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  受験の心構え(昨年の記事の再掲です)
  受験作文小論文、最後の決め手、自作名言(昨年の記事の再掲です)
  受験作文小論文の予想問題のおさらい
  合否の先にあるもの
  親子の対話(ひまわり/すぎ先生)
  せかいいちうつくしいぼくの村 小林豊著(きりこ/こに先生)
  暦(みち/みち先生)
 
言葉の森新聞 2007年1月3週号 通算第967号

https://www.mori7.com/mori/

森新聞
受験の心構え(昨年の記事の再掲です)
(1)これまでの作文をファイルしておきましょう。
(2)上手に書けていると思ったところに赤ペンで線を引いておきましょう。
(3)線を引いたところを何度も繰り返し読んで、覚えましょう。
(4)これまでに書いた作文の中で、自分らしい体験実例が書かれているところを二つ選び、その実例をいつでも書けるようにしておきましょう。
(5)試験の始まる直前まで、作文のファイルを読みましょう。
(6)課題が出されたら、頭の中にあるこれまでのいい実例、いい表現であてはまりそうなものを思い出して、問題用紙の横などにメモしましょう。
(7)全体の構成は、第一段落「説明と意見」、第二段落「理由・方法・実例」、第三段落「理由2・方法2・実例2」、第四段落「第一段落と同じ意見」という形を基本にしましょう。それぞれの段落の長さは150字ぐらいが目安です。
(8)構成メモを考えたら、字数配分で8割ぐらいまでのところは、できるだけ速く書き、最後の2割はじっくり書くようにしましょう。
(9)結びの第四段落には、できるだけ「確かに……」という言葉で反対意見に対する理解を入れましょう。
(10)書き出しと結びの意見は必ず対応させましょう。
(11)課題文の中にあるキーワードは、できるだけ結びの5行の中に入れましょう。
(12)習った漢字は全部使いましょう。書こうとする漢字に自信がないときは、別の表現の仕方を考えましょう。
受験作文小論文、最後の決め手、自作名言(昨年の記事の再掲です)
 受験で作文小論文を書く人は、結びに自作名言を入れる練習をしていきましょう。
 これは、小学生の場合は子供の力ではなかなかできないので、お父さんやお母さんが手助けをしてあげてください。教室で先生が指導してしまうと、複数の生徒が同じ表現を使う可能性が出てくるので、教室では大きな方向だけを説明します。
 自作名言とは、「○○とはAでなく、Bである。」という形の文です。Aの部分は世間の常識、Bの部分は逆説の真理という位置づけになります。
 例えば、「私の家族」という題名の作文でしたら、主題となる家族という言葉について、「家族とは、子供たちを社会の荒波から守る場所ではなく、子供たちがその中で社会の荒波に備えて練習をする場である。」というような名言が作れます。
 「戦争」という題名でしたら、「戦争は、問題を解決する手段ではなく、問題の解決を遅らせる原因になっている。」というような自作名言が作れます。
 「自然」でしたら、「自然とは、保護するものではなく、人間がその中で暮らす家なのである。」というような自作名言が作れます。
 こういう自作名言を、これまでに書いた作文のそれぞれについて、結びの5行に入れられるようにしておきましょう。その名言を全部覚え、1.3週の言葉の森新聞で説明した二つの体験実例をいつでも書けるようにして、試験に臨みましょう。
 これまでの経験では、作文の結びの5行に名言が一つ入ると、印象点が2割近くアップします。ボーダーラインに並んだ場合は、名言の有無が決定的な役割を果たします。
 作った自作名言が効果的なものかどうかわかりにくいという場合は、教室までお電話でご相談ください。(0120-22-3987午前9:00〜午後8:00)


  
 
受験作文小論文の予想問題のおさらい
 受験で作文小論文のある人は、次のような身近テーマで何を書くかもう一度考えておきましょう。
 考え方は、これまでに書いた作文の中でよく書けた実例を使います。頭の中で、「最初にあの実例Aを書いて、次にあの実例Bを書いて、結びの意見(反対理解や一般化)はこう書いておこう」と考えます。

●身近なテーマ
「私の夢」「私の趣味」「私の宝物」「私の友達」「私の長所短所」「私の家族」「小(中・高)学校時代の思い出」「志望理由」「感動したこと」
合否の先にあるもの
 今、受験に取り組んでいる人は、目の前の試験で頭がいっぱいだと思います。しかし、当たり前のようですが、親は、合否の先にあるものを見ておく必要があります。
 受験が大変であればあるほど、親はつい、「合格さえすれば、あとはどれだけ遊んだっていいんだから」というような励まし方をしてしまいます。しかし、たとえ言葉の上でであっても、こういう発想をしてしまうと、子供はそれを真に受けてしまいます。
 受験は、確かに人生の一大イベントですが、この先に、将来社会に出て活躍するというもっと大きなイベントが待っています。いい学校に合格するかどうかということは、登山口に差しかかったというところで、まだ本格的な登山はこれからです。
 親が長期的な視野で物事をとらえて、折に触れて将来のことを話していれば、子供も自然にそういう長期的な視野を身につけます。
 先のことは合格してから考えればいいという人は、人間の心理の仕組みをよくわかっていません。貝原益軒は、「予(あらかじ)め」ということを教育論の骨子にしていました。まだ物事が差し迫った課題になるずっと前から、あらかじめその物事についての対応の仕方を考えておくと、実際にその物事が生じたときに、スムーズに対処していくことができるのです。
 例えば、禁煙教育などは、子供が中学生や高校生になってから始めても手遅れです。子供が遊び半分でタバコを吸い出したころに禁煙教育を始めても効果がないのです。タバコなどに全く縁のない小学生のうちに、あらかじめしておく必要があります。合格も同じです。合格後のことは、合格する前に考えておくか、少なくとも合格してすぐに考えることが大事です。
 子供は、よく冗談で、「合格したら、たっぷり遊ぶぞ」と言います。親も、微笑ましくうなずきます。しかし、実際に、たっぷり遊ぶのは二、三日もあれば十分です。それ以上、何週間も遊んでいると、だんだん向上心が低下してきます。遊ぶ喜びよりも、もっと深いものは、自分を向上させる喜びです。
 親は、いつも一歩先を見て行動しておく必要があります。それが、子供よりも年をとっている親の役割になると思います。
親子の対話(ひまわり/すぎ先生)
 今回の学級新聞は、保護者の方向けの内容になっています。この仕事を通して、各ご家庭の学習への取り組みや、子どもとの生活の上で工夫されていることなど、いつも大変参考にさせていただいております。ふだんは、私のほうが、皆様からたくさんのことを教わっているように感じます。偉そうなことは書けませんが、親としての立場から、私の思ったことなどをお伝えしたいと思います。

 作文というのは、ただ語彙が豊富で、文章の構成がうまければ、上手に書けるというものではありません。その証拠に、語彙が少なく、つたない文を書いている低学年の作文にも、たいへん感動を覚えることがあります。
 中身がないものを格好をつけて書こうとしても、それは虚飾でしかありません。文章の中身を充実させるには、結局、人間としての中身を充実させなくてはならないのです。そこで、私がいつも感じるのは、家庭内での親子の対話の大切さです。毎週のお電話と作文を通して、みなさまがご家庭でお子様と折にふれて、いろいろなお話をされていることがわかります。食卓を囲んでいるときなどに、お子様とよく向き合って、たくさんお話をされているご家庭では、高学年以上になると、作文に堂々とした意見を書けるようになるものです。いつも聞いている親の話をバックボーンにして、自分の考え方、生き方というものが、徐々に作られるのだと思います。子どものために、中身のあるいい話をしようと思えば、親もたくさん勉強しなくてはなりません。
 「親子の対話と言われても、小さい頃は素直だったけれど、この頃、親の話などまったく聞いてくれない。」これはよくあることです。実際、我が家でも、近頃そう感じることが増えてきました。高学年になっても、きちんと親子の対話を続けるには、どうしたらよいか、それについては今まさに模索中ですが、我が家のことをお話します。
 母親の私と子どもは、性格がまったく違います。私が子どものころは、どちらかというと勉強に関しては要領がいいほうで、子どもは要領が悪いタイプ。こんな組み合わせの親子ですから、勉強を教えていると、正直、たいへんイライラすることもあります。塾か家庭教師に頼んだほうが、おそらくずっと楽でしょう。
 大げさに言えば、人生の中で一番自分の思うようにならない存在であり、もっとも困難な課題を与えてくれているのが子どもなのかもしれません。せっかちなところは、私の短所です。日々、イライラをおさえて、子どもに向き合っているうちに、あることに気づきました。子どもと向き合うたびに、自分の悪いところが、まるで鏡を見ているようによく見えてきたのです。この子は、この悪い性格を矯正してくれているのかもしれない。
 そう思うと、今度は逆に子どものいいところが見えてきました。私が子どものころ、家で勉強する習慣を身につけなかったのに対して、わが子は要領が悪いながらも、コツコツと毎日ほんの少しずつ(笑)、やっています。それに気づくと、「お母さんが子どものころより、ずっと偉いよ。」と、褒める言葉が自然に出てきました。そのあと、私の子ども時代について、いろいろと話して聞かせました。

 当たり前のことですが、自分の子どもといっても、全くの別人格です。まずは自分と違うやり方や考え方を認めること、教えるだけでなく、親のほうが教わることもたくさんあるということを忘れないで、これからも家庭教育に取り組んでいけたらいいと思っています。親の私も、日々修行です。
せかいいちうつくしいぼくの村 小林豊著(きりこ/こに先生)
 みなさんは、アフガニスタンという国を知っていますか。アフガニスタンは、アジアのどまんなかにある自然が美しい国です。地球儀がおうちにある人は、探してみてください。のどかで平和だったアフガニスタンで、戦争がはじまりました。ちょうどみなさんのお父さんやお母さんが、みなさんと同じ年頃のこと(1980年頃)です。その後、国の中で、意見のあわない民族で戦争をする内戦に発達し、和平、戦争を繰り返しました。

 2001年の9月11日にアメリカでおきた同時多発テロを計画、実行したアルカイダのことは、みなさんもよく知っていると思います。新聞やテレビのニュースでその悲惨さを目のあたりにしたことでしょう。当時、アフガニスタンを支配していたタリバン政権はアルカイダを守ってきたということで、アメリカからテロのほうふくとして武力こうげきをうけました。

 長い戦争で、失ったものがあまりにも多く、どうしたらアフガニスタンが、幸せな国に生まれ変わることができるか、アフガニスタンに住む人々が、お腹いっぱいのご飯を食べることができるようになるのか、2002年、東京で会議が開かれ、世界の国々が助けてあげることを決めました。

 戦争中にアフガニスタンを旅した著者が、そのときのことを書いた絵本です。

 絵本は、小さい子どもが読むものと思っているかもしれません。小学校中学年位からだんだん絵本を読まなくなります。大人もそうです。わくわくする冒険物語、夢広がるファンタジーの世界、偉人の伝記など、読む世界もひろがっていきます。しかし、絵本にしか表現できない世界もあると私は思うのです。絵がある分、字が少ない分、心にしみこむ速度がゆっくりで、じっくりで深いような気がします。大人になって、絵本と再会して改めて絵本のすばらしさに気づきました。絵本を卒業しないで、たまには絵本も読んでみてください。

続編「ぼくの村にサーカスがきた」「せかいいちうつくしい村へかえる」


  
暦(みち/みち先生)
 暦(こよみ)ってなんだろうと思ったことはないですか。

 今の「こよみ」ができるまでには、世界中の人たちが何千年もかかって作り出したちえのかたまりです。そのルーツをたどっていくと、エジプトにたどり着きます。
 太陽や月の動き、気象現象などの観察に基づいた科学的な部分と、おもに風俗習慣などが含まれている「暮らしの知恵袋」としての「こよみ」の存在価値もあるといいます。

 世界各地にさまざまな暦があるそうです。

 時おり耳にしたり、見たりする日本にしかない一年間に12ヵ月の呼び名があります。日本の自然やならわしを取り入れています。
どんないみがあるか見てみましょう。


1月
【睦月(むつき)】
お正月は、家族や親類が集まって、仲むつまじくする月なので「むつき」になった。
2月
【如月(きさらぎ)】
寒くて衣(きぬ)をさらに重ねてきるので、「きぬさらにき」月がつまって、「きさらぎ」になった。
3月
【弥生(やよい)】
あたたかくなって、草木がいよいよ生(お)いしげる月、「いやおい」がつまって、「やよい」になった。
4月
【卯月(うづき)】
卯(う)の花のさく月だから「うづき」になった。
5月
【皐月(さつき)】
田植えのじきなので、早苗(さなえ)を植える「早苗月」から「さつき」になった。
6月
【水無月(みなづき)】
つゆが終わって、水がかれる。あるいは、田んぼに、水を引き入れるので、「水の月」→「「水な月」→「水無し月」にかわったもの。
7月
【文月(ふみづき)】
七夕で、たんざくに詩や歌を書いて、ひこ星、おりひめ星にささげる、「ふみ」の月で「ふみづき」になった。
8月
【葉月(はづき)】
木の葉が紅葉するじきだから「葉月」。
9月
【長月(ながづき)】
夜がしだいに長くなってくる季節だから「夜長月}→「長月」になった。
10月
【神無月(かみなつき)】
男女の縁結びのために全国の神様が出雲大社に集まるため、他の場所は神様がいなくなるので、「神無し月}「神無月」。出雲では「神在月(かみあり月)」になる。
11月
【霜月(しもつき)】
霜がおりる月なので、「しもつき」。いよいよ寒くなる。
12月
【師走(しわす)】
1年の終わりで忙しく、お師匠さんや、お坊さんたちも走りまわるので、師走(しは)すから「しわす)になった。

 新しい年が始まりました。たった1枚、あるいは6枚、あるいは12枚の紙がかさねられているカレンダーですが、真新しいカレンダーにどんなことが書き込まれていくか楽しみですね。



 
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