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ポイ捨て
アジサイの広場
山下かけ
突然だが、私は渋谷の駅周辺を通るのが苦手だ。まず人の多さに引いてしまう
。横断歩道では四方八方から次々と人が来るのでめまいがしそうになる。それ
と、道の汚さがある。人が多い分、道に捨てられたごみも多い。
 
 ごみがポイ捨てされるのにはまずごみ箱の少なさがある。ごみ箱があると見
た目が悪いからか、それとも不審物に対する警戒なのか分からないが、とにか
く少ない。道には自動販売機があって買うことは出来ても、飲み終わった缶な
どを捨てることができない。そのためごみ箱をひたすら探すことも多い。でも
どうしても見つからず、家まで持って帰ったこともある。たとえ見つけたとし
てもごみであふれているものが多い。
 
 もう一つには、捨てる行為に対する意識があると思う。今はたいていのもの
なら新しく手に入る。使えなくなるまで使う必要がなくなった。新品を買うほ
うが修理するより安いこともある。物を大切にする意識が薄れているのである
 
 ごみを不意に落としたのかと思えば、気にすることもなく落としたままにす
る。そういう人はたいてい「みんなやっているから」と言う。そうしてごみは
山のようになっていく。きれいな建物の隅にたまったポイ捨てされたごみ。建
物を表面的な豊かさと見るなら、ごみは現実そのものである。