ニシキギ の山 8 月 4 週
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○なかなかできなかったこと
○テレビゲーム
★清書(せいしょ)

 さて、こうして治水(ちすい)が

 さて、こうして治水(ちすい)がすすむにつれて、人びとは平野へおり、水田をひらいていきます。この「はんらん原に水田をひらいた。」ということも日本人のじつにじょうずな、川とのつきあいかたでした。
 なぜなら水田は、ふった雨をたくわえる遊水池(ゆうすいち)にもなりました。水田をひらいたということは、そのまま、水をおさめることにもなったのです。水田がたくわえたその水は、地下にしみこんで地下水になり、ゆっくりと川へながれでて、川の水になりました。水田は、川の水をつくるしごともしたわけです。
 川から引いて水田でつかった水も、土に返されて地下水になり、やはり川へながれでて川の水になりました。その水はまた下流の水田でつかわれて、また地下をくぐって川へもどされました。水はくりかえしくりかえし、つかわれることになりました。だからこそ日本人は、水をゆたかにつかえたのです。
 むかしの日本人の川とのつきあいかたは、このように、水をもらったり、あげたりするつきあいかたでした。いまの大都市のように、人間がただ水をとりあげて、ふった雨もつかった水も下水のパイプで海へすててしまう「つかいすて」とは、ずいぶんちがいますね。
 それにしても、はんらん原に水田をひらくということは、なんとすばらしい土地のつかいかただったでしょう。はんらん原に水田をひらくということは、いままではんらんしていた水を、そのまま人間がうけいれたということでした。川の水はこうずいまで、目いっぱいつかったということでした。ようするに自然にさからわず、自然を利用したのです。もしもこれが水田ではなくて、こむぎややさいなどの畑地(はたち)だったなら、日本人はとうていあばれ川と、つきあうことはできなかったにちがいありません。

「川は生きている」(富山和子)より抜粋編集

○イヌが喜びを
 イヌが喜びを表現するときに尾を振ることはよく知られている。イヌの喜びが大きいときには、尾を激しく振り、体をくねらせる。耳は後方に絞られるような形で伏せている。いてもたってもいられぬように跳びはねることもある。生後半年前後の若い雌では、嬉しすぎて尿をもらす場合もある。
 このような喜びを表すのは、たとえば、長い間、旅に出ていたご主人が帰ってきたようなときである。イヌは家族をひとつの群れとして考えているが、群(むれ)にはひとりひとりに順位の格付けがある。当然、順位の上の人に会えたときのほうが喜びの表現も激しくなる。人に対して喜んでいるときのイヌは、年齢が若いほど人の顔を舐めたがるものである。
 犬種によって喜びの表現に差があり、一般に日本犬は洋犬ほどオーバーではない。洋犬でも小型の愛玩犬種と、シェパード、シベリアン・ハスキーなど使役犬種との比較では、飼主と居住区を同じにしている愛玩犬種のほうが喜びの表現は大きい。
 イヌには人と共同作業をしてほめられたときも嬉しくなる習性がある。たとえば、ボールを投げての「持って来い」の訓練をさせると、イヌは嬉々として投げたボールをくわえてきて飼主に渡すが、このときのボディランゲージは、「大喜び」とはやや違う。「上機嫌」あるいは「親愛」である。ボールを渡した後、「よーし、よくやった」という賞賛の言葉で嬉しくなっている。尾は激しくは振らず、ゆっくりと振って、耳は後ろに伏せている。ボールを主人に渡した後、脚側に坐って待つ訓練までよくできているイヌは、首を伸ばして主人がもう一度ボールを投げるのを待つ。ときには「わん、わん」と催促することがある。
 また、イヌは叱られた後、許しを乞うために「甘え」のボディランゲージを見せるが、そのときの尾の位置は催促のときとは違っ∵て、下に向けている。つまり、恐縮を表現しながら、遊びに誘い、なんとか御主人に機嫌をなおしてもらいたいという魂胆である。
 ただし、イヌがこういう様子を見せたからといって、叱られた理由を理解して二度と同じことをしないかといえばそうではない。叱られて懲りたときは、まず恐怖を覚えるものである。恐怖を覚えたときのイヌは、尾を完全に股間にまるめ込み、耳を後方に伏せてうずくまってしまう。まるめられた尾は振られることはない。叱られても「甘え」を見せるイヌには、叱られた意味が分かっていないものである。
 イヌが知らないイヌに出あって、尾を上にあげて小刻みに振るときは、相手に警戒心を持ったときである。同時に攻撃すべきか否かの迷いがある。耳は前方に向けてしっかりと立てられている。垂れ耳のハウンド種でも、耳の付け根が前向きになるので、警戒心と攻撃的な気持ちを抱いたことが判断できる。
 この場合、尾を高い位置で振るイヌほど気性が強い上位のイヌである。イヌが相手に威圧感を覚えれば尾を下げながら振り、耳は後方に向けて伏せていく。
 したがって、イヌが尾を振っているから喧嘩にはならないだろうと思ったら大間違いである。威圧されたイヌが怯えながらも敵意を表して牙を見せたりすると、尾を振っていたほうがいきなり攻撃をしかける場合もある。とくにテリア・グループは反応が早いので注意する必要がある。

(沼田陽一「イヌはなぜ人間になつくのか」)