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競争構造をどのように変えるべきか
イチゴの広場
○○○○あう
幸福感について、利己心だけで幸福を求めてはならない。社会的に成功する道が開けた場合、リーダーとして多くの責任を背負わなくてはならない
。そのような考えを持てば、成功者に対する嫉妬心は弱まっていく。いわゆる「ゼロサム型」の考え方は嫉妬心から出てくる。利己心に基づいて成
功や幸福を求めると、パイの取り合いになってしまう。
 


 今でこそ薄れつつある価値観であるが、つい最近まで「中流意識」と言う言葉が日本社会においてしばしば用いられてきた。大半の人々がとりわ
け貧しくもなく、しかしながら金持ちでもない、中流であると感じているということが言われてきた。これは今まで一定のパイを等しく分けてきた
裏づけと言える。
 


 このような考え方が受け入れられてきた背景は何だろうか。高度経済成長期においてパイそのものが必ず拡大することが前提になっていたことが
背景として考えられる。パイそのものが大きければその恩恵を享受できない人は出てこない。まして、右肩上がりが約束されていればたとえ平等の
分配であっても享受できるメリットは拡大していくことになる。
 


 現在問題視されている護送船団方式や様々な規制が社会制度として成立していた背景がここにあると言える。
 


 しかし、経済が成熟しパイそのものがもはや拡大しなくなった現在ではこの原理は成立たない。パイの大きさに限界がある以上、恩恵を享受でき
ない人も出てくる。競走の質を徒競走と受験戦争に例えた教授がいた。徒競走はたとえ「ビリ」でも順位がもらえる。しかし受験は脱落者が生じる
。かつての高度経済成長期は徒競走型、そして現在は受験型の競争と言える。生存者と脱落者の明暗が明確なものになってきたが、その境界線が予
測できない。問題点がここにある。
 


 では、このような問題をクリアーするために何をすべきであろうか。その対策として、競争の勝者が新しいパイを作るというのが考えられる。現
在主張されている構造改革も、古い産業から新しい産業に移行することによって、古い産業の雇用を吸収することが本来の目的とされている。この
ような構造改革も新しいパイを作る具体例といえる。
 


 確かに、新しいパイを勝者が作るということは現在の構造と変わりがないようにも見える。しかし、ただ弱者のために安住の場を作ると言うわけ
ではない。重要なのは一度敗北したプレイヤーも再度ゲームに参加できるチャンスを与えるということである。そのためセーフティネットの配備も
同時に求められるであろう。いずれにせよ、あたらしい競争の構造が求められているのではないだろうか。
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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