言葉の森新聞
2018年6月2週号 通算第1518号 https://www.mori7.com/mori |
森新聞 |
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■言葉の森の勉強で、作文力とともに、こんな力がつく |
言葉の森は、作文の勉強をする日本で最も長い伝統を持つ教室ですが、単に作文を書く力をつけるだけではありません。 作文力とともに、次のような力もつけられるのです。 ◆暗唱力がつき、覚える勉強が楽にできるようになる――「暗唱検定と暗唱チェック」 ◆読書力がつき、よりレベルの高い本を読むようになる――「オンラインの読書紹介」 ◆親子の対話が盛んになり、話す力、聞く力がつき、語彙が増える――「作文の予習シート、構想図」 ◆受験作文力がつき、中学入試、高校入試、大学入試、就活で役立つ――「受験作文コース」 ◆読解力がつき、国語の勉強だけでなく、あらゆる勉強の基礎ができる――「問題集読書」 ◆国語、算数数学の勉強の仕方がわかり、毎日の自学自習の習慣がつく――「自主学習コース」 ◆子供の勉強や生活に関する相談がいつでもでき安心できる――「電話面談、オンライン保護者懇談会」 ◆友達との交流の中で、毎週楽しく作文が書けるようになる――「寺オン作文コース」 ◆国語、算数数学、理科の創造的な学習に取り組めるようになる――「発表学習コース」 大学入試がゴールではなく、その先にある創造的な仕事をするための実力をつけるのが言葉の森の勉強の目標です。 言葉の森で真面目に作文の勉強をしていると、国語力、読解力がつきます。 それは、毎日難しい長文を読むようになるからです。 すると、勉強全体の力がつき、受験期にすぐに成果が出せるようになります。 作文力、国語力、読解力は目立たない学力ですが、いざというときに最も頼りになる学力なのです。 |
■音声入力のコツ――時間の取れない中高生のために |
先日、中学生の生徒の保護者から、子供が学校の勉強が忙しく作文を書く時間がなかなか取れないという相談を受けました。 そこで、音声入力の講座を開くことにしました。 音声入力というと、多くの人は、口で話すようなやり方で、作文と同じようなことを書くのは難しいのではないかと言います。 確かに、話すのと同じようなスピードで作文を書くというのは、よほどその内容をよく知っているのでなければ難しいと思います。 |
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文章というものは、書きながら考えるという面があるので、どうしてもスピードが遅くなります。それは、話すスピードとはかなり違うのです。 だから、音声入力で作文を書くコツの第一は、考えるスピードで話すということです。 たとえて言うと、日本の政治家の中に、「えー、……、あー、……、うー」というようなきわめてゆっくり話をする人がいます。それは、考えて言葉を選びながら話しているからだと思います。 ちょうどそのような話し方で、文と文の間に間を置きながら、次の言葉を選んで話していくのです。「あー」「うー」は入れません。 そのように考えながら話すやり方だと、スピードは1分間で100字程度になります。 普通の朗読は1分間で400字ですから、朗読の4分の1の速さでゆっくり話すというのが音声入力のコツになります。 もちろん、書く内容が既にすっかり頭に入っている場合は、1分間400字でも書けます。 1分100字(10分1000字)のスピードは、パソコン入力をかなり速く打つのと同じぐらいの速さです。 パソコン入力スピード認定試験というものがあり、4級が10分200字、初段が1000字、5段が2000字だそうですから、音声入力のゆっくり読みが初段と同じぐらいで、やや速く読むのが5段ぐらいになるのだと思います。 音声入力の第二のコツは、簡単な構想図を書いて話をするということです。 手で書く文章の場合は、自分が書いたものを読みながら書き進めることができるので、文章全体の構成と、自分がこれから書こうとする文の関係がわかります。 しかし、音声入力の場合は、それまで自分が読んだ文章の全体が見えないので、文章全体の構造がわかりにくくなります。 ただし、1200字程度の文章であれば、書こうとする内容の全体像が頭に入るので、特に構想図のようなものがなくても書くことはできます。 しかし、将来、より長い文章を音声入力で書くことを考え、音声入力の準備として簡単な構想図を書いておくといいのです。 ところで、この自分が音声入力したものの全体が見えないというのは、後戻りをしないという点で音声入力の長所と考えてもよいと思います。 作文を書くのが遅い人は、少し書いては読み返し、消しゴムで消してまた書いて、というような書き方をしていることが多いからです。 さて、音声入力をしていると、作文試験など手で書くときに困るのではないかと言う人もいると思います。 これは、作文試験の3か月ほど前から手書きに戻して練習していくということで対応できます。 音声入力の意外な利点は、どこでも作文が書けるということにあります。 例えば、家から駅まで徒歩10分だとしたら、その道を歩きながら1000字の作文が書けます。 ただし、これは書く内容があることが前提になりますから、大事なことは作文以前に、読書、対話、思考の時間を十分に取っておくことです。 そして、その準備の上に、これまで1時間かけて書いていた作文を、10分で仕上げていくようにすればいいのです。 しかし、歩き作文は、そのうち問題になりそうですから(笑)、あまり勧めません。 音声入力のいちばんの利点は、書くことが速くなることよりも、書く際の負担が少なくなることにあります。 高学年や中高生の難しい作文課題になると、書き出すのに、気合いのようなものが必要になります。 そのために、作文の勉強を後回しにして、結局書けなくなってしまうことがあるのです。 音声入力という方法を知っていれば、とりあえず10分あれば最後まで作文が書けるので、気軽に始めることができます。 |
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この気軽に書き出せるということが重要なのです。 大事なことは、書くという作業ではなく、それ以前の考える過程だからです。 以下に、5月26日に行った、音声入力講座の動画の記録(一部)を紹介します。 音声入力の方法をマスターすると、作文を書く際の負担が大幅に軽減します。 それは、1200字の作文でも、10分程度でとりあえず書くことができるからです。 音声入力でテキスト化された文章を手直しする時間があるとしても、それはほとんど苦になりません。 手直しは、単なる作業としてできるからです。 大事なのは作文の中身であって、どういう方法で書くかということではありません。 作文を書く前の構想図の段階でしっかり考えを深めていれば、あとはどのような方法で書いてもいいのです。 だから、自分の最もやりやすい能率のよい方法で書いていくといいのです。 ところで、構想図を書くのは、もちろん手書きです。 考えを深めるためには、紙とペンによる手書きという組み合わせが今のところ、最も自然だからです。 しかし、ソクラテスの時代には、対話が思考を深める方法だったようですから、そういう方法もいずれは開発されるかもしれません。 今のところは、構想図を書くために、親子で対話をするということでやっていくといいと思います。 ・「音声入力講座2018年5月26日」 https://youtu.be/qC_g7rg11eg |
■ブラック勉強とホワイト勉強 |
天外伺朗さんの本で、「ホワイト企業」という考え方があることを知りました。 ブラック企業というのは、会社の業績を上げるためには社員を犠牲にしてもやむを得ないとする考え方です。 業績が上がれば社員に還元できるのだからという理由で、業績第一、社員第二としているのです。 ところが、業績第一社員第二と考えると、肝心の業績もなかなか上がらなくなります。 その反対に、社員第一、業績第二という経営をしていると、自然に業績も向上してくるというのです。 同じことが、子供の勉強についても言えるのではないかと思いました。 成績第一、子供第二というと何か変ですが、今の子供たちの勉強生活はそのようになっているのではないでしょうか。 これは、成績を上げていい学校に入ればその結果として楽しい生活が送れるだろうから今は苦しくても我慢するという考え方です。 しかし、この考え方だと、成績もなかなか上がらないのです。 その反対に、子供が楽しく幸福に暮らすこと、つまり子供の笑顔を第一にし、成績や合格は第二と考えていると、自然に成績もよくなっていきます。 確かに、短期間の成績に関しては、そのときの頑張り方が影響します。 しかし、長い期間の成績を考えると、成績よりも子供の幸福を第一に考えていくことで、子供は勉強だけでなくあらゆる面で成長していくのです。 これをブラック勉強と対比する形で、ホワイト勉強と名付けることができます。 このホワイト勉強を支える母親がホワイトマザーであり、その母親を支える父親がホワイトファザーなのです。なんだかわけのわからない言葉になりましたが。 |
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子供がテストで悪い成績を取ってきたとき、お母さんが言うひとことは、 「人生は長いんだから大丈夫」と、まず安心させてあげることです。 そして、実際に、子供の頃の成績は、その後の人生に何の影響も与えないのです。 子供の人生に影響を与えるものは、いかに幸福な子供時代を過ごしたかということだけです。 こういう考えを大前提にして、家庭での勉強は楽しさ第一でやっていくことです。 |
■答えのない勉強としての読書(その1)――子供の読書生活をどう発展させるか |
読書は、作文と同じように、答えのない勉強です。 これが、算数の計算問題や国語の漢字書き取り問題など答えのある勉強と違って、一律の取り組みというものを難しくさせています。 読書も、作文も、その子の個性が関係する勉強なのです。 答えのある勉強が客観的な基準を持っているのに対して、答えのない読書には、これがよいと言えるものがありません。 その反対に、こういうことはよくないということを、それぞれの子供に応じて言うことはできます。 その子に応じた読書が必要になるので、ある子にはAがよいと言い、ある子にはBがよいと言うことがあるのです。 どういう読書が大切かということについて、大きく四つのことが言えます。 しかし、この四つを全部やればよいということではなく、それぞれの子供の読書力の状態に応じて、重点を決めていく必要があります。 第一は、毎日読むということです。 読書は習慣になるものなので、毎日本を読む時間があれば、それが生活の一部として無理なく続けられるようになります。 しかし、読まない日が2、3日続くと、そのまま本を読まない生活が習慣になってしまうことが多いのです。 したがって、どんなに本が苦手な子であっても、最初の出発点とするのは、毎日10ページ以上を読むということなのです。 読書が苦手な子でも、10ページという基準は苦になりません。 そして、毎日欠かさずに10ページ読んでいるうちに、あるとき、ふとその本の内容に引かれて10ページ以上読み、そのまま最後まで読んでしまうというようなことが出てきます。 そこから、読書の面白さということに目覚めるのです。 この、毎日10ページ以上必ず読むという読み方が、読書生活の出発点です。 どんな本を読ませたらいいかということよりも、毎日10ページは読むということが最も大切なことなのです。 しかし、ここで大きく誤解する人が出てきます。 それは、毎日10ページ読んでいるから、それで十分だと考えてしまう人がいることです。 毎日10ページという基準は、最初の出発点なのであって、それがゴールなのではありません。 毎日読むというところから、それぞれの子供の読書力に応じて、読書を発展させていく必要があります。 それが、後に述べる、第二、第三、第四の読み方です。 それは、多読、復読、難読という読み方です。 (「難読」というのは、難しい本を読むという意味の造語です。) (次号、その2~4の内容につづく) |