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日本語の創造性 イチゴ の広場
弥生 いきか

 日本人は中国から漢字を取り入れ、平仮名や片仮名を作ったように、新しいものを取り入れて独自に変化させるのが上手だ。たとえば、つま先が足袋のよ
うになっている靴下を「たび」と「ソックス」を合わせて「タビックス」という商品名で売り出した会社があるように、今では、外国語とまで合わせて1つの 言葉にすることもある。そして、その言葉の意図は日本語を母語とする人には容易に理解できる。このような創造性の豊かさは、日本語のもっとも優れた点 ではないだろうか。  

 では、この創造性を保つにはどうしたらいいだろう。まずは、言葉に敏感になることだと思う。たとえば同じ造語でも、タビックスとTシャツとでは造り方
が違うし、関西ではかなり一般化している「やぶく」という言葉も、じつは「やぶる」と「さく」の造語だ。このように、普段なにげなく使っている言葉を 改めて見つめ直す機会をもつことが大切だと思う。  

 しかし、日本語を外国語として教える場合、それでは難しすぎるので、私は造語性の豊かなオノマトぺを使ってみた。まず、日本語ではドアをノックする
音を「コンコン」と表現することを説明し、雨が降る音や石が転がる音などを表現させた。ポルトガル語にはオノマトぺがないので、最初は大変だったが、 慣れてくると楽しんで表現するようになった。生徒は無意識ながらも日本語の創造性を感じたのではないかと思う。  

 たしかに、これからの国際化社会では論理的に話す能力は必要だが、だからといって日本語の創造性をなくしてしまっては、日本語の良さが半減してしま
う。まじめで堅苦しく思われがちな日本人が、言語においては、こんなに自由で創造性豊かだということを日本語教師として伝えていけるようになりたい。                                                    
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