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  勉強の能率を上げ、生徒どうしの交流を生かす自主学習クラス――新しいオンライン教育4
  全く書けなかった記述の問題が楽に書けるようになった――作文の教え方1
  全く書けなかった記述の問題が楽に書けるようになった――作文の教え方2
 
言葉の森新聞
2020年1月2週号 通算第1594号

https://www.mori7.com/mori

森新聞
勉強の能率を上げ、生徒どうしの交流を生かす自主学習クラス――新しいオンライン教育4
 自主学習クラスの勉強内容は、国語・算数数学・英語・理科・社会など、学校で通常行われている勉強です。
 これらの勉強の特徴は、作文読解クラスや創造発表クラスの勉強と違い、答えがある勉強だということです。

 答えのある勉強は、正しい勉強方法と、かけた学習時間によって、誰でもその努力に比例して成績が上がるようになっています。
 そのため、学習塾や学校が子供たちの勉強をしっかり管理できるようになると、中には勉強をやりすぎるところも出てきます。

 子供が自覚を持って勉強する分には、やりすぎは問題になりませんが、自覚のないうちに勉強をやらせすぎると、そのときはいいとしても、あとから勉強嫌いになるという結果が生じてきます。
 小学生のころに勉強をしすぎたために、勉強嫌いになり、高校生になるころには勉強に興味が持てなくなるというケースは意外と多いのです。
 勉強嫌いの影響は、大学生や社会人になっても続くので、答えのある勉強は、やりすぎない程度に能率よく進めていくことが必要になります。

 自主学習クラスは、無理なく能率よく実力をつけることを目標に勉強を進めていきます。
 その方法は、次のとおりです。

 第一は、目標を決めるということです。
 答えのある勉強の目標は、正しい答えを出すことです。
 答えは、学校の勉強の場合は教科書の中にありますが、受験の勉強の場合は入試問題の中にあります。
 そして、学校の勉強の結果も、最終的には入試の結果に表れますから、勉強はただ漠然とするのではなく、志望校の過去問に合わせて勉強するということが大事になってきます。

 しかし、それはもちろん、入試に影響しない勉強は手を抜くということではありません。
 勉強の目標は答えを出すことですが、勉強のもっと大きな目的は自分を向上させることだからです。

 小学校低中学年の勉強の目標は、教科書のレベルの学習をしっかり身につけ、更にその発展した学習も身につけることです。
 しかし、小学校高学年の受験する生徒の場合は、志望校の過去問に合わせた学力をつけることが目標になります。
 受験しない生徒の場合は、将来の受験を考えて、半年から1年程度の先取り学習をすることと、思考力の基礎をつける読書と作文に力を入れていくことが目標になります。

 第二に、答えのある勉強で大事なことは、答えの出し方を覚えることです。
 そのためには、答えの出し方がすっかり自分の中に定着するまで反復の学習をすることが大切です。

 ちなみに、答えのない勉強で大事なことは、自分なりに考えることと、自分なりに答えを作り出すことです。
 だから、作文の勉強や、創造発表の勉強は、思考力と創造力が必要になる勉強なのです。

 反復の学習として行う反復の回数は、5回が目安です。
 1回や2回では定着できないことも、3回4回と繰り返すことによってだんだんできるようになり、5回も繰り返せば大体のことはできるようになります。
 算数数学の難問も、解法を繰り返し理解することによって、やがて自然にできるようになります。

 第三に、答えのある勉強を進めるためには、目標が決まっているのですから、その方法は自学自習を中心にすることです。
 目標への最短距離の勉強法は、自分がよくわからないところはくわしく勉強し、よくわかるところは飛ばして進むという勉強方法です。
 先生の授業を聞くことを中心にする勉強方法は、先生が最短だと思う方法ではあっても、生徒本人にとっての最短とは異なります。
 だから、家庭での自学自習を中心にすることが、最も能率のよい勉強法になるのです。

 第四に、自分のペースで行う勉強のマイナス面は、質問ができないことなので、わからないところをすぐに質問できる体制を作っておくことが大切です。
 ほとんどの質問は、お母さんやお父さんが一緒に考えてあげることで解決します。
 生徒は先生に質問することを遠慮する傾向があり、先生が説明すると完璧にはわからないときでも先生に合わせてわかったことにしてしまうことが多いので、質問はお母さんやお父さんに聞くのがいいのです。
 お母さんやお父さんが説明しにくい場合は、お母さんやお父さんが先生に質問するという仕組みにしておくのが最も効率のよい質問の方法です。

 第五に、勉強のチェックテストを行う仕組みを作ることです。
 これまでの自主学習クラスでは、生徒が利用しやすいように市販の教材を使っていたためチェックテストが十分にはできていませんでした。
 そこで、2月からは、学習塾専用教材で問題演習と確認テストが結びついた形で勉強を進めていきます。
 本当は、確認テストがなくても、反復学習をしてわからないところを質問していれば、誰でも学力がつくのですが、小中学生の場合は、わからないところをわからないまま済ませてしまう生徒も多いので、確認テストを確実に行っていくことにしました。

 第六に、1冊を5回繰り返すとは言っても、子供たちの勉強時間は限られているので、どの教科を重点にして5回繰り返すのかという年間の計画を立てる必要があります。
 年間の計画をもとにした月間や週間の計画がないと、勉強は、できるところまでやるという曖昧なやり方になります。
 そうすると、どうしても期限内に目標を達成することができなくなります。
 2月からは、問題集の演習についても、年間カリキュラムを個人別に決めていく形にします。

 第七に、生徒の勉強の進み具合について、常に保護者との連携を取ることです。
 オンラインの自主学習の場合は、生徒が家庭で勉強しているので、必要に応じて保護者との連絡を取る形の運営ができます。
 生徒と保護者と先生の三者が、懇談会や面談で常に連絡を取りながら進めていく運営にしていきます。

 子供たちの勉強は、学校や学習塾のような集団指導の形では、能率のよい学習はできません。
 しかし、2:1や3:1の個別指導では、能率はよくても、生徒どうしの交流がありません。

 5、6人の少人数で、生徒どうしが読書紹介でなどで交流をしながら、個別学習で能率のよい勉強を進めていくという形のオンラインクラスの自主学習クラスが、これからの子供たちの学習の中心になっていくと思います。
 
全く書けなかった記述の問題が楽に書けるようになった――作文の教え方1
 小学校高学年の生徒の保護者から、塾の記述の問題で以前はほとんど書けなかったものが、言葉の森で作文の勉強始めてから楽に書けるようになったという話を聞くことがあります。

 これは、ある意味で当然のことです。
 というのも、記述問題を書く力と作文を書く力は同じですから、作文が書けるようになると記述問題も同じように書けるようになるからです。

 言葉の森の作文指導では、これまで作文をほとんど書けなかった子が、言葉の森で勉強することによって初めて楽に書けるようになったという話をよく聞きます。
 なぜそういうことができるかというと、それは作文の勉強の仕方が違うからなのです。

 通常の学習塾などでの作文指導や通信教育での作文指導は、まず子供に作文を書かせてから、その良いところや悪いところを添削するという形で勉強が進みます。
 この添削というのが、良いところを褒めるよりも悪いところを直すことに重点が置かれるのは容易に想像できます。

 本人がせっかく一生懸命書いた作文を、欠点だけ毎回指摘していれば、真面目な子ほど作文が書けなくなっていきます。
 低学年の子は、さらにその傾向が強くなります。
 このため、作文指導に熱心な先生に教えられるほど作文の苦手仲間増えるという逆説が生まれているのです。

 言葉の森の作文指導は、添削して直す指導ではなく良いところを褒める指導です。
 と言っても、漠然と良いところを褒めていたのでは、子供たちの実力が伸びません。
 作文を書く前にどういうところに注意して書いていくのかを事前に指導し、その指導した項目ができたことを褒めると言う手法なのです。
 こういう指導を行っている作文教室は、言葉の森以外にはありません。

 この事前に項目を指導して褒めるという指導すると、どんなに作文が書けない子もすぐに書き出すことができるようになります。
 それは、自分が何を求められているのかが分かり、その求められていることができれば褒められることがわかっているからです。


 事前指導のない作文の教え方では、子供は、自分が何を求められているのかわかりません。
 そして、とりあえず一生懸命書いたとしても、その書いた作文の欠点をあれこれ直されるだけだという予測ができます。
 そのために、作文が書けなくなっていくのです。

 これは、家庭で作文の勉強している場合にも当てはまります。
 子供が書いた作文をお母さんやお父さんが見る場合、最初のひとことは必ずと言っていいほど注意のひとことです。
 特に、自分の子供の作文の場合は欠点だけが先に見えるので、どうしても最初に注意をしてしまうのです。

 子供は作文を書いている間も、書き終えたあと親に注意されることが予想できるので、低学年の子の場合は書くたびに親にどう書いたらいいか聞くようになります。
 よく、子供が聞いてばかりいてなかなか自分の力で書かないという相談を受けることがありますが、それはお母さんが直す指導を続けていたために、何でも親に聞く書き方をするようになったのです。

 親がいつも作文の良いところを褒めていれば、子供は本当に必要なことしか聞きません。
 子供が書くたびに質問するのは、褒める指導ではなく、注意する指導をしているからなのです。
(つづく)
全く書けなかった記述の問題が楽に書けるようになった――作文の教え方2
 褒める指導の要点は、事前の項目指導です。
 例えば、感想各指導の場合も、子供が作文の感想を書いたあとに、「感想がありきたりだ」とか、「物足りない」とか言っても、子供はどうしていいかわかりません。
 「物足りない」という評価をするのではなく、事前に、「『人間にとって』という大きい言葉で考えてみよう」という指導していくのです。
 そして、「人間」という言葉が入っていれば、それが内容的に物足りないものであっても、そういう表現をしたことを褒めるというのが事前指導です。

 低学年の場合は、「感想がありきたりだ」というのではなく、事前に、「感想は2行以上になるよう長く書いていこう」と言うのです。
 すると、子供は、「長く書く」という目標は努力によってできることなので、安心して書くことができます。
 長く書けば、自然に感想に自分らしさが出てきます。
 そして、長く書いたことだけを評価して、その内容については注意などはしないのです。

 先日、保護者懇談会で、こういう質問がありました。
 子供が、「それで」という言葉を何度も使って書くというのです。

 この場合、子供が書いたあとに、「同じ言葉を何度も使っていたらおかしい」というのでは、子供はどう書いていいか迷うようになります。
 というのは、「それで」という言葉が必要な場合もたまにあるからです。

 この場合はどうしたらよいかというと、「作文用紙1枚に『それで』という言葉はひとつだけなら使っていいが、二つ以上あったらその二つ以上のところはあとで消しておく」と言うのです。
 こういう客観的な説明であれば、子供は迷わずに書くことができます。

 子供の作文を見る人は、自分の感覚で作文を批評するのではなく、子供が明らかにわかるような言葉で事前指導をしてその事前指導ができた場合に褒めるというやり方をしていけばいいのです。

 このような作文指導を行っていると、書くことに迷いがなくなります。
 すると、記述問題も楽に書くことができるようになるのです。

 また、言葉の森では、記述問題の書き方のコツとして、「物事を対比して書く」という方法を教えています。
 この方法がわかると、中学生や高校生の記述も書き方がかなりしっかりとしてくるのです。

 この「対比して書く」という書き方は、作文指導の場合は、「反対意見に対する理解」や「自作名言」という項目にあたります。

 記述問題というのは、作文の問題を短くしたものと考えていけばよいのです。



                                    
 
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