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宮本武蔵になろう!
アジサイの広場
吉見こと大3
 1998年、インドネシアの通貨であるルピーが6分の1にまで暴落した。
それに連動して輸入物価が6倍になり、物価が急速に上昇し、暴動が多発した
。そして5月21日、三十年も続いたインドネシアのスハルト大統領の独裁政
権が崩壊した。この一連の流れの発端となったのがヘッジファンドに代表され
る投機だ。このような投機は「国際資本の暴力」として世界各国から非難され
ている。しかし市場経済自由経済体制を堅持している限り投機は、その中に完
全に組み込まれているため、それを全面的に禁止することは市場経済、自由経
済体制の否定に繋がる。ここで大切なのは徹底して投機を否定することではな
い。ヘッジファンドにしても決して理由なき投機を行うことはありえないから
だ。無謀な投機を行えば、その結果としてヘッジファンドは巨額の損失を被っ
て、解体、消滅してしまう。つまり「儲け口」が存在する場所にのみ投機が集
中する。その「儲け口」は現実と制度が乖離している場所、つまり国家のボト
ルネック(弱点)ということになる。投機はボトルネックに群がり、その甘い
蜜を吸い尽くすと、また他のボトルネックを探しに、どこかへ行く。
 
 私は、もうすぐ就職活動をする。世の中には大小、様々な会社が存在する。
大きくても競争力が低い会社もあれば、小さいものの高い競争力を発揮してい
る会社もある。後者の代表例がベンチャー企業だ。ベンチャー企業は、必ず何
らかの能力に特化している、という特徴がある。その専門特化した能力で市場
の隙間を突いて、高い収益を上げる。私はベンチャー企業に非常に魅力を感じ
ている。
 
 日本人の好きな剣豪の筆頭が宮本武蔵だ。私たちは宮本武蔵に対し「無敵」
という印象を持っている。実際に宮本武蔵は決闘で一度も負けたことは無かっ
た。しかし実際は、そうでもない。宮本武蔵は自分が勝てる相手としか決闘を
しなかった。自分が不利な時は背後から襲ったり、闇討ちをした。そもそも二
刀流は相手を威嚇するためにあるらしい。佐々木小次郎との巌流島の決戦の時
、宮本武蔵は太陽に背を向けて戦った。当然、佐々木小次郎の目には直射日光
が直撃する。そして佐々木小次郎は負けた。宮本武蔵は立派な「投機家」だっ
たのだ。
 
 ヘッジファンドという投機を防ぐには、その投機がつけ入る隙を作らないよ
うにするしかない。それには現実と制度の乖離(ボトルネック)を早急に解決
することが大前提となる。少しでもボトルネックが存在する限り、甘い蜜に飢
えた投機が襲ってくる。20世紀は「物理的な戦争の世紀」だった。21世紀
は「投機との戦争の世紀」になるだろう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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