00イバラ の山 9 月 3 週
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★じゆうなだいめい
○おてつだいをしたこと

○こんなことができたらいいな
★一休(感)(できるだけ自由な題名で)
【1】「カー! カー! カー!」
 さむい、さむい、正月の朝(あさ)。
 ひとりのおぼうさんが、からすの鳴きまねをしながら京都の町を歩きまわっています。
【2】「なんや、へんなぼうさんやなあ。」
「やや! このぼんさん、しゃれこうべもってるえ!」
 子どもたちがさわいでもへいっちゃら。
「カー! カー! なむあみだぶつう……。」
 【3】おぼうさんは、一けんの大きな家(いえ)の前でとまると、もっていたしゃれこうべをふりふりおきょうをとなえだしたのです。
 門があいて、主人が出てきました。
「帰りや、このくそぼんず! めでたい正月にえんぎでもないわ!」
 【4】すると、おぼうさんはこういったのです。
「まあ、よくごらん。しゃれこうべは、目が出っぱなし。こんなにめでたいものもない。それに、人はみな、いつかこうなるのだ。」
 【5】主人は、あわててなかにひっこむと、
「いや、負けましたわ、なんまんだあ。」
と、おぼうさんがかけているふくろのなかにひとつかみのお米(こめ)をいれてくれました。
 【6】つぎの家でも、そのつぎの家でも、おぼうさんは、同じようにしゃれこうべを見せ、おきょうをあげて、お米(こめ)をもらいました。
 おぼうさんのふくろは、お米(こめ)でいっぱいになりました。【7】おぼうさんは、それをもってまずしい人々のところへいきました。そして、
「さあさあ、みんなでおかゆをたいて、いただこう。」
といったのです。∵
 【8】おぼうさんの名まえは、「一休」。
「ねえ。どうして『一休』っていうの。」
「わしはな、一休みしながら生きるのがすきなんじゃ。だから『一休』さ。のんびり生きるのは、いいことだよ。」
といったそうです。
 【9】それはいまから六百年ほど昔。室町時代のことでした。【0】

(岡田好恵)
「心をそだてるはじめての伝記101人」(講談社)