すごく困ったように「続けるのが大変だ。」と話し始めました。3年生から4年生になるころだったでしょうか。口ぶりには、「もう書けない。書きたくない。」という気持ちがにじんでいます。そのときは、「短くてもいいし、キーワードが入らなくてもいいから、とにかく、続けていこうよ。」と励ますのが精一杯でした。おそらく、近くで見守っているお母様も心配なさっていたことでしょう。しかし、「続けさせます。」と、いつも毅然とした態度でした。
<<え2004/456み>> 言葉の森に出してくれた作文を読むと、いろいろなことがうまく絡み合って、この作品が仕上がったのだなと実感しました。元々家庭でやっているボランティア活動・たまたま学校で催された医療ボランティアのかたの講演、そして、彼女自身の成長、作文の技術、そういうことがピタリと噛み合って仕上がったのが、受賞作品です。一番のきっかけは、学校の講演だったと思います。しかし、作文をやめていたら、このときに湧き上がってきた思いを、文章にしようという気持ちになったか。文章にできたか。難しかったはずです。
 おそらく、彼女は思いを文章化したことで、『私のゆめ』を現実のものとする一歩を踏み出せたと思います。もちろん、最終的に全く別の道に進むこともあるでしょう。けれども、別の選択肢を持ったときにも、この作文を書いたときのように、自分の気持ちをしっかり見つめることができるのではないかと思います。その上で、選び取った道であれば、迷うことがあっても納得できるのではないでしょうか。
<<え2004/197み>> 作文に限らず、何かを続けていると、ここぞというチャンスに遭遇することがあるのだと思います。確かに、続けることは大変です。やめたくなることもとても多いです。だからこそ、続けることに意味があるのです。コンクールで大賞を受賞したKさんも、楽々その賞をとれたのではありません。悩みつつも続けたからだと思います。改めて、「継続は力なり」ということを実感した出来事でした。


■■シュリーマンの記憶の秘密
  <<え1348み>>

 ドイツのハインリッヒ・シュリーマン(1822−1890)という人を知っていますか? 中高生の課題の伝記実例のヒントにもときどき登場する人物です。
 「『古代への情熱』の著書シュリーマンは、子供のころに絵本で読んだトロイ戦争を信じ、独力でトロイの都を発掘した。」(ルピナス 11.3週のヒント)
 「10数カ国語を自由自在に駆使したシュリーマンの語学学習法は、外国語で書かれた物語を丸暗記するというものだった。」(ルピナス2 11.3週のヒント)
 また、00イバラ(幼稚園年中さん用の課題)9.1週の長文にも載っています。

  <<え1343み>>

 7歳のとき、トロイの遺跡を発掘しようと決心したシュリーマンは、14歳から一人で生きていかなくてはならなくなり、苦労に苦労を重ねた末、貿易商となって大金持ちになります。幼いころからの夢を実現させようと、発掘に取りかかったのは44歳。その4年後にトロイの遺跡を発掘したのでした。このように、ギリシア先史文明の発掘者として有名なシュリーマンですが、多くの外国語を極めて短期間に習得した語学の達人としても知られています。

  <<え1344み>>

 シュリーマンが外国語の勉強を始めたのは24歳のとき。もちろん、仕事をしながらの勉強ですから、それほど多くの時間を勉強にあてるわけにはいきません。シュリーマンが短期間に10数カ国語もの言葉をマスターした秘密は音読にありました。毎日2時間、「只管(しかん)朗読」(ひたすら声を出して読む)を続けることによって、外国語で書かれた物語をそっくりそのまま覚えていったのです。母国語の本を1冊丸暗記するのも大変なのに、訳のわからない外国語の本を丸暗記するのは簡単なことではありません。しかし、シュリーマンはその丸暗記がだんだんと楽にできるようになったことに気づきます。

  <<え1347み>>

 これは、海馬記憶の訓練をすると記憶の質が変わるからだそうです。一度、海馬記憶を開いてしまえば後は簡単。それ以降、シュリーマンは、一つの外国語をマスターするのに6週間以上かからなかったといいます。海馬記憶とは、一度覚えたら決して忘れることのない深い記憶のことです。テスト前の一夜漬けで無理矢理に積めこんだ知識はすぐに忘れてしまいますが、幼いころの思い出などを忘れずにいるのはそれが海馬に入っている記憶だからです。この海馬記憶を開けば、楽な学習ができるというわけです。

  <<え1346み>>

 日本でも、昔は、この海馬記憶を開くような教育をしていました。論語や四書五経などをひたすら暗記させるという教育です。意味もわからないものをただ記憶させることを疑問視したくなるのもわかりますが、実はこの勉強法によって海馬記憶を開くことがその先の勉強につながっていたのです。論語を覚えること自体が目標なのではなく(もちろん、論語を覚えることにも意味はあると思いますが)、多くのものを受け入れられる脳を作ることが目標なのです。

  <<え1345み>>

 教室では、今、毎日の音読を宿題にしています。そして、簡単なチェックテストをしています。シュリーマンとは違って母国語の音読ですが、毎日1回の音読だけで長文を丸暗記するのは難しいでしょう。でも、毎日、音読を繰り返すことによって、長文中の語句の結びつきや文のリズムが記憶され、知らず知らずのうちに作文を書くときに役に立つものなのです。だから、少なくとも毎日1回の音読を忘れないで続けてください。そして、夏休みには、シュリーマンの『古代への情熱』を読んでみてはいかがでしょうか?
                                                                            
                                  <<え2004/227み>>
                                  山田純子(メグ)


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