言葉の森新聞 編集用
印刷設定:A4縦用紙 :ブラウザの文字のサイズ:最小 ブラウザのページ設定:ヘッダーなし フッターなし 左余白25 右余白8 上下余白8
  10月1日(木)から新学期
  10月12日(月)は休み宿題
  受験コースの作文の勉強の仕方(つづき)
  国語力は、受験だけでなく社会に出てから役に立つ
  勉強とテレビゲーム――素直に言うことを聞く時期に、子供の自主性を育てる
  寺子屋オンエアの勉強の仕方で注意すること――勉強は長時間やらせない、問題集に答えを書かない、面白い本を中心に少しずつ難しい本を、問題集読書は音読が大事
   勉強は長時間やらせすぎない
   問題集に直接答えを書かない
   面白く読める本を優先、しかし少しずつ難しい本に触れる機会も増やす
   問題集読書の音読と感想
  作文力は、ひとまとまりの文章を書くことで身につく。そのためには、読む練習、褒め言葉、事前の準備が大事
 
言葉の森新聞 2015年10月1週号 通算第1388号

https://www.mori7.com/mori/

森新聞
10月1日(木)から新学期
 10月1日から新学期が始まります。教材の説明は、課題フォルダの表紙の裏側に書いてあります。また、勉強の仕方の説明は、「学習の手引」に載っています。
http://www.mori7.com/mori/gate.php
10月12日(月)は休み宿題
 10月12日(月)は、休み宿題です。先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日9時~19時50分、土曜9時~11時)
 電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
 課題の説明の動画「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/
 オープン教育の掲示板「森の予習室」にも、学年別の予習のヒントが載っています。
受験コースの作文の勉強の仕方(つづき)
 第三は、切れ味のよい表現を作っていくことです。
 受験の作文を採点するのは人間ですから、単に正しいことを書いてあるだけでなく、読む人の心にひびくような表現が使われていることが大事です。この切れ味のよい表現が、作文の結びの5行以内に入っていると、読んだあとの印象がかなり上がります。
 同じレベルの作文であれば、結びの5行に切れ味のよい表現があるかどうかで、合否もほぼ決定するのではないかと思います。
 ところが、この切れ味のよい表現は、作文をいくつも書く中で、偶然に出てくる面があります。
 だから、毎回表現の切れ味を意識して書き、そこに両親も参加してアドバイスするという形をとっていくといいのです。
国語力は、受験だけでなく社会に出てから役に立つ
 受験の主要科目は、国、数、英です。
 この中で、最も差がつきにくいのが国語です。というのは、国語は全くできない人でもそこそこの点数を取ることができる代わりに、よくできるからと言って満点を取ることは難しい科目だからです。
 これに対して、数学と英語は、勉強力の差がはっきり出ます。特に、数学は大きい問題ができるかできないかで全体の点数が大きく変わってきます。だから、受験を左右するのは、数学と英語なのです。
 では、なぜ数学と英語は、勉強力の差が出るのでしょう。それは、問題作成に人工的な要素が盛り込めるので、さまざまなレベルの難しい問題を作れるからです。
 だから、学習塾も予備校も、数学と英語に力を入れています。そして、国語には力を入れていません。
 国語は差がつきにくいから力を入れないということもありますが、それ以上に、勉強をさせてても力がつかないから、塾でも予備校でも力を入れられないのです。
 もちろん、受験指導をするという建前上、塾や予備校は一応国語も教えるようにはなっています。しかし、国語は教えても力がほとんどつかないとわかっているので、問題集をやらせて解説を詳しくするような勉強しかしていません。
 国語力をつけるとうたっているところも、せいぜい解き方のコツを教える程度の指導です。解き方のコツがわかると、確かにある程度の点数は上がります。しかし、それは国語力がついたのではありません。
 国語力は、実は国語のテストではあまり測ることができません。
 本当の国語力は○×式のテストではなく、文章を読み、それをもとに文章を書かせることでわかるからです。
 だから、今後、このような国語の試験が増えてくると思います。
 本当の国語力は、受験のときにも役立ちますが、それ以上に社会に出てからも役に立ちます。
 数学や英語の場合は、社会に出てからはあまり使わない人もいます。逆に、仕事などで使う場合は、学生時代さぼっていた人でもがんばれば比較的短期間で身につけることができます。
 
 これに対して国語力は、社会に出るといやがうえにも使わざるをえなくなります。
 文章を読むことでも、書くことでも、話し合いをすることでも、考えることでも、すべて広義の国語力が必要です。
 しかも、こういう国語力は、必要になったからといって短期間では身につけることができないのです。
 だから、子供時代の国語の勉強は、国語の成績を上げるということももちろん大事ですが、それよりももっと大事なのは、読む力、書く力、考える力をつけるといことを考えていくといいのです。
 そういう国語力は、問題集を解くような勉強法では、決して身につきません。
 実際に文章を読み、考え、文章書くことによって身につくのです。
 国語力と国語の成績は少し違います。
 国語の成績は、解き方のコツによって上げることができますが、国語力は毎日の読み書きによってしか上げることはできません。
 そして、国語の成績は、国語力によって上限が決まってくるのです。
 受験に役立つのは、国語の成績と国語力の両方ですが、社会に出てからも役に立つのは国語力の方です。
 だから、国語の勉強は、成績を上げるだけでなく国語力をつけるつもりで取り組んでいくといいのです。
勉強とテレビゲーム――素直に言うことを聞く時期に、子供の自主性を育てる
 テレビゲームばかりしていて勉強をしないという子がいると思います。
 同じように、昔は、マンガばかり読んで、ちゃんとした本を読まないという子がいました。
 しかし、悪いのはテレビゲームでもマンガでもありません。
 勉強をしっかりしてテレビゲームを楽しむ子もいます。読書をしっかりしてマンガも楽しむという子がいます。
 問題なのは、勉強をしないとか読書をしないとかいうことであって、テレビゲームやマンガそのものではないのです。
 だから、子供のときからテレビゲームを禁止するということは、あまりいいやり方ではありません。それでは、誘惑のある娯楽に対する免疫が弱くなるからです。
 テレビゲームの時間を守る約束をして、約束が守れなかったらテレビゲームを捨てるということを主張する人もいます。
 しかし、そういうやり方をすること自体が、もう手遅れです。
 ここでも問題は、テレビゲームの時間を守れないことではなく、テレビゲームの時間を自分で守る練習をしてこなかったことにあります。
 そういう練習は、小学校中学年以上になってテレビゲームの楽しさがわかってからでは遅いのです。子供がまだ小学校低学年で、テレビゲームなどにあまり興味を持たない時期から、時間を守るという練習をしておく必要があります。
 これは、テレビの視聴などでも同じです。
 子供がテレビ好きになってから、時間を決めて見るような約束をしても、なかなか守らせることはできません。
 子供がテレビなどにそれほど興味を持たない時期に、時間を決めて見る練習をしておくのです。
 そのときのやり方は、禁止や命令ではなく、子供の自主性を生かす形をとる必要があります。
 子供が小学校低学年のころは、誰でも親の言うことを素直に聞きます。その素直に聞く時期に、命令のような形で一方的に何かをさせると、子供の自律心が育ちません。
 子供の自主性を生かす形にすると、最初は必ず守れない場面が出てきます。そのために、叱ることが出てきます。この小さな叱責が大事なのです。
 逆にうまく守れる場面も出てきます。そのときの小さな賞賛もまた大事です。
 この小さな叱責と小さな賞賛を繰り返す中で、自然に自分で自分をコントロールすることができるようになります。
 こういうことができていないと、大きくなってから、大きく叱るようになるのです。それが、「約束を守れなかったらゲーム機を捨てる」というような叱り方です。
 この躾面で言えることが、勉強面でも同じように言えます。
 小学校低学年のころの勉強の内容は簡単です。そして、子供は、親がやれと言ったことは素直にやります。
 この時期に、自主的な勉強の仕方を身につけておけば、大きくなってからでも自分で勉強することができるようになります。
 しかし、この時期にやらされる勉強をさせてしまうと、そのときはよくても、将来自分で勉強する習慣が育たないのです。
 小学校1年生のころは、誰でも親の言うことをよく聞きます。
 その時期に、親が命令によって子供に言うことをか聞かせると、子供の自律心が育ちません。
 簡単に言うことを聞く時期にこそ、子供の自主性を生かしていくことが大事です。
 例えばテレビゲームの時間なども、親が簡単に、「はい。時間になったからおしまいね。ブチッ」などとやっていると、かえって時間を決めてゲームをするという自律心が育ちません。
 親が一方的に言うことを聞かせられる時期にこそ、「自分で時間を決めてやるようにしようね」と優しく教えていく必要があるのです。
寺子屋オンエアの勉強の仕方で注意すること――勉強は長時間やらせない、問題集に答えを書かない、面白い本を中心に少しずつ難しい本を、問題集読書は音読が大事
 寺子屋オンエアで、子供たちが家庭学習をしている様子を見ると、みんなの勉強の仕方の長所短所がよくわかります。
 今回はその中で、いくつか問題に感じたことを紹介します。
 寺子屋オンエアに限らず、言葉の森の生徒のみなさんの家庭学習の参考にしてください。
勉強は長時間やらせすぎない
 せっかく先生が見ていてくれるのだからと、長い時間勉強させようとするお母さんがいます。
 長くやってくれると、親は確かにうれしい気がすると思いますが、長くやることによって子供の負担感が少しずつ蓄積されてくると、結局長続きしなくなります。
 勉強は、短い時間でよいので、毎日同じようなことを長く続けることで力がついてきます。どんなに集中して長時間やったとしても、その結果長続きがしなかったら何の成果もありません。
 親から見て、ものたりないと思うぐらいの時間が、子供にとっては最適の時間なのだと考えていってください。
 本人に勉強の自覚ができる中学3年生ぐらいになると、親が何も言わなくても長時間集中してやるようになります。長時間の勉強は、本人が自覚してからでいいのです。
問題集に直接答えを書かない
 問題集に直接答えを書く子がよくいます。問題集の方も、空白が広くとってあり、そこに計算式と答えが書けるようになっているものが多いようです。
 しかし、問題集に答えを書くと、結局その問題集は1回やっただけで終わりになってしまいます。
 問題集には、○と×だけをつけておき、計算と答えは別にノートに書きます。これなら、間違えたところだけを何度も繰り返しできるので、その問題集を完璧に仕上げることができます。
 ところで、こういう説明をすると、ノートの方に○と×をつけるだけで、問題集には何も書いていないという子がいました。それでは、どの問題ができてどの問題ができなかったかわかりません。
 問題集には○と×、ノートには計算と答えと○と×をつけておいてください。
面白く読める本を優先、しかし少しずつ難しい本に触れる機会も増やす
 読書は、勉強よりも優先して毎日取り組む必要があります。特に小学生の場合はそうです。
 読書さえしっかりしていれば、今の成績が普通程度であっても、学年が上がって本気で勉強に取り組むようになればすぐに力がつきます。
 逆に、今の成績がどんなによくても、読書を後回しにしている子は、学年が上がると成績が伸びなくなります。
 今の成績よりも将来の学力を考えて、読書を毎日欠かさずに行うようにしてください。
 本の選び方で、よく「○年生の読み物」などとなっている本がありますが、こういう細切れの名作が載っているようなものは、没頭して読む本にはなりません。
 物語文であればストーリーの面白い本、説明文であればその子の興味のあるジャンルの本を選んでいくようにしてください。
 小学校低学年で読む本として、「怪傑ゾロリ」のような本は、大人から見れば品がないように見る人もいると思いますが、文章はしっかりしているし内容も面白いのでおすすめです。
 漫画や学習漫画や絵本や図鑑のような絵に頼るものでなければ、子供が夢中になって読む本をいちばんいい本だと考えていってください。
 しかし、大人が新しい別のジャンルの本の面白さに触れる機会を作ってあげなければ、子供はいつまでも同じレベルの本にとどまります。
 その子の興味や関心や読書力を考慮しながら、少しずつ興味の持てる説明文の本を読む機会を作っていくようにしてください。
 難しい本というと、大人はすぐに難しすぎる名前だけ有名な本を読ませがちです。
 その子の読書力を考えて、無理のない難しい本を選ぶようにしてください。
 また、1冊を最後まで読む形の読書だと、その本に興味が持てない場合、ずっと同じ本でとどまるようになります。
 読書は、読んでいるところに付箋をつけ、何冊かの本を並行して読むようにすると、1冊の本だけを読むよりも読書量が増えます。
 また、子供に本を読ませるだけでなく、お母さんお父さんも毎日必ず本を開くようにしてください。
問題集読書の音読と感想
 問題集読書は、答えを先に書き込み、音読し、感想を書くという流れで勉強しています。
 この中で最も大事なのは音読です。しかし、音読は形に残らないので、形の残る感想を書くようにしています。
 感想は、50字ぴったりに書くことと、たとえ又は自作名言(「○○はAでなくBである」のような表現)を入れて書くことを目標にすると、より高度な書き方になります。
 ただし、たとえや自作名言を毎回入れるのは難しいので、とりあえずは50字ぴったりに書くことを目標にしていくといいと思います。
 感想は形に残るので、子供も親もつい感想に力を入れがちですが、勉強の中心はあくまでも音読で、感想はやり終えたという形を作るためのものと考えていってください。
 音読は、これまでは本人任せでしたが、skypeのビデオメッセージで先生あてに送れるようになったので、音読も形の残る勉強になりました。
 音読も感想も、長く続けることが大事ですから、近くで見たり聞いたりしているお母さんは、どのような音読や感想であっても、細かい注意はせずに、続けることが第一と考えて見ていってください。
作文力は、ひとまとまりの文章を書くことで身につく。そのためには、読む練習、褒め言葉、事前の準備が大事
 作文の勉強には時間がかかります。
 特に小学校高学年から中高生の生徒でしっかりと書く子は、大体1時間半ぐらいかけて書きます。
 そして、1200字ぐらいの文章を一つ書き終えると、そのあとすぐに何か勉強的なことをするということはなかなかできません。
 よく、15分ぐらいで作文を書いて、そのあと30分ぐらい算数の勉強をして、そのあと漢字の練習を10分して、などと予定を立てたくなりますが、作文はそういう細切れの勉強の中にはうまく収まりません。
 作文指導の方法の中には、穴埋め方式で短文を作るような練習をするところがありますが、それはただ穴埋め方式の短文を書いているだけで、その練習をいくらやっても作文力がつくわけではありません。
 作文力は、ひとまとまりの文章を書く中で身につくのです。
 また、1ヶ月に1回か2回作文を書いて、それで作文の練習をしたことにするところもありますが、作文の勉強の理想は毎日何かを書くことです。少なくとも1週間に1回はまとまった文章を書く時間を取る必要があります。
 作文の勉強は、心理的な負担の大きい勉強です。
 時間が来て机に向かってすぐに書き出すような子はあまりいません。しばらくは、作文以外のほかのことをして、そのうちに心の態勢が整ってからおもむろに書き始めるという始め方をする子がほとんどです。
 特に、学年が上になるほどそういう心理的な負担は大きくなるようです。
 言葉の森の通信は、先生からの電話指導があるので、その電話をきっかけに書く気持ちがまとまりますが、そういうきっかけがないと、自分で予定を立てて作文の勉強を始めるというのはかなり難しいと思います。
 さて、こういう続けにくい作文の勉強を続けやすくするには、いくつかの条件が必要です。
 その第一は、読む力をつけることです。
 音読(精読)と読書(多読)によって読む力をつけることで、作文力もつき、書くことが楽になってきます。
 第二は、いつもよいところを見て褒めてあげることです。
 書いたあとに、欠点を指摘し、悪いところを直して上手にさせようとすると、一時的には欠点は直りますが、その後作文の勉強は続かなくなります。
 あらゆる習い事や勉強は、続けることで上達します。作文の勉強もまず続けることを第一に考えていくことです。
 第三は、事前の準備です。
 小学3年生以上の課題は、題名が決まっている作文と、長文を読んでから書く感想文の2種類で作られています。
 題名課題のときは、家族に似た話を取材してくるようにします。感想文のときは、その長文の内容を家族に説明した上でやはり似た例を取材してくるようにします。
 作文でも感想文でも、材料があれば書きやすくなります。その材料を集めておくのが事前の準備です。
 これは、自由な題名の小学1、2年生でも同じです。
 作文の勉強とは、ほかの勉強と比べてかなり負担の大きい勉強です。
 小学校低中学年のころはそれほどでもありませんが、高学年や中高生になると、書くことにかなりエネルギーを使うようになります。
 その証拠に、小学生の学年別の平均字数を見ると、小4あたりがピークで、小5、小6になると、かえって書ける字数が低下してくるのです。
 それは、書く内容に考える要素が出てくるからです。
 お母さん方の中には、「ほら、作文なんてさっさと書いちゃいなさい」と言う人がいますが(笑)、小学校高学年以上の生徒にとっては、なかなかそういうわけにはいかないのです。
 
ホーム 言葉の森新聞