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  6.1週に作文進級テスト
  読解マラソン小5の8番の長文でふりがなにミス
  細く長く続けることに意義
  サンゴの危機(こみこみ/こみこ先生)
  総合化の主題(しまりす/きらら先生)
  心の中で思ったこと(メルトン/うなぎ先生)
  感想文のよい書き方とは(いろは/いた先生)
  プロへの第一歩(きりこ/こに先生)
 
言葉の森新聞 2007年6月1週号 通算第985号

https://www.mori7.com/mori/

森新聞
6.1週に作文進級テスト
 6.1週に、作文進級テストを行います。課題フォルダの字数・構成・題材・表現・主題の●印が全部できていることが合格の条件になります。(表現の項目などで「たとえ」と「ダジャレ」など二つ以上の項目が指定されている場合はどちらかができていればその項目は◎です)。キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いていってください。中学生以上の時間制限については、今回は採点の基準にしませんが、できるだけ時間内に書き上げる力をつけていきましょう。
 手書きで作文を書く人は、項目ができたところにシールをはっておいてください。
 パソコンで作文を書く人は、キーワードを入れておいてください。
 小学生の場合は、提出する前に、ご家族の方が字数と項目シールをチェックしてあげてくださるとよいと思います。
 小学2年生までの生徒は、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。4月以降に受講を開始した生徒も、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。ただし、いずれの場合も、賞状は出ますので、できるだけ字数と項目ができるように書いていってください。
読解マラソン小5の8番の長文でふりがなにミス
 「一途(いちず)に頂上を目ざして直登(ちょくと・ちょくとう)していった」が正しい読み方です。
 「一途(いっと)」という読み方をするのは、「発展の一途(いっと)」というような場合です。
 長文のふりがなについては、ふりがな自動作成のページで自動的につけたものを、複数の人間が複数回チェックしていますが、どうしてもこういう漏れが出てしまいます。
 申し訳ありませんが、小5のみなさんは、正しいふりがなに訂正して読むようにしてください。<(_ _)>
細く長く続けることに意義
 小学校の低中学年は、読書も作文もいちばん楽しく取り組める時期です。楽しく読める本が豊富にあり、書きたくなる話題にも事欠きません。
 ところが、残念なことに、この時期に、「忙しくなったから」とか「提出ができないから」という理由で退会してしまう人がときどきいるのです。 退会にはそれぞれの事情があるので、中にはやむをえないこともあると思います。また、作文の勉強は、中学生、高校生へと続く長い勉強ですので、また時間が取れるようになれば再開することもできます。
 しかし、低中学年のうちは、工夫をすれば時間の都合は何とかなることが多いので、いったん始めた勉強はできるだけ続けていくようにした方がいいのです。
 なぜかというと、例えば「忙しいから」という理由でいったんやめた子は、また再開をしたときにも同じようにすぐにやめるパターンになりやすいからです。そのようにして、始めたりやめたりという形で勉強をしていくと、難しい課題になったときにがんばって取り組むということができなくなります。つまり、「忙しいからという理由でやめることができる程度の大して重要でない勉強なのだ」と子供自身が思ってしまうわけです。こういう考え方をするようになった子に、それ以降がんばらせることはなかなかできません。
 これがもし、忙しいからどうしようかということで、母と父と子が三人で話し合って、何とか続けようということになったとすると、子供の取り組む姿勢が変わってきます。つまり、そんな話し合いをするぐらい重要なことなのだから、一生懸命に取り組まないといけないという気持ちが子供の心にわいてくるのです。
 勉強のコツも、生活のコツも、同じです。いったん決めたことは、原則として続けるということが大事です。もし、どうしても時間的な都合でやめざるをえない状態になったときでも、親子でじっくり話し合って、どういう理由でやめるのか、いつ再開するのかということを話し合っておく必要があります。このように話し合いをしてやめた子は、再開してもすぐにまた同じように熱心に取り組むことができます。
 言葉の森が、低学年からの受講をすすめるのは、その方が長く続けられるからです。低学年から作文の勉強をしていた子は、毎週1回書くことが生活習慣のようになります。そういう生活を続けていくと、高学年や中学生になって忙しくなったときでも、本人が何とかがんばって続けたいと思うようになるのです。
 ただし、長く続けるのには、コツがあります。それは、細く長く続けるということです。
 退会する理由のいちばん主なものは、課題がたまって負担になったからというものです。もし、これが作文以外のほかの通信教育の勉強であれば、たまった課題はちょっとがんばればすぐに消化することができます。しかし、作文はそうではありません。これは、自分で作文を書いた経験のある人だけがわかることですが、作文は、1日に2編以上続けて書くことが非常に難しいのです。作文を書くことは、精神的なエネルギーを必要とするので、普通の勉強のように二日分まとめてというわけにはなかなかいきません。
 ですから、もし、授業のある日がたまたま忙しくて作文が書けなかったという場合は、次のようにしてください。
(1)時間を15分とか30分とかに区切って、書けるところまで書いて出す。途中であっても翌日以降には持ち越さず、そのまま提出する。
(2)その日は、もう休んだものとあきらめて提出しない。そのかわり翌週から新たな気持ちで取り組む。
 もちろん
(3)無理のない計画をたてて、別の日に書くようにする、ということでもかまいません。
 しかし、作文の課題がたまっているという心理的負担感を持ったまま1週間を過ごすのは精神衛生上よくないので、できるだけ(1)か(2)で取組み、翌日以降には持ち越さないことを原則にしてください。
 私事になりますが、私(森川林)の子供2人も、小学1年生から高校3年生まで言葉の森で勉強をしていましたが、すべてこの細く長く方式でやっていました。熱心に取り組んで課題をためて行き詰まりやめてしまうよりも、適度に休みながら続けていく方が、長い目で見て必ずプラスになります。
 こういうことは、子供が自分の力で判断できることではありませんから、親が早めに判断してあげるようにしてください。
サンゴの危機(こみこみ/こみこ先生)
 オーストラリアの海岸に二千キロメートル(札幌から沖縄までと同じ距離)も続く長い長いサンゴ礁「グレートバリアリーフ」という名前を、皆さんも聞いたことがあるかもしれませんね。

 私は、先日「生命の神秘 世界最大のサンゴ礁」というNHKスペシャルを観ました。そこに映し出された赤、白、黄色、オレンジ、緑のまるで宝石のように美しいサンゴは、青く光る海の中に美しく映え、誰に教えられた訳でもないのに、一斉に産卵のときを迎えたのです。ピンク色のビーズくらいの大きさのつやつや光るサンゴの卵が、海中をふわふわと上へ上へと浮かんでいきました。何万粒、いやもっと多くの卵達は、海の表面にピンク色の帯を作るほど辺りを染めていきました。

 そんな美しい産卵によって命をつないでいるサンゴが、今とても危険な状態にあるのを皆さんはご存知ですか?
 皆さんも地球の平均気温が年々上がっている「地球温暖化」という言葉を聞いたことがあるでしょう。もし、地球の気温がたった一度上昇すれば、サンゴは、その宝石のように美しい色を失い、真っ白になる「白化」という現象が起きてしまうそうです。たった一度気温があがっただけで、自然の生きもの達は、その変化を敏感に察知してしまうのですね。

 もし、皆さんが図書館や本屋さんで『100年後の地球(文:木元教子 絵:谷口周郎)』という小さい本を見かけたら、どうか読んでみてください。その本には、100年後の地球は、気温が約5.8度上がり、海面は約88センチ高くなると書いてありました。今当たり前にできている海水浴すらできなくなってしまいますし、サンゴはきっと死滅してしまうでしょう。
 いつまでも美しいサンゴ達が元気で命をつないでいけるために、これから私たちも地球の気温が上がらないために、何ができるかな? と、考えて見る必要がありそうですね。
総合化の主題(しまりす/きらら先生)
 みなさんの前に、チョコレートのアイスと、ストロベリーのアイスがあるとしましょう。あなたは、どちらも同じくらい好きです。どちらも今すぐに食べたい。みなさんなら、どうするでしょうか。
(1) 二つをまぜて食べる。
(2) 今日は一つ食べて、明日もう一つ食べる。
(3) 友達を一人呼んできて、それぞれを半分ずつ食べる。

 (1)だと、味がまざってしまって、それぞれのおいしさがわからなくなってしまうような気がします。(2)、これは悪くないと思いますが、今日食べたいのですから一つはがまんすることになります。もしかすると、明日は寒くてアイスどころじゃないかもしれません。誰かに食べられてしまう可能性だってあります。さてそうなると、(3)がいちばんいい方法なのではないでしょうか。量的にも一つ分は食べられるし、味も両方味わえる。おまけに友達と楽しくおしゃべりしながら食べられるのです。

 これは心理テストではありません。(そうだと思いましたか?)中学生に
なると出てくる、「総合化の主題」という項目について考えるときの、ヒントにしてほしいのです。
 これは、二つの意見を出して、「どちらの意見も大切だけれど、もっと大事なのは○○である。」というふうに、物事の奥底にある主題をみつける項目です。
 二つの意見が出ているわけですから、ついそれらをまぜたものを最後の主題にしたくなるのですが、これはアイスと同じでもったいない。なんとかして、二つの味をそれぞれに味わえる答えを出してみてください。「友達を呼んでくる」というように、少し他に目を向けることも大事かもしれませんね。

 低学年のみなさんも、今やっている「しゅだい」の項目がこのような高度なところにつながっていくことを楽しみにしていてください。「思ったことを長く」「自分だけが思ったこと」「心の中で思ったこと」……。これらをしっかりと考えていくと、作文にふとい柱が「どしん」と立ってきますよ。
心の中で思ったこと(メルトン/うなぎ先生)
 項目の中に「心の中で思ったこと」というものがあります。口には出さない、あるいは出せないことを文章にしてみましょう。
 大変だ。寝坊してしまった。学校に遅刻して先生にしかられるぞ!
 こんなとき、どんなことを心の中で思うでしょうか。例えば、

「明日からはちゃんと早寝早起きをしよう。」
「どこでもドアがあればいいのにな。でも、どこでもドアがあったら学校へ行かずに南の島へ行ってしまうかもしれない。」
あるいは、「学校が私の家に近づいてくればいいのに。」

 こんなこと(特に一番最後)、恥ずかしいから書きたくないや、と照れることなんてないのです。
私たちは生活の中で、口には出せないことをたくさん心の中で思っていることでしょう。私は、そういうことこそ作文に書いたほうが生き生きするのではないかと思っています。あなたが書く作文はあなただけのものであるし、それを感じた瞬間は2度と戻って来ないのですから。課題の項目に「心の中で思ったこと」がなくても、これは皆に共通しているのではないかと思います。人の心を和ませるユーモア表現になるかもしれないし、読んだ人に何かをそっと気づかせてあげるメッセージになることもあるでしょう。

 「心の中で思ったこと」を書くときに気をつけなければならないこと。それは言葉の力です。軽く口に出して言えないことをあえて書き言葉にしたとき、それは大変な重みを持つものになることもあると思います。それは巨悪を倒す聖なる剣にもなりうるし、人を深く傷つける凶器になることさえあるのです。

 率直に、でも少しだけ気をつけて、心のうちを楽しく作文に書いてみて下さい。
感想文のよい書き方とは(いろは/いた先生)
 四月二十五日付けの新聞に全国学力テストの問題が掲載されていました。問題を目にした人もたくさんいるのではないかな? 賛否分かれる学力テストですが、出題内容を見て是非を論じるのもなかなか面白いものです。
 かくいうわたしも問題を目にして、う〜ん、良問、愚問、などと偉そうなことを言っていたのですが、一つ面白い問題を見つけました。国語B問題の3です。本の感想文が二つ問題例として載っています。そして、この二つの感想文に共通する良い書き方を二つ書きなさい、という問いでした。感想文を書くことはできるけれど、逆の答えを求められるという形が面白いなあ、と思いませんか? 

       

 問題の感想文をここに書いていると紙面に収まりきらないので省略させてもらいますが、二つの感想文、一つは、主人公に肯定的な立場。もう一つは否定的な立場で書かれています。ですから、文章が正しく読み取れているかどうかということは問題ではないようです。こういう問題、どう答えますか? 私だったら項目をまず頭に浮かべます。「要約(三文抜書き)」「中心を決める」「体験実例(似た話)」「思ったこと」この四つのどれかだろう、と検討をつけました。

 模範解答を見ると、やはり予感的中! 「主人公の言葉を使ったり物語のあらすじをまとめたりしていること。」「自分の体験をもとにした意見、決意が明確であること」となっています。一つ目は「三文抜書き」「中心を決める」二つ目は「体験実例」「思ったこと」にあたりますね。

         
      
 いつも耳にたこが出来るくらい聞かされる四つの項目。「シールはった?」と何度も聞かされ辟易(へきえき)している項目シール。これは「意識付け」のためにしているのです。人の文章を見たときに、ぱっとこの四つがひらめいたら、優秀な言葉の森の生徒に間違いありません。

 感想文で大切なことは「体験実例」です。そして「感想」文と言われるのだから、その実例から自分の「考え(かんそう)」をしっかり書いていかなければなりません。体験実例はその意見を述べるまでの本文とをつなぐ「きっかけ」なのです。

                

 これからも色々な形で「文章力」を問う問題が出てくると思います。どんなケースに出合っても、項目が頭に入っていれば対応可能です。説明文、論説文あらゆる文章がありますが、基本は全て四つの項目です。(物語は除く)基本をしっかり身につけて国語に接して欲しいと思います。

          
プロへの第一歩(きりこ/こに先生)
 今月は、みなさんの先輩の話をしようと思います。

 今、高校3年生の彼は、小学校5年生のころから中学2年生まで作文のお勉強をしました。始めた当初は、「長文の内容がわからない。」「何を書いていいのかわからない。」と半べそをかいていました。少しわかるようになると長文が難しくなり、少し書けるようになると目標字数が増え、書くことに苦しみながらも「とりあえず読む。とりあえず書く。」ということを合言葉に頑張って取り組んでいました。

 部活動の野球との両立が難しくなり、退会したのですが、そのときに二つの約束をしました。
1、「本を一ヶ月に一冊は読む。(どんな本でもいい。本が身近にあるように)」
2、「野球で甲子園をめざす。私は甲子園へ応援に行く。」

 昨年の夏の大会では、良い所まで行ったそうです。今年は、高校生最後の夏なので、頑張ると書いてくれていました。彼は、野球と作文の力を活かして大学進学を考えているそうです。夏の大会が終ったら、また作文の勉強を再開する気持ちがあるようです。作文は大嫌いだったのに、言葉の森を離れてから作文を書くことが得意になったと素直な気持ちを書いてくれていました。

 今、中学1年生の彼女は、3月まで言葉の森の生徒さんでした。中学受験のために作文のお勉強をしたので、3月で退会しました。真面目で熱心に課題に取り組んでいました。彼女も最初は、どんなふうに書いていいかわからないと言っていましたが、どのように表現したらより伝わりやすくなるんだろうと考える成長をしました。彼女とは、こんな約束をしました。
1、「音読を続ける。(新聞・教科書などなんでもいい。)」
2、「書くことを続ける。(手紙でも日記でも)」

 彼女は、生徒会の役員選挙で副会長に立候補したそうです。そのときの演説の原稿を考えるとき、言葉の森でお勉強した作文の書き方がとても役に立ったと書いてくれていました。自分が言いたいことをはっきり伝えることができ、みごと当選したそうです。
「自分の長所はない。うーん、少し優しいところかなぁ。」なんて小さな声で話してくれていた彼女が新しい環境で頑張っていると思うと胸が熱くなりました。

 私は、たくさんの生徒さんと出会うことができ、みなさんが頑張っている姿を見てきました。いつも楽々書いている人は、一人もいません。楽しく書けることもあれば、苦しんでどうにか書き終えることもあります。とくに小学校高学年になると苦しんでいるときのほうが多くなるでしょう。4.4週の言葉の森新聞にもプロの書き手でさえも苦しんで書いているという記事がありましたね。苦しんでいるときこそ「プロへの第一歩」と思って苦しむことを明るく楽しんでください。
 
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