言葉の森新聞2002年10月2週号
文責 中根克明(森川林)

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■■10月14日(月)は休み宿題です
 10月14日((月)10.2週は休み宿題となります。通信クラスは、担当の先生からの電話がありません。通学クラスは、教室が休みになります。
 月曜クラスの生徒のみなさんは、ホームページの「ヒントの池」などを参考に、10.2週の課題を書いてきてください。なお、10月14日の分を、ほかの日にふりかえて受講することもできます。
ヒントの池
http://www.mori7.com/mine/ike/iike.html


■■三文抜き書きの意味
小学4年生の感想文指導で、「三文抜き書き」という項目が出てきます。これは、長文の中から三つの文を抜き書きしていく練習です。(文というのは、「。」で区切られたところです)
 この三文抜き書きは、小学5年生で勉強する要約の前段階の練習です。
 一般に、物事を構造的にとらえることができるのは、小学5年生からだと言われています。文章を書くときに構成メモを作るなどという練習も、小学5年生から効果が出てきます。文章を読むときでも、その構造を自分なりに把握する読み方ができるのは小学5年生からです。
 しかし、小学5年生の生徒に文章を要約させると、どの子も長すぎる要約になってしまいます。要約を短くまとめるポイントをつかむために、小学4年生のころに三文抜き書きをしています。
 三文抜き書きは、「大事なところを三つ選ぶ」と考えると、難しくなってしまいます。「はじめ、中、おわりから三つ選ぶ」というように考えていってください。


■■父母の広場より
 6月に行なったアンケートの続きです。

短文は?(小4父母)
 短文をかなり集中して短時間で覚えられるようになりました。
 六月になると今まで覚えたのを「もう一度」と言う感じになりますが、「もう覚えているから・・・」と嫌がります。その場合別のものをあてがったほうがいいのでしょうか。それとも、もっとしっかり覚えるようにしたほうがいいのでしょうか。「百人一首をおぼえたい。」といいますが・・・・。
 何を与えればいいでしょうか?


短文の次は長文を(言葉の森より)
 短文をすっかり覚えたら、長文集の中の自分の好きなものをひとつ選んで、その長文を最初から順に百字(3行程度のきりのいいところまで)ずつ覚えていくといいです。
 ひとつの長文をまるごと全部言えるようになれば、いろいろなところで応用ができます。
 百人一首もいいと思いますが、これは覚えている人がたくさんいます。ほかの人の覚えていないようなことを覚えていると自信がつきます。


ニュースにも興味を示すようになった(小3父母)
 いつもお世話になっております。欠かさず作文は書いて、先生とのやり取りも楽しんでいる様子です。さて、最近、3年生になって、長文音読の題材がよくテレビに出てくると、「この話、“言葉の森”で読んだ話だ!」と言って、ニュースなどに興味を持つことが多くなりました。ありがとうございます。
 一つ心配なことは、そろそろ塾などでやる長文読解が長くなり、いつも時間に追われて習い事をしている娘は、どうしても長文をゆっくりと作者の気持ちになって考えることができず、そのときの直感で答えているようです。親からは何かアドバイスすることがあるのでしょうか?


読解の問題は、問題文からヒントを見つけるように読む(言葉の森より)
 難しい言葉でも、一度接したことがあると身近に感じます。中学1年生の前学期の課題で「アイデンティティ」の話がありましたが、高校生でもこういう言葉を知らない人はかなりいます。ふだん接する文章は、その学年に応じた易しいものが多いので、勉強としてよむ文章はできるだけ日常生活を超えた話題のものを読んでいくといいと思います。
 さて、国語の読解で「作者の気持ちになって考えることができない」のは、時間がないからではないと思います。読解の問題は、問題文中に必ずヒントがあります。そのヒントをつかむように読むことが大切です。ほとんどの子は、自分の直感で登場人物の心情を読み取ろうとします。ふだんの読書はそういう読み方でいいのですが、国語の問題は問題文中からヒントを見つけるように読んでいかないと得点は取れません。
 間違えた問題を一緒に分析してみて、どこにこの答えのヒントがあるかということを納得させると力がついてきます。


長く続けさせたい(小4父母)
 いつもお世話になっております。言葉の森新聞を楽しみにしております。
 子供の方は、書くことが楽しくなってきているようです。(上手、下手は別ですが。)この調子で、できれば長く続けさせたいと思いますので、ご指導よろしくお願いいたします。


続けることで力がつく(言葉の森より)
 ありがとうございます。
 読解力・表現力は、短期間で目立って上達する子もいれば、長い間なかなか変化の見られない子もいます。しかし、長く続けていると、どの子も必ず読む力・書く力がついてきます。
 伸びる時期は人によって違います。また、一時期いい文章を書いていた子が途中からあまり上手に書けなくなり、その後再び質の違ったいい文章を書けるようになる、というケースもあります。
 上達しない時期や一時的に低下したように見える時期は、焦らずに、気長に長文音読や短文暗唱を続けていくことが大切です。
 私(森川林)の教えていた生徒で、ある時期から急に上達した生徒を思い浮かべると、その時期は、中1、中2、中3、高2、高3、大学生になってから、と本当にまちまちです。小学生の生徒にもそういうケースはありますが、小学生のころの作文はいずれも身近な生活作文なので、上達しても、中学生以降の作文ほど印象に残りません。
 長い勉強の間には、順調に進歩している時期だけでなく、停滞しているように見える時期もあると思いますが、今後も長い展望で続けていてください。


言葉の森新聞はいい勉強に(小2父母)
 言葉の森新聞6.2週号の記事は、とても勉強になりました。ちょうど前日に、娘の勉強を見ていて、エキサイトしてしまったので……。大切にとっておいて、読み返そうと思います。娘の勉強を教えているつもりで逆に「忍耐」を教えられています。

忍耐力(言葉の森より)
 6.2週の記事の後半部分を引用します。
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 不思議なことに、同じことを五回も六回も繰り返すと、子供は教えられているという意識なしに自然に理解をしていきます。これをもし一回で五、六倍の時間をかけて教えようとすると、同じ理解をするのに、親も苛立ち子供も嫌がり互いに大きな摩擦を味わわなければなりません。そして、その摩擦の原因を、親は「子供が本気で理解しようとしないからだ」と思い、子供は「親の教え方が悪いからだ」と思いますから、やがて親子で勉強することはだんだん難しくなってきます。
 しかも問題は、こういうやり方がよくないということに、子供が低学年のときは、親も子供も気がつかないことです。子供が素直に言うことを聞く低中学年の場合、親はつい無理に教えたり、できないとすぐに叱ったりしてしまいます。低中学年のうちはそれでも通用していますが、高学年になると次第に親から勉強を教わることを嫌がるようになってきます。子どもが低学年のうちから、優しく軽く反復するような勉強法を心がけていってください。
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 子供は、親に忍耐力を教えるために、この世に生まれてきたという説があります。と思うと、ずいぶん気が楽になります。(ならんか)


■■光る表現 2002年10月2週号

まりりんさん(いほけ/幼長)の作文より(うさぎ先生/9.4週)
 おばあちゃんがかえったあとでわたしはかなしかったです。たたみのへやには、だれもいません。それでわたしは、もっともっとかなしくなりました。またあいたいなーとおもいました。【評】気持ちの表現が、情景の描写と重なっています。センスのよさを感じる文章です。

ななみさん(いまの/幼長)の作文より(メグ先生/9.3週)
 じょうずにのれるようになったのでほじょりんをはずしました。ペダルもはずしました。どうしてかというと、バランスをとるれんしゅうをするからです。【評】「どうしてかというと」ということばをつかって、りゆうをせつめいすることができたね。

ひかりさん(いわい/幼長)の作文より(うさぎ先生/9.3週)
 かえったらしんぼんがよろこんでみせてといいました。だからあらってみせてあげました。【評】おいもをほったときのうれしさが、よく現れています。やさしい気持ちがいっぱいです。

りぼんちゃんさん(いらい/小1)の作文より(メグ先生/9.3週)
 くりのいがいがは、まるではりねずみのようでした。さわってみたらちくっとしてちゅうしゃのようでした。【評】見たようすとさわったようすをたとえをつかってかくことができたね。

舞さん(いらき/小1)の作文より(メグ先生/9.3週)
 うんどうかいは、まるでオリンピックみたいだなあとおもいました。【評】はじめてのうんどうかい、まいちゃんにとってはオリンピックだったのね。(^o^)丿

大地さん(いろは/小1)の作文より(うさぎ先生/9.4週)
 マットは、さわってみるとごつごつしていました。くすぐったかったです。前転をしているときは、アルまじろみたいでした。かものはしるいみたいなのかな。【評】マット運動のときのようすを素直に表現しています。たとえも独創的で、科学好きな個性が出ていいとおもいます。

るーたんさん(いてふ/小2)の作文より(ポプリ先生/9.3週)
 今どは、みどりちゃんが、「これもかえるじゃないかな?」と、聞いてきました。それは、みどりのはっぱをかぶっていました。木のえだで、はっぱをめくてみると、のどを、ピクピクさせてどすんとすわっていました。同じしゅるいのかえるでした。評:目にうかぶようです。二ひきのかえるは、ほんとうに、「どこにかえるのかな?」

カムイさん(いぬや/小2)の作文より(ポプリ先生/9.2週)
 まわりには三十人はいるような大きなうろこがあり、まるでエベレスト山が一こと半分くらい大きなかお、もうでかすぎて一人がきぜつでしんでしまいました。評:たとえがじょうず、

わか島津さん(いよね/小2)の作文より(メグ先生/9.3週)
 けいごくんのシュートがとられるなんて思いもしませんでした。でも、けいごくんはつかれていたんだろうとぼくは思いました。【評】思ったことがくわしく書けたね。わかしまずくんは友だち思いだね。

一ちゃんさん(いりみ/小2)の作文より(はるな先生/10.1週)
 「神様は、なぜ天国にいるの。」と私は思います。人前に出るのがはずかしいから・・・・?(・・・・中略・・・)わたしのかみさまのそうぞうは、白い杖をもって、茶色のサンダルに長くて白いうわぎをきて、男の人です。かみさまにいちどでいいから、会ってみたいです。【講評】天国にいらっしゃるかみさまについて、あなたがいろいろ不思議(ふしぎ)に思っていることがらや、想像をとてもすなおにかきあらわせました。

王手!さん(うあち/小2)の作文より(スズラン先生/9.4週)
 (クラスでハムスターを飼っていて)みんなで見たりさわったりしています。さわると、まるであんまんのようにやわらかくて、ちょっぴりあったかいです。:評:ハムスターの感じがよくわかるたとえですね。ぴったり!

さくらんぼさん(いそら/小3)の作文より(めもま先生/10.1週)
 おばあちゃんは畑をかりていて、大根やにんじん、じゃがいも、すいかなど、育てています。出来た物をいつもおくってくれるので、さつまいもをおくってくれた時は、「もう秋なんだね。」と、お母さんが言っていました。(評)すてきなすてきな増田家の秋の訪れが書けていますね。本当にステキ!!

理沙さん(いたて/小3)の作文より(ゆえ先生/9.2週)
 私は、運動会はキライだけれど、どうせやるならば、6年間、勝ち続けたいです。◆評◆なんにでもいっしょうけんめいとりくむ、理沙さんらしさがあらわれている文章ですね!来年、もし白組になったら、理沙さんのがんばりで3年ぶりに白組が勝つかもしれないですね!

ひまわりさん(いにこ/小3)の作文より(けいこ先生/9.4週)
 【書き出し】『チャッチャッチャッ』なる子の音がひびいています。わたしの小学校はもうすぐ運動会です。……【まとめ】あと三日で運動会。今日も校庭では元気になる子の音が鳴りひびいています。『チャッチャッチャッ』 評:書き出しとまとめに、なる子の音を使ったのは、リズムがあっていいね。情景(じょうけい)で作文をまとめたのもうまい。みんなが運動会を楽しみにして、いっしょうけんめい練習をしているすがたが、目にうかぶね。

ビョークさん(いぬも/小3)の作文より(ポプリ先生/9.2週)
 すみれちゃんは、本ものの、スミレのようで、すみれちゃんがそばにいると、かなしいことがあったときも、心がパッと明るくなるような気がします。すみれちゃんの方もわたしたちとあそぶと、たぶん、とびきり楽しいのだろう、と思うととてもうれしくなります。評:ももちゃんは小さなすみれちゃんの心が思いやれるのね、えらいなあ。

みのちゃんさん(ういす/小3)の作文より(まあこ先生/9.4週)
 次にいっきくんが、あみですくったら魚の死体がとれました。ぼくは、きもちわるいと思いました。死体はいっきくんといっしょにどこかにうめました。なぜかというと、かわいそうだったからです。 【評】「きもちわるい」と「かわいそう」両方の気持ちが入りまじった体験(たいけん)だったんだね。そのときのことを、よーく思い出して、心の中のすなおな気持ちを表現(ひょうげん)することができました。

いしがみさん(ういむ/小3)の作文より(ゆり先生/9.3週)
 それから毎日毎日でめきんは下にいた。ぼくも、「ほんとにへんだなー」って思っていた。それで五日たったとき! あさおきて学校から帰ってきたあと、でめきんが死んでいた。【評:毎日心配しながらでめきんを見ていたことがよくわかりますね。死んでしまったときのガッカリした気持ちも表れています。】

貴彬さん(ういは/小4)の作文より(まあこ先生/9.3週)
 とくに、小ばた君という人はすごくドッチボールが強いです。小ばた君を100とすると、ぼくは、3ぐらいの強さです。だから、すぐあったてしまいます。でも、ドッチボールは大好きです。 【評】貴彬くんが「3」ってことはないと思うけれど、ドッチボールの強さを数字で表してしまうなんておもしろい! この後に出てくる50メートル走の「小ばた君を100とすると、ぼくは97、98」という部分との対比(たいひ)もいいね。

ナッチさん(あめか/小5)の作文より(メグ先生/10.1週)
 ガチャ、ガチャ。と鍵の音がすると、兄弟三人で玄関の前に並び、玄関が開くと、 「お帰りなさぁい!!」と、買って来たものなどを受け取る。 【評】子供たち三人にむかえられてお父さんはうれしいでしょうね。でも、ナッチさんたちが待っていたのはお父さん? それとも……(笑)。

きのこさん(いすこ/小5)の作文より(ゆうこ先生/9.3週)
 朝起きてお母さんに着がえてと言われるだけ。学校へ行く時も行ってらっしゃいと言われず、帰った時も寝る時も。ぎゃくに私があいさつをしなかったらどうなるだろうか。食べる時も寝る時も黙っていたら……。なんだかすっきりしないし、始めと終わりが分からなくて、けじめがつかない。だからあいさつは大切だ。【評】きのこさんの日常生活の中で、あいさつの意味が分かりやすく考(こうさつ)されています。

まりさん(いにほ/小5)の作文より(クマのプーさん先生/9.3週)
 でも、お父さんが帰る時は悲しくて、家で泣いてしまう。それも、お父さんとわたしのあいさつなのだ。〔評〕言葉にしなくても、気持ちや表情で通じるこういうあいさつもありますね。いろいろなあいさつについて書くことが出来ました。

のほほんダルマさん(いやる/小5)の作文より(はるな先生/9.4週)
 最後でだれかにぬかれたみたいだった。まるで、つりをしていて、大きな魚がつりざおにかかったのに、えさだけとって行って、にがしてしまったような気持ちだった。【講評】水泳大会で、ゴール近くなって最後の方で、トップの座を奪われたときのくやしさをとても上手にたとえられましたね。

海人さん(いらろ/小5)の作文より(クマのプーさん先生/9.3週)
 おなか、むね、耳、体じゅうが、どん、どん、どんっとなっているみたいだ。例えば、たいこがおなかにひびく感じの何十倍もだ。〔評〕飛行場で飛行機の音を近くで聞いた時の様子を、たとえを使って的確に表現することが出来ました。うるさい音がどのくらいうるさいか、とてもよくわかりました。

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