言葉の森新聞2002年12月2週号
文責 中根克明(森川林)

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■■他の人の文の引用に対する指針
 小学校高学年になると、課題が難しくなるので、同学年のほかの人の作文を参考にするということが出てきます。ほかの人の実例や意見を参考にするというのはいい勉強法ですが、中には、ほかの人の書いたものを一部そのまま真似してしまうケースもあるようです。
 そこで、他の人の文の引用に対する指針を決めることにしました。
 他の人の文(解説やヒントも含む)を2文続けてそのまま引用している作文は、その作文のどこかに「この文章は一部、他の人の文を引用しています。」とただし書きをつけてください。できれば、その引用している文の直後に、引用元がわかるように書いておいてください。
 2文続けてそのままの引用を先生の方で気づいた場合は、先生又は事務局の方でその作文に引用マークを貼っておきます。
 テストの場合、2文続けてそのままの引用がある作文は、項目が全部できていても合格にはなりません。


■■アメリカで小論文の自動採点ソフト
 アメリカでのインターネットの使用は、日本よりも一歩進んでいるようです。1年ほど前に、小論文やレポートの代筆サービスがあるという記事を言葉の森新聞に載せました。大学生が定期試験のレポートなどをその代筆サービスに頼んで高得点を取り問題になっているという記事でした。
 今回紹介するのは、小論文を自動的に採点するソフトです。
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20010824203.html
 このソフトのくわしい内容はわかりませんが、たぶん次のようなやり方だと思います。まず、キーワードとなる語句を決め、次にそれらの語句がどういう順序と頻度で並んでいるかを解析します。そこでつけた点数と、実際の人間がつけた点数がどのように相関しているかを調べ、点数のつけ方を調整します。
 こういう機械採点をすると、必ず機械の裏をかこうという人が出てきます。(笑)しかし、その場合でも、人間の採点と機械の採点が一致しなくなったときに、ソフトの方を人間の採点に合わせて調整してばいいだけですから、このソフト自体も進化していくということです。
 既に、このソフトを使った入試の採点サービスが始まっているようです。理屈は明確ですから、やがて日本にも同じようなサービスが登場すると思います。
 もう一つ紹介するのは、レポートの盗作を発見するソフトです。
http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20010511204.html
 バージニア大学のルイス・ブルームフィールド物理学教授は、自作のプログラムを使って、定期テストのレポートで盗作をした人を100人以上発見しました。同大学の自主管理委員会は、そのうちの1人を退学処分にしたということです。このソフトは無料でダウンロードできるようになっているので、興味のある方は試してみてください。(笑)しかし、日本語には対応していないと思います。(意味ない)
 日本では、国語の得意な人は数学が苦手で、数学の得意な人は国語が苦手というケースが多いので、文章を評価するアルゴリズムを考えるという発想自体があまりないようです。大学の研究室などでこういう研究をしてくれれば面白いと思うのですが。


■■GoogleとOvertureに広告
 Google、Overtureという二つの検索サービスに言葉の森の広告を載せました。両社ともこの11月からYahoo!JAPANと広告提携をしているので、インターネットで「作文」「小論文」などを検索すると、言葉の森の広告が表示されると思います。
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2002/1127/yss.htm
 12月1週の言葉の森新聞に載せたのは、その広告の国語版でした。今回載せるのは、その広告の作文版です。


■■国語力・読解力をつける作文の勉強法(広告)

これから必要になる作文力
 大学入試では、小論文試験を課す大学・学部が引き続き増えています。就職試験でも、多くの会社の入社試験で、作文・小論文の課題が出されるようになりました。文章を書く機会は、インターネットの時代になってますます広がっています。
 文章力は、単に文章に表われた表現力という意味だけがあるのではありません。「文は人なり」という言葉があるように、文章の中に、その人の知識の広さや深さ、考える力、感じ方などが総合的に表われてきます。
 私たちは、この文章力を育てることによって、子供たちの個性、感受性、思考力を豊かに伸ばしていきたいと考えています。


小学生のうちから書くことが好きになる
 作文に対する好き嫌いは、小学校中学年のころから現われ、小学校高学年でほぼ定着してきます。国語や作文の勉強は、他の教科の勉強とは性格が異なっています。国語や作文は、教科書を通して学校の授業の中だけで教わるものではありません。国語力・作文力のほとんどは、家庭での読み、書き、話す習慣の中で形成されていくものです。
 したがって、作文の勉強も、そういう生活習慣をいかに形成するかというところに力点が置かれます。具体的には、毎日、ある程度の難しさを持った文章を読むこと、できるだけ文章を書く機会を作ること、周りの大人が、その文章のいいところをほめてあげることです。
 また、小学生のときに必要な作文力と、中学生・高校生になってから必要な作文力とは自ずから違います。ほめるだけでなく、作文の水準を年齢に応じて引き上げていくことも必要です。


国語力・読解力も伸びる
 作文の勉強が進んでいくと、初めは身近な生活文から始まった作文が、やがて感想文、説明文、意見文へと進歩し、大学入試の小論文へと発展していきます。その進歩に応じて、書く力だけでなく、読む力や考える力も成長していきます。
 学校や塾で行われている国語の勉強では、実際にはあまり国語の力はつきません。それは、文章を読み取る際の技術的なことを教えすぎるからです。文章は、読解の問題として読むよりも、その文章に対して自分なりの感想を書こうと思って読むときに、最も深く読み取ることができます。
 この感想文や小論文の指導を、子供が楽にできるようなわかりやすい手順で教えることが、国語力や読解力を伸ばす指導につながります。


家庭でできる作文の勉強
 低学年のうちは、書くよりも読むことに力を入れていく時期です。作文を書く練習をする必要はありますが、作文そのものを指導するのではなく、読む力をつけることによって作文力を自然に向上させるように工夫することが大切です。これは、どの学年にも共通する原則です。具体的には、良質の文章を繰り返し読むことによって文章のリズムや語彙を身につけるようにしていきます。
 中学年は読書力も作文力も伸びる時期です。この時期にいろいろなジャンルの本を多読しておくと、高学年になって速読力がついてきます。また長い文章を書く力をつけておくのもこの時期です。
 高学年は、物事を大きくとらえて感想を書くことができる時期です。受験の問題に出てくるような難しい文章を読ませて感想文を書く練習をすると、読む力も書く力も向上します。
 中学生は、読む力の方が書く力よりも早く成長するために、作文を書くことがだれでも多かれ少なかれ苦手になる時期です。語彙力がつく高校生までは、周囲が温かく見守ってあげることが必要です。
 高校生になると、意見文を書く力が安定してきます。国語力には学年の差はあまりないので、力のある生徒には大学入試問題にも取り組ませていけます。また、古今の名著に触れさせ、思考力に厚みをつけるのもこの時期です。


■■光る表現 2002年12月2週号

祐子さん(ういせ/小2)の作文より(なび先生/11.3週)
 「池の中からでられないので、ストレスがぐんぐんぐ〜んとたまって、まるで頭からほのおがでそうでたまりませんでした。」【評】なかなかクリアできないゲームをすると、ほんとうに頭からほのおが出そうだよね。

雄斗さん(ういる/小2)の作文より(リブラ先生/11.3週)
 ぼくも、みんなもおおよろこびで川の水をさわりました。川の水は、まるで雪くらいつめたかったです。(評)どんなにつめたかったのか、よくわかる表現ですね。

直哉さん(ううつ/小2)の作文より(コスモス先生/11.3週)
 あじが、すごくひろがってきたので◆しぶがきのまずいあじが、いっぱいに広がるようすがよく書けています。

千波さん(いはわ/小2)の作文より(みち先生/11.3週)
 思ったよりむずかしかったのでいやになりそうになりかけたとき、「千波、お兄ちゃんもはじめは、そんなんだったよ」とはげましてくれたので、「そっか」わたしよりちいさな子もすってんころりんしながらもがんばっていました。わたしも、それを見てがんばろうと思いました。だんだん楽しくなってあっというまに時間がたってしまいました。「またこんど来ようね」今度は、ぜったいに上手にすべれるようになるんだ。心の中でそうやくそくしました。【評】くわしく書くところが決まっています。しっかりかけましたね。お父さんのはげましのことばの力はすごいですね。がんばってね。

かとちゃんさん(いりす/小3)の作文より(あかね先生/11.2週)
 ちい(妹)は。まるでけいじのようにボクを見ていました。なんか、かんじわるかったです。(評)妹さんが、けいじのようにおにいちゃんを見るなんて、そうぞうしただけでも、おかしいね。よっぽど飴(アメ)が、うらやましかったんだね!

裕陸さん(ううみ/小3)の作文より(まあこ先生/11.3週)
 はじめにゲームをしました。ぼくは、「ようし。」と言いました。けれども負けてしまって、「ああ、負けちゃった。」と、ゴロンところびながら言いました。 【評】先生もゲームに負けると、力がぬけてゴロンところんでしまうことがよくあります。裕陸くんも先生と同じなんだなあ。と思いました。

スノーマンさん(いろわ/小3)の作文より(スズラン先生/11.3週)
 バレーボールがゆっくり、ゆっくりおちてきました。高くおちてきたから、相手にまっすぐボールを入れられませんでした。:評:バレーボールの動きがよくわかりますね。

ハリー・ポッターさん(ありる/小4)の作文より(ゆうこ先生/11.2週)
 その時、ぼくにきこえたのは、「スーハースーハー」という音だけでした。その時、パチ!とフラッシュでとられました。ぼくは、フラッシュがにがてで、フラッシュでとられると、へんな顔になってしまいます。こんどは、フラッシュで、へんな顔になっていませんように、と思いました。【評】(題名「スーハースーハー」)水泳教室での水中撮影会!スーハースーハーしながら、笑顔でパチリ!

ナオさん(あわも/小4)の作文より(スズラン先生/11.4週)
 ぼくは、心の中で、「今まで、母とやってきたことが書いてあるだけだ。たいしてむずかしくなんかないにきまってる。」と、自分に言い聞かせました。:評:試験会場で、答案用紙を前にしたときの気持ちが伝わってきますね。

スマイリーさん(いのめ/小4)の作文より(メグ先生/12.4週)
 私はどんな時でもこのカードを手放したくはありません。このカードのためにけがをしてしまっても手放したくはありません。骨折したって...。そんなになぜカードを大切するのか分かってきました。それはもう一生こない貴重な時間が示されているからだと思います。虹の郷に行ったあの年のあの日、あの時間は一生きません。そんな大切な、貴重な時間がこのカードに示されているからです。【評】一枚のカードに忘れられない思い出がたくさんつまっているのね。

知輝さん(ううな/小5)の作文より(コスモス先生/11.3週)
 おいしさが二倍増えた●すごく美味しそうな様子がよくわかります。先生も食べたくなりました。

ともっちさん(いえさ/小5)の作文より(けいこ先生/11.4週)
 学校や仕事に行っていない人は、毎日が休みだ。日曜日が、別に特別なわけではない。日曜日が、特別うれしいのは、学校・仕事に行っている人だけの、特別な思いなのだ。休日とは、仕事や学校に行っている人のためにあるような日だ。 評:ふだん、がんばっているからこそ、休日がうれしいし、休日で体も心もリラックスさせるからこそ、また学校や仕事でがんばれるのだね。

駿作さん(いしと/小5)の作文より(メグ先生/12.1週)
 なぜなら先においしいものを食べてしまうと後の楽しみがなくなってしまうから、最初にあまり好きではないものから食べている。【評】先生と同じです(笑)。だから駿作君の気持ちはよくわかるよ。

アミーゴさん(いそと/小5)の作文より(ゆうこ先生/11.2週)
 大きくなって、小説を読めるようになった。大人みたいにかっこうをつけて読めるようになってうれしいのだが、なぜそうなったのか不思議でたまらない。私の考えでは、たぶん、私が成長するにつれて、本を少しずつむずかしくして読ませる母のおかげでもありそうだ。【評】お母様のおすすめの本を読み、こんどは自分で愛読書をみつける。読みたい本がたくさんありすぎておおいそがしですね♪

ノンキィさん(いちえ/小5)の作文より(けいこ先生/11.3週)
 もしも、「どうして」と思わず、調べることもしなかったら、どうなるだろう。私たちの身の回りにある情報は、すべて正しいものではない。私たちは、疑問を持ち、調べることで、その情報が正しいか確かめているのだ。だから、もしも疑問に思わなかったら。もしかしたら、その人はまちがったことをそのまま覚えることになるかもしれない。 評:教科の勉強だけでなく、身の回りのこと・社会のできごとなど、すべてに共通することだね。

悟さん(いつあ/小5)の作文より(メグ先生/12.1週)
 おいしく作る気があればおいしくできることがわかった。【評】大切なのは気持ちですね。

真也さん(うかれ/小5)の作文より(はちみつ先生/11.3週)
 明智鉄道はスピードがとてもゆっくりで、まるで、ゆりかごにゆられているみたいでした。◆評:気持ちよさそうだね。おおきなゆりかごだなぁ。

真弓さん(うさえ/小5)の作文より(コスモス先生/11.4週)
 まるで、四次元ポケットみたいでした。[評]みかん狩りのみかんが、どんどん入っていく様子がとてもよく伝わりました。みかんは丸いから、入れているうちにすき間がつまってまた入るのですね。

早織さん(いむゆ/小6)の作文より(けいこ先生/11.3週)
 学校から帰ってくると、家のあたたかさがよくわかります。暖房やコタツなど。きっと、寒さを感じているからこそ、暖かいものが温めてくれることがわかるのだと思います。これは心も同じです。 評:「寒い」というテーマを自然現象だけでなく、心の面からとらえたのは、いい発想だね。

田鳥倉部さん(あゆと/中1)の作文より(メグ先生/12.1週)
 「お一人様限定一つ」と書いてあるとまっさきに買いに行かなければと思い、自分に焦りを感じる。まるで、ライオンが肉を食べるために争っているみたいだ。 【評】わかるなあ。この感覚。

泰佑さん(あるい/中1)の作文より(スズラン先生/11.3週)
 本当の未来とは、何ごとも自分で決めることのできる未来だと思う。・・略・・自分で自分のすることを決めることができる未来がぼくはほしい。:評:自分のことをしっかり考えているからこそ出てきた意見ですね。

香那さん(いるな/中1)の作文より(ぱんだ先生/11.3週)
 ムダな時間からでも、自分が学ぶことはたくさんあると思う。決められた社会では学ぶことのできないことをムダな時間から学ぶことが大切だ。一つ一つを、一生けんめんになって生きることが、真の未来を生きることなのだ。◆評:決められた現在、決められた未来からはみ出した部分(ムダな時間)に本当に大切なことがあるのかも知れない。自由に生きることの意味を考えさせられます。

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