ひとこと(4月4週)
「大人になって」を読んで
アジサイの広場
T.Oいう高2
 
 子供は「ふしぎ」と思うことに対して、大人から教えてもらうことによって
知識を吸収していくが、時に自分なりに「ふしぎ」なことに対して面白い説明
を考えつくときもある。子供が質問したときに「正しい」知識を供給したとし
ても、おそらく「納得」はしないだろう。「その時に、その人にとって納得が
いく」答えは、神話あるいは物語的なものになるのではないだろうか。だが現
在では、そういった思考は現象の説明には有効ではないといった考えが強く、
科学的説明だけを推しすすめているが、それは問題だと思う。
 
 なぜなら、人間と自然というのは切り離せない関係にあるからだ。たしかに
近代の科学文明の発達はすさまじく、この100年もの間に「ふしぎ」といわ
れていた現象を次々に解明していき、物理学の法則など科学的思考の強さを見
せつけた。だが神話や物語をまったく無視すると、自分の心の中のことや、自
分と世界との関わりを無視されたことになる。これで物事を納得したとしても
、外面的なことしか理解できたに過ぎないと思う。
 
 そうならないようにするには、理屈にばかりこだわらずに柔軟に考えること
が大切だと思う。たとえば「なぜ人は空腹になると腹が鳴るのか」といった質
問でも、「胃が空っぽになることによって胃が縮んで出る音だ」とは言わず、
「腹の中の虫が鳴いているから」といったユニークな答えが出せるようになる
ことによって、発想が豊かになり、思いがけない発見が出来るようになるので
はないか。
 
 あまり空想的なことばかり考えていると、現実や現状が分からなくなる。神
話や物語的な考えに偏るのではなく、理論的な科学的思考を身につけることも
同じように大切なことである。だが、「大切なのは健康らしい外見ではなく、
健康自身である」というように、外面上だけの知識を手に入れるだけで満足す
るのではなく、自分が本当に納得できる答えを出せるようにしたいと思う。