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  ネットを活用した参加型の教育を広げる――平成30年の抱負
  都立中高一貫校の海外帰国子女枠の入試と、オンライン作文の学習
  稼げる大人になるというよりも、自ら仕事を作れる大人になる
  20年前の生徒が突然訪問
 
言葉の森新聞
2018年1月3週号 通算第1499号

https://www.mori7.net/mori

森新聞
ネットを活用した参加型の教育を広げる――平成30年の抱負
 私がいつも思っているのは、日本をよりよい国にしたいということです。
 それを、主に作文を中心とした教育の開発と普及を通して行っていきたいと考えています。

 これからの教育は、(1)実力を育てる教育、(2)家庭に根ざした教育、(3)文化を高める教育、(4)創造を生み出す教育になると思います。

 これらはそれぞれ、現代の、(1)勝敗を基準にした教育、{2)教える専門家に任せる教育、(3)点数を目的とした教育、(4)競争に勝つための教育と対比して考えたものです。

 この理想とする教育を進めるための方法として生かしていきたいと思うのは、第一に35年間の作文指導の蓄積、第二にオンラインツールの活用、第三に講師・父母・生徒・HPやFB読者の交流です。

 具体的には、これが今年の目標になりますが、
1,生徒どうしの発表交流の充実、
2,講師・保護者の定期的な懇談会交流の企画、
3,森プロメンバーの研修交流の企画、
4,寺子屋オンライン企画である、思考発表クラブ、自主学習クラス、オンライン作文コース、読書作文キャンプの充実、
などです。

 これらの目標について、言葉の森の長所や独自性を発揮できると思うのは次のようなことです。
 第一に、言葉の森の講師・父母・生徒・読者に人間性の高い人が多いと思うことです。
 第二に、ウェブ会議室を活用した参加型のオンライン教育ができることです。
 第三に、講師間、講師生徒父母間、Facebookグループなどで、生きたつながりができる条件があることです。
 第四に、森林プロジェクト、森リン、作文検定、暗唱検定など、独自の組織やシステムがあることです。

 そこで、平成30年(2018年)の方針をひとことで言うと、「ネットを活用した参加型の創造性教育を広げる」ということになります。

 ネットを活用するので、海外にいる日本の子供たちの教育も、国内と同じようにカバーできます。
 海外の教育に関して最近大きな進歩があったのが、仮想通貨を使った決済ができるようになったことです。

 しかし、仮想通貨はまだ発展途上で、第一世代のビットコイン、第二世代のイーサリアムに続いて、第三世代の通貨がいろいろな形で実験されている途中です。

 言葉の森も、オリジナル仮想通貨でやりとりをすることを考えていましたが、実際にやってみると、まだウォレットの準備を通貨ごとに行わなければならないなど、不便な点が多いことがわかりました。
 だから、しばらくは、ブロックチェーンを使わない仮想通貨システムでやっていく予定です。

 それでは、今年もよろしくお願いいたします。
 
都立中高一貫校の海外帰国子女枠の入試と、オンライン作文の学習
 東京都教育委員会は1月9日、平成30年度の都立中高一貫校の入試について、海外帰国生徒枠の応募状況を発表しました。
 最終応募倍率は、白鴎高附属中が募集人員24名で2.04倍、立川国際中が募集人員30名で1.93倍でした。

 受験できる条件は、海外に2年間以上在住し、日本国内に戻って2年以内となっていますから、かなり限られてきます。
 しかし、一般枠の受験の例年の倍率は、白鴎高附属中が約7倍、立川国際中が男子約5倍、女子約6倍ですから、倍率の面だけから考えてもかなり有利な条件になっています。

 しかも、試験の内容は、一般枠の受験が全教科で難度の高いものであるのに対して、海外帰国子女枠の試験は、作文(45分600点)、面接(20分400点)の二つだけですから、無理な受験勉強をする必要は全くないと言っていいと思います。

 海外帰国子女枠の入試は、この都立中高一貫校以外にも、全国の多くの公立・私立中学校で行われています。(資料参照)
 また、中学入試だけでなく、高校入試も、大学入試も海外帰国子女を対象とした入試は増えています。

 以上のことから考えると、条件さえ合えば、海外帰国子女枠の受験は、言葉の森の勉強と一致する点が多いと思いました。

 その理由は、第一に、無理な受験勉強をしなくて済むことです。
 今の受験は、小学生の貴重な読書や経験などの時間を犠牲にして、難問の解き方を身につけるという無理なところがあります。
 そういう受験勉強に疑問を持つ家庭にとっては、帰国子女枠の受験は、生徒本人の実力を素のまま生かせる理想的な受験になると思います。

 第二は、言葉の森の作文指導が、小1から高3までの一貫した勉強で、自然に小論文の学習に進むカリキュラムになっていることです。
 受験などまだ意識しない小学校低学年のうちから楽しく作文を書くことが、そのまま中学入試や高校入試、更には大学入試の作文小論文試験の勉強につながっています。
 そして、このようにして身につけた文章表現力は、大学入試で終わるわけではなく一生使える力になっています。

 第三は、言葉の森が今行っているオンラインの学習が、海外在住の生徒にとっては、貴重な勉強の機会になることです。
 海外に暮らしていると、子供の学習環境は、周囲の子供たちの影響で、どうしても日本語力を伸ばしにくいものになってきます。
 ところが、言葉の森で、毎週1回、同学年の子供たち5、6名で、作文の構想図を発表し合ったり、自分の研究成果を発表し合ったりする機会があれば、日本語力や作文力だけでなく面接対応力も十分に育ちます。

 ただし、言葉の森の海外の生徒の作文指導は、今は時差の関係で教える先生がまだ少ないのが現状です。
 そこで、当面は、時差が少ないアジア在住の日本の子供たちを中心に、オンラインの学習指導を広げていくことを考えました。

 また、言葉の森では現在、作文講師資格講座の森林プロジェクトを広げていますが、この森林プロジェクトの海外の講師がオンラインの思考発表クラブを担当すれば、同じタイムゾーンで指導できるため、時差の問題はなくなります。
 そこで、今後は、アジア在住の教育に関心のある方を対象に、森林プロジェクトの作文講師資格講座を広げていきたいと思っています。
 
【関連URL】

【中学受験2018】都立中高一貫校の最終応募状況…帰国在京枠は白鴎2.04倍・立川国際1.93倍
https://resemom.jp/article/2018/01/10/42176.html

<都立中高一貫校>特別枠、海外帰国・在京外国人生徒枠募集
http://toritsu-chugaku.com/tokubetsuwaku/

帰国子女枠中学受験の学校情報・入試対策方法|海外子女向けオンライン
http://www.edubal.net/eduexaminfo_cat/jse/

帰国子女受入校 | 海外子女教育振興財団コーポレートサイト
http://www.joes.or.jp/g-kokunai

平成30年度 東京都立白?高等学校附属中学校 募集要項
http://hakuo.ed.jp/web/pdf/EntranceExam-J/30AdmissionOutline.pdf

都立立川国際中等教育学校平成30年度 海外帰国・在京外国人生徒枠募集について
http://www.tachikawachuto-e.metro.tokyo.jp/site/zen/page_0000000_00174.html
稼げる大人になるというよりも、自ら仕事を作れる大人になる
 先日、ホームページの記事で、仮想通貨のことについて書きました。
(「仮想通貨のあとに来るもの」
 https://www.mori7.com/index.php?e=3126


 今、仮想通貨の取引所の新規登録がかなり混み合っているようなので、仮想通貨はすでに多くの人の認識の上では市民権を得ています。
 そして今年は、実経済の中でも、法定通貨の現金や預金と同じような存在感を得るようになるのだと思います。

 もちろん、仮想通貨にはビットコイン以外にいろいろなものが出ていますから、ブロックチェーンの仕組みそのものが本質的に信頼できるものになるという意味です。

 こういう時代に何が起きるかというと、先日の記事でも書いたように、世の中の経済的な価値を各人が作れるような時代が来るということです。

 昨年の2月に、NHKクローズアップ現代で、「稼げる大人になる」という教育に関する企画がありました。
 しかし、この「稼げる大人」の前提となっているものは、今の社会における「稼げる」という基準です。

 これからの時代に登場するのは、今の社会を前提にした稼げる力ではなく、新しく来る時代で稼げる力なのです。
 それは何かと言えば、稼ぐことではなく仕事を作ることです。

 しかし、今の大人はもちろん子供も、仕事を作るという観点からの教育を受けていません。
 だから、多くの人が、仕事を作るというと、これまでの経済の中心であった工業製品やあるいは工業的なソフトを作るというようなことで考えてしまうために、そのようなことは一部の人にしかできることではないと思ってしまうのです。

 ところが、これから来る時代は、多数の消費者兼労働者と少数の生産者に分離した社会ではなく、すべての人が消費者でありかつ生産者であるような社会です。
 
 それは、社会における消費の中心が、物財やサービスの消費ではなく、自分自身の向上や創造という教育と文化の消費になるからです。

 この教育と文化における消費と生産の多様性は、物財やサービスの多様性の比ではありません。
 本人が心から好きなものというのは、ある意味ですべての人がそれぞれに違うほど微妙に異なっているからです。

 例えば、スマホの多様性でどれが好きかという選択はせいぜい数十種類ですが、自分がどういう人間になりたいかとか、どういうことが本当に好きかという多様性は、文字どおり一人ひとり違います。

 その個性のロングテールをもとにして生まれるのが、消費と生産がともに一人の人間の中に存在するような社会なのです。

 そして、その多様性を生かすために、今の勉強の中心となっている学力ももちろん必要になるということです。
 学力は、いい学校に入り、いい会社に入るために必要なのではなく、自分の手でいい仕事を作るために必要なものになるのです。
20年前の生徒が突然訪問
 日曜日、教室で仕事をしていると、玄関でチャイムの音が鳴りました。
 配達の人かと思って出てみると、30代半ばの女性が一人いました。

「どなた様ですか」
 と聞くと、
「あ、やっぱり先生。こんにちは。○○です」
 名前を聞いてすぐに、ああと思い出しました。

 20年ぐらい前に、教室で教えていた小学生の子でした。(もう子ではありませんが)
 近くを通ったとき、言葉の森の看板を見て懐かしくなり、教室のある3階まで上がってきたそうです。

 名前を聞くと、昔のことを自然に思い出しました。
 その子が小学6年生のころに書いていた作文に、お父さんの話があったことを思い出し、そのことを話すと、
「先生、そんなことよく覚えていますね」
 と笑っていました。

 作文を教えている先生は、共通の経験があると思いますが、子供の書いた作文は結構細部まで覚えているものなのです。
 もちろん、子供も、自分の書いたものをよく覚えています。

 しばらく話をしたあと、
「それじゃあ、今度Facebookページに来たらいいよ」
 と言うと、そうしますと言って帰っていきました。

 自分は、当時、決してよい先生の役を果たしていなかったと思うのですが(今も)、このように懐かしく思って訪ねて来てくれる人を見ると、感謝をしたい気持ちでした。

 言葉の森には、最近、昔の生徒のお母さんが、子供を習わせに来るようになりました。
 人によっては、そろそろ孫が登場するころかもしれません。

 今度、Zoomか合宿所で同窓会を開き、話を開きたいと思っています。
 
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