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解説集 マキ の池 (最新版 /印刷版 /ウェブ版 /最新版
印刷版は印刷物として生徒に配布されているものと同じです。ウェブ版は書き込み用です。 https://www.mori7.com/mine/ike.php
最新版には印刷日(2024-03-14 00:00:00)以降に追加されたもの(グレーで表示)も掲載されています。

4.1週 
●あだなはよいか、私の目標
 書き方はこんな流れで。

 第一段落(150〜200字)
 あだなにまつわる身近な話を書いて、「私は、あだなというものはよいと思う(又は、悪いと思う)」と最初に意見をどちらかに決める。そのあと、「その理由は二つある」と書く。
 第二段落(150〜200字)
 理由その1。「第一の理由として、あだなによって親しみが増すことがあるからである」などと初めに書き、その裏付けとなる実例を書く。「私も、友達のまっちゃんと初めてあったときは、堅苦しく松本さんと読んでいたが・・・」のように。
 第三段落(150〜200字)
 理由その2。「第二の理由として、あだなを使わずに本名で呼ぶと、かえってわかりにくい場合があるからである」などと初めに理由を書き、そのあとに裏付けとなる実例を書く。「例えば、私のクラスには、同姓同名の松本さんという人がいるが、一方は背が高く、もう一方は背が低い。そこで私たちは、大まっちゃん、小まっちゃんと読んで区別している」(なお、これはフィクションです)
 第四段落(150〜200字)
 結びの意見。反対意見に対する理解を書いてから、最初の自分の意見に戻ってまとめる。「確かに、あだなによって人を傷付けるような場合はよくない。しかし、あだなはうまく使えば人間関係の潤滑油になると私は思う」。名言を入れる。「一人の敵も作らない者は、一人の友も持たないという名言がある。あだなのような使い方によっては人を傷つける可能性のあるものをうまく使うことによって、私たちはより深い友達の関係を作れるのではないだろうか」。

 体験実例は、自分の体験をもとに書いていきましょう。社会実例は、自分の体験以外の話で、新聞や本に出ていた話などを入れていきましょう。

 名言集に載っている名言は全部覚えておきましょう。また、本を読んでいい表現を見つけたら、自分でこの名言集に書き加えておいてください。

●「是非の主題」は「AではなくてBがよい」という書き方です。
構成図の書き方
 構成図は、小3以上の生徒が書きます。小2以下の生徒は、絵をかいてから作文を始めるという課題になっているので、構成図は書かなくて結構です。
 構成図を書くときに大事なことは、思いついたことを自由にどんどん書くことです。テーマからはずれていても、あまり重要でないことでも一向にかまいません。
 たくさん書くことによって、考えが深まっていきます。したがって、構成図は、できるだけ枠(わく)を全部うめるようにしてください。しかし、全部埋まらなくてもかまいません。
 枠と枠の間は→などで結びます。この矢印は、書いた順序があとからわかるようにするためです。作文に書く順序ということではありません。
 構成用紙は、構成図の書き方に慣れるために使います。構成用紙を使わずに、白紙に自由に構成図を書いてもかまいません。
 

構成図を書きます。
頭の中にあるものをそのまま書くとき。
構成図で書くとき。
初めに絵をかきます。(絵はどこにかいてもいいです)
思いついた短文を書きます。(どこから始めてもいいです)
思いついたことを矢印でつなげていきます。
関係なさそうなことでも自由にどんどん書きます。
枠からはみだしてもかまいません。全部うまったらできあがり。

▽構成図は、原稿用紙や普通の白紙に書いても結構です。


4.2週 
●ふだん私たちは、コインを(感)
要約

(1)コインは丸いとみなしているが、いろいろな見方ができる。

(2)ものごとはいろいろな視点から見ることが必要だ。

(3)価値の多様化のためにレトリックは役に立つ。

 意見 いろいろな見方の必要性。反対理解は、ひとつの視点でないと行動できない。

 名言 「悪いことそのものが……」など。
●ふだん私たちは、コインを(感)
<第一段落>
 要約と意見
 物事を多角的に見るのはよいと思う。
<第二段落>
 第一の理由と実例
 その理由は第一に、物事を多角的に見ると、新しい発見があるからだ。
<第三段落>
 第二の理由と実例
 その理由は第二に、一面的な見方では物事の真の姿が見えてこないからだ。
<第四段落>
 反対意見に対する理解と名言の引用
 確かに、物事を一つの方向から深く見ていくこともときには必要である。しかし、「雑草とは、まだ、その美点が発見されていない植物である。」という名言もあるように、物事を多角的に見なければ見えてこない部分も多いものだ。
●ふだん私たちは、コインを(感)
「体験実例」の例・「いろいろな視点から見る」ふだん見慣れた風景も、しゃがんで見たり、ふみ台にのったり、木にのぼったりして高さが変わると、ちがって見えたりしますよね。「ものごとはいろいろな視点から見る」友達や先生、ご両親などの今まで知らなかった面を見て、驚いたり見直したりしたことを書いてみましょう。
★ふだん私たちは、コインを(感)
 第二段落 体験実例の例
 4.2週なので、中学校の入学式がすんだばかり、または来週が入学式だという人が多いのではないでしょうか。「中学生」は、小学生=子どもとは違う新しい社会的立場です。3月までは子ども料金で乗っていた電車やバスにも、大人の料金で乗ることになります。また、両親や先生にも何かの折に「もう子どもではないのだから」と言われた人もいるのではないでしょうか。
 社会的な立場が変わったことで、これまでと見え方や感じ方が変わったことはないか、考えてみましょう。

4.3週 
●いつから世の中が矛盾を(感)
 要約

(1)矛盾にはよいものと悪いものがある。(2)互いに相殺しあう矛盾は悪い矛盾である。(3)しかし論理的な一貫性がありすぎると自家撞着におちいる。(4)芸術は、平面論理を嫌う。

 意見 ありきたりの表現がよくないというところで。

 名言 「何事もしないものだけが……」「人間は求めているかぎり……」など。
●いつから世の中が矛盾を(感)
 第一段落の要約のあと、「矛盾はよいと思う。」と意見化します。

 第二段落は、その理由1。「その理由としては第一に、新しい発見や新しい創造があるからである。」など。友達との会話でも多少のずれがあったほうがおもしろいし、そこから話題が広がるということもあるでしょう。

 第三段落は、理由2。「また第二の理由としては、矛盾がないとつまらないからだ。」など。理にかなったことばかりではあたりまえすぎて刺激がなく、つまらないものです。カラオケでも譜面どおりに歌うよりも多少崩して歌った方が自分も周りも楽しめます。(笑)

 第四段落は、反対理解と名言の引用。「確かに、理にかなっているということは大切だ。しかし、『悪いことそのものがあるのではない。時と場合によって悪いことがあるのである。』という名言があるようにときには矛盾も必要だ。
●いつから世の中が矛盾を(感)
人間というのは、「矛盾のかたまり」といってもいいかもしれません。(お母さんの言うことを聞いていると、よく矛盾が見つかるでしょう?笑)。だからこそ、人は矛盾したものにひかれるのかもしれません。
矛盾した文が書いてあると、逆に注意をひかれることもよくあると思います。たとえば、「水泳上達法」という本があったとして、本の帯に、どうすれば水泳が上手になるか論理的に書いてあるより、「泳げない人の書いた水泳がうまくなる本」!と書いてあれば、手にとってみたくなるかもしれません。「終わりない夏の終わり」など、小説にはよくそのような題名があります。また、ことわざにも、「急がばまわれ」など、あえて矛盾した文で語る教えもあります。矛盾は人間の本質なので、心がひかれるのかもしれませんね。
反対意見としては、だからといって、全ての矛盾を認めていると、社会は混乱する、ということがあげられると思います。
Re: ●いつから世の中が矛盾を(感)
【ミニヒント】
「矛盾がないとつまらないから」という理由で、身近な実例を探ってみました。関西のお笑い芸人が「ぼけ」と「突っ込み」で観客を沸かせている場面を見たことがあるでしょう。
あれこれと、かけ合い漫才をしてから、「なんでやねん」という結末になります。
あれは、二人のやり取りが、矛盾を追及するから、面白いのであって、終始、真面目なことばかりを話して、内容に矛盾を感じないままでいたら、つまらないですよね。見ている人の心に響かず、少しも、ウケません。
矛盾から生じてくる明るい笑いは、人の心を時には和ませるものですね。

●いつから世の中が矛盾を(感)
【ミニヒント】
「矛盾がないとつまらないから」という理由で、身近な実例を探ってみました。
関西のお笑い芸人が「ボケ」と「突っ込み」で、観客を沸かせている場面を見たことがあるでしょう。
あれこれと、かけ合い漫才をしてから、「なんでやねん? 」という結末になります。
 あれは、二人のやり取りが、矛盾を追及するから、面白いのであって、終始、真面目なことばかりを話して、内容に矛盾を感じないままでいたら、つまらないですよね。見ている人の心に響かず、少しも、ウケません。
 しばらく「……」と、間(ま)をおいて考え込んだ後、相方が鋭い突っ込みを入れると、そこに、自然と笑いが生まれます。
矛盾から生じてくる明るい笑いは、時には人の心を、和ませるものですね。

5.1週 
●数年前、森林関係の研究所に(感)
 内容:木が本来もっている価値を生かすことと、商品として木を高く売ることは、必ずしも一致しない。木目の一定な輸入木材に比べると、国産材の工場はいまも職人の世界である。木の文化を守り、山の木を単なる商品にしてしまわないためには、職人的な腕が生きていなければいけない。
 解説:「木の文化を守り育てよう」という意見で書いてもいいのですが、それだけでは実例の幅が狭くなり、書きにくくなってしまいます。主題を抽象化して、「お金に換算できない価値を大切にしよう」というかたちにし、「木の文化」は、その主題のひとつの実例だということで考えていくと書きやすいでしょう。
 例えば、あなたが持っている幼稚園時代から大事にしているカバンがあったとします。今はもっと高くて新しいものが買えるけど、でも、このカバンは手放せないと思うでしょう。それは、もしかすると、お母さんの手作りのカバンかもしれません。そういうものが、だれにもひとつはあります。
 現代は、お金の単位で表わせるものが世の中を動かしています。しかし、自然を切り開いて工場やダムを作ることは、短期的には経済を豊かにすることではあっても、大きな目で見ると、お金で表わせない価値を失っていることになるのかもしれません。
 数字や固有名詞のデータ実例も、自然破壊などの例で入れられそうですね。(釧路湿原、四万十川、ナイル川など)
●数年前、森林関係の研究所に(感)
 第一段落の要約のあと、「物の価値をお金に換算せずに考える方が良いと思う。」と意見化します。

 第二段落は、その理由1。「お金に換算せずに物事を考えると、その物の本当の良さが見つかるからである」など。道端に咲いている可憐な花に値段をつける人はいません。何でもお金に換算するのではなく、経済的な価値から離れて考えるとその物の持つ本当の良さが見えてきます。

 第三段落は、理由2。「また第二の理由としては、お金に換算して物の価値を考えると、その物の本当の価値が見えなくなることがあるからだ。」など。お金に換算して考えるとほとんど価値のないような物でも自分にとっては大事な物が必ずあるはずです。お金に換算して考えるとその物の持つ本当の良さを見失ってしまう場合があります。

 第四段落は、反対理解と名言の引用。「確かに、物の価値をお金に換算して考えるとわかりやすい。しかし、『自分の心のうちに持っていないものは何一つ自分の財産ではない』という名言があるようにお金には換算できない物の価値というものも大事にするべきだ。」
Re: ●数年前、森林関係の研究所に(感)
 第2段落、「お金に換算して物の価値を考えると、その物の本当の価値が見えなくなることがあるからだ」の「社会実例」。

 株や会社を売り買いして、巨額の資産をもうけていた「ホリエモン」こと堀江貴文氏。彼の、「お金で買えないものはない」という言葉は、一躍有名になりました。彼が全盛期だった頃は、「そんなはずはないと思うんだが、でも彼が成功しているから、もしかしたらお金で何でも買えるんじゃないのか……人の心でさえも」などと思っていた人もいたかもしれません。しかし、彼の成功は一部が見せかけだったことが判明し、また違法ではないがぎりぎりのきわどい手を使ってお金をもうけていたこともわかり、とうとう彼は逮捕されてしまい、ライブドアという会社も彼の手を離れてしまいました。彼は何を間違ったのでしょう? 「お金では買えないもの」について考える、いい例ですね。
★数年前、森林関係の研究所に(感)
 「お金に換算して考えると、人生が貧しくなるからだ」。という理由も考えられそう。世界一貧しい大統領と言われるウルグアイのムヒカ氏の言葉が印象的です。「『世界一貧しい大統領』と呼ばれている。でも、自分では貧乏とは思っていない。本当に「貧しい人」は、ぜい沢な暮らしを保つためだけに、働く人だ。」何でもお金に換算して考えると、人生そのものが貧しくなる……、ムヒカ氏の言葉には考えさせられますね。

5.2週 
●生物界の中でヒトという種を(感)
要約 (1)動物は限られた環境で適応した体を持っている。(2)人間は、学習によって力を身につける。(3)人間の学習は、また社会的な学習でもある。

意見 意見は、学習の大切さということになるかな。反対理解は、勉強のし過ぎの弊害などを考えていくといいと思います。

ことわざと名言 名言は、「辞書のような……」「短所をなくす……」などが使えそう。
●生物界の中でヒトという種を(感)
 第一段落の要約のあと、「人間にとって学習は大切だ。」と意見化します。

 第二段落は、その理由1。「人間は学習しないと成長しないからである。」など。人は生まれたときからさまざまなことを学び、生きていく力を身につけます。歩くことも話すことも学習の成果です。このようなことを学習しなかったら人間は成長することができないでしょう。

 第三段落は、理由2。「また第二の理由としては、学習するといろいろなことが身につき、役に立つからだ。」など。生きていく上で必要不可欠なことでなくても、さまざまなことを学ぶと生きていく上でプラスになります。また、自分を高めていくことができます。

 第四段落は、反対理解と名言の引用。「確かに、遊ぶことも大切だ。しかし、『人は食べるために生きるのではなく、生きるために食べるのである』という名言があるように人間が生まれながらに持っている学習する能力を大事にし、豊かな人生を送るべきだ。」

5.3週 
●話し上手の人がいます(感)
要約(1)話し上手の人は、間(ま)をとるのがうまい(2)すきまもなく力を入れた状態は、かえって効果的でない(3)パリの風景画で一点だけ朱の入った絵が印象に残っている。
意見 緩急のリズムの大切さというところかな。スポーツをしている人は、フェイントとかフェイクとかいう動作を知っているでしょう。猪突猛進ばかりでないところが大事なのですね。
名言 「ライオンは一匹の……」と言うが、年中全力を尽くしているわけではない。「時間を作る第一の方法は……」など。
●話し上手の人がいます(感)
 第一段落は、長文の要約をします。「話し上手とよばれる人は、意識して、あるいは無意識のうちに、うまく「間」をとり入れている。」「いかなる名言、名文句も、同類のものがただすきまもなく積み重ねられるだけでは効果乏しく、文章の力みも、ただそればかりでは弱みに転じてしまう。」「余韻とか余情、ふくみ、それらはすべて、「間」のいかし方にかかわっている。自然に「間」を必要とするのは、必要とするだけの実質をそなえているもの、ということになる。」それに続いて「意見」を書きます。「私たちは間を生かし、それにふさわしい内容を備えることを心がけたいものだ。」
 第二段落は、理由のその一を書きます。「緩めるところがないと力が発揮できないからだ。」そして、自分自身の体験談を書いていきましょう。部活の練習は上手く組み立てられていますよね。適度に体を休めることをしなければ、実力は伸びてきません。フェイントをかけた攻撃というのもあります。音楽の演奏でも、ずっと力を入れっぱなしの曲なんてありませんね。
 第三段落は、理由のその二を書きます。「間を取ることで、注意を引くことができるからだ。」相手に伝えたいという思いが先行すると、ついついたたみかけるように意見をしてしまいます。お母さんのお小言がそんな感じかな? (笑)でも、耳にタコが出来たとか言って、効き目がなくなるんですよね。小言の合い間に「にーっこりやさしく」されたら、ききめがありそう。学校の先生の授業でも同じことが言えそうです。
 第四段落は、反対意見に理解を示しながら、自分の意見を主張します。「確かに、内容の充実を考えることも大切だ。しかし「時間を作る第一の方法は、急ぐことではなく、どこに時間を使うか考えることである。」という名言もあるように、「間」を生かして、それによってさらに内容を強化できることを心がけていくことが大切だ。
●話し上手の人がいます(感)
 課題文をコミュニケーションにおける話し方というテーマでとらえてみるのもおもしろいですね。
<第一段落> 要約は字数稼ぎになり、また、要約することによって内容をより深く理解することができます。
 項目には要約は必須ではないですが、余裕のある人は要約してみましょう。
 要約に続けて、是非の主題を書きましょう。自然につなげるかどうかが腕の見せ所! どこを核にして要約するか=是非の主題、となるわけです。
 たとえば、「話し上手」「相手が連想し想像し思考する余裕を与える」聞き手が苦痛にならないということを中心にすれば、是非の主題は「コミュニケーションをするうえで間は重要だ」と続けられるでしょう。
 話し合いや議論の場では、自分の意見を熱弁する人がいますが、そこに異論をはさむ間がないと、話し合いは堂々巡りになってしまいますね。学級会や部活動での話し合いを考えてみると良いでしょう。
<第二段落> 理由のその一です。学校の授業でも、友達との会話でも、話し合いでも、一方的に話されると、理解しようとしているうちに話がどんどん進んでしまい、最後には何の話なのか分からなくなりますね。
 間を入れることによって、相手の話を理解し、自分の中で消化し、相手に返すというキャッチボールができます。
 それがコミュニケーションをスムーズにしたり、話し合いを意義あるものにする必須条件ですね。
<第三段落> 理由のその二。できれば一つ目の理由に関連するものを挙げると、作文全体がまとまりやすくなります。
 人間と人間の会話というのは双方的です。そしてそれは相手を理解し、自分を理解してもらうことですね。相互理解です。
 間を入れることによって、自分が話したことを相手に受け止めてもらうためには、話し手が聞き手に気遣いながら話さなくてはならないのです。
 当然それは、間というものになって表れるわけです。一方的に話をされれば、考える時間もなく、反論することもできない。押し売りになってしまう。
 有名な作曲家でワーグナーという人がいますが、彼の作品では、音がなっていない間が多くあります。その間があるからこそ、音のなっている部分が際立ち、意味をもつ。ワーグナーの作品は、音がないところを「聴け」とよく言われています。
 行間を読むということも、それに通じますね。
<第四段落> 反対意見への理解。確かに言いたいことをもれなく伝えることは、正確な情報伝達という面で必要です。
 しかし、話の中で間がなければ、その正確な情報も伝わらないし、コミュニケーションが楽しめない、議論が無駄なものになってしまう。

6.1週 
●人間の生涯は物事を(感)
 内容:人間は生涯学習する動物である。犬や猫も学ぶが、早い時期に学習をやめてしまう。人間が何かを学ぶのは、学ぶことが楽しいからである。人間が味わう充足感や感動の大半は、ものを学ぶことから生まれる。

 解説:勉強の大切さというテーマは、前にも書いたことがあると思います。今回は少しちがったアプローチで、「勉強とは楽しいからするのである」という話です。学校の勉強は、ほかから課題を与えられてすることが多いので、楽しさよりも苦しさを感じることのほうが多いかもしれませんが、学校の勉強にかぎらず学ぶこと全体をとってみれば、何かを学んで自分自身が成長することがうれしいから勉強をするというのが人間の本来の姿です。学校の勉強であっても、もしみなさんが、明日から学校に行く必要がなくなったとしたら、最初の数週間は楽しいかもしれませんが、すぐに「もう一度、学校に通って勉強したいなあ」と思うようになると思います。

 意見の書き方は、「学ぶことの大切さ」ではなく「学ぶことは楽しいと思うべきだ」にするとよいでしょう。その理由は、(1)世界には、戦争や貧困のために勉強することのできない子供たちが1億3千万人もいるからだ、(2)学ぶことの楽しさを自覚すれば積極的に勉強できるからだ、などと考えていけるでしょう。実例には、何かを学んだあとの充足感の体験などを書いていきましょう。
●人間の生涯は物事を(感)
 第一段落の要約のあと、「学ぶことは楽しいと思うべきだ。」と意見化します。

 第二段落は、その理由1。「学習はもともと面白いからである。」など。新しい発見があったり、新しい知識を得たり、わからなかったことがわかるようになったりすると、とても嬉しいものですよね。体験実例は、難問が解けたときのうれしい気持ち、それまで知らなかったことを学んだときの充足感などについて書いていくとよいでしょう。

 第三段落は、理由2。「また第二の理由としては、つまらない勉強は頭に入らないからだ。」人から言われていやいやする勉強は本当の意味では身につきません。学習を楽しいと思い、自ら進んでする勉強こそが自分のためになります。

 第四段落は、反対理解と名言の引用。「確かに、勉強にはつらい面もある。しかし、『辞書のような人間になることではなく辞書をうまく使えるような人間になることが勉強の目的である。』という名言があるように自分から進んで楽しく勉強すれば学んだ知識を生かしていくことができるだろう。」
●人間の生涯は物事を(感)
是非の主題
・人間は一生涯、積極的に学ぶのがいいと思う。
・人間は学校を卒業しても自ら学ぶのがいいと思う。
●人間の生涯は物事を(感)
 名言の引用は色々と考えてみましょう。例えば、「経験は、最良の教師である。」という名言。「学習」という経験により、人は成長していく。だからこそ、人間は一生勉強していくべきだ、というまとめにつながりますね。「読書は人間を豊かにし、討議は人間を役立つようにし、文章を書くことは人間を正確にする。」という名言もいいですね。色々な経験を通じて、人は学び、成長していくというまとめにつながっていきます。また、「辞書のような人間になることではなく辞書をうまく使えるような人間になることが勉強の目的である。」という名言。これは、学習によって得た知識を、実生活に生かせるようにしていかなくてはならない、というまとめにつなげられますね。

6.2週 
●見テ知リソ知リテナ見ソ(感)
要約
 (1)知識が頭の中にあると、素直に見ることが困難になってくる(2)知識を得る必要はあるが、知識のために柔軟な感覚を失ってはならない(3)作品と接するのは、たったひとりの自分である(4)自分の感性を信じつつ、知識や他人の意見にも耳を傾けねばならない

似た例
 先入観があると、色眼鏡でつい見てしまうという経験はだれにでもあるでしょう。

 しかし逆に、知識があると、表面的なことばかりでなくそのものごとの背景や本質がよくわかるという例もあります。「低気圧は左回りで、風が南東から北西に変わったから、これから晴れてくるだろう」とかね。

意見
 「知識にしばられないことの大切さ」で書いていきましょう。

名言・ことわざ
 ことわざは「百聞は一見にしかず」など。名言は「経験は最良の教師である」「行動するためには多くのことに無知でなければならない」「読書とは自分の頭で考えることではなく、他人の頭で考えることである」など。
●見テ知リソ知リテナ見ソ(感)
 第一段落の要約のあと、「知識にとらわれずに物事をありのままに見ることは大切だ。」と意見化します。

 第二段落は、その理由1。「第一の理由は、先入観があると物事の真の姿を見ることができなくなるからだ。」など。たとえば「あの先生はこわい。」という噂が耳に入ると、実際にはどんな先生なのか確かめもしないうちからこわい先生だと思い込んでしまうことはよくあります。でも、実際に接してみると実は優しい先生だったなどということもあるかもしれませんね。

 第三段落は、理由2。「また第二の理由としては、知識に頼らず、自分の目で見た方が自分が成長するからだ。」知識に頼ってしまうと、自分の目で見て自分で考えるということがしにくくなります。絵画などの鑑賞でも解説を読んでから見ると自分の見方ができなくなり、自分の考えを持てなくなることがありますね。

 第四段落は、反対理解と名言の引用。「確かに、知識があった方が効率よく物事を見ることができるかもしれない。しかし、『行動するためには多くのことに無知でなければならない。』という名言があるように知識にとらわれず、自分の見方で物事をありのままに見ることは大切だ。」

6.3週 
●落ちて来たら(感)
 要約
(1)「落ちてきたら」の詩(黒田三郎)のよさは「願いごとのように」の比喩にある。
(2)二つの異なるものを結びつける比喩はものごとをわかりやすくさせる。

 意見
 そのまま、比喩の大切さで書いていくとよいでしょう。もっと一般化して、異質なものを結びつけることの大切だと考えてもいいかもしれません。比喩はものごとをわかりやすくさせるという効果がありますが、この比喩と対極にある、もうひとつのわかりやすさの工夫がデータなどを駆使した説明ということになるでしょう。「体重120キロの人」という説明と「お相撲さんのように大きい人」というのと、どちらの表し方にもそれぞれよいところがあります。

 名言・ことわざ
 名言は、比喩は自分で新しく創造するものだという意味で、「もともと地上に道は……」。同じく、「問題とはそこに……」。また、長い説明よりも簡潔な比喩のほうが難しいという意味で、「短いスピーチが……」などが使えそうです。
●落ちて来たら(感)
 第一段落は、長文の要約をします。「詩を読むと、その比喩表現のすばらしさから、祈りに似た詩の心が伝わってきて、励ましさえ感じる。」「比喩を、日常の会話でも効果的に使うと、表現が生きてくる。」「フォークボールを投げるというような肉体的な技術でも、その動きをやってみせること以上に、比喩が大きな働きをすることがある。」それに続いて「意見」を書きます。「私たちは比喩表現を大切にしてその効果を生かしていくべきだ。」
 第二段落は、理由のその一を書きます。「比喩を使うと、あいてにわかる説明ができるからだ。」そして、自分自身の体験談を書いていきましょう。何かを説明したいとき、でも相手が見たこともないようなものを説明するとき、大きさや色や形を言ってみてもピンと来ないときがあります。そんな時、相手がよーく知っている、似たものをあげると、なるほどとわかってもらえます。よく、初めての人を紹介するとき、「芸能人で言うと○○と△△を足して二でわったような・・・。」なんていいますよね。
 第三段落は、理由のそのニを書きます。「比喩を使うと、喩えのほうのものも連想でき、二倍以上に豊かになるからだ。」比喩は、うまくつかうと別々のふたつのもののイメージが上手く混ざり合って、とても豊かな表現になります。二倍にも三倍にも情感がふくらみます。おいしいものをたらふく食べさせてもらっておもてなしを受けてうれしいとき、「盆と正月がいっぺんにきたみたいだ。」といわれると、聞かされた人の頭の中でお盆の宴会と正月の宴会がいっきに始まって・・・、ずいぶんと喜んでもらえたことが伝わるよね。(ちょっとリアルで文学的でないなあ)
 第四段落は、反対意見に理解を示しながら、自分の意見を主張します。「確かに、正確な表現で確実に伝えることも大切だ。しかし「トランプが生きているのは、それが実際のプレーに使われているときである。」という名言もあるように、自分の語彙をふやして、ゆたかな比喩を使いながら表現していきたい。
●落ちて来たら(感)
 第一段落の要約のあと、「比喩は大切だと思う。」と意見化します。

 第二段落は、その理由1。「比喩を使うと印象的にわかりやすく表現できるからだ。」など。たとえば包丁で野菜を切るときの手の押さえ方を説明する場合、「猫の手のように」と比喩を使うとわかりやすいですね。同じように、ピアノを弾くときの手の形も「卵を持つように」などと言われるとイメージが湧きやすいです。

 第三段落は、理由2。「また第二の理由としては、比喩を使わないと話の内容を説明するのに時間がかかるからだ。」など。比喩を使うと簡単に表せることも比喩を使わないで表そうとすると複雑な表現になり、かえってわかりにくくなります。第1の理由で挙げた比喩の例を、比喩を使わずに表現するのはかなり難しいですね。

 第四段落は、反対理解と名言の引用。「確かに、数字などを使って正確に表す方が適している場合もある。しかし、『辞書のような人間になることではなく辞書をうまく使えるような人間になることが勉強の目的である。』という名言があるようにときには比喩を使いながら自分なりの表現を工夫していくことも大切である。」