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ひとこと
サングラス
アジサイの広場
風間こと大2
 サングラスをかけて街を歩く人をよく見かける。一昔前は昼間からサングラスをかけている人は『
その道の人』と思われがちだったが現在では、そのような考えも薄れ普通の人が堂々とサングラスを
して出歩くようになった。しかし、そのサングラスの持ち得る『ファッション性』とは別の理由でサン
グラスをかける人が少なくない。それは『アウト・ロー』的に振る舞う事である。日常の煩雑さや対
人関係の複雑化、退屈な日々、、。それらの逃げる事の出来ない現実から少しでも離れようとするた
めにサングラスをかける。サングラスに限らず私たちは何かになりうることで現実から離れようとする
ことが少なくない。
 私が中学生の頃に大人気だった漫画に『ドラゴンボール』がある。主人公である孫悟空は、どんな
強敵にも必ず勝つ非常に強い主人公である。大人気だった理由には、そのストーリーの面白さもある
が一番の理由は『孫悟空という主人公に自分を重ねたこと』だと私は思う。受験によるストレス、複
雑な人間関係の悩み、家族の問題、、これらの『悩み』を解決する力強さを主人公である孫悟空は十二
分に持ち得ていた。簡単な話『悩み』は圧倒的な力で解決すればよい、というわけである。
 最近『コスプレ』が一つのブームになっている。ゲームやアニメのキャラクターの格好をするもの
で幕張メッセを貸し切りで行ったイベントもあったぐらいだ。その参加者には弁護士もいれば医者も
いる、先生もいる、サラリーマンもいる。その『コスプレ』という空間の中では日常の職種や年棒は
全く関係なくゲームやアニメのキャラクターにいかになりきれるかが勝負の決め手となる。その『コ
スプレ』という虚構の空間で快感を得て再び日常の世界に戻っていく。
 日本の失業率はアメリカを追い越すなど相変わらずの不景気で普段の日常には明るい展望は皆無に等
しい。そんな毎日から逃げたい、と思うのは仕方のないことだ。しかし現実というものは逃げ切れるも
のではない。結局は人間、外見ではなく中身の勝負なのである。サングラスを外すと意外なほど優し
そうな目をしている事が多い。優しい人が苦労するのが今日の社会なのである。