アカシア の山 5 月 1 週
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★自由(じゆう)な題名(だいめい)
○ひみつきち
○ならいごと

○一銭を笑う者は(感)
【長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。】
 【1】先週の日曜日は、母の日でした。私とお姉(ねえ)ちゃんは、何をプレゼントしようか相談しました。いろいろ考えて、ホットケーキを作ることに決めました。お母さんに、
「今日は私たちがホットケーキを作ってあげるよ。」
と言いました。【2】お父さんにも手伝ってもらおうと思ったら、
「お父さんは、食べる当番だよ。」
と言ったので、みんなで大笑いしました。
 まず、お姉(ねえ)ちゃんは、玉子と牛乳をボウルに入れてかき混ぜます。【3】私は、ホットケーキミックスを別のボウルに入れました。そこへ、お姉(ねえ)ちゃんが玉子と牛乳を入れました。そのあとは、泡立て器(き)でかきまぜます。
「さっくりかき混ぜてね。さっくりだよ。」
と、お姉(ねえ)ちゃんが指示します。【4】さすがにお姉(ねえ)ちゃんだなと思いました。お姉(ねえ)ちゃんの夢はパティシエになることなのです。何回かかき混ぜると、生地はとろりとなめらかになりました。
 いよいよ焼きます。【5】ちょうどそのとき、お母さんがのぞきに来て、
「大丈夫? 手伝おうか。」
と言いました。お姉(ねえ)ちゃんは、
「お母さんは座ってて。母の日なんだから。」
と言いながら、フライパンに生地を流し入れました。
【6】「まん丸にするには、高いところから一気に流すんだって。」
と、お姉(ねえ)ちゃんが教えてくれました。みるみるうちに、フライパンに生地が広がっていきます。どうしてこれでまん丸になるのだろうと、私は不思議に思いました。∵
 【7】しばらく待っていると、ホットケーキの表面に小さな泡が出てきました。泡が全体に広がったら、ひっくり返す合図なのだそうです。
「そうれ!」
お姉(ねえ)ちゃんが思い切ってひっくり返しました。ホットケーキは、ストンとフライパンの上にひっくり返りました。【8】まるで宙返りをしたようです。とてもおいしそうなきつね色(いろ)に焼きあがりました。私は、
「すごい。お母さんが作ったみたい。」
と言いました。
 全部で八枚焼きました。私が焼いたものは失敗作です。うまくひっくり返せなくて変な形になってしまったからです。【9】でも、お父さんは、
「この変な形も、なかなか面白くていいなあ。」
と言ってくれました。
 焼きあがったホットケーキは、メープルシロップとバターをたっぷりかけて食べます。お母さんは、
「おいしい、おいしい。本当に上手にできたね。」
と、にこにこしながら食べてくれました。【0】

(言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 ω)∵
一銭を笑う者は一銭に泣く

 【1】「一銭」は、 一円よりも やすい むかしの お金で、いまは つかわれていません。【2】だから 一銭を 一円と おきかえて かんがえてみれば、よくわかるでしょう。【3】どんな 小さいお金でも、けっして そまつにしてはいけない という ことわざです。
 【4】かいものに いったとき、たった 一円 たりなくても、かいたいものは かうことが できません。でんしゃのキップだって おなじです。
 【5】ゆうくんは かいものにいく とちゅう、ポケットから 一円だまを おとしました。
「なんだ、一円ぐらい いいや。」
と ゆうくんは ひろいませんでした。【6】ところが そのあとで けしゴムを かおうとしたら 五十一円と いわれました。【7】でも、お金は 五十円しかありません。しかたなく 一円を とりに いえへ もどりました。
 【8】こんなことに ならないためにも、日ごろから お金は たいせつにすることです。
 【9】どんな大金も 一円から はじまるのです。 だから このことわざは、せつやくや ちょちくを すすめるときにも つかわれます。【0】

 「ことわざものがたり二年生」(西本鶏介(けいすけ)著 偕成社)より