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材質と呼び方 ウグイスの広場
ひろりんあしゆ中1

 方言で「釣る瓶」のことを「ツブレ」、「茶釜」のことを「チャマガ」、「月隠」のことを「ツモゴリ」と言ったりする。似ているようだが読み
方が少し違う。ある地方でこのような誤りが定着したのも、それぞれの言葉の言語意識が薄れているからであろう。その例で「馳走」「遠慮」「結 構」などの漢語は日常語として使われているうちに元とかなり違う意味になっている。私たちの身の回りでは「つり革」、「枕木」などがそうだ。 つり革は今は革ではなくビニールでできている。しかしいまだに私たちは「つりビニール」ではなく「つり革」と言う言葉を使っている。枕木も、

「枕コンクリート」としてもいいではないか?しかしそうすると材質が変わるたびに改名しなければならない。結局、言葉はそれぞれの人の言語意
識によって動いていくのだ。  

 私は前から謎に思っていた。「なぜ筆を入れていないのに筆箱、なのか?」私たちが一般的に「筆箱」と呼ぶのは小学校低学年の時に使うような
プラスチックの箱のことで、それは筆ではなく「鉛筆」を入れる箱だ。それなのになぜ「筆」箱なのか。それはたぶん筆者の言う通り、言語意識が 薄れているのだと思う。昔は筆を入れる箱だから筆箱と言ったのだろうが、だんだん筆より鉛筆が主流になってきてもそのまま言葉が残ったのだ。

「筆を入れる箱」というもとの意味は薄れ、「書くものを入れる箱」のことを筆箱というようになったのだろう。意味を間違って覚えている私たち
もあれだが、逆に中に入れるものが変わるたびに名前を変えていたら、筆箱は「鉛筆箱」になっていたと思う。未来には「電子ペン箱」と改名され 、もとの筆箱とつながりを忘れてしまう。  

 結論的に言うと、材質が変わったからといって名前を変えるな、ということである。まあ保守的な日本人にはそんなことはムリだろう。憲法で「
鉛筆箱」と言え、と決まっても私は絶対筆箱と呼ぶ。・・・となると150年後の枕木に固くて薄い超宇宙素材が使われたとしても、まくら木。ど んなに名前がかっこよくてスゴい素材が使われても、まくら木・・・・だ。それはそれで少し悲しい。                                                      
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