1まさかソフィーは、世界をわかりきったものだと思っている人の仲間ではないよね? これはわたしにとって切実な問題なのです、親愛なるソフィー。だから念のため、想像のなかで二つ、体験をしてみましょう。
2さあ、想像してみて。ソフィーは森を散歩しています。突然、行く手に小さな宇宙船を見つけます。宇宙船の上には一人の小さな火星人がよじ登ってソフィーをじっと見おろしている……。
さあ、そんな時、ソフィーなら何を考えるだろう? 3まあ、それはどうでもいいとして。でも、自分を異星人みたいに感じたことはない?
ほかの惑星の生物にでくわすなんて、そんなにありそうなことではない。ほかの惑星に生命が存在するかどうかもわからないし。4けれども、ソフィーがソフィー自身にでくわす、ということはあるかもしれない。ある晴れた日、ソフィーがソフィー自身をまったく新しく体験してはっとする、ということは。ちょうど森を散歩している時なんかにね。
5わたしっておかしなもの、とソフィーは考える。わたしはなぞめいた生き物、と……。
ソフィーはまるで何年もつづいたいばら姫の眠りから目覚めたように感じる。わたしはだれ? ソフィーはたずねる。ソフィーは自分が宇宙のある惑星の上をごそごそ動きまわっているということは知っている。6でも宇宙とはなんだろう? なんであるのだろう?
もしもソフィーがこんな自分に気がついたなら、ソフィーは自分自身をさっきの火星人と同じくらいなぞめいたものとして発見したことになるのです。いえ、宇宙からやってきたものを見てびっくりするほうが、まだましなくらいだ。7ソフィーはソフィー自身をとびきりおかしなものとして、とっくりと深く感じるのです。
わたしの話についてきている? ソフィー。もう一つ想像の体験をしますよ。
ある朝、パパとママと小さなトーマスが、そう、二つか三つの男の子です、キッチンで朝食を食べている。8ママが立ちあがり、流し台のほうに行く、するとそう、突然パパが天井近くまでふわっと浮かびあがる。
トーマスはなんて言ったと思う? たぶんパパを指さして、「パ
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