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戦争回避と景気回復は可能か アジサイの広場
○○○○あう

 アメリカの景気が2000年4月から減退し始めた背景にはニューエコノミーに偏向しすぎたことにある。したがって、好景気を維持するためにはオールドエコ
ノミーを復活させなくてはならない。景気が減退する中でそれを実現させる答えが輸出であり、再び日本がそのターゲットにされた。日本の株価を上げて消費を爆発的に伸ばし、アメリカ製品を輸出することによって製造業を復活させるシナリオがすでに用意されている。 

 今月ようやくある企業から内定を頂き、就職活動を終えた。就職活動を通して様々な企業の貴重な話を聞いてきたが、現状はかなり厳しいというのが第一
印象として残っている。高度経済成長期と異なり、どの製品も普及し尽くしている。特にメーカーはこのような中で売上を伸ばしていくことは至難の技といえる。今までの経済政策が思うような効果が出ない背景にもこのような現状があると思う。 

 このような中で、「戦争待望論」を主張する学者もいるようである。戦争によって一挙にそれまで構築してきたインフラを破壊してしまえば、新しい需要
が生まれ、それによって景気が良くなるという主張だ。確かに第一次世界大戦後、焦土と化して需要超過となったヨーロッパに物資を輸出しアメリカが好景気を迎えることになったことや、また日本においても第一次世界大戦中、成金が続出したことや朝鮮特需を考えてみればこの主張を正面から否定することは出来ないだろう。 

 しかし、この戦争待望論が不謹慎な説であることには変わりはない。かつて太平洋戦争で膨大な犠牲を強いられた日本としては景気回復のための戦争は回
避しなくてはならない。たとえそれが、遠く離れた国家間における戦争であったとしても国際経済と密接な関わりを持たなくては国家経済が成り立たない日本にとっては、深刻なダメージを被る事になりかねない。 

 では物が行き渡った市場において戦争を回避しながら製造業の景気を回復させるためにはどうすべきだろうか。軍需産業が基幹産業になっている場合、そ
の国家に新しい基幹産業を確立することが一つの案として考えられる。困難な作業ではあるが不可能なことではないだろう。そもそも、現在画期的な開発として受け入れられたインターネットも軍需産業から生まれたものである。事実、戦争によって生まれたテクノロジーは少なくない。よって、軍需産業における技術の転用による新規産業の確立によって新しい需要を生み出すことが出来るのではないだろうか。 

 確かに、甘い考えであることは否定できない。よほどの技術革新が達成されない限り、新しい需要を生み出すことは困難であろう。しかし、かつての世界
大戦レベルの戦争を再度起こせば、景気を回復させる前に立ち直ることのできないダメージを受けることになるだろう。このようなことを考慮に入れて、破壊活動のない需要拡大策を求めなくてはならない。 

 
                       
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