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アメリカシロヒトリは三流害虫 アジサイの広場
れもんふれ小4

 いまから、三十七年あまり前、ちょうど、第二次世界大戦が終わって、アメリカと日本のあいだで、物資やヒトの移動がさかんになりました。ア
メリカシロヒトリの幼虫は、ふ化すると最初は網を張り何百匹もの小さなケムシが集団で網の中で生活しながら、葉を丸坊主にしていきます。ある 先生は、このガの生態を観察しているうちに、それほど恐ろしい昆虫でないことがわかり、「アメリカシロヒトリなんて三流害虫さ」といいました  

 私が一番びっくりしたのは、網の中で生活しながら葉を丸坊主にしていった何百匹もの小さなケムシが、本当はただの三流害虫だったという事で
 

 私は小学校三年生ぐらいの時に、アゲハチョウの幼虫を飼った事があります。私は、アゲハチョウの幼虫を教科書や、図鑑の写真などでは見たこ
とがありましたが、実際に、見るのは初めてでした。教科書や図鑑などの写真でも気持ちが悪かったけれど、実際は教科書や図鑑などで見るより、 もっと、もっと気持ちが悪くて、まるで、恐竜の赤ちゃんのようでした。だから最初は、寝る前に幼虫を見るとその日の夜は、こわい夢を見るほど でした。これが、あのきれいなアゲハチョウの幼虫だと思い出した時、私はきつねにつままれたような気持ちになりました。  

 しばらくすると、アゲハチョウの幼虫がさなぎになりました。さなぎになったら全く動かなくなり、恐竜の赤ちゃんのようだった幼虫とは違う虫
のようになりました。  

 ある日、幼虫の時とは違ってじっくりアゲハチョウの観察をしていた私はハッとしました。
 

 「あれ、アゲハチョウのさなぎが茶色くなっている・・・。」
 

 でも、私は冬だから、茶色くなっているのかな、と思って、しばらく春になるまで、待ってみることにしました。けれど、四月がすぎても、五月
がすぎても、とうとう、六月まですぎても、アゲハチョウのさなぎは、チョウになる気配がありません。そうなのです。アゲハチョウのさなぎは、 死んでしまっていたのです。  

 その後、学校で、アゲハチョウの成虫を見ました。わたしは、(あんな恐竜の赤ちゃんのような顔をしていたあの幼虫も、こんな成虫になったの
かな。)と、思いました。  

 後から、理科で習ったことですが、本当はアゲハチョウの幼虫の、恐竜の赤ちゃんのような部分は、顔ではなくて、アゲハチョウの幼虫を食べる
鳥、つまり、アゲハチョウの幼虫の敵に、ヘビに見せかけておどかし、食べられないようにつくられた、頭だったそうです。つまり、私がおどろか されていたということは、私は、アゲハチョウの敵、つまり鳥と同じくらいの脳だったのだなと思い、少しショックでした。(笑)でも、よく考え られているのだなと思って感心しました。  

 アメリカシロヒトリは三流害虫ですが、もし、私が害虫だったら、三流と呼ばれるより、一流と呼ばれた方がうれしいなと思いました。
 

       
 

 
                                   
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