ススキ2 の山 10 月 2 週
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○自由な題名
◎木登(きのぼ)りをしたこと
★どきどきしたこと、つうしんぼ

○エジソンが七さいになったとき(感)
 【1】エジソンが七さいになったとき、一家は、ミランからヒューロン湖のそばのポートヒューロンにうつりました。おとうさんのやっていた食料品や製材の事業が大きくなるにつれて、あたらしく鉄道の駅ができたポートヒューロンのほうが、べんりだったのです。
 【2】エジソンは、この活気にあふれた町の小学校に入学しました。ところが、たちまちのうちに、教室のやっかい者(もの)になってしまったのです。きまぐれで、ごうじょうで、すきなことにはむちゅうになるくせに、きらいなことには見むきもしないのです。
 【3】そのうえ、れいの好奇心から、時と場所もかまわずだしぬけに、ちょいちょい、先生がかんがえてもいないような質問をしたりします。
 ことに、数学の時間はたいへんです。先生が、
「二たす二は四。」
とおしえます。【4】すると、エジソンが、きゅうに立ちあがって、
「先生、どうして二と二をたすと四になるのですか?」
「かぞえてごらん。四になるじゃないか。」
「でも、なぜ四にならなければいけないのですか?」
「わからない子だな。二たす二は、四なんだ。よくおぼえておおき!」
 【5】そんなわけで、エジソンは先生からすっかりきらわれてしまいました。そして、先生はとうとう、きみは低能児であると、きめてしまいました。
 こんなことがかさなって、ある日、エジソンは、おかあさんにいいました。
【6】「……ぼく……もう学校へいかないよ。」
「まあ、きゅうに、どうしたの?」
「先生がね、ぼくのことを、ばかだっていうんだもの。そうして……。」
「そうして?」
「なにをきいても、よけいなことをきくんじゃないって、しかるんだもの。」
 【7】おかあさんは、じっとかんがえこんでいました。じぶんも、むかし、学校の先生をしたことがあり、そういう教育法がとくべつの才能をもった子どもをみちびくのに、てきとうでないことをよく知っていました。∵
【8】「そう……。それではこれからは、おかあさんが先生になってあげましょう。そのかわり、いっしょうけんめい勉強するんですよ。」
「うん、ぼく、いっしょうけんめいやるよ。ぼく、ばかじゃないもの、ね。」
 こうして、学校をやめたエジソンは、家庭でとくべつの教育をうけました。【9】それはじつにおもいきった教育で、まだ八つか九つだというのに、母親のナンシーが先生になって、ギボンの「ローマ帝国衰亡史」、ヒュームの「英国史」、シアースの「世界史」、バートンの「ゆううつの解剖」、「科学の辞典」といった、むずかしい本を読んだのです。
 【0】十二さいになると、ニュートンの「プリンキピア」という本の勉強をはじめました。その中にでてくる数学は、先生のおかあさんでさえ、てこずるものでしたから、数学がにがてのエジソンには、どうにもくるしいたたかいでした。

(「エジソン」 崎川(さきかわ)範行著 講談社 火の鳥伝記文庫より)